捻くれた少年と真っ直ぐな少女   作:ローリング・ビートル

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第14話

 

「比企谷君」

「な、何でしょうか……」

「何をそんなに怖がっているのですか?」

「いや、いきなりなもんでつい……」

 今週は園田家の道場にて筋トレに付き合わされていた。もちろん、甘い空気など欠片もない。いや、最初から期待してないけどね。

 考えている内に、園田が何やら話し始めていた。

「……付き合っていただけませんか?」

「ああ、ちょっと一瞬ときめきかけましたけど、冷静に考えたらもう少し穏やかな女性の方がいいです。ごめんなさい」

「いきなり何の話ですか!?何故私はふられているのですか!?」

「え?てっきり告白されているのかと思ったんだが」

「殺して解して並べて揃えて晒しますよ」

「ごめんなさい」

 素直に謝っておく。少しふざけすぎたようだ。このままではひき肉にされかねない。そのくらいの殺気をこの女は放っている。くわばらくわばら。

「それで、何に付き合えばいいんだよ」

 まあ、普通に考えてこっちだろう。ギャルゲーに置き換えても、こいつからの好感度がそんなに溜まっているとは思えない。

 園田は普段と違い、俯きがちにもじもじしながら言う。

「その……少し買い物に付き合っていただきたいのですが」

「……わかった」

「意外ですね。急なので嫌な顔をされるかと思いました」

「買い物ぐらいなら別に嫌じゃねえよ。トレーニングと違って楽だし。ただ、奢るのは無理だからな」

「そこまで図々しくはありませんよ。むしろ付き合ってくれたら、御礼にMAXコーヒーくらい奢ります」

「それだけかよ……いや、好きだからいいんだけどさ」

「小町さんが言ってましたよ。貴方はMAXコーヒーさえあげれば大抵の頼みは聞いてくれると」

 あのガキ、何を吹き込んでいやがる。

「どんだけ便利な奴なんだよ……それよか、行くならさっさと行こうぜ」

「そうですね、じゃあ……」

「シャワー先に浴びてこいよ。用意もそっちの方が時間かかるだろうし」

「すいません。では、お先に……」

 園田は駆け足で道場を出て行った。好きな物を買いに行くのだろうか、やけに後ろ姿が弾んで見えた。

 ……今さっき俺、すごい事言った気がする。

 

 用意を手早く済ませた俺達は幡ヶ谷まで来ていた。

 いや、今回は何もなかったよ?園田が呼びに来るまで絶対に道場から出ないって決めてたからな。それよりも……

「わざわざここまで何を買いに来たんだ?」

「ひ、秘密です」

「別にすぐにわかるだろ」

「秘密は秘密です!」

「へいへい」

 こんな感じで、さっきから目的がわからない。俺、このまま変な場所に連れて行かれて、消されたりしないよね?

 どうでもいいような不安にびくついていると、園田が急に立ち止まった。

「え~と、その……こ、こっちへ!」

 彼女が指し示した先には、ファーストフードのチェーン店があった。

 

 





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