インストール@プリキュア!   作:稚拙

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 用語解説

 メモリアビジョン

 キュアメモリアとキュアメモリアルが使用する、『画像操作』のアプリティによる虚像投影能力。
 主に自分の虚像を投影して相手を攪乱するのが主な用途だが、自分のみならず、メモリアの覚えている人物・物体であればなんでも虚像として投影できるほか、リアライズスタイルになればりんくの記憶も参照して虚像を作り出すこともできるようになるため、応用が利く。
 また、投影した虚像を自在に操作することもできるが、あくまでもホログラフィであるため、実体はなく、当然ながら攻撃力もない。
 なお、一度に生成できる虚像の最大数はキュアメモリアは10体、キュアメモリアルは20体、最大出力時で30体である。

 ――――――――――

 スタプリ最終決戦、終了しましたね……
 宇宙創世神話にまで話が及んだことに、想像以上のスケールの大きさにキラやばさを感じて戦慄した稚拙です。
 公式様が初めて『PRECURE』という単語での『言葉遊び』をなされたことに『おっ!』と思いまして……この言葉をインプリ内でバクロニム『P.R.E.C.U.R.E.』にした稚拙としては小さな喜びですね。

 さて、今回は『本格暴走モード』に突入したネガキュアバグスター……否、『別のナニカ』VSブレイブ&スナイプの対決を送信!


ワクワクもんのSHOW TIME!

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 ――――――――――

 

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 ――――――――――

 

 空気が変わった―――――

 辺りの空気が震えているのが、僕でもわかる。

 豹変したふたりのネガキュアバグスター―――――

 否―――――彼女達は……。

 

 《もう『あれ』は……バグスターじゃねぇ―――――『バグッチャー』だ……!》

 「でも、どうして!?」

 《『潜伏期間』が終わったのかもな……》

 「潜伏期間……!?」

 《病気のウイルスってのは、カラダに入ってすぐに病気を引き起こす訳じゃねぇ……何日か、もっと長いと何週間か経ってから、病気の症状を出すんだよ。忘れたか?バグッチャーは元々キュアネットで造られてリアルワールドに出てくる……それまでの時間を『潜伏期間』って考えりゃあ合点がいく……》

 「バグスターの中に……バグッチャーが潜んでたってコト……!?」

 《様子がおかしかったのもそのせいらしいな……ここからはヤバいかもしれねぇ……》

 

 データの呟きに、僕は思わずブレイブとスナイプを見やった。すると―――――

 ふたりとも、バグスターが変じた『バグッチャー』を見たそのまま、瞠目していた。複眼が、明らかに驚きのそれに変わっている。

 

 『バグスターの反応が……"消えた"……だと……!?』

 『どういう事だ……目の前に"いる"のに"いない"とは……!ならば『これ』は―――――』

 

 ―――――"消えた"……"いる"のに"いない"……

 そうか、ドクターライダーたちのシステムは、『バグスターウイルス』を検知することはできても、『バグッチャー』を検知することは出来ないんだ……!

 今のブレイブとスナイプには、バグッチャーを追うことは―――――

 

 『モエヨ』

 

 誰も気づかなかった。

 全身に焔を纏った"ブラック"が、ブレイブの懐に入っていたコトに。

 

 『!?―――――』

 

 ミドルキックが鳩尾に入り、ワイヤーアクションのように一直線にブレイブが吹っ飛ぶ。それを見て駆け出した"ブラック"は全身の焔を更に燃え上がらせ、遂にはヒトの形状をかなぐり捨てて"火の鳥"へと変貌し、翼をはためかせてブレイブへと突撃した。

 

 『ホノオノ……ツバサ!!』

 『く……何も解らずに焼却されるのは―――――』

 

 すぐさま体勢を立て直したブレイブは、真っ向から向かってくる火の鳥を、大上段からの振り下ろしで迎え撃った。

 

 『ノーサンキューだッッ!!』

 

 火の鳥は中心から両断され、ブレイブの左右を命中することなく通過した。

 しかし、死に体と思われた火の鳥はもがれた半身を瞬時に再生すると、二羽の火の鳥となって、ブレイブにまとわりつくように旋回し始めた。

 

 『何ッ!?うおあぁぁッッ!?』

 

 ブレイブの全身が炎に包まれる。抵抗してソードを振るも、空を斬るばかりだ。

 

 『ブレイブ!』

 『構うな、もう一方だ!!』

 『チッ、指図すんな!!』

 

 スナイプは毒づきながらも、残ったもう片方―――――"ホワイト"目掛けて発砲する。

 

 『フフフ……♪』

 

 もはやその名とは真反対の漆黒にその身を染めた"ホワイト"の、仮面に覆われていない口角が上がったと思うと、全身が黒い霧のように変化して、バラバラになった。エネルギー弾はそのまま、何もなくなった空間を通過していく。

 見ると、無数のコウモリの群れが辺りに羽ばたいていた。

 

 『……ッ!?』

 

 驚くスナイプを尻目に、そのコウモリの群れが集まって、再度"ホワイト"の姿を形作る。

 

 『アタラナイノヨネ♪』

 『な……!?』

 

 "ホワイト"はスナイプの、すぐ背後に立っていた。

 スナイプは反射的に、振り向きざまに銃爪(ひきがね)を引く。しかしまたしても"ホワイト"は分散して無数のコウモリに姿を変え、再集結する。

 スナイプはその度にマグナムを撃ち放つも、まるですべてを見切っているかのように、"ホワイト"は分散と集結、再構成を繰り返す。

 

 『ゼンブ……ムダ、ナノヨネ』

 『!?』

 

 気が付くと、スナイプの周囲に、『4人』の"ホワイト"が立っていた……!?

