今回の『おやすみ』は前代未聞、まさかのサイバー攻撃による放送中止……
これはプリキュアファンのみならず、アニメファンに対する宣戦布告と受け取りました!!
実は今回の投稿に先立ち、とある方から檄文とも取れるSSをメッセージにて受け取りまして、それに刺激を受けてこんなのを書いてみました。
……本当はオールスターメモリーズの初回、即ち3月の20日に投稿しようと思ってたんですが凝りに凝ってしまった結果今日この時の投稿となった次第でして……
インプリ本編が更新停止中なことへのお詫びも兼ねて、スペシャルなプレゼントもご用意しておりますので、どうぞ最後までお楽しみください!
それでは、送信!!
おはこんばんちわです!
読者さんによってはすっっっごくお久しぶりの主人公・東堂りんくです!
その……まずはこの場を借りてお詫びを。
『ロックマンの世界』に続いて『ウマ娘の世界』が『見え』てしまって、その世界の『観測』を始めてしまったばっかりに、この『インストール@プリキュア!』の更新が1年もほったらかしになってしまってごめんなさい!
『エグゼイド編』がクライマックスなのに、中途半端になっちゃってますけど、いつか必ず再開します!今回はそのお詫び代わりの投稿にもなりますので、よろしければどうぞ最後まで楽しんでください!
…………あ゛~~……腰痛い。持病の腰痛がぁぁ……コレも整形外科の待合室で書いたんだよなぁ……
……って、作者さんが。……最後のは完全にグチみたいだけどスミマセン……
え~、ごほん!さてみなさん、今までこの『こんニチ』で採り上げてきたプリキュアの本放送が"おやすみ"になった理由ですが……
マラソン、ゴルフ、甲子園、年末年始、でもってコロナと採り上げてきたけど……
「不正アクセスですと~~~!?!?」
まさか……プリキュアをはじめとしたアニメの総本山(りんくさんの主観です)たる『東アニ』様がサイバー攻撃を受けて『デパプリ』が放送延期~~!?
こ、こんな"おやすみ"、前代未聞!驚天動地!!焼肉定食~~~!!!(イミフ
《今週からは『オールスターメモリーズ』を3週に分けて放送するって》
それマ?メモリアさん。
つまりソレって、先週の『おさらいセレクション』も含めて、デパプリの本放送が4週間、まるまるひと月分吹っ飛ぶってことぢゃないですか。
お……おのれ……
「……おのれディケ……もといハッカァァァァァァ!!貴様のせいでデパプリの世界(?)が破壊されてしまったァァァァァ!!!!(血涙)」
《り、りんく!?》
「……我々はいつになったらキュアヤムヤムに会えるんだーーーーー!!!ちくせう……ちくせう……」
なんかほくとくんが好きそうなキャラになっちゃってサーセンです。
あ、でもオールスターメモリーズが地上波放送されるってことは、地上波でもあの感動が味わえて、見たことないヒトも見てくれてまたファンが増えるってコトで布教的にはウハウハですねぇ。じゅるり。
「それにしても、不正アクセスかぁ……最低1ヶ月も本放送が延期されちゃうってコトは、よっぽどのコトをされたのかな……」
《『ふせーアクセス』って、前にあたしとデータが『どくたーさん』のところにピースを助けに行くためにやった……アレ?》
「う~ん……そればっかりは実際に見たわけじゃないからわかんないけど……多分、アレよ。バグッチャーを潜り込ませて、サーバーのデータを抜き取ったり壊したりとか、的なことをやられたんじゃないかなぁ……まぁふつーのハッカーはバグッチャーなんて持ってないかもだけど」
《!も、もしかして、『でぱぷり』が見れなくなったのって、ジャークウェブのしわざ!?》
「いやいやまさかまさか……いくらなんでも『現実とリンクしてるメタフィクション小説』のこの『インプリ』だからって、まさかそんな……」
《???めたふぃくしょん??》
《メモリア!りんく!事件だ!!》
いきなり、データの声がコミューンから響きわたる。
《バグッチャーが街で暴れてる!すぐに来てくれ!》
私とメモリアはぎょっとして顔を合わせる。
ま、まさか……
