インストール@プリキュア!   作:稚拙

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 2020年4月20日―――――
 衝撃的なニュースが全国を駆け巡りました。

 『新型コロナによってプリキュア本放送延期』―――――

 2004年2月1日に放送が始まって16年―――――
 大きな事件・事故や災害がない限り、一度も『本放送』を途切れさせることがなかった『プリキュア』が、新型コロナウイルスに『敗北』した―――――

 稚拙はこの重大局面を鑑み、臨時的ではありますがこんな文章を送信させていただきます……
 メタフィクションを混ぜている都合上、ちょっと気分が落ち込むかもしれませんが……

 プリキュア達は、諦めてません。

 そしてそれは、ヒーローたちも同じで。

 『ヒーリングっど❤プリキュア』たちが、どうして『テレビに出られなくなった』のか―――――

 それには、壮絶な決意があったのです―――――


もしも、この世界に、本当にビョーゲンズが現れたら、その時、あなたは―――――

 …………どうも、すんごくお久しぶりです…………東堂りんくです…………

 今日、朝8:30にテレビの5chを見たんだけど…………

 

 「……あれ……これって、前に見たような……」

 

 あれ?

 今日って、令和2年の4月26日だよね……

 先週の予告で、ひなたちゃんがプリキュア辞めるとか言ってたけど、それはどーなったの?

 

 「……ねぇ、メモリア―――――」

 《りんくぅ……番組表を見て》

 

 番組表を見てみると、『ヒーリングっど❤プリキュア』の横に、『おさらいセレクション』の文字。

 

 「セレクション!?ってことは再放送!?なんで!?どーして!?本放送の時間帯なのに!?」

 《りんく、さっきプリキュアのホームページを見てみたんだけど、こんなメッセージが……》

 

 私はコミューンの画面をのぞき込んだ。

 

「ヒーリングっど❤プリキュア」からのお知らせ

新型コロナウイルス感染症に対する安全対策に最大限の配慮をするべく、

「ヒーリングっど❤プリキュア」は、

第13話以降の放送を延期させて頂きます。

(中略)

自分や家族、身近な人たちの健康を守るため

皆さまも、できる限りの感染予防を心がけて頂き、

くれぐれもお身体には気をつけてお過ごし下さい。

 

(以上、公式サイトより抜粋)

 

 「あがーーーーーーーー!!!!!!????」

 

 愕然とした。

 私は頭の中が真っ白になった……

 ひとしきり叫んだあと、私は―――――

 

 「――――――――――(〇 □ 〇)」

 

 ―――――燃えたぜ……燃え尽きたぜ……真っ白にな……

 私はベッドにばったりと倒れ込んでしまった。

 

 《り、りんく~~!?》

 

 ―――――今、これを読んでくれてるみんなには、今さら説明する必要は無いと思うけど……

 新型コロナウイルスが世界中に感染拡大、ここ大泉町もその影響を免れることは出来ず……

 私も『おうちぐらし』です。

 学校も休校中、授業はWeb授業、ほくとくんにもここひと月くらい直接会ってないし、むぎぽんやそらりんたちにも会えてない。むぎぽん、おうちのパン屋さんもお客さんがめっきり減って大変だって電話で言ってたっけ……

 パパはテレワーク、ママはパートさんのお仕事が減って、ふたりともほとんどおうちにいる。

 お買い物はほとんどママがマスクを着けて行ってる。私?私はパパとお留守番。必要以上の大人数でスーパーやコンビニに行くのも、感染拡大につながるらしいし……

 

 「外にも出らんない……学校にも行けない……そんな私に残された最後の希望がテレビのプリキュアだったのに……コロナはそれまで奪っていくっていうの……?めちょっく……はっぷっぷ~…………」

 《ねぇりんく、『ころな』ってそんなにヤバいの?プリキュアのアニメを再放送にしなきゃいけないくらいに大変なの?》

 