 

 『『『『"キュアップ・ラパパ"』』』』

 

 小さく呪文を唱えた瞬間、4人の"ホワイト"がかざした両掌から、それぞれ白・赤・青・黄色の光線が、中心点に位置するスナイプ目掛けて放たれた。

 

 『ぐぁぁぁぁぁぁぁーーーッッッ!!!』

 

 スナイプの絶叫が、僕の背筋に悪寒を(はし)らせる。

 

 《この攻撃……間違いねぇ……!キュアスカーレットとキュアマジカルだ……!》

 「え……!?」

 《『プリンセスプリキュア』のひとり、"焔姫(ほむらひめ)のスカーレット"と、『魔法つかいプリキュア』のサブリーダー、"真宝(まほう)のマジカル"……何がどうなってあんなバケモンなんかに……!》

 

 僕には―――――やはりサッパリだ。

 ただ―――――

 この状況、『黙って見ていろ』と言われていたとて―――――

 もう傍観者の時間は、終わりだということは、わかる―――――!

 いや、そう考える前に、僕は歯を噛みしめて、一歩を踏み出していた。

 

 《おい》

 

 ポケットの中が振るえた。

 

 「悪いけど、約束破る」

 《誰が止めるっつったよ》

 「え?」

 

 ここに来る前、データは『絶対に割って入るな』と釘を刺していた。その禁を破ることになるのだけれど……

 

 「いいの……?その……」

 《別にダブルスタンダードったワケじゃねぇよ。アタシが言ったのはあくまであのバグスターが『タダのバグスター』だったら、って話だ。『バグスターを退治してゲーム病を治す』ってコトに、アタシらは手出しも口出しもする権利は無ぇ。やり方をよく知ってる医者(プロ)に任せるンがスジだ……》

 

 データは、ポケットからネットコミューンを這い出させて、ライダーたちを圧倒するバグッチャーを見た。

 

 《でも、ありゃもうバグスターじゃねぇ、バグッチャーだ……。ライダーのセンセー方の管轄外になる……逆に、だ。アタシ達ゃ『インストール@プリキュア』……バグッチャー退治の―――――》

 

 僕を見上げて、ニヤリと笑うデータを見ると、僕も思わず笑顔になった。

 

 「《専門家!》」

 

 もっとも、まだまだウルトラマンには肩を並べられないけど。

 

 《つーワケだ……行こうぜ、ほくと!一人前には程遠いが、サイドキック*1程度にゃ暴れてやろうぜ!》

 「うん!……あ、でも、ピースが……」

 

 いざ、という時に、気にかかった。そういえは、キュアピースが気を失ったまま、コミューンの中にいたのではなかろうか。

 

 《こんなコトもあろうかと、CRを出てくる時、タブに『送っといた』ぜ。ついでにタブの"センパイ方"に、『何があっても電源入れんなよ、絶対入れんなよ!絶対だぞ!!』……って伝えといたさ》

 「……マリンが()()だと勘違いしなければいいけど……」

 《もっとも、『"最高級"のセキュリティ』でガードしてるから、流石の神サンでも突破はできねぇだろうけどよ》

 「セキュリティ……?」

 《…………『誇りあるプリキュアオタク・東堂りんく完全監修プリキュアカルトクイズ』……!》

 「…………………………………………え?」

 

 一瞬、言葉を失った。さらにデータは語る。

 

 《ノルマは連続正解100問、1問でも間違えたら最初からやり直しの超鬼畜仕様……プリキュア『本人』たちがチャレンジしたが誰も100問正解できなかったらしい……本人たちすら知らねぇ事もクイズ化するって、アイツどこまで腐ってんだか…………》

 「あ、あはは…………」

 

 なんだか聞いたことある話だと思ったら、『仮面ライダーゼロワン*2』で、或人社長が工房の電子ロックに爆笑ギャグを設定していたのと同じじゃないか。そう思ったら、自然と吹き出してしまった。

 

 《話が逸れちまったが……リラックスできたろ?大丈夫だ、なんも心配はいらねぇ!思いっきりトバしてこうぜ!!》

 「ああ!」

 

 ポケットから背中を押されて、僕は大通りへと繰り出した。

 紅蓮の炎に焼かれるブレイブと、四方から光線を浴びせかけられるスナイプ―――――

 ライダーたちが窮地に立たされているその光景に背筋を(ふる)わせながらも、僕は叫んだ。

 

 「…………やめろっっ!!」

 

 空気の流れが、止まった。"ブラック"がブレイブへの攻撃を止めて元の姿に戻り、"ホワイト"も一体になってスナイプへの光線照射を中断して、こちらを見てきた。

 とりあえず、ブレイブとスナイプへの攻撃を止めさせて、こちらに注意を引き付けることには成功したらしい。

 

 『お前……!"東堂りんくの付き添い"か!?』

 『邪魔だ!素人がしゃしゃり出てくるな!』

 

 やっぱり―――――怒鳴られた。少しだけ心がずきりと鳴る。気圧されそうになるけれど、僕はぐっとこらえて。

 

 「僕も……戦います!」

 『寝言は寝て言え!ただのガキに何が出来る!?』

 《いやぁ、それがただのガキじゃねぇんだよな、コイツ♪》

 

