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それでは今回もよろしくお願いします。
予想だにしなかった申し出に反応し、高鳴る胸。
まさか、こいつからこんな事を言われるとは思わなかった。こういう時には、野暮かもしれないが、一応聞いておいた方がいいのだろうか。
俺は深呼吸し、自然と心から出た言葉を園田に向けた。
「お前……俺の事、好きなの?」
「なっ!?」
一瞬で怒りの表情に豹変した園田は、テーブルに手をつき、ガタッと音をたて、立ち上がる。
「あ、あなたは何を……!そんな事あるわけないじゃないですか!この破廉恥!」
「おいおい、破廉恥そのもの扱いかよ……」
いや、わかってましたけどね。妙な縁でこいつと一緒にいる機会が多いが、基本的に好感度が上がるイベントが起こっていない。今、こうやって休日を共に過ごしているのが不思議なくらいだ。
まあ、今は怒られているわけだが……
「あなたは出会った時から破廉恥です!そもそもデリカシーというものが……」
「お、おい、園田」
「何ですか!」
「あの~……」
「「…………」」
さっきの店員さんが、困ったような笑顔を浮かべ、立っていた。
店員さんに謝り、一呼吸おく。周りにあまり人がいなかったのが幸いだ。
「それで……お前……」
「次はすり潰しますよ」
「怖いっての……でも、お前……デートって……」
「そ、そのようなふしだらな真似はしません!」
「いや、さっき……」
「だからこれは……取材です!」
「……取材?」
「実は……」
園田が言うには、μ'sの作詞担当として、恋愛の歌を書くためにデートを体験してみたいらしい。
「なるほど……しかし、俺もデートとかした事ねーぞ」
「…………」
「おい、目を逸らすな。気まずそうにするな」
「おほほほ。比企谷君にもその内良いことありますよ?」
「何だよ、その笑い方。最後、疑問符ついてるし、フォローになってねぇ……」
「と、とりあえず!今日は私に付き合ってください!」
「拒否権は……なさそうだな。つっても何でわざわざ秋葉原から離れたんだ?」
「ほ、穂乃果達に見られたら、何と言えばいいのか」
「ああ……」
短い付き合いながらわかるのは、こいつの事だから、テンパっておかしな事になりそうだ。そして、間違いなく俺にも被害がくる。
「もちろん勝手なお願いとは承知していますので、お礼はさせていただきます。なので……」
園田は普段は絶対に見せないようなしおらしい態度でこちらを窺う。不安げに揺れる瞳は意外なくらい可愛らしいので、つい目を逸らしてしまった。
「お願い……できますか」
「……わかったよ。やればいいんだろ」
「ありがとうございます!」
「でも、どこに行くんだ?俺はあんまデートスポットとか知らないけど」
本当は全く知らない。
「その辺りは抜かりありません。事前にリサーチしてきましたので」
「リサーチ?マジか」
「ええ。このプランに沿って歩けば、完璧なデート間違いなしです!」
「おお……」
園田のドヤ顔に、少し引いてしまう。なんか無駄に自信があるな。原稿を持ってきた材木座よりドヤ顔してんだけど。
「さあ、行きましょうか」
「わ、わかった」
俺は腹をくくり、園田の後をついて行った。
「まずはここです!!」
「お、おお!」
園田と最初に訪れたのは…………
「ゲ、ゲームセンター?」
これなら秋葉原でもよかったんじゃないだろうか。ゲームセンター内に入りながら考えていると、いきなり何かが腕に絡まってきた。
よく見ると……園田の腕だ。彼女は顔を真っ赤にしながら、何かメモみたいなものを読んでいる。
「お、おい……」
「ね、ねえー、比企谷くーん。あれとってー」
…………ひとまずリアクションが取りづらい。
読んでくれた方々、ありがとうございます!