 メモリアは無邪気に言うけど……あぁ、いいなぁ……メモリアはアプリアンで。現実のウイルスとは全く無縁。

 あ、でも本編でヘンなコンピュータウイルスにかかっちゃってるし、そこは同じ……なのかな。

 

 「……簡単に言うとね、『お薬が効かない、超ヤバいカゼ』みたいな感じ、かな」

 《えぇ~!?お薬が効かないの!?かかっちゃったらどーなるの!?》

 「治らないわけじゃないけれど……それでもつらい思いはするし、最悪、命を落とすこともある、大変な病気なの。それに、油断してると簡単に人にうつっちゃうし、『かかってても、症状が出ないまま元気』なこともあるの。知らないうちに、人にうつしちゃうこともあるみたい……」

 《そんなぁ……》

 

 落胆の表情を浮かべるメモリア。でもその時、何かに気付いたようにメモリアはハッとした。

 

 《!……まるで、ビョーゲンズだね》

 「確かに……」

 

 『地球全体を病気にしてる』って意味だと、まさしく『リアルビョーゲンズ』……

 正直私、『プリキュア達が本当にいて、この世界に来てくれた』ことが本当に嬉しいって思ってる。

 でも、『こんなの』まで本当に出てくるなんて思ってもみなかった……リアルワールドのビョーゲンズは、ダルイゼンのような男の子の姿でも、シンドイーネみたいな女の人の姿でも、グアイワルっぽい筋骨隆々でも、バテテモーダみたいな獣人のような姿でも、当然、メガビョーゲンみたいな怪物の姿でも―――――どれでもない。

 

 コロナウイルスは―――――『見えない』。

 

 《……もしかして、グレースたち、みんなを助けるためにテレビに出られなくなったのかも……》

 「……え……!?それって……どういうこと……?」

 《もしかしたら『ころな』って、『リアルワールドに来たビョーゲンズ』なのかも……だから、みんなを助けるために、グレースたちもこっちに……》

 

 ……その発想は……無かった!

 フツーの人なら一笑に付すかもしれないけれど、私ならわかる。私の部屋にあるタブに、プリキュア達が『いる』、私なら―――――

 

 《誰かが助けを求めている限り……どこへでも、どの世界へも……わたくし達プリキュアにとっては、当然のことですね》

 

 その声にがばりと頭を起こすと、キュアットタブの上に、ホログラムのキュアエースが立っていた。

 

 「エース……亜久里ちゃん……」

 《ほっとけなかったのかもしれないね、あの子たち……》

 《響とはちょっと違ったタイプだけど、思い立ったらまっすぐなのは同じね》

 「なおちゃん……奏ちゃん……」

 

 タブの上に、今まで助けたプリキュアたちが集まってくる―――――

 

 《世界中から、苦しみや悲しみを感じます……ウイルスに苦しんでいる、人々の声が聞こえます―――――》

 

 切なげな表情で、胸に手を添えるロゼッタ。

 

 《でも、同じくらい聞こえるのは、コロナウイルスと今この瞬間も戦い続けてる、お医者さんや看護士さんたちの声……》

 《『絶対にウイルスに負けない』という、正道を貫く強い意志……》

 《確かな『鼓動』が、世界中を駆け巡っているのがわかるわ》

 

 レモネード、ビューティ、ビートが、思いを馳せるようにどこかへと視線を送る。

 

 《今、ウイルスにかかっていない人も、出来ることはたくさんあるわ》

 《お家で待ってれば、きっとウルトラハッピーなことが待ってるから!》

 「みなみさん……みゆきちゃん……」

 《案外、さ》

 

 笑ってマリンが言う。 

 

 《アタシ達がプログラムクイーンの助けを求める声を聞いてこの世界に来たように、『ヒーリングっど❤プリキュア』のみんなを、『向こう側の世界』の誰かが呼んだんじゃないかな?》

 

 そっか。

 プリキュアなら、『行ける』んだっけ。

 ここにいるみんなだって、世界を越えて、サーバー王国を救うためにやってきたんだから。

 