――――――――――
私がたどり着いた東栄市の中心市街地には、デカデカとしたバグッチャーの巨体が我が物顔で鎮座していた。
そして、そのバグッチャーの頭の上には、キントレスキーとガメッツを合わせたようなヤツが立っていた。
『フハハハハハ!!久しいな、サーバー王国の残党と人間の子供!!貴様たちも変わらぬようで何よりだ!』
「!?あなたは!?」
……………………………………
…………………………
……………………
…………
……
「…………………え~っと……………どちら様でしたっけ?」
『ガクッ……ぬぅ……だが確かに忘れ去られていても仕方あるまい……現実時間で4年3ヶ月ぶりに帰ってきたジャークウェブ四天衆が一人!アラシーザーだッ!!*1』
「あぁそーいえばそんなのいたっけ」
《懐かしさすら感じるねぇ》
『そんなのとは何だそんなのとは!!(怒)それにキュアメモリア!貴様まで忘れるとは嘆かわしいな……くくく、まぁいい。今回はこの俺の復帰作戦第一號として、この『収集型バグッチャー』のテストを行わせてもらったが首尾が上々でな!!』
「どういうこと……!?」
その時、全体像が横を向いていたそのバグッチャーがどかどかとこちらに向き直った―――――
「…………ゑ゛……!?」
思わず目を疑った。アラシーザーが『収集型』と銘打ったそのバグッチャーは、全体が三角形のガタイで、顔の下の三角形の頂点には縦書きでデカデカと『東〇』の二文字。明らかに、見覚えのあるソレだった。
「……そ、その見た目は……!!」
いつの間にか横にいたほくとくんが瞠目している。
《なんっつーか……ゼンリョクゼンカイキャノンをブチ込んだらスッゲェ絵になりそうなヤツだな……》
データの呆れるような声も聞こえる。……ゼンリョクゼンカイ?何だソレ。
『ククク、気づいたようだな。その通り!!このバグッチャーには、『東アニ』から掠め盗った『デリシャスパーティ❤️プリキュア』の放送に不可欠な重要データが収められているのだ!!』
……(; ゚Д゚)
マ?それマ?マジでマジでマ??
『このデータさえあれば、『デリシャスパーティ❤️プリキュア』は未来永劫放送されず、プリキュアの歴史は此処に潰える事となるのだ!フハハハハハ!!!!』
「……………………」
……………………………………
…………………………
……………………
…………
……
「きゅっ……?(OxO;)」
ほくとくんが珍妙な表情でこれまた珍妙な鳴き声を発した。
《ほらりんく!やっぱりあたしの言ったとーりだったじゃん!》
《例のニュースは知ってはいたが……まさかマジでジャークウェブの仕業だったとはな……》
「ど、どういうこと?データ?」
《のんが言ってたろ?『プリキュアがいきなり再放送になった』ってヤツ。アレ、コイツの仕業。りんくがブチギレっのも当然だな。ほくとも考えてみろよ、『リバイスやドンブラがジャークウェブの不正アクセスのせいで放送できなくなった』って思えば……どうよ?》
「!!おのれジャークウェブ!!ゆ゛る゛さ゛ん゛っ゛!゛!゛」
ほくとくんも私の怒りをわかってくれたようだ。
自然災害とかウイルスとか、そーいった事情なら仕方がない。でもサイバー攻撃!コレだけは許せない!『サイバー系プリキュア』として、サイバー犯罪許すまじ!!
「今回のあなたの行為は、全世界のプリヲタ100億万人への宣戦布告!!よって誇りあるプリキュアヲタクの代表たるこの私!東堂りんくの名において、そのバグッチャーに勝つ!勝って『プリキュアを取り戻す』!!行くよ、みんな!!」
「うん……!」
《がってーん!!》
《沸いてきたぜ……久々にな!!》
《《START UP! MATRIX INSTALL!!!》》
「「プリキュア!マトリクスインストーーール!!」」
《CURE-MEMORIA! INSTALL TO LINK!!》
《CURE-DATA! INSTALL TO HOKUTO!!》
《INSTALL COMPLETE!!!》
なんか久し振りに変身した気がするのは気のせい……なのかな??
