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それでは今回もよろしくお願いします。
「ねえー、はち……比企谷くーん。とってー」
「うわぁ……」
「な、なんて顔をしているのですか!そんな気味悪そうに!」
「いや、実際気味悪すぎるぞ……」
「ど、どこがですか!?」
「色々と」
「曖昧すぎます!」
いや、だって……ねえ?
「どうしたんだよ、その棒読みキャラ。もう、キャラ変更は無理だぞ。ポンコツは絵里さんで間に合ってる」
「何を言っているのですか?絵里がどうかしましたか?」
「いや、こっちの話だ……それより、そのメモは何なんだ?」
「私の台詞です」
「…………」
「あらゆる場面において、私が言うべき、か、彼女としての台詞をまとめています」
こいつ……まじか……。てか、何照れてんだ。そんな表情されると、こっちにも動揺が移るんですけど。
「なあ、その……普通でいいんじゃないか?」
「認められないわ!」
「いや、せめて最低限のキャラは保てよ。だから、普通で……」
「拒否する!」
「またわかりにくいボケを……」
真似事とはいえ、お互いに初デートである。少しぐらいの混乱はつきものだろう。……そういう事にしておこう。
そんなわけで俺達は、クレーンゲーム機の前で、しばらく不毛なやり取りを続けた。
「ふぅ……私としたことが……つい、混乱してしまいました」
「まあ、仕方ねーよ。つーか、そろそろやろうぜ」
「ええ、そうですね。では……」
「メモは見るのかよ」
「もちろんです。せっかくまとめたのですから」
園田はお金を機械に入れ、こちらに目で合図を送る。お前がやれ、という事だろう。自分できちんと金を出すあたりが、律儀な奴だと思わされる。
その律儀さに応えてやりたいとは思うものの、クマのぬいぐるみは、クレーンからぽとりと落ちてしまう。
「くっ……」
「むぅ、意外と難しいものですね」
「そりゃあな」
「はっ……もー、比企谷くーん。しっかりしてよー。わ、私の為に、あの、ク、クマさんとってよー」
「…………」
やっぱりやりづらい。つーか、棒読みが不気味すぎて、可愛くもなんともない。なんだ、この残念美少女。
この後、計5回チャレンジしたが、結局取れなかった。
次は何のゲームをするのか、聞こうと園田に目を向けると、彼女は立ち止まり、何かを見ていた。
すると、そこはプリクラの機械がズラリと並んでいた。男子のみの利用は出来ないコーナーだ。
「「…………」」
俺と園田はそんなプリクラのコーナーを……
「次はなんだ?」
「次はあれですね」
スルーした。
「シューティングゲームか……」
「ええ。盛り上がると聞きました」
「…………」
「どうかしましたか?」
「いや、お前の事だから、弓なんか持ち出すんじゃないかと思ってな……」
「貴方は馬鹿なんですか?そんな女子高生はいません」
「ぐ……」
正論すぎて言い返せない。
先程は園田がお金を出したので、今度は俺が二人分の料金を投入する。
最初の導入部分の映像をスキップすると、早速ゾンビが出現した。
「わー、ゾンビだー。こわーい」
「…………」
「えーい。ラブアローシュート!バァン!」
「は?」
「こ、これも台詞の一つです!」
「最近の女子にはそんなのが流行ってんのか……」
「そ、そんなのとはなんですか!」
「いや、ラブアローシュートって……あれ?この前総武高校で……」
「忘れなさい!あ、ゾンビが来ました!」
意外と園田のセンスがよく、第3ステージまで進むことができた。
次は何をするのかと園田に確認しようとすると、彼女はチラチラとあるコーナーを見ていた。
その視線の先には、やはり先程と同じようにプリクラのコーナーがある。
「「…………」」
そこで、俺達はプリクラの機械を……
「お、おい、あそこにリズムゲームあるぞ」
「そうですね!行きましょう!」
再び通りすぎた。
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