 《信じて、待とうよ!このふたりを助けてくれたのも『お医者さんたち』なんだし!》

 《だからわたしは……この世界に暮らしてるみんなのことも、心から信じられるから―――――》

 

 トゥインクルとミラクルに連れられて現れた、ふたりのプリキュア―――――

 

 《あの時、『運命を変えてもらった』から、ワタクシはここにいられる……ならばこそ……!》

 《ヒトのココロ……想いの力が奇跡を起こすの……そして、人の知恵で乗り越えられないモノは無いの。そうよね、りんく?》

 「トワちゃん……リコちゃん―――――」

 

 そう、だよね―――――

 マジカルとスカーレット、そして私とメモリアを病魔から救いだしてくれた、『先生』―――――

 あの時助けてもらった、『仮面ライダーのお医者さん』のような、強い心を持ったお医者さんたちが、この世界にはたくさんいるんだもの―――――

 

 《絶望するのは、まだ早いよ》

 《そーそー!この程度じゃ、アタシからファントムは生まれないぜ♪》

 「!?その声は!」

 

 コミューンがいつの間にかテレビ電話に切り替わっていて、ほくとくんとデータ、キュアピースがそこにいた。

 

 《ネットには、コロナウイルスのせいで出かけられない子供達のために、たくさんのヒーローたちがメッセージを出してくれてるんだ!》

 《それだけじゃないぜ?悪役連中からも熱いメッセージが寄せられてるぜ!》

 《正義と悪が争っていた中に、突然現れた第3勢力……正義と悪は一時休戦して、いっしょに脅威に立ち向かう……燃える展開ねっ!!》

 

 やよいちゃんの鼻息が荒い。ほくとくん()に居候するようになって結構経つけど、すっかりデータみたいな特ヲタになっちゃって……

 

 《キラメイジャーのレッド役の俳優さんも新型コロナウイルスに感染してしまったけれど、先輩ヒーローたちや子供たちの激励を受けて、元気になったんだ!》

 《ヒーローにとって一番の力は、新兵器でも新装備でもねぇ……元気な子供たちの声だ!子供たちの応援があれば、ヒーローは何度でも立ち上がれる……そうだろ?》

 

 ヒーロー達が戦えるのは、子供たちの応援があるから―――――

 そしてそれは、プリキュアも同じで―――――

 

 「本当に子供たちが、心の底から応援できるその日まで…………のどかちゃん……ちゆちゃん……ひなたちゃん…………―――――」

 

 このディスプレイの、その向こうに、助けを求めてる人がいる。

 苦しんでいる人がいる。

 戦ってる人たちがいる―――――

 

 私は……この『四角い世界』から、『そっち』に行くことはできないけれど―――――

 どうか、私達の分まで、『ほんとうの世界』のみんなを、元気にしてあげるために―――――

 

 

 「がんばって―――――ヒーリングっど❤プリキュア―――――」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 ―――――その夜、私は不思議な夢を見た。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 「「「お大事に❤」」」

 

 メガビョーゲンが浄化され、病気になった土地が元に戻っていく。

 キュアグレース、キュアフォンテーヌ、キュアスパークルの3人は、笑顔でそこから立ち去ろうとした―――――

 

 『お前たち―――――『ヒーリングっど❤プリキュア』だな』

 

 青年の声に、3人が振り返る。

 

 「……誰!?」

 「ヒーローショーの着ぐるみ?」

 「あの……あなたは……?」

 

 グレースが訊ねると、その、『バーコードを人型にしたような』マゼンタのヒーローはこう答えた。

 

 『"通りすがりの仮面ライダー"……『仮面ライダーディケイド』だ。……これを見ろ』

 