とにかくっ!
『今日の私はアルティメット爆おこクライマックス!!デパプリを待ってる子供たちのためにも、そのバグッチャーだけは逃がさない!全宇宙1兆億万人のプリキュアファンの愛と怒りと哀しみをその身に受けなさぁぁぁぁぁい!!!』
脚本家志望のくせに語彙が崩壊するほど完全に頭にキてたのがマズかった。この時、バグッチャーが両手を『パン!』と合わせる攻撃の合図が目に入っていなかった。
ジャンプで飛びかかった私とデーティアの両側面から、
―――――びたぁぁぁぁぁんん!!!
と、青白く輝く巨大な『板』に挟まれてしまった。
『ぐ……なんだコレッ……!!??』
『この攻撃って……キュアスパイシーの『ピリッtoサンドプレス』っ……!?まさかこのバグッチャーって!?』
『明察!!『放送データ』をそのまま利用できるのだ!よってこういった攻撃も出来る!!』
『500㌔㌍パーーーーーーンチ!!!』
バグッチャーの右腕がピンク色に輝いたと思うと、強烈な鉄拳が飛んできた。
『きゃぁぁっ!?』
『くぅっ!』
『ククク、現在放送中の新鮮なデータを使ったプリキュアの攻撃の味はどうだ!?骨身に染みよう!?』
っつ~……確かにイタい。
しかもインプリ本編ならともかく、『こんニチ』にしてはガチな部類に入る攻撃じゃない……!
―――――考えてみれば、当たり前か。
この攻撃は元々、キュアプレシャスとキュアスパイシーの―――――
正真正銘、ホンモノのプリキュアの技なんだから。
―――――だから、だから、余計に。
『……許せない!』
『メモリアル……』
『災害とか、あらかじめ決められてるスポーツイベントや年末年始のスペシャル番組のためにプリキュアが放送中止になるのは仕方がないよ……!テレビ局にも事情があるし、何よりスポーツイベントやスペシャル番組を楽しみにしてるヒトもいる……災害の時に、正しい情報をいち早く伝えるのも、テレビの役割なんだから……コロナが流行った時だって、あの時は制作現場の人達もどうすればいいかわからなかっただけ……でも!!』
私はバグッチャーの巨体を睨み上げた。
『不正アクセスだけは、『誰かが意図的にやった
そう宣言すると同時に、私の胸の『イーネドライブ』が眩しい光を放った。
―――――そうだよ!不正アクセスでプリキュアが見れないなんて間違ってる!
―――――プリキュアだけじゃない!今度の『ワンピース』楽しみにしてたのに!
―――――『デジモン』の続きどーしてくれんだ!!
―――――『ダイの大冒険』、今度こそ最後までアニメ化してほしいのにこのタイミングでそれはないだろ!!
―――――『ドラゴンボール』の映画もだ!絶対許さねぇ!!
『こ、これって……!?』
『僕にも聞こえた……ファンの人たちの声が……!』
そうだ。
今回の件で悔しい思いをしてるのは、何もプリキュアファンの人たちだけじゃない。
『東アニ』のアニメーターさんたちがつくるアニメを楽しみにしていた人たちの嘆きと悲しみの声が、イーネドライブを通して伝わって、そして―――――
―――――その想いが、今、『力』になって、『カタチ』になる。
私の両手の甲から、5つの光の球体が飛び出したと思うと、私とほくとくんの手に落ちてきた。
『これは……!』
〈P51 CURE-YELL〉
〈P56 CURE-STAR〉
〈P61 CURE-GRACE〉
〈P65 CURE-SUMMER〉
〈P70 CURE-PRECIOUS〉
まだ、私達がまだ見ぬ未来で手に入れるはずの、5枚のキュアチップがそこに顕現していた……!