 僕はポケットの中からコミューンを取り出した。画面の上に、立体映像のデータが立った。

 

 《アタシが認めた、世界一のニンゲンだかんな♪そこんとこヨロシクな、大我センセ♪》

 『……な……!?』

 

 スナイプの複眼が見開かれるのが見えた。ドラマの着ぐるみ(スーツ)と違って、表情をころころ変えるその瞳から、大我先生の驚愕が見て取れる。

 そして、その奥に立つブレイブもまた、別の驚きを感じていたようで―――――

 

 『東堂りんくと同じ携帯電話だと……!?』

 《お、流石は天才外科医の飛彩センセー、いいトコに目ェつけんじゃねーか♪ま、あからさまに"女々しい"見てくれだから、家族にすらハズくて見せらんねぇ、住めば都のアタシの()()……コイツを持ってるほくともりんくも、ごくフツーの中学生ってぇのは世を忍ぶ仮の姿……しかしてその正体は……!》

 

 なんだか少しムズがゆく思いつつ、僕は変身用キュアチップをコミューンにセットした。

 

 《START UP! MATRIX INSTALL!!》

 

 水色の光が辺りにあふれる。ちら、とブレイブとスナイプを見やってから、僕は叫ぶ。

 

プリキュア!マトリクス!インストールッッ!!

 

CURE-DATA! INSTALL TO HOKUTO!!

 

 光の空間の中で、データとぶつけ合わせる右の拳にも、気合いが入る。そしてそれは、データも同じだったようで。

 ―――――やっぱ、そうだよな。

 

 『本物の仮面ライダー』と一緒に、戦えるんだからさ!!

 

 《CURE-DATEAR! INSTALL COMPLETE!!》

 

 

渾  然  一  体

 

涙  祓  一  心

 

 

キ ュ ア デ ー テ ィ ア ! !

 

 

 心なしか―――――

 いや、明らかに。

 構え(ポーズ)と名乗りに、一層の力が入る。

 

 『『!!!プリキュアァァァァァ!!!!!』』

 

 僕の変身を目にした瞬間、バグッチャーは悍ましい叫び声を上げ、まずは全身漆黒の"ホワイト"が突っ込んできた。僕は一撃目の右の正拳をいなして、左足を軸に右の上段回し蹴りを相手の側頭部に放った。僕の予想が正しいなら―――――

 

 ―――――!!

 

 "ホワイト"の口角が上がる。

 命中はしたが、がっちりと左腕で受け止めている―――――()()()()に。

 ―――――やっぱり、まともに喰らっちゃくれないよな。

 今まで戦ってきてひとつだけ、バグッチャーに関して確信できたことがある。それが、"これ"だ。

 『首より上』―――――即ち、『頭部』への攻撃は、100%確実に阻止される。『顔』を含めた頭に攻撃を喰らうことを、バグッチャーは頑なに拒むんだ。

 その理由は―――――この間、東堂さんが教えてくれた。

 

 ―――――ほくとくん!プリキュアたるもの、絶対に顔や頭に攻撃を受けちゃダメ!顔は女の子の命なんだから!小さな子供たちもどこで見てるかわからないからね。ボロボロの傷だらけの顔なんて、子供たちに見せちゃダメ!絶対にガードして防ぐこと!いい?

 

 聞くところによると、プリキュアのアニメも、顔には絶対に攻撃がまともに当たらないようになっていて、顔への攻撃は必ず防御するように作っているらしい。

 

 ―――――さすがにそれはアニメの中だけじゃないか―――――?

 

 やるかやられるか、ドコをどう攻撃されても文句は言えない実戦でそんなコトがあるワケが無い―――――

 当時まったく信じられなかった僕は、僕のコミューンに通って半ば居候状態だったキュアピースをはじめ、プリキュアたちに片っ端から聞いてみた。『顔に攻撃をまともに喰らったことがある?』と。

 ―――――驚きのリサーチ結果が出た。

 

 "本物の"プリキュアの、頭部および顔面への攻撃成功率――――――――――0%。

 

 少なくとも、僕たちが救出した13人のプリキュアたちは、顔面にクリーンヒットを受けたことがなかった。受けそうになったけどうまく防いだり、かわしたり、助けが来たりして、命中は免れたという。つまり、アニメの中の描写は紛れもない事実であり、未だかつて、『プリキュアの顔』にまともに攻撃を命中させた者は、本当に存在しないということ。

 

 ―――――"伝説の戦士の顔"は、『聖域』。

 

 ……つまり、だ。

 たとえバグッチャーに堕とされようと、プリキュアたちは、その志を捨ててはいない。

 『顔だけは絶対死守する』という、プリキュアとしての矜持を守り続けているんだ。

 ―――――目の前の、化け物と紙一重の存在とて……。

 

 『……安心、したよ』

 

 ―――――顔は鉄壁、さりとて"そこ"以外の僅かな『隙』にさ!

