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それでは今回もよろしくお願いします。
「比企谷君」
「な、何でしょうか……」
「何をそんなに怖がっているのですか?」
「いや、いきなりなもんでつい……」
今週は園田家の道場にて筋トレに付き合わされていた。もちろん、甘い空気など欠片もない。いや、最初から期待してないけどね。
考えている内に、園田が何やら話し始めていた。
「……付き合っていただけませんか?」
「ああ、ちょっと一瞬ときめきかけましたけど、冷静に考えたらもう少し穏やかな女性の方がいいです。ごめんなさい」
「いきなり何の話ですか!?何故私はふられているのですか!?」
「え?てっきり告白されているのかと思ったんだが」
「殺して解して並べて揃えて晒しますよ」
「ごめんなさい」
素直に謝っておく。少しふざけすぎたようだ。このままではひき肉にされかねない。そのくらいの殺気をこの女は放っている。くわばらくわばら。
「それで、何に付き合えばいいんだよ」
まあ、普通に考えてこっちだろう。ギャルゲーに置き換えても、こいつからの好感度がそんなに溜まっているとは思えない。
園田は普段と違い、俯きがちにもじもじしながら言う。
「その……少し買い物に付き合っていただきたいのですが」
「……わかった」
「意外ですね。急なので嫌な顔をされるかと思いました」
「買い物ぐらいなら別に嫌じゃねえよ。トレーニングと違って楽だし。ただ、奢るのは無理だからな」
「そこまで図々しくはありませんよ。むしろ付き合ってくれたら、御礼にMAXコーヒーくらい奢ります」
「それだけかよ……いや、好きだからいいんだけどさ」
「小町さんが言ってましたよ。貴方はMAXコーヒーさえあげれば大抵の頼みは聞いてくれると」
あのガキ、何を吹き込んでいやがる。
「どんだけ便利な奴なんだよ……それよか、行くならさっさと行こうぜ」
「そうですね、じゃあ……」
「シャワー先に浴びてこいよ。用意もそっちの方が時間かかるだろうし」
「すいません。では、お先に……」
園田は駆け足で道場を出て行った。好きな物を買いに行くのだろうか、やけに後ろ姿が弾んで見えた。
……今さっき俺、すごい事言った気がする。
用意を手早く済ませた俺達は幡ヶ谷まで来ていた。
いや、今回は何もなかったよ?園田が呼びに来るまで絶対に道場から出ないって決めてたからな。それよりも……
「わざわざここまで何を買いに来たんだ?」
「ひ、秘密です」
「別にすぐにわかるだろ」
「秘密は秘密です!」
「へいへい」
こんな感じで、さっきから目的がわからない。俺、このまま変な場所に連れて行かれて、消されたりしないよね?
どうでもいいような不安にびくついていると、園田が急に立ち止まった。
「え~と、その……こ、こっちへ!」
彼女が指し示した先には、ファーストフードのチェーン店があった。
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