《『あの時』……サーバー王国に来てなかったプリキュア達のチップ……!》
《ヘッ、『先行登場』は東〇の得意ワザってか!だったら使わせてもらおうぜ、ほくと!りんく!》
データの言葉に頷いて、私とデーティアは、託されたその力をネットコミューンのスロットに挿し込んだ。
《
《CURE-STAR! INSTALL TO MEMORIAL! INSTALL COMPLETE!!》
《重なるふたつの花!キュアグレース!『ラビ!』》
《CURE-GRACE! INSTALL TO DATEAR! INSTALL COMPLETE!!》
変身、出来た!
ネットの中のファンの人たちの想いがカタチになった、超限定版、ここだけのレジェンドインストール!
案の定……というか当然というか、普通のレジェンドインストールと違って、レジェンドプリキュアたちの心はこのチップには宿っていない。『心の部屋』も、メモリアの横に増えることは無く、そのまま。あくまでも『力』だけのモノだ。
それでも、ジャークウェブからデパプリを取り戻すために、この力、使わせてもらいます!
『その姿……!貴様等、どこからそのチップを!?』
『さぁね。強いて言うなら……』
『奇跡!……わかりやすいでしょ♪』
『理解不能だぁぁぁぁ!!!』
アラシーザーの怒鳴り声と同時に、バグッチャーが両手から『△』と『〇』の形をした光線を連続発射する。私とデーティアは直線的なその攻撃を回避して、同時に駆けだした。
『跳ぶよ、メモリア!』
《おっけー!スターの得意ワザ、いっくよーー!!》
両手から、私は『☆』型のエネルギー体を繰り出すと、それを足場に思い切り蹴り跳んだ。空に撃ち出された砲弾のように、私はビルよりも高く跳ぶ。
振りかぶった私の右手に『☆』が宿り、バグッチャーの真正面を捉える。会心の感触!!
バグッチャーがワイヤーアクションのように真っ直ぐ吹っ飛ぶ様を見てから、もう一度『☆』型のエネルギーを張って、追いかけるように地面と水平に跳べば―――――
《追いつけるんだよね!》
『そーゆーこと!!』
吹っ飛んできたバグッチャーに先回りして、さらに力を溜めて―――――
『キラやば、いっぱぁぁぁぁぁつ!!』
スターパンチをアッパーで繰り出して、バグッチャーを今度は上に吹っ飛ばした。く~っ、この感触、たまんない!
『なんの!!撃ち返せバグッチャー!』
『デーーーリパーーーー!!』
空中で受け身を取ったバグッチャーが、三角形型のリング光線を撃ちかける。するとそこへ―――――
ピンク色の肉球型のバリア!これって!
『……『生命の輝き』……それがカタチになったモノ』
ヒーリングステッキを構えた、グレーススタイルのデーティアが割り込んできてた!
『好きなアニメを見たり、好きなキャラクターを応援したりすること、即ち心の癒し!心身ともに健康でなければ、元気に生きてるとは言えないんだ!!人の心から『楽しみ』を……『生きる意味』を奪うお前たちを、僕は許さない!!』
《ほくとの『命』!バッチリ見な!》
〈KAMEN RIDER JUN〉
⇒ 〈KAMEN RIDER GHOST〉
〈KAMEN RIDER SPECTER〉
《BURN THE LIFE! INHERITANCE THE SOUL!!》
『みんなのために……命、燃やすぜ!!』
グレーススタイルのデーティアは両手を広げるような独特の構えを取ったと思うと、まるで陰陽師のように印を組んだ。
デーティアの背後にピンク色の巨大な『目』のような魔法陣が浮かび上がったと思うと、そこから右脚に光が集中していく。『力』を一点に集中させたデーティアは高く跳び上がって―――――
『はぁぁぁぁぁぁぁぁっっっっ!!!!』
見事なライダーキックが、一直線にバグッチャーに突き刺さる。爆音のような重低音が響き渡って、100メートルは吹っ飛んだように見える。
『次だ、行くぞ!!』
《見せてやるぜ、14歳、真夏の全力全開!!》
『え!?チェンジ!?変身じゃないの!?』
『前に見せてもらったキュアサマー……パッと浮かんだのは、ライダーじゃなくって、『こっち』だから!』
《ときめく常夏!キュアサマー!!》
《CURE-SUMMER! INSTALL TO DATEAR! INSTALL COMPLETE!!》
をを!!デーティアがセパレートハイウェストの常夏スタイルに!!