 ディケイドが視線をうながすと、オーロラのような銀色の光が現れて、その中に映像が浮かび上がる。

 そこには、病院のベッドで人工呼吸器を付けて苦しむ人々―――――

 そして、その人々を懸命に治療する医師や、看護士たちの必死の形相が映る。

 場面が変わり、どこかの研究所―――――そこでは、白衣を着た研究者たちが、パソコンや試験管を真剣な目で見つめていた。

 街や観光地からは人が消え、まばらに見える人々は、皆マスクを着けている。テレビのニュース番組では連日のように、感染者数や死者数を伝える暗いニュースが流れ、出演者同士の間隔も、不自然なまでに広い。

 ネット上にはありもしない情報や負の感情が拡散し、スーパーマーケットには長蛇の列。レジには物々しい透明の板が張られ、中には従業員に冷ややかな言葉や怒号を浴びせる人の姿も。

 

 その世界に暮らす人々からは、笑顔と活気が奪われていた―――――

 

 「……これは…………!?」

 『お前たちが戦っている……"メガビョーゲン"だったか?その一体が『世界の壁』を越えて、とある世界にウイルスをばら撒いた……このウイルスはあっちでは『新型コロナウイルス』と呼ばれてるらしいが……この世界の医療技術では、今のところ容易に治療できる手立てはない……何十万、何百万という人間たちが、今も感染症に苦しんでいる。それだけじゃなく、見えないウイルスをひどく恐れるあまり、人間の心までもが闇に閉ざされ、蝕まれている……『この世界全体が病気に冒された』と言ってもいい……最悪の状況だ』

 「!……ひどい……!そんな……!」

 『お前達は、『地球の医者』を名乗ってるそうじゃないか―――――俺も『世界の破壊者』呼ばわりされちゃいるが、こうまでイレギュラーな破壊をされている世界を見るのも忍びないんでな……俺なら、お前たちを『この世界』に連れていけるが……どうする?』

 

 グレースは、まっすぐにその映像を見据えて、言った。

 

 「私……その世界に行く」

 「グレース……!」

 「メガビョーゲンが暴れているのなら、そこがどこでも、私達が行かなきゃ……!『向こうの地球さん』と、そこに暮らすみんなの病気を治して、『お手当て』してあげることも、私達……プリキュアの使命だもの」

 「……そうね。わたしも行くわ」

 「グレースが決めたのなら、アタシも行くし!」

 

 フォンテーヌとスパークルも、決意を固める。

 

 『だったら、オレ達も行かせてもらうぜ!』

 『まさか、ノーサンキューとは言うまいな?』

 『フン……別の世界にまで回診に行く羽目になるとはな』

 『どうせなら、相乗りで行こうじゃないの』

 

 また、別の男性たちの声が響く。

 

 「あなた達は……?」

 『オレは仮面ライダーエグゼイド!こっちはブレイブとスナイプとレーザーターボ!オレ達全員、ドクターなんだぜ!』

 「お医者さんってこと!?やったぁ!だったらいっしょに行こ行こ!ね!?」

 『ひ、引っ張るな金髪!ベクトルは違うがニコを思い出す……!』

 『元より、おれ達はお前達の加勢に来た』

 『ま、未知の新型コロナウイルス相手に、どこまでできるかわからねぇけどな。頭数は多い方がいいだろ?』

 

 新たな『ドクター』たちの登場に、にわかに湧き立つプリキュアたち。そこへ―――――

 

 『"地球の未来"を救うためなら、俺たちも行くぜ!』

 

 5人の、色とりどりのスーツをまとったヒーローが立った。

 

 『ゴーレッド!』

 『ゴーブルー!』

 『ゴー、グリーン!』

 『ゴーイエロー!』

 『ゴーピンク!』

 『人の命は地球の未来!』

 『燃えるレスキュー魂!』

 『救急戦隊!』

 『ゴー!』

 『ゴー!!』

 『『『『『ファイブ!!!!!』』』』』

 『出場!!』

 