 

 瞬間、僕は右足を引く勢いのまま、反対の左足で相手の脇腹を薙いだ。衝撃と清々しい打撃音が、僕の神経を稲妻のように伝播する。

 ……、この感覚だよ。

 

 

 

 ―――――(ハイ)った

 

 

 

 吹っ飛んで(くずお)れた"ホワイト"の姿を見て、今一度驚くライダーたちの"表情"が目に入る。

 

 『効いた、だと……!?』

 『何がどうなってやがる……!?』

 

 僕はすぐさま間合いを離し、ブレイブとスナイプに並び立った。

 

 『飛彩先生、大我先生、今の内に態勢を立て直して下さい!』

 『お前女だったのか!?』

 『う゛……ッ』

 

 いずれツッコまれるコトは覚悟してたけど、まさか開口一番の第一声とは……さすがは仮面ライダースナイプ、言葉の弾丸も痛い……

 

 『"付き添い"……いや、"中学生"……。お前のその姿とその力は、一体……!?』

 

 飛彩先生にこう呼ばれると、僕もCRの一員になったような嬉しさを感じる。たぶん、この時の僕は無意識にニヤニヤしていたかもしれない。

 い、いや、ニヤけてる場合じゃない。僕はだらしのない表情を叩き直して。

 

 『事情は後でお話しします……!あれはもう、先生たちの知るバグスターじゃありません……!』

 『ヤキツクス……!ヴァァァァァァア!!!!』

 

 余計なことは言わせないとばかりに、"ブラック"がその口から連続で火炎弾を放った。

 

 『おい、プリキュアは口から火を吹く大道芸集団なのか?』

 《あんなインドのヨガ使い*3みてぇなプリキュアがいてたまッかぁ!?》

 

 もっとも東堂さんによると、『目からビームを撃ち、胸から熱線を放射したプリキュア』がいるらしい。思わず僕は苦笑いしていた。

 着弾し、火柱を噴き上げる火炎弾を散ってかわすと、スナイプが反撃とばかりに連射する―――――が。

 命中しても、『HIT!』どころか『MISS!』の表示も出ない。"ブラック"も、怯むどころか全く意に介していない。

 

 『手応えが無ぇ……効いてんのか……?』

 『炎が相手ならば……冷気で散らす!』

 《KO・CHIIIINNNNN(コ・チィィィィン)!!》

 

 ブレイブがAボタンを操作すると、ガシャコンソードの刀身に、氷色の冷気が巻き起こる。火炎弾を真正面から1発、2発、3発と斬り散らし、猛然と"ブラック"へと肉薄して連続で太刀を浴びせる。

 しかし、この怒涛の斬撃をまともに受けてなお、"ブラック"はけろりとしている―――――!?

 

 『なに……ッ?!』

 『ユメナド……アワレナモノガシンジル…………マボロシ!』

 

 "ブラック"の両手が炎に包まれ大きくなり、さながら"炎の鉤爪"と化すのを見て、僕は駆け出し、横っ腹目掛けて蹴り込んだ。

 

 『……おまえは何を言っているんだ』

 

 そのとき、僕は思わず笑っていた。

 

 『今この瞬間……"『夢』と一緒に戦ってる"僕に、"哀れ"だなんて失礼だなぁ』

 《そーそー、哀れなのは小次郎サン*4で間に合ってんだよ!》

 

 一足飛びに間合いを詰めて、連続で拳と蹴りを叩き込む。相手は防御を固めるけど、勢いでこじ開ける!

 

 《イイぜ、効いてる!一気に押し込め!》

 『ああ!』

 

 氣を溜め込む―――――するとその意志に呼応して、イーネルギーが集束する。

 

 右の拳を握り、

 

 力を込め、

 

 踏み込み、

 

 

 捻じ込む様に―――――!!

 

 

―――――空現流砲戦術―――――

―――――参式荒咬発破(サンシキアラガミハッパ)―――――

 

(コウ) () (ホウ)

 

 

 ボディブロー気味に繰り出した拳、そのすぐ先で氣―――――まだ氣を練って発現できない僕は、イーネルギーで代用せざるを得ない段階だけど―――――を炸裂させて、その衝撃で標的を吹き飛ばす『氣を用いた"(とお)し"*5』―――――

 直撃は言わずもがな、如何に全身を炎と化して実体を無くそうとも、空気中を伝わる衝撃波が炎を散らす。

 この間合いなら、どう化けようが―――――当たる!

 狙い通り、"ブラック"は"そのまま"、上体を仰け反らせて宙に舞い上がり、背中から地面に落ちた。

 拳を引いて残心を構えると、手首の部分、右手のグローブの裾の銀色の"放出口"から、熱を帯びた真っ白な煙が上下に噴いた。

 

 《ワンインチ*6たぁ恐れ入った》

 『寸勁(すんけい)じゃなくて浸透勁(しんとうけい)*7だよ。ワザと『外側』に打って、衝撃波にしただけさ』

 《……コレをイーネルギー無しで出来るお前のじーさんやオヤジさん、プリキュアとガチで殴り合えるんじゃね……?》

 

 ……考えたことが無かった。

 『間合いの外から当たる寸勁』……そんな技がある武術なんて、他には無いよな……

 

 『どういうワケかわからんが……中学生の攻撃だけは効果があるようだな……』

 『ただのパンチがどういう理屈だ……!?』

 

 先生たちは僕の攻撃だけがバグッチャーに効いている様子を、訝しげに窺っている。

 現状―――――僕の……『プリキュアの攻撃』だけが効いている…………。

 ―――――まさか……

 

 そう思った矢先、無数の黒いコウモリが僕に向かって殺到し、まとわりついてくる。思わず振り払うと、コウモリが結集して、独特な髪型の、全身漆黒の少女のカタチになる。口元に笑みを湛えるさまは、僕を嘲笑っているかのようだ。

 

 『やっぱり黙っちゃないか』

 《コイツが起き上がって来る前に"スカーレット"を仕留めたかったトコだがな……》

 『今は出来ることをやるだけだよ……!』

 《待って!》

 