最初の頃はほくとくん、ああいうのハズカシがってたのに、もうすっかり立派なプリキュアに―――――
『…………………………』
あ、顔がこわばってる……サマーって割と露出多いからねぇ……
《今更ハズカシがんな!固まってる場合か!?》
『……ぐ、わかってる!!だからこそ!!全力全開だぁぁぁ!!!!!』
半ばヤケクソ気味にデーティアは叫ぶと、起き上がって体勢を立て直すバグッチャーに真正面からダッシュして―――――
『おりゃぁぁぁッッ!!』
思いっきり振りかぶった右のパンチがバグッチャーの胴体に炸裂する。いつものデーティアらしいキレイなパンチじゃなくって、力のこもった、荒々しいパンチだ。
『今やりたいことを今、力の限りに、命の限りにがんばる!それが『全力全開』!その機会を奪うものを、僕たちは討つ!!』
そうだ。
テレビの前で、好きなアニメを見て、好きなキャラクターを声を上げて応援する―――――
これって、『トロピカってる』って言える。
今、はっきりわかった……!
『トロピカる=全力全開』なんだ!!
《ほくと!ぶつけろ!!》
『よぅし……!』
デーティアはハートルージュロッドを構え、その先端をバグッチャーへと向けた。
『全力……全開!!』
格闘技イベントで聞こえてきそうな超ハイテンションの女性のアナウンスがこだまして、軽快なリズムの待機音が流れ出すとともに、太陽の形をした巨大なエネルギー弾が、ロッドの先に形成された。
ロッドから放たれた太陽がバグッチャーにぶつかって、さらにその上から―――――
もう一発おまけとばかりに、バグッチャーへと太陽が沈む。爆発の向こう側に、ゆらりと起き上がろうとするバグッチャーの影。しぶとい!
『よぅし、デーティアに負けてらんないね!次はコレ!『オールスターメモリーズ』のヒロイン!輝く未来を抱きしめるよ!』
《めちょっく~~~!!!》
あはは、メモリアったらはしゃいじゃってる♪気持ちはわかるよ、だって少しの間だけだけど、まだ見ぬプリキュア達の力を借りられるんだから!
《輝く未来を……抱きしめて!!みんなを応援!元気のプリキュア、キュアエール!》
《CURE-YELL! INSTALL TO MEMORIAL! INSTALL COMPLETE!!》
これこれ!この『ぱっつんヘアー』!これがエールのトレードマーク!
前にわざとこの前髪にした時、むぎぽんやそらりんはともかくとしてクラスのみんなから『前髪切りすぎたの?』総ツッコミを受けたのが懐かしいなぁ……
『感傷に浸っている場合かぁぁ!!』
『プレーーーース!!!』
私の両側に青くて四角いエネルギーのカタマリが現れるのが見えた。瞬間、私は真上に大きく跳んだ。
『たかが日曜朝の30分、たったそれだけの時間のために何故貴様等はそこまで戦える!?寝ている輩も多いだろうに!!』
―――――ぶちっ。
《あ》
背後でびたーーーーん!!と、青いエネルギー同士がぶつかる音を後目に着地した私は、聞いてはならない単語を耳にしてしまった。
同時に、私の中で"ナニカ"が切れる音、も。
『…………今、何て言った?』
『ぬ?』
『今……『たかが日曜朝の30分』って言いました?』
『ふん、言ったがそれがどうした!?』
《あ~あ……りんくの"じらい"踏んじゃったね。あたしもう知~らないっ》
『あなたね……』
私は息をすぅっと思いっっっきり吸い込んで―――――
『その30分のアニメを作るために、どれだけの人が頑張ってるのか知らないからそんなこと言えるのよ!!いい!?どんなストーリーかを大まかに決める人、ストーリーを書く脚本家さん、小物や武器のデザインを考える人、画面割りやタイミングをコンテにして描く人、背景を描く人、キャラクターを描く人、描いた絵をつなげてアニメにする人、最後の仕上げに色を塗る人、音楽を作る人、演奏する人、録音する人、音楽を選んでどこにどう使うかを決める人、オープニングやエンディングや挿入歌を作ったり歌ったりする人、キャラクターに魂を吹き込む声優さんとその所属事務所、そしてその演技に細かく指示をする人、録音スタジオの人、CGでアニメを作る人、部署と部署の間の調整をする人、宣伝をする人、公式サイトを作る人、オモチャやグッズを作るメーカーさんの人、それを売るお店の人、コミカライズを描くマンガ家の先生、そのマンガやアニメの最新情報を載せてる雑誌の出版社の人、イベントの制作や進行をする人、それからアニメのいろんな所を取り仕切ってる監督さん、そして!