それでは今回もよろしくお願いします。
「はい。比企谷君、どうしました?」
「ああ、その……この前、相談した件についてなんだが……」
「は、はい……」
「……とりあえず、何とかなった。助かった」
「いえ、お礼なんて……」
「……割と、嬉しかったんだよ」
「え?」
「なんつーか、相談にのってもらった事なんてなかったからな……」
「そうですか……お役に立てたのなら、幸いです」
「あ、ああ…………ありがとな」
「ふぅ……」
ダンス練習の合間の休憩時間。昨晩の電話を思い出し、小さく溜息が零れる。どうしたのでしょうか。すっきりしないというか。この気持ちはなんなのでしょう?
「海未ちゃん、大丈夫?」
「ひゃわっ!?」
突然、背後からかけられた声に、びくんと体が跳ねてしまう。
「あ、ごめんね?」
「いえ、こちらもぼーっとしていたもので……」
「珍しいね。海未ちゃんがそんな風になってるの……」
ことりが気遣うように顔を覗き込んでくる。どうやら心配をかけてしまっていたようです。
ことりに謝ろうとすると、いつもの元気な声が割って入ってきました。
「ことりちゃん!海未ちゃんはね……ふふふ」
「?」
「穂乃果ちゃん?」
穂乃果が何やらいやらしい笑みを浮かべていますが、どうかしたのでしょうか?長年の経験から言って、嫌な予感しかしないのですが……。
「恋……してるんだよ!」
「えぇぇ~~~~!!!!」
「なっ!?」
とんでもない事を言い出した穂乃果に対し、ことりは驚愕の叫び声を上げ、私は慌てて馬鹿な幼なじみの口を塞ぐ。
「んぐっ!ううぃひゃん!んぅ~!」
「な、な、な、何を言っているのですか、貴方は!?」
「う、海未ちゃん!?穂乃果ちゃんが!」
しばらくの間、3人の取っ組み合いが続きました。
「はぁ……はぁ……もう!ひどいよ海未ちゃん!」
「穂乃果が訳のわからない事を言うからです!」
「え?だって海未ちゃんって比企谷君が……」
「また締め上げられたいようですね」
「ご、ごめ~ん……」
私と穂乃果のやり取りをハラハラと見守っていたことりが、何か閃いたように、ポンッと手を合わせました。
「あ、比企谷君ってこの前の……」
くっ、やはり覚えていましたね……。
忘れていてくれれば助かったのですが。
しかし、ことりは穂乃果と似たような事を考えているのか、不自然なくらいニッコリと笑っています……。
「う~みちゃん♪」
かくなる上は!
「さっ!休憩時間は終わりですよ!」
「あ~~!」
「ずる~い!」
まさかこのような辱めを受ける事になるとは。
おのれ比企谷八幡!
今週はトレーニングのメニューをこっそり増やしてあげます!
「……!」
「どうしたの八幡?」
「……今、寒気が」
読んでくれた方々、ありがとうございます!