 突然、コミューンから別の誰かの声がした。あわてて手に取ると、画面の中に―――――

 

 『キュアミラクル……!?どうしたの!?』

 《ほくと、お願い……わたしもいっしょに、戦わせてほしいの》

 『……!』

 

 小さな姿に浮かべる切なげな表情から、固い決意が見て取れる。

 確か……キュアミラクルとキュアマジカルは、プリキュアたちの中でも特に強い絆で結ばれた、互いが互いの半身のような存在―――――そう、東堂さんが言っていたのを思い出した。

 

 《今のあの子に、わたしの言葉は届かないってコトはわかるけど……でも、どんな方法でもいいの、わたしのこと……わたしが、『ここにいる』っていうことを、あの子に……リコに、伝えたい……!だから……》

 『わかった』

 

 僕は即断即決、即答した。

 理由は簡単だ。

 

 《ほくと!?……いいの?》

 『うん……言葉にして伝えられないこと……相手が『言葉を聞けない』状況だってこと……僕も同じような経験があるからね』

 

 元々僕も、言葉にするのはどちらかといえば苦手だ。だから、だろうか。僕が武道に打ち込んで、『言葉以外の会話術』へと傾倒してしまったのは―――――

 東堂さんに想いを伝えられないのも、ひとえに僕の『弱さ』に他ならないのかもしれない―――――

 

 『でもそういう時だって……不器用な僕にも、言葉を、"想い"を伝える方法があるんだ。口でも目でも、顔でも語らない―――――』

 

 僕は左手の甲、『キュアットサモナー』に意識を集中する。

 

 『拳で語る』

 

 ピンク色のキュアチップが現れ、それを手にすると、僕はコミューンに迷わずセットした。

 

 『キュアチップ、『キュアミラクル』!』

 《ふたりの奇跡!キュアミラクル!!》

 『ミラクル……キミの想いを伝えるのを、僕が手伝う……僕がキミとキュアマジカルの―――――』

 

 

 

最 後 の 希 望 だ

 

 

   〈KAMEN RIDER NADESHIKO〉 

 ⇒ 〈KAMEN RIDER WIZARD〉

   〈KAMEN RIDER BEAST〉

 

 《LIFE IS SHOW TIME! FROM FINAL HOPE!!》

 

♪SHA BA DO BE TOUCH HENSHIN! SHA BA DO BE TOUCH HENSHIN!♪

シャバドゥビタッチヘンシーン!シャバドゥビタッチヘンシーン!

 

キュアっと―――――変身!

 

FLAME! PLEASE!! HE! HE! HEHEHEEEE!!

フレイム!プリーズ!!ヒー!ヒー!ヒーヒーヒー!!

 

 コミューンから魔法陣が放たれる。仮面ライダーウィザードのモノ―――――とは、見た目が違う。

 五芒星と5つのハートマークを組み合わせた円形の魔法陣。たぶん、『魔法つかいプリキュア』の魔法陣か。

 それが僕の右側から僕の体を通過して、灼熱の魔力が僕の全身を満たしていく―――――

 

 《CURE-MIRACLE! INSTALL TO DATEAR!! INSTALL COMPLETE!!》

 

 

()(セキ)(ライ)(ホウ)

 

キュアデーティア……"ミラクルスタイル"!

" ル ビ ー モ ー ド " ! !

 

 《いきなりルビーのチカラ!?……ってゆーかさっきの歌って何?しゃばどぅび……???》

 《……歌は気にすんな。魔法使いの仮面ライダー……ウィザードの基本フォームは"赤"なんだぜ!》

 

 ミラクルが驚くのも無理ないか。

 東堂さんから、『魔法つかいプリキュア』の『基本フォーム』は『ダイヤモンド』と聞いていたけど、ここは"僕流"で行く。

 データの言う通り、まずは基本の―――――『赤』から、だ。

 なんとなく、童話に出てくる女の子のような姿だ。髪は……大きなツインテールか。相手の目を引くのに使えるかも。

 

 《……こうして近くに来ると、はっきりわかる……"そこ"にいるんだよね……リコ》

 

 心の中、ピンク色の光の球体の中に現れたミラクルが、目の前に立つ"ホワイト"―――――否、"マジカル"を見つめる。

 しかし対する"マジカル"は、肩を揺らしながら、息を弾ませこちらを見ている。その口元が、ゆっくりと開いて―――――

 

 『…………ミ……ラ、イ……………………』

 《……!そうだよ、みらいだよ!リ―――――》

 

 一言だけ発した言葉に、ミラクルの瞳から涙があふれる、でも―――――

 

 『……!!、シロ……クロ……モット、モット!モットマエニィィィィィ!!!!』

 

 不意に頭を抱えて奇怪な叫び声をあげたと思うと、"マジカル"は我慢できないとばかりに躍り掛かった。

 

 『!』

 

 とっさに僕は、飛び退いて回避する。それと同時に心の中のデータが叫ぶ。

 

 《ミラクル!今のコイツとは落ち着いて話せる状況じゃねぇ!》

 『だから……言葉以外のチカラに想いを乗せる!』

 《……うん!ほくと、お願い!リコを……ううん、マジカルとスカーレットを助けて!》

 

 僕は頷いて再度飛び上がって間合いを取り、改めて"マジカル"を見据えた。

 

 『ぶっつけ本番、理屈もわからない僕にどこまでできるか、わからないけど―――――』

 

 

―――――さぁ、ショータイムだ。

 

 

 確か―――――前にミラクルの力を使った東堂さんが、呪文を唱えてたっけ。

 のんや、こども園の子供たちが無邪気に唱えたその呪文を、僕は呟く。

 

 『―――――キュアップ・ラパパ』

 《CONNECT! PLEASE!!》

 ―――コネクト!プリーズ!