そんなアニメを作る場所と機材と道具を提供してくれている制作会社さんとそのすべての社員さんと、放送してくれてるテレビ局の人たち、配信してくれてる動画配信サイトの人たち!!……30分のアニメを作るのにね、いったいどれだけの人の力と時間とお金がかかってると思ってるのよ!!!だからこそ私たちは『全力』なの!だから私たちは、一週間を楽しみにして生きていられるの!『全力』で作ってくれたアニメを、『全力』で楽しんで、応援することが、アニメを作ってくれた人たちへのサイコーの『応援』になるんだから!!作る人も、私たち見る人も、その30分に命懸けてるんだからね!!!!『たかが』なんて言うな!!人の夢を……人の全力を―――――』
『世界は『仕事』で回ってる!そりゃアニメなんて、見ないヒトは見ないから必ず必要じゃないかもだけど、それでも!"それ"に全力を傾けてる人がいる限り、やっぱり、"それ"は必要なんだよ!"それ"を嗤って、貶して、バカにするあなたたちジャークウェブは、やっぱり許しちゃおけない!!』
―――――一気にまくしたてた。
『インプリ』史上最長の長台詞、読みにくかったらゴメンナサイ……
『さぁ……行くよ!』
身体の中に、パワーがみなぎる。これがはぐプリの、『アスパワワ』の輝き!
その輝きを、取り出した『プリハート』に込める!
両手首の黄色いシュシュが、ふわりと私の両手にかぶさってポンポンに変わる。
『フレ!フレ!!』
空間に大きく描いたハートマークを、私は思い切り飛ばした。何かがはじけるような音とともに、巨大なピンク色のハートマークの形になったアスパワワの光が、バグッチャーに直撃する。けど……!
『ぬ゛ぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ!!!だがまだだ!まだ終わらぬ!!』
『ギギギギギギギギッギギ……!!ガァァァァァッッッッ!!!』
まだ耐える!!
……そりゃそうか、だってこのバグッチャーの中身は正真正銘の現役プリキュア(の放送データ)、補正がかかりまくってるに違いない。
『メモリアル……次は僕が行く』
私の横に、すっとデーティアが並び立つ。
『デーティア……』
『"応援は力"―――――僕の心にも、響いたよ。だから、僕も伝える……!本当に、大切にするべきモノを!!』
《往こうぜ……!"天の道"をさ!》
《あつあつごはんでみなぎるパワー!キュアプレシャス!》
《CURE-PRECIOUS! INSTALL TO DATEAR! INSTALL COMPLETE!!》
え!?えええ!?!?
デーティアが最初にプレシャスですか!?
しかも両足をキレイに揃えた、モデルさんのような直立姿勢!ちょっとゆいちゃんとキャラが違うよーな……
『…………………………』
その時デーティアはゆっくりと、右手の人差し指をかかげて、天を指さした。私はそれにつられるように指の先を見たけど、青空がただ広がるだけ。
『??何かあったの?UFO?』
『…………おばあちゃんが言っていた……』
お、おばあちゃん?急に何言いだすのほくとくん?
前にほくとくんの家にお邪魔した時、おじいちゃんはいたけどおばあちゃんはいなかったよーな……
『人のモノを盗む奴は、もっと大事なモノを無くす……本当に大切なモノ―――――それは『心』だ……悪事を重ねるたびに、心は闇に染まっていく……!心を蝕むお前たちを……僕は……いや、僕たちは許さない!!』
〈MASKED RIDER HABATAKI〉
⇒ 〈MASKED RIDER KABUTO〉
〈MASKED RIDER GATTACK〉
《GO TO NEXT LEVEL! CLOCK UP TO FUTURE!!》
瞬間、目の前からプレシャススタイルのデーティアがかき消えた。
『ふぇ!?消えた!?ホンモノのプレシャスにこんな技なかったけど!?』
そうツッコんだとたん、デーティアはバグッチャーの背後にスッと現れた。何コレ!?瞬間移動!?
