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それでは今回もよろしくお願いします。
『今度の日曜日、秋葉原に来て♪』
金曜日の夜、高坂さんから来たメールにはそう書いてあった。
え、何これ、デートのお誘い?この子俺の事、好きなの?などと、中学時代なら勘違いしていたかもしれない。そして大ダメージを受けていたかもしれない。
まあ、さすがに今ではそんなラブコメ展開がないのはわかりきっている。つまり、このメールは……
「ライブ……か?」
場所は秋葉原だし、高坂さんから個人的な誘いを受ける心当たりがない以上、そう考えるのが妥当だろう。しかし、なんて情報の少ないメールだろうか。
『何かあるのか?』
さすがに謎すぎるので、質問メールを送る。
数分後に返ってきたのは、『日曜日楽しみにしてて!』というメールだった。
「穂乃果、どうかしたのですか?」
「何でもないよ。それより海未ちゃんのその格好、すごく似合ってるよ!」
「よ、余計なことは言わなくていいのです!くっ……はやく日曜日を終えてしまいたい……」
日曜日になり、高坂さんのメールに書いてある住所まで行くと、無骨な外観のビルに辿り着いた。ここの2階らしい。途中でどんな場所か検索してもよかったが、行ってからの楽しみにしておこう、という自分らしからぬ思考が働いてしまった。
階段を上がり終えると、ファンシーな外観の扉があった。
店名からして……メイド喫茶……だよな?
千葉でも見かけた事がある。いや、むしろ客として来店までした。確か、川……何とかさんのバイト先を探してる時だったか。
不安を押し殺し、扉をゆっくりと開く。
すると、やけくそ気味の挨拶が飛んできた。
「おかえりなさいませ~!ご主人様!」
「はっ?」
「…………」
そこにはメイド服姿に笑顔のまま固まる園田海未がいた。
「穂乃果ぁ……」
園田は恨みがましい目つきで高坂さんを震え上がらせる。
「ハラショー……」
「ご、ごめんねぇ。ほら、サプライズというか……」
「このようなサプライズは欲しくありません!」
「注文したいんだが……」
「貴方はせめて私に確認しようとは思わなかったのですか!?」
「アイスコーヒーで」
「無視しましたね!?」
園田はそう言うが、俺に非はないのでどうしようもないのと、何故かあまり園田の方を見れていない。さっきから、戸塚の姿を思い浮かべ、自我を保とうとしていた。
「ハラショー……」
何故彼女達がメイド服を着用しているかというと、新曲のコンセプトに関わる重要なミッションらしい。敢えて聞くまい。
「…………」
「な、何ですか?」
「……いや、何でもない」
目を馴らすまでには、しばらく時間がかかりそうだ。
「ハラショー……」
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