 

 僕のすぐ右側に、魔法陣が現れる。迷わず僕は右腕を突っ込んだ。

 中にあった"それ"を手に取り出すと、先端にハートのカタチがあしらわれた杖―――――『リンクルステッキ』が引き出されてきた。

 

 《りんくもそうだったけど……ほくとも魔法使うの初めてだって思えない……》

 《『魔法ヒーロー』に関しちゃ、ほくともりんくもしっかり予習してるからな。もっとも"参考書"が違うから、使い方は全然違うがな》

 《それって、さっきデータが言ってた『仮面ライダー』さんのコト……?》

 《おうよ!……魔法界とは別の、『ナシマホウ界』とも違う世界の"魔法つかい"だぜ?そそられね?》

 《それって、なんだか……ワクワクもんだぁ……!》

 『興味を持ってくれて嬉しいよ。じゃ、早速!』

 

 もう一度、僕は呪文を唱える。

 

 『……キュアップ・ラパパ!』

 《BIND! PLEASE!!》

 ―――バインド!プリーズ!

 

 しっかりと念を込めたステッキを"マジカル"に向けると、"マジカル"の左右と足元に真紅の魔法陣が現れ、その中から鋼鉄の鎖が伸びて、あっという間に"マジカル"の両手両足を拘束した。

 

 ―――――できた!

 

 《すごい!これが仮面ライダーさんの魔法!?》

 『"キミ達の呪文"を使ってるから、真似事に過ぎないけどね』

 《初めてにしちゃやるじゃんか》

 『"魔法"は、『想いを現実にすること』……東堂さんが……メモリアルが、見せてくれてたからね』

 

 とはいえ、歴代のライダーの技の中でも、最も人智を超えた技である、ウィザードの魔法をこの手で再現出来るなんて……

 なんだか僕も、『ワクワク』してきた……!

 

 『ホッヂャァァァァァァァァァァ!!!!』

 

 と、"マジカル"は鎖を自力で引きちぎった。胸の辺りが赤く、煌々と光っているのが見て取れる。

 

 《あちらサンも"赤の姿"に化けたみたいだな》

 《ルビーのチカラは物凄いパワーが出せるの……!ほくと!》

 『それはこちらも同じコト……近づかれる前に、押しつぶす!』

 

 今一度、僕はステッキに念を押す。

 

 『キュアップ……ラパパッッ!』

 《BIG! PLEASE!!》

  ―――ビッグ!プリーズ!

 

 ステッキを左手に持ち替え、目の前に出現した赤い魔法陣に、僕は思いきり右の張り手を打った。すると、魔法陣を通過した僕の腕が直径3メートルほどに巨大化して繰り出される。ドラマでもウィザードがよく使っていた、腕を巨大化させての攻撃―――――

 

 ―――――ガシィッ!!

 

 ―――――を、止められた!?いや、僕の腕の感覚からして、抱え込むように掴まれてる!?

 まずい!……というか、巨大化した僕の腕で視界がふさがれてしまって、相手の様子が見えない!?何がどうなってるんだ……!?

 

 《本気(マジ)か!?》

 《本気(マジ)でぇっ!?》

 『……本気(マジ)だ……!!!!』

 

 次の瞬間、僕はふわりと浮かされたと思うと、思い切り上空へとぶん投げられた。

 

 『《《うわぁぁぁぁ!?》》』

 

 天地がひっくり返って、みるみる地面が遠ざかっていく。視界の中、さっきまで僕達がいたその一点が、赤色に輝いている―――――

 その輝きが、"青"に変わるのが、確かに見えた。

 

 『青に光った……!』

 《……追ってくるよ!気を付けて!》

 《空中戦の"青"に化けたか……!》

 『ならこっちも、"青"で迎え撃つ!』

 《おいほくと!?ウィザードの"青"って―――――》

 

 ―――――それはわかってるさ。

 でも敢えて、僕は"マジカル"と同じチカラで勝負したいんだ。

 そうしなきゃ、はっきり伝わらないじゃないか―――――

 ミラクルの、マジカルへの『想い』が。

 

 ―――――『常に同じ姿』で戦っていた、『もうひとりの自分』への『コトバ』が……!

 

WATER! PLEASE!! SUIII SUIII SUIII SUIIIII♪

ウォーター!プリーズ!!スイ~スイースイースイ~

 

" サ フ ァ イ ア モ ー ド " ! !

 

 確かこの姿は、水中戦だけじゃなく、空中戦にも特化していると聞いている。

 スタイルはウォーターなれど、特性の中にハリケーンも含まれているということか―――――

 

 『イヤダワ』

 『……!!』

 

 空中で受け身を取って体勢を整えた瞬間だった。

 背後から、舐めるような気配が登って来たのは。

 

 『……ハヤク、スリツブサナイト』

 『"水"を簡単に潰せるとは―――――』

 

 僕は素早く振り返りながら、コスチュームの一部分の羽衣を放った。

 

 『思わないことだね!』

 

 しかし―――――

 

 『ファビュラスマックス!!』

 

 紙一重でかわされた。

 まぁ、師匠から"布術(ふじゅつ)"を習い始めたのはちょっと前からだから、いきなり実戦投入したところで付け焼刃になるのは当然だったのだけど。

 

 《その使い方、フツーの発想じゃないかも……かく言うわたしも一度使ったけど……

 《ほくとは『使える』と判断したモンはなんだって使うのさ。キッチンならフォークを投げたりイスで殴ったり……カンフー映画なんか参考になるぜ?》

 『そういうコト。水、即ち変幻自在……こんな使い方も出来るよ!キュアップ、ラパパ!』

 《BIG! PLEASE!!》

 ―――ビッグ!プリーズ!