『小癪な!追え、バグッチャー!』
『無駄だよ』
振り向きながらのパンチも、一瞬で消えるデーティアには当たらない。それどころか、デーティアからの見えない攻撃が何度もヒットして、バグッチャーがのけぞる。
ん?今何か聞こえた?
気のせいじゃない、英語の音声が聞こえた!
その瞬間、バグッチャーがまるでワイヤーアクションのように一直線に吹っ飛んで、その『吹っ飛ぶ先』に、背中を向けているデーティアが現れた。
振り向きざまに、まるで稲穂のような黄金色の光をまとった上段回し蹴りがデーティアから放たれて、バグッチャーのおなかへと斬り裂くように命中した。まともに喰らったバグッチャーはさっき吹っ飛んできた道を折り返すように吹っ飛んで、今度は通りの向こう側のビルの側壁に激突して止まった。
『い、今のがライダーキック!?その、アレだよね?ライダーキックってデパプリの6話でスパイシーがやってたよーな跳び蹴り……じゃなかったっけ??』
私の先入観はコレだ。フレプリのみんなの『プリキュアキック』みたいなあれを想像してたけど、今のって??
『……”仮面ライダーカブト”のライダーキックさ』
私の隣に、一瞬でデーティアが戻ってきた。
『キュアプレシャスも、カブト―――――天道総司さんのように、おばあちゃんが言った言葉を大切にしてる子、って聞いたからね』
《このネタは必然だぜ?》
『あぁ、それで!』
ナットク!だからネットでも割と仮面ライダーカブトに引っ掛けたネタをたくさん見かけたわけね。
……あれ?でも結局どーしてライダーキックがフツーの跳び蹴りじゃないの??その辺りをあとで詳しく―――――
『貴様らぁぁぁ!!やり放題やってくれおって~~!!』
『どっちがよ!!』
私は即座にアラシーザーにツッコみ返した。
『世界中のみんなが必要な『大切なモノ』を奪って、ただで済むと思わないことね!』
『メモリアル、今度はキミが!』
デーティアが元の姿に戻って、私にプレシャスのチップを差し出してくれた。
『カッコよく、キメてよ!』
『……OK!』
《あつあつごはんでみなぎるパワー!キュアプレシャス!》
《CURE-PRECIOUS! INSTALL TO MEMORIAL! INSTALL COMPLETE!!》
『私は……絶対に取り戻す!私達がプリキュアを見られるように……デパプリの『次のおはなし』に出会えるように!日曜の朝、テレビの前で、笑顔になってくれるみんなのために!プリキュアを!おなかいっぱい楽しんで!!デリシャスマイルになりたいから!!』
だから、私は戦う!
『”プリキュアを取り戻す”ために戦うプリキュア』―――――
それが私達、『インストール@プリキュア』なんだ!
『行くよ、メモリア!』
《おっけー!!》
全身に力を込めて、私は駆けだした。
『なんの!迎え撃て、バクッチャー!』
『500㌔㌍―――――』
バクッチャーが拳を振りかぶるのが見えた。でもね、その技は『魂』入ってないよ!
『プリキュアの”技”ってのはね―――――ハートがこもってるんだから!!』
右腕に力を込めると、強烈なピンクの光が集まる。間合いに入って、しっかり大地を踏みしめて、まっすぐにバグッチャーを捉えて―――――
―――――ダン!!(1カメ、右から)
―――――ダン!!(2カメ、真上から)
―――――ダンンンンン!!!(3カメ、メモリアルの真後ろから)
インパクトが、相手の体を衝き抜ける感覚!
ほくとくんが前に言ってた、『勝ち』の感覚!
