捻くれた少年と真っ直ぐな少女   作:ローリング・ビートル

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後日談 その一

 大学生活が始まり早二年。私と八幡は大学は別々ですが、彼が進学と共に東京に引っ越してきた事もあり、順調に交際を深めています。とはいえ、まだ学生の身分ですので、節度ある清らかな交際を心がけています。彼は私の家の近くのアパートに住んでいますが、彼の部屋に泊まるのはできるだけ控え、せいぜい毎晩御飯を作り、週3で泊まるくらいです。

 このように私達はまだ学生の身ですので、節度を持ったお付き合いを心がけています。

 

「ねえ、海未ちゃん」

「どうしたのですか、穂乃果?」

「海未ちゃんってさ、最近……エッチぃよね」

「っ!?」

 

 穂乃果のいきなり過ぎる一言に、危うく水を吹き出すところでした。危ない危ない。いえ、それより……

 

「……今、何と……?」

「海未ちゃんってさ、最近……エッチぃよね」

「な、何を言っているのですか、貴方は!?」

「だってさ、この前学校で言われたんだよ?「あの綺麗な人妻っぽい人、高坂さんの知り合い?」とか「あの色っぽい人紹介して」とか」

「後者の不埒者はすぐに私の前に連れてきなさい。きつめの折檻を加えてあげます」

 

 まったく……これだから男の人は。

 しかし、色っぽいですか……私がそのような評価を得るとは……確かに胸は少し成長しましたが……。

 そ、それもこれも八幡が悪いのです!もう……

 色んな事を思い出し、頬が熱くなるのを感じる。

 

「海未ちゃん。どうしたの?いきなりニヤニヤして……」

「いえ、何でもありません。とにかく、私は普通なのです」

「今のは普通に怖かったような……」

「あっ、そろそろ時間ですね。じゃあ私は八幡と約束がありますので」

「あっ、うん。またね!」

「はい、それでは」

「……仲良いなぁ。皆言ってたけど、本当に学生結婚しちゃったりして」

 

 *******

 

「八幡!」

 

 顔を上げると、海未が長い髪を靡かせ、こちらに駆け寄ってきていた。

 

「……おう」

 

 軽く手を挙げて挨拶すると、彼女は慣れた動作で腕を絡めてきた。

 肘のあたりに柔らかな感触がぶつかるのが、未だに慣れないのはナイショの話である。

 

「……八幡、何を考えてるかわかりますよ。破廉恥です」

「いや、君のせいだからね?すっかり破廉恥になったそっちが悪い」

「だ、誰が破廉恥ですか!失礼ですね!」

 

 なんて言いつつ、体は押しつけてくるのだから困る。嬉しいけど。

 

「……まあ、今日も一緒にいれて嬉しいとは思ってるよ」

「そうですか。それはもちろん私もです」

 

 恥ずかしげもなくこういう事を言えるようになったのも、いい意味で毒されてきたということだろうか。

 ……今さらながら、こういう感じになったのはどっちからなんだっけ?

 そんなことを考えていると、海未がさりげなく体を離した。

 

「……どした?」

「いえ、向こうに後輩らしき人物がいたので」

「ああ、そういうことか」

 

 海未は後輩の前では清楚な大和撫子で通っているらしい。まあ、今さらそんな仮面を被らなくてもいいとは思うが。

 

「八幡!どういうことですか!?私は清楚ですよ!」

「お、おう……」

 

 私は清楚ですよ!なんてアピール初めて聞いたわ。

 

「そういや、今日はお前んちで何するんだ?」

「実は今日、遠方から親戚が来るので、その……貴方を紹介したくて。未来の夫として」

「…………は?」

 

 もじもじと頬を染める彼女に、俺はただただ呆気にとられていた。


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