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それでは今回もよろしくお願いします。
「やっぱり海未ちゃんだ!」
「ど、どなたでしょうか?」
「いきなり、他人のフリ!?」
「私は海未ではありません。私の名前は……河です」
「誤魔化し方が雑すぎるよ!それと……」
高坂さんの目がこちらに向く。希望的観測とかではなく、その瞳には、悪意や疑惑などはなく、純粋な興味が宿っていた。
彼女は海未に向き直り、躊躇いがちに尋ねる。
「も、もしかして……海未ちゃんの……」
それを言わせんとばかりに、園田は勢いよく口を開く。
「付き人です!」
「おい」
「そうなの!?」
何故か信じてしまう高坂さん。まじか。
「ええ。穂乃果にはマネージャーという言い方の方がわかりやすいでしょうか」
「マ、マネージャー……なんかすごいね!」
「いや、違うっての」
「じゃあ、君は海未ちゃんの……」
「し、知り合いです!ただの!」
「でも、さっき『あ~ん』ってしてたような……」
「あれは……それより、穂乃果はどうしてここに!?」
「何となく散歩してたら、いつの間にかここに着いちゃって……」
「「…………」」
俺と園田は、高坂さんの言葉に何ともいえない表情になり、目を見合わせた。この子……由比ヶ浜クラスのアホの子じゃないだろうか。
「じゃ、私も一緒にお茶していいかな!?」
「え、ええ……もちろん」
「君も大丈夫?」
「あ、ああ……大丈夫だ」
すると、彼女の目がテーブルの上にあるものに向けられる。
「あれ?これってカップル専用のメニューだよね?やっぱり二人は……」
「いえ、これは私が飲みたいから頼んだのです!ええ、そうですとも!その為に二人で来たのです!ああ、喉が渇きました!」
畳みかけるようにいうと、園田は半分以上残っていたトロピカルジュースをストローで一気に飲み干してしまった。
その様子を、俺は残念なものを見るように、高坂さんはただただ不思議そうに見ていた。
「比企谷八幡君、だね。私、高坂穂乃果!よろしくね!」
「あ、ああ……」
「穂乃果、行儀が悪いですよ」
こちらに身を乗り出す高坂さんを窘める園田は、まるで姉のような立ち振る舞いで、高坂は笑顔でそれに従う。いや、ペットと主人……はさすがに失礼か。
お互いに自己紹介を済ませ、何とかあらぬ誤解を取り除くことができた。それからは、それぞれの学校の話をした。まあ、こちらが話せることは殆どないのだが。
「ねえ、比企谷君!今度ライブに来てよ!」
「お、おう、気が向けば……な」
「じゃあ、私とも連絡先交換しようよ!」
「あ、ああ……」
「むっ……」
連絡先交換している間、園田から刺すような視線が注がれている気がした。
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