 

 今度は羽衣を巨大化させつつ、"マジカル"の周囲を包囲するように伸ばして―――――延ばす。さすがは魔法つかいのコスチューム、力を込めればどこまでも伸びる!

 やがて、"マジカル"を中心とした"羽衣のリング"が空中に出来上がった。

 

 『ちょっとだけ"魔法使い"は中断だ。データ、ミラクル―――――』

 

 

 

 

ひとっ走り、付き合えよ。

 

 

 

 

   〈KAMEN RIDER MAJA〉 

 ⇒ 〈KAMEN RIDER DRIVE〉

   〈KAMEN RIDER MACH〉

 

 

 《BRAIN CELLS TOP GEAR! ALL WE NEED IS DRIVE!!》

 

 《そう来るか……!いいぜ、考えんのはやめて脳細胞トップギアでブッちぎれ!!》

 《い、今、『考えるのをやめる』って言いました!?だ、大丈夫!?》

 《シートベルトをきちっと締めてりゃ問題無ェ!!》

 《ココ、ベルトなんてないけど~!!??》

 

 《HISSAAATSU(ヒッサーーツ)!! FULL THROTTLE(フルスロットル)!!SPEED(スピード)!!!》

 

 "羽衣リング"の中心にいる"マジカル"に、車輪代わりの高速回転する青い魔法陣をぶつけて抑え込み、動きを止める。それを見計らい、僕はそこへ思い切り勢いをつけて蹴り込んだ。一撃目の蹴りが命中する、その勢いで高速回転している"羽衣リング"を蹴り返し、再度"マジカル"へと蹴り込み、またリングを蹴って―――――を、角度を変えながら、相手の息つく暇も与えぬほど連続で叩き込む。

 これこそ、『仮面ライダー史上最も恐ろしいライダーキック』と称された、仮面ライダードライブ・タイプスピードの必殺技―――――!

 

 

ス ピ ー ド ロ ッ プ

 

 

 『ガガガガガガガガガガ!?!?!?!?!?!?!?!?』

 

 魔力を機動力に変換する"サファイアモード"なら、超高速で相手を翻弄するこの技も再現可能だ……!

 悪いけど、キミだけでもここで"鎮める"……!キミの―――――いや、キミの中に封じられている『彼女』の帰りを、待っている人がいるんだ……!

 

 《戻ってきて―――――お願い!》

 

 

 

 

 

 

リコーーーーーーーーーっっっ!!!!!

 

 

 

 

 

 

 

 SAVE POINT……

*1
主にアメコミのヒーローに存在する概念で、ヒーローをサポートする『相棒』や『助手』のような存在。ヒーローに助けられたり、ヴィラン(悪者)の悪事や事故によって身寄りをなくした10代の少年少女が、ヒーローに弟子入りすることでサイドキックになることが多い。中には正体を知られてはいけないヒーローの正体を独自に突き止めて接触、自身の情報収集能力を売り込み、押し掛け的にサイドキックになった例もある。なお、きちんとヒーローから一人前と認められ、独立してヒーローになったサイドキックは実は多くなく、師事していたヒーローが戦死してその名跡を継いだり、ヒーローと決別して独自のヒーロー名を名乗って勝手にヒーロー活動を始めるケースもある。無論、サイドキックが志半ばで戦死したりすることも珍しくなく、さらにはヒーローや正義に絶望し、『闇堕ち』してヴィラン側に回ることすらある。著名なサイドキックとして、『バットマン』の『ロビン』や、『キャプテン・アメリカ』の『バッキー』等がいる。ヒーロー物に限らなければ、『シャーロック・ホームズ』における『ワトソン』もこれに該当する。近年、『僕のヒーローアカデミア』のヒットによってこの言葉を知った方も多いと思われる。

*2
元号が『令和』に変わってから初めて製作された仮面ライダーである、『令和仮面ライダーシリーズ』第1作。大企業・飛電インテリジェンスが開発した、人間と遜色ない外見のAI搭載人型ロボット『ヒューマギア』が普及している世界を舞台に、暴走したヒューマギア『マギア』と、それらを発生させるテロリストグループ『滅亡迅雷.net(めつぼうじんらいネット)』と戦う、飛電インテリジェンスの若き社長・飛電或人(ひでんあると)=仮面ライダーゼロワンの活躍を描く。ヒューマギアが働いている『仕事』や、本来『心が無い』はずのヒューマギアが見せる『人間性』を通じて、『社会に導入される先進技術と、これから我々がどう付き合えばよいか』という、将来必ず現実の社会に突きつけられるであろう『重い』テーマを扱いながらも、ライダーたちの必殺技の名称が画面いっぱいに大仰に表示される演出や、スピーディな展開、そして主人公である或人の、正義感に溢れる熱く明るい性格(あと時折繰り出されるウケないギャグ)もあり、作品全体の雰囲気は比較的明るい。ライダーシリーズで初めて、放送当初からレギュラーキャラとしての女性仮面ライダー(仮面ライダーバルキリー)が登場したことも話題となった。2019年最後の放送で滅亡迅雷.netが(表向き)壊滅、2020年初頭からは飛電インテリジェンスのライバル企業・ZAIA(ザイア)エンタープライズの台頭と、ZAIAの社長・天津垓(あまつがい)が変身する新たな戦士『仮面ライダーサウザー』、原因不明の暴走を見せるマギア、そして、人間がプログライズキーを用いて変身する新たなる敵『レイダー』が登場する、『ZAIA編』とも呼ぶべき新章に突入している。

