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それでは今回もよろしくお願いします。
ライブ当日。
全国のスクールアイドル達が秋葉原の街に集結するイベントだけあって、どこもかしこも人で溢れていた。まあ、この街は年中賑わってる気がするが……。
「八幡、μ'sの皆とは連絡はついたの?」
「ああ、もうじき開演だと……そういや、お前は準備しなくていいのか?」
「僕……男の子なんだけど……」
何だ。戸塚も歌って踊るのかと思っちゃったよ。でも、想像するだけなら自由だよね!
そんなやり取りをしている内に、開演の合図らしきサイレンの音が鳴り響く。いつの間にか、上空を『Love Live!』と書かれた飛行船が飛んでいた。観客達も変わり始めた空気に歓声を上げる。
すると、スクールアイドルが整列し、即席の花道を作り上げた。
そして……
『μ's……ミュージック、スタート!!!』
九つの声が高らかに重なり、彼女達の最後のライブが幕を開けた。
*******
まだ3月末だというのに、秋葉原の街は真夏のような熱気に包まれていた。
彼女達のパフォーマンスに観客が声援を送り、彼女達もまたさらに躍動感溢れるパフォーマンスで魅せる。
そんな凄まじいエネルギーの交換が行われていた。
A-RISEやヒフミトリオやμ'sメンバーの妹も笑顔で踊っている。
俺は、その祭りの中心点にいるμ'sの……海未の姿を見つめ、大きく息を吸った。表情がぎりぎりわかるくらいの距離だが、何とかなるだろう。
柄でもないし、目立つのは嫌いだし、感情を表に出すのは苦手だが……
「海未ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!」
全力で叫ぶ。
隣にいる戸塚が肩を跳ねて驚くくらいに。
見知らぬスクールアイドルの視線がこちらに向くくらいに。
彼女の耳に届くくらいに。
心が震えるくらいに。
「……ふふっ」
海未の口元が綻ぶ。スクールアイドルとしての笑顔ではなく、ただの園田海未として。
それは一瞬のことではあるが、この瞬間を忘れることは一生ない気がした。
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「もう……驚いてダンスが乱れるところでした」
「悪い……」
祭りの後の街の片隅、人目を憚るように建物の陰で会話をする二人。まあ、実際のところは俺が叱られているだけだが。いつものやり取りである。出会った時から叱られている。
出会った時と違うのは、最後にやわらかく微笑むところだ。そして、この瞬間は結構好きだ。
「でも……ありがとうございます。約束通り、ちゃんと見てくれましたね」
「ああ、まあな」
どちらからともなく拳を突き合わせる。
まだ彼女はスクールアイドルだから。
「では、また後で」
「おう」
仲間の元へ駆けていく彼女の背中。
俺はその背中に小さく「お疲れ」と呟いた。
次回で最終回です!
読んでくれた方々、ありがとうございます。