 「また別の……ゴーゴーファイブ??」

 『ちょっとおカドは違うかも知れねぇが、命を助けるのに、俺たちが出ないワケにゃ行かねぇだろ?』

 『誰かが助けを求めているなら、おれ達はどんな現場にも出向く』

 『ウイルスから人々を助けるのも、レスキュー活動だしな!』

 『僕達も力になるよ!』

 『人々の命を……無限の未来を救うために……大丈夫。あなたたちには、私達がついてるわ』

 「!ありがとうございます……!」

 

 笑顔で頭を下げるグレース。ふと、少し表情を暗くして。

 

 「……でも、私達がいない間、ビョーゲンズをどうすれば……それに、家族にも説明できないし……」

 『それなら、いい方法を持ってる奴がいる。……出番だぜ、『王様』』

 

 ディケイドがそう言うと、オーロラのようなカーテンの向こうから、またひとり、ヒーローが姿を現した。顔に『ライダー』とカタカナで書いてある、個性的な顔だった。

 

 「あなたは……?」

 『『仮面ライダージオウ』。キミ達のこともよく知ってるよ、『ヒーリングっど❤プリキュア』』

 

 ジオウは『手を出して』、とグレースを促す。差し出したグレースの右手に、ジオウは黒い円盤状の物をそっと置いた。すると、黒い部分が鮮やかなピンク色に染まり、ジオウはそれを手に取った。

 

 『これで、キミたちの世界……『日曜朝8時30分の世界』の時の流れを止めておくことができる。もちろん、ビョーゲンズの動きも、ね。『バテテモーダと初めて戦った日』、そこから先に時間が進まないようにしておくよ。これでしばらくは、キミ達も『向こうの世界』のことに集中できるはずだよ。キミ達が『向こうの世界』での使命を終えて、元の世界に戻ってきたら、時の流れを再び戻そう』

 「ほ、本当ですか!?」

 『厄介な事なんだが―――――』

 

 うんざりした様子で、ディケイドが言う。

 

 『新型コロナウイルスは『プリキュアの世界』以外にも、多くの世界に影響を及ぼしている……』

 『だから、おれとディケイドが色々な世界を回って、その世界の時の流れを一時的に止めているんだ。()()()()()()の均衡が崩れないように……このライドウォッチに、『その世界の時』を封じ込めて、ね』

 『『海賊(ワンピース)の世界』、『電脳生命体(デジモン)の世界』、『人と獣の絆(ポケモン)の世界』、『学園都市(超電磁砲)の世界』、『美食(食戟のソーマ)の世界』、『北米大陸横断レース(天晴爛漫!)の世界』……それから……あぁ、『熊本で釣りをしている女子高生(放課後ていぼう日誌)の世界』にも行ったな』

 「は、はぁ……」 

 『でも、これは本来、『時の掟』に反すること……時間は、どの"世界"も、その世界(作品)に定められた速さで流れなければならないのだから……いずれは破綻し、限界が来る……』

 『"時の凍結"は、後に続く"世界"にも影響を及ぼす……このままでは、認識されぬまま破壊されてしまう"世界"も現れるだろう……最悪、"世界の破壊の連鎖"も有り得る……だがウイルスの蔓延さえ止められれば、あるいは―――――希望的観測だがな』

 「……責任重大……だね」

 

 ディケイドの言葉に、表情を真剣のそれに変えるスパークル。

 

 『キミたちを待ってる人たちが―――――必要としてる人たちがたくさんいる。"こっち"のことは―――――"彼ら"に任せて』

 

 ジオウが視線を促す、その先には―――――

 

 『俺の名はゼロワン……仮面ライダーゼロワン!』

 『ひらめきスパークリング!キラメェェェェイ、レッド!』

 

 名乗りを上げるふたりのヒーロー。そのうち、キラメイレッドと名乗ったヒーローが前に出て、腰を曲げて頭を下げた。

 