キリモミ回転しながらバグッチャーが吹っ飛んで、肩の上に乗っていたアラシーザーがジャンプして離脱するのが見えた。
『さ、キメよっか!』
《うん!おなかいっぱい、パワー全開だね!》
左腕のハートキュアウォッチに力を込めて、目の前に大きく三角形を描く。
描いた三角形に両手をかざすと、たくさんのピンク色の『△』が、まるでトンネルのように突き進んで、バグッチャーを包み込んだ。
―――――手ごたえ、アリ!
確信した私は、くるりと振り返って、両掌を合わせて。
『デリーーーートォォォォォォ……………………』
バグッチャーの全身が光になって、まるで霧のように散っていくのが見えた。
『くぅぅ……!!久々に出番があったと思ったらやはりこれか!この借りはいずれ本編で返してくれる!さらばだ!!』
捨て台詞を残して、アラシーザーもどこかへと消えていった。
ってか、次に本編でコイツが来るのはいつになるのやら。その時まで、さらば、アラシーザーよ。
『!メモリアル、見て!』
デーティアが指差す先には、さっきまでバグッチャーがいた場所に、ピンク色に輝く光の玉が、ふわふわと浮かんでいた。
『あれって……??』
――――――――――ありがとう
『ふぇ?……あ!』
何もしてないのに、勝手に元の姿に戻ったと思ったら、5枚のキュアチップがピンクの光の玉へと吸い込まれるように飛んでいって、その光の玉も、空高く飛び上がり、青空の向こうへと消えた。
『今のは……?』
『デパプリの放送に必要なデータ……かもね。東アニさんに返してあげないといけなかったんだけど……でも、きっと……』
さっきのが本当に不正アクセスで抜き取られたデータだったとしたら、きっと、『帰るべき場所に』帰っていったんじゃ、ないかな。
だってさっき飛んで行った方向、東アニのある大泉の方向だったもん。
『私たちが出来ることはここまで。だから、あとは……』
私たちに出来ることは、楽しみに待つだけ。
いつか、デパプリの『次のおはなし』が、テレビで見ることのできる日まで―――――
――――――――――
家に帰ってきた私がパソコンでネットを開くと、ニュースサイトの見出しにこんな記事が上がっていた。
〈東〇アニメーション、4月16日から新作の放映を再開〉
『を、ををを…………をををををををををををををを!!!!!!!!』
《どしたの?え!?ほんと!?ってことは……》
『うん!うん!!そうだよメモリア!』
……本当のところは、何がどうなってこんなことになったのか、これを書いてる稚拙さんもわからないんだよね。
でも、大好きなモノが見られなくなることがこんなにも辛くて、待ち遠しくって。
それがもう一度見られるようになるコトって、こんなに『キュアっキュア』なコトなんだ!
プリキュアを……ううん、東アニの人たちがつくるアニメを、ファンのみんなはずっと待ってたんだから!
日曜の朝8時30分は、テレビの前に全員集合!
―――――デリシャスパーティ♥プリキュアが、帰ってくるよ!
久々にりんくさんを書いたらビミョーにギャル寄りになったでござる。
さて、最後までお読みくださった皆様に、本編が更新停止中なことへのお詫びも兼ねまして、稚拙からのせめてものプレゼント……
『仮面ライダーエグゼイド編』が終わった後の新章の予告を初公開です!どうぞ!!
――――――――――
――――――――――
この予告、以前の『電調編』の予告ほど、鵜呑みにしない方がよろしいかと思います。
なにしろ、ミスリードをガンガン狙って意図的にシャッフルさせていただいたセリフや、『バグキュア編』以後の展開から持ってきたセリフもありますので……。
さて執筆の最中、4月16日分放送から、東映アニメーション様の新作放送が再開、デパプリも17日に第6話を放送、という朗報も入りまして、本編のラストも投稿直前にちょろっと変えましたものです。
……そして運営様の規約『実在の企業~』に引っかかるかもと思いまして本文中の表記を全部伏せ字や略称にするのも直前であわててやりました(汗
今日の放送で前回のデパプリをきっちりおさらいして、来週の新作放送に備えましょう!
それでは、よい一週間をお過ごしください!