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それでは今回もよろしくお願いします。
結局、デート擬きは中止となり、しばらく3人で話し込んでから、秋葉原に戻り、解散する事になった。
帰り際、園田が小声で謝ってきた時の表情がやけに印象的で、帰りの電車の中も、食事中や入浴中でも、頭に貼りついたままだった。
そう、その表情は残念そうに見えたのだ。
人間観察が特技の自分が自信を持てるくらいに。
あんな表情をされたら、淡い期待のようなものに胸が高鳴り、あり得ない幻想の中に身を委ねてしまいそうだった。
いかん。らしくない事になりそうだ。
さっさと寝てしまおうと思い、目を閉じると、スマホから呼び出し音が鳴り響く。
画面の確認をする必要を、何故か感じなかった。
「どした?」
「あ、いえ、今日の事です」
やはり園田だった。少し遠慮がちな声音だ。
「ああ、まだ途中とか言ってたな」
「それもあるのですが……」
「…………」
「…………」
「どうかしたのか?」
「今日は……ありがとうございます」
「……べ、別に大した事してない」
「ふふっ。そうかもしれません」
「そこは否定しないのかよ……」
「でも、貴方だから頼めました」
「……そっか」
「はっ!べ、別にそういう意味ではないですからね!」
「わかってるっての」
「そ、そういえば貴方は穂乃果にやけにデレデレしていましたね」
「いや、してないから」
「そうですか?初対面の割にはやけに楽しそうに会話をしていましたが」
「会話っつーか、あれは殆ど質問に答えてただけだろ」
「それもそうですね。貴方が初対面の女性と上手く会話などできるはずがありませんね」
「反論したいところだが、事実だから言い返せねぇ」
「いえ、ごめんなさい。ただ、もしかしたら穂乃果みたいな女性が好みかと……」
「いきなり何だよ。それに俺が好きなスクールアイドルは優木あんじゅって言っただろうが」
「……そういえば言っていましたね。ちなみにどんなところが好みなのですか?」
「何で、んなこと言わなきゃいけないんだよ……」
「さ、参考です!貴方の一言が今後のスクールアイドル界を左右します!」
「え?そんな重要な話題なのか?」
「当たり前です!さあ、答えなさい!」
「…………あー、その、あれだ」
「…………」
「スタイルよくて優しそう……」
「…………は?」
「まあ、あれだ。男の妄想が具現化した存在みたいだしな」
「貴方は最低です」
「理不尽すぎる……お前が言えって言ったんだろ」
「まさか、下心一色の理由とは思わなかったからです!」
「ふざけんな。馬鹿言うな。そんなんじゃねーよ。なんつーか、人柄だよ」
「ほう……貴方は会ったこともない方の人柄までわかるのですね」
「あ、当たり前だろうが。人間観察が特技のぼっちなめんな……」
「ふぅ……私だってその内、きっと大きく……」
「どうした?」
「いえ、何でもありません。やはり貴方は破廉恥だというだけです」
「お前は古手川さんかよ……まあ、でも……」
「?」
「ああ、なんつーか……μ'sの歌詞は……結構好きだ。元気がでるというか……やっぱお前、すげーな」
「……そう、ですか」
「あ、ああ……」
「ハ、ハラショー……」
「……は?」
「い、いきなり、歌詞を褒めるなんて……イミワカリマセン!」
「園田……ど、どうした」
「ど、どうでもいいのです!いえ、いいんですにゃ!そ、それより貴方は明日からも早寝早起きを心がけなさい!ファ、ファイトですよ!」
園田らしからね言葉と共に、通話は一方的に途切れた。
「……何だったんだ?」
「あ、あの男は卑怯すぎます!」
翌朝、私は寝坊してしまいました。
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