 『みんな……ゴメン!実はオレ、あのメガビョーゲンと戦ったんだけど、止められなくて……逆にウイルスに感染してしまったんだ……でも、仲間達や『先輩たち』、応援してくれている子供達(みんな)のおかげで、こうして元気になれたんだ!』

 

 キラメイレッドが、グレースに1枚のメモリーチップを渡した。

 

 『このチップには、オレの血液から『CARAT』が作ったウイルス抗体のデータが入ってる。向こうの世界で、ワクチンを研究している人に渡して。きっと、役に立つはずだよ』

 「……!ありがとうございます!」

 『抗体がありゃ、()()()()ても大丈~夫!はい!アルトじゃ~~、ないとぉ~~~!!!』

 「…………ぷっww」

 「ちょ、フォンテーヌ!?」

 

 ゼロワンがいきなりサムいギャグを飛ばす。すると、目を背けながらフォンテーヌが吹き出し、思わずスパークルがツッコんだ。

 

 『……プリキュアのみんな。みんながいない間、こっちは俺達が持たせてみせる。だから、安心して向こうの世界の人達を助けてあげてくれ!』

 『こっちには小夜もいるから、ウイルスの心配はいらないよ!オレと同じような思いをする人々をこれ以上増やさないためにも……頼んだよ、プリキュア!』

 「ゼロワンさん……キラメイレッドさん……本当にありがとう!……それから……行ってきます!『向こうの世界』で苦しんでいる地球さん、そしてみんなを、お手当てするために……―――――!」

 

 3人のプリキュア、4人のライダー、5人の戦隊ヒーロー―――――

 ジオウとゼロワン、キラメイレッドに見送られながら、ディケイドが作り出したオーロラカーテンを、ゆっくりとくぐっていく。

 

 「待ってて―――――向こうの世界の―――――『テレビの向こうの世界』のみんな―――――」

 

 

 

 私達が、必ず―――――

 

 

 

 

 




 突貫で書いたので、拙い文章になったのはよくわかります。
 矛盾だらけなのは百も承知です。
 でも、稚拙は確かに、絶望の中でこんな希望を見たのです。

 ヒーリングっど❤プリキュアが、日曜朝8時30分に帰ってくるのを待つまでの間、出来る事はただひとつ。

 『感染を広げないコト』、それだけです。

 なるべく家にいましょう。不要不急の外出は避けましょう。
 それでも出かけなければいけない場合は、混雑・『三密』を避け、必ずマスクを着けましょう。外出先にアルコール消毒があれば、必ずしましょう。家に帰ったら、石鹸で手洗いをして、うがい薬でうがいをしましょう。
 たくさん寝て、栄養をたっぷりとって、免疫力を付けましょう。
 間違っても、感染されてしまった方へのいわれのない中傷やバッシングはやめてください!彼らこそ、コロナの最大の被害者なのですから……
 また、転売目的の買い占め、不要なモノの買い貯めには走らないでください!

 基本的な事を心掛けていれば、誰でもプリキュア達の力になれます。
 皆で協力さえすれば、きっと、必ず、人類はコロナに勝てます。
 だって、テレビの中から飛び出してきてくれた最高のヒーローたちが、我々に力を貸してくれているのですから―――――
 ディケイドとジオウが『時を止めなければいけない世界』の増加を食い止めること、そしてプリキュア達が、テレビの中に戻ってこれるのを早めることが出来るのは他でもない、我々なのです。

 最後に。
 新型コロナウイルスに感染してしまった皆様、心からお見舞い申し上げます。
 また、亡くなられた方々には、心よりお悔やみを申し上げます。

 そして、新型コロナウイルスと正面から向き合い、今この瞬間も命を懸けて戦い続けてくださっている医療従事者の皆様、社会インフラを維持し続けてくださっている公共交通機関の職員、スーパー・コンビニの従業員の皆様―――――

 『新型コロナウイルスと戦うすべての人々』に、『仮面ライダー響鬼』のキャッチコピーを贈ります。



 ―――――"ぼくたちには、ヒーローがいる。"




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