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それでは今回もよろしくお願いします。
しっかりと海未を抱きしめ、頭を撫でてやると、彼女の身体から無駄な力が抜けていくのがわかった。
「その……驚かせて悪い」
「まったくです。喜びが倍増してしまうではありませんか」
「……それはいいことじゃないか?」
「ええ!いいことです!八幡にとってはどうですか?」
「……言うまでもない」
「…………」
「む、無言で抱きつく力を強くするのは止めてね。締め落とされると勘違いしちゃうから。あと、俺にとっても、すごくいいことだよ」
「ふふっ、同じ気持ちで嬉しいです♪」
「ああ、そりゃよかった」
海未はプレゼントの入った小さな箱を、大事そうに胸に抱きしめた。その表情がクリスマスプレゼントをもらった小さな子供みたいで、つい頬が緩んでしまう。
「早く中が見たいのですが……やっぱりダメですか?」
プレゼントの箱で口元を隠し、可愛らしい上目遣いを向けて来られると、NOとは言えない。
「別に、いい」
「そ、それでは……」
白く細い指が、丁寧にプレゼントの包装を解いていく。いかん、緊張してきた。ちなみに『何でも言うこと聞く券』じゃないよ!
「これは……」
箱の中から姿を見せたのは、シンプルなシルバーリング。
色々と考えた結果、身に着けてもらえるものがいいという結論になり、指輪を渡すことにした。正直、自分のセンスのみを頼るのはかなり不安であったが、それでも自分一人で考えたかった。
海未はプレゼントを見つめて……あれ、泣いてる?
彼女はぽろぽろと大粒の涙を流し始めた。ちなみに俺はオロオロしている。
「うっ……は、八幡……」
「ど、どうした?もしかして、嫌だったか?」
どう声をかけていいかわからず、しどろもどろになっていると、海未はいきなり三つ指をついて、深々と頭を下げた。
「ふつつか者ではありますが、末永くよろしくお願いします」
「……あ、ああ、こちらこそ」
あれ?今のプロポーズ扱いになってる?
いや、前にも言ったんだが、この雰囲気は……
「あなた達、そろそろいいかしら?」
「「!」」
今、ここが園田家だということを忘れていた。
「すいません、私としたことが感極まってしまって……」
「……喜んでくれたならいい」
夕食を御馳走になり、今日は泊まっていけという海未の父親からのありがたい言葉を頂き、現在海未の部屋で寛いでいる。勿論、寝室は別々だが。
「その……今日は来てくれてありがとうございます」
「……来たいから来ただけだ」
「ふふっ、では八幡……」
「?」
「今から……デートしませんか?」
読んでくれた方々、ありがとうございます!
皆さん、良いお年を!