捻くれた少年と真っ直ぐな少女   作:ローリング・ビートル

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第25話

「はい。比企谷君、どうしました?」

「ああ、その……この前、相談した件についてなんだが……」

「は、はい……」

「……とりあえず、何とかなった。助かった」

「いえ、お礼なんて……」

「……割と、嬉しかったんだよ」

「え?」

「なんつーか、相談にのってもらった事なんてなかったからな……」

「そうですか……お役に立てたのなら、幸いです」

「あ、ああ…………ありがとな」

 

 

「ふぅ……」

 ダンス練習の合間の休憩時間。昨晩の電話を思い出し、小さく溜息が零れる。どうしたのでしょうか。すっきりしないというか。この気持ちはなんなのでしょう?

「海未ちゃん、大丈夫?」

「ひゃわっ!?」

 突然、背後からかけられた声に、びくんと体が跳ねてしまう。

「あ、ごめんね?」

「いえ、こちらもぼーっとしていたもので……」

「珍しいね。海未ちゃんがそんな風になってるの……」

 ことりが気遣うように顔を覗き込んでくる。どうやら心配をかけてしまっていたようです。

 ことりに謝ろうとすると、いつもの元気な声が割って入ってきました。

「ことりちゃん!海未ちゃんはね……ふふふ」

「?」

「穂乃果ちゃん?」

 穂乃果が何やらいやらしい笑みを浮かべていますが、どうかしたのでしょうか?長年の経験から言って、嫌な予感しかしないのですが……。

「恋……してるんだよ!」

「えぇぇ~~~~!!!!」

「なっ!?」

 とんでもない事を言い出した穂乃果に対し、ことりは驚愕の叫び声を上げ、私は慌てて馬鹿な幼なじみの口を塞ぐ。

「んぐっ!ううぃひゃん!んぅ~!」

「な、な、な、何を言っているのですか、貴方は!?」

「う、海未ちゃん!?穂乃果ちゃんが!」

 しばらくの間、3人の取っ組み合いが続きました。

 

「はぁ……はぁ……もう!ひどいよ海未ちゃん!」

「穂乃果が訳のわからない事を言うからです!」

「え?だって海未ちゃんって比企谷君が……」

「また締め上げられたいようですね」

「ご、ごめ~ん……」

 私と穂乃果のやり取りをハラハラと見守っていたことりが、何か閃いたように、ポンッと手を合わせました。

「あ、比企谷君ってこの前の……」

 くっ、やはり覚えていましたね……。

 忘れていてくれれば助かったのですが。

 しかし、ことりは穂乃果と似たような事を考えているのか、不自然なくらいニッコリと笑っています……。

「う~みちゃん♪」

 かくなる上は!

「さっ!休憩時間は終わりですよ!」

「あ~~!」

「ずる~い!」

 まさかこのような辱めを受ける事になるとは。

 おのれ比企谷八幡!

 今週はトレーニングのメニューをこっそり増やしてあげます!

 

「……!」

「どうしたの八幡?」

「……今、寒気が」




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