*3
対戦格闘ゲーム『ストリートファイター』シリーズに登場するインドのヨガ修行僧『ダルシム』のこと。口から火を噴く、関節を外して手足を伸ばして攻撃する、テレポートするなど、格闘ゲーム界の元祖色物キャラクターのひとりにして、1990年代前半の日本全国の子供達に『ヨガ』の何たるかを全力で誤解させた元凶でもある。ただ、ファイトスタイルこそ色物であるがそこは徳の高い僧侶、『聖者』と呼んでも差支えの無いシリーズ屈指の人格者なので、あまり変な目で見てはならないのかもしれない。最新作『ストリートファイターⅤ』では、白髭をたくわえ、頭にターバンを巻いた、加齢を感じさせるとともに威厳を増した姿になっているので必見。

*4
特撮作品群『メタルヒーローシリーズ』の初期3作品『宇宙刑事シリーズ』に登場した、シリーズ名物といえる愛すべき脇役『大山小次郎』のこと。善良な宇宙人とのコンタクトを夢見るお人好しの青年で、第一作『ギャバン』ではUFO専門のルポライターとして登場、第二作『シャリバン』ではUFOだけではなく超常現象にも取材範囲を広げていた。続く第三作『シャイダー』では一転、ペットショップのオーナーになっていたが、オカルト雑誌を愛読しているなど宇宙へのロマンは忘れていない様子。三部作すべてで歴代宇宙刑事たちと親交を深め、3人の宇宙刑事全員と交流した、劇中唯一の地球人となった。しかし、彼らが宇宙刑事であることを知ることはついになく、度々事件に巻き込まれていた。データが彼を『哀れ』と称したのは、とある回の次回予告で『宇宙人とコンタクトしようと哀れな努力を続ける小次郎』とナレーターに断じられてしまったコトに由来する。以降某動画配信サイトでは、東映特撮作品における『毎回のようにレギュラー出演して、その都度事件に巻き込まれる三枚目のコメディリリーフ』を『哀れ枠』と呼んで親しむ(?)ようになった。なおそんな小次郎サンであるが、テレビシリーズのその後を描いたVシネマ『宇宙刑事 NEXT GENERATION』では、民間のエネルギー研究所の所長を経て、なんと宇宙刑事たちが所属する銀河連邦警察に自らも所属、腕利きのサイバー犯罪捜査官として活躍しているという、テレビシリーズの哀れな扱いから一転した大出世を遂げ、ファンを驚かせるとともに、テレビシリーズから約30年経ち、年相応に老いはしたものの、当時と変わらぬ人好きのする飄々とした人柄を見せ、健在ぶりをアピールした。

*5
『通し』とも。当て身技を主体とする武術『骨法』の技術のひとつ。中国拳法の浸透勁と似ており、相手が分厚い鎧を着ていたとしても、鎧の内側の肉体にダイレクトにダメージを与えることができるという。

*6
『ワンインチパンチ』のこと。香港映画伝説のアクションスター『ブルース・リー』が用いた寸勁で、『最小限の動作で最大限の破壊力を生み出す』とされる。リーが学んだ詠春拳、周家蟷螂拳の技術の応用らしい。仮面ライダーシリーズでは『仮面ライダーフォーゼ』の2号ライダー『仮面ライダーメテオ』が披露したことがあり、その際はなんと主人公・如月弦太朗に向けて放たれ、彼を一度死に至らしめている。ちなみに『詠春拳』は仮面ライダーゴーストのアクションにも取り入れられており、流れるようなしなやかな動作が特徴。

*7
勁の一種であるが、本来中国武術に浸透勁という語は存在しないらしい。日本で一般化した概念であるらしく、インパクトの際に工夫することで『物体内に衝撃を万遍無く伝播されられる』技法であるらしい。




 用語解説

 メモリア・ライジングサンダー

 拳にイーネルギーを集中させ、電撃状にスパーク。
 そのまま、イーネルギーを込めた拳で全力パンチを行うキメ技。
 キュアメモリアの最強キメ技で、キュアメモリアルも使用可能。

 プリキュア・メモリアルフラッシュ

 イーネルギーを集中して、フルドライブ状態に移行したキュアメモリアルのキメ技。
 イーネドライブから出現した『タッピンスティック・メモリアルロッド』から、高密度イーネルギーの奔流を放射、バグッチャーを呑み込み、浄化してデリートする。
 この際、リボンの『∞』状に結ばれている部分が粒子加速器の役割を果たし、イーネルギーが集束、高速回転する。

 ――――――――――

 なんと、『まほプリ』で使用されていた『魔法文字』のフォントにハーメルン様が対応されていたので、使わせていただきました!
 少しはまほプリっぽい雰囲気が出せたでしょうか……??
 果たしてミラクルの想いは囚われのマジカルに届くのか……
 いいところですが、また次回で。

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