リズムスタイル
属性:音
戦力分析 力:3 技:4 速:2 防:2 知:5 特:4
『スイートプリキュア』のサブリーダー、『キュアリズム』のキュアチップを、ネットコミューンにセットしてレジェンドインストールした、『インストール@プリキュア』の音奏戦闘形態。
スカート部に備えられた『ストリングプリーツ』から特殊な超音波を発振し、周囲の物体から跳ね返ってきた音波を再受信することで、物体の位置を把握することができる。
これは潜水艦のアクティブソナーや、コウモリやクジラが使う『エコーロケーション』と同様の原理であり、たとえ完全な暗闇の中や、目や耳が完全に塞がれていようとも、周囲の状況をほぼ完璧に把握することが可能となっている。
『ファンタスティックベルティエ』は、一定の空気振動である『音波』を、ハーモニーパワーを介し、周辺の媒質である気体や液体の流れを収斂・集束して制御することが可能なハンドベル型ツール。
これを用いて放つ『プリキュア・ミュージックロンド』は、音波を円環状のフィールドに集束・固定して発射する『可視化された音波の輪』。
この輪は、輪の内部に対して指向性が持たされており、標的を拘束して捕らえた後、円環内フィールドに超高周波振動を継続的に発生させることで、標的やその周囲を振動そのもの、またはそれによって発生した高熱によって分解・ないしは溶断する。
ベルティエを2つに分離したベルモードで放つ『プリキュア・ファンタスティックピアチェーレ』は、中空に描いたハート型フィールド内に、絶え間ない超高周波振動を発生させることで空気を熱し、プラズマ化させて発火させた『音の炎』。
フィールド周囲の空気振動さえもベルティエで制御しているため、有効射程距離は意外に長い。
レモネードスタイル
属性:光
戦力分析 力:1 技:5 速:4 防:2 知:3 特:4
『プリキュア5』のメンバー、『キュアレモネード』のキュアチップを、ネットコミューンにセットしてレジェンドインストールした、『インストール@プリキュア』の麗弾戦闘形態。
パワーは他のスタイルに比べてやや非力であるが、それを補う技の数々と高機動力で相手を翻弄する。
ハッピースタイルとほぼ同様の原理で『光』をエネルギー源とするが、放出の際は『光の指向性』、およびその制御に重点を置いており、直接的攻撃力はそれほど高くはない。
『プリキュア5』共通装備である、両拳の甲の『バタフライエフェクター』から、黄金色の光を引き出し、解き放つ。この際、『バタフライエフェクター』の効果によって、放出された光は蝶の形に知覚される。
この『光の蝶』を高速生成、広範囲に連射する『プリキュア・レモネードフラッシュ』は、他のプリキュアの技と比較して、一発当たりの弾速は遅く、攻撃力も高くない。
しかし、その真価は『広範囲に低速弾を無数に発射することで相手を牽制、行動範囲を必然的に狭め、機動力を奪う』ことにある。
さらにこの『蝶形光』を相転移させて制御し、鎖状に連結して振るう『プリキュア・プリズムチェーン』で、敵を直接捕縛することも可能。
捕縛から攻性エネルギーを電流のように流してダメージを与えることもできるほか、広範囲に無数のチェーンを放ったり、地面にチェーンを潜らせて敵の地面の下からチェーンを『奇襲』させたり、回転させて防御を行ったり、チェーン自体を鞭のように振るうことで武器として扱ったり、更には敵に巻き付けて再度相転移を行って『起爆』―――――
と、攻防一体、変幻自在のマルチツールとして扱うことができる。
『プリキュア5』のメンバーの中で、レモネードは一撃必殺級の強力な技を持っていない。しかし、撹乱や援護に特化した多彩な能力は、集団戦闘を前提とした能力を持つ『プリキュア5』には必要不可欠な存在なのである。
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メモリア「やっぱりせんせいがいっちば~ん!ふんす!」
データ「アタシ的にはお師さん1位なんだけどなぁ~」
マリン「ゑ?アタシが3位?ま、まぢでアタシの時代来ちゃった!?」
いやぁ、プリキュア大投票、スゴかったですねぇ……
プリキュア部門では"せんせい"と"お師さん"ことブラック・ホワイトがワンツーフィニッシュ、作品部門も主題歌部門も初代が1位と、まさしく『原点にして頂点』を見せつけられました……
NHK様、神企画をありがとうございました!!
そしてついに始まった令和ライダー・ゼロワンですが、アクションもさることながら見た後にちょっとした切なさを感じるのは稚拙だけでしょうか……
『特撮版BEETLES』、もしくは『戦うプラスティック・メモリーズ』と稚拙は勝手に思ってるのですが……
さて遅ればせながらエグゼイド編の続きです。
遂に登場したエグゼイドVSネガキュアバグスターの戦いを送信!
……NOW LOADING
『仮面ライダーエグゼイド』とは、20XX年10月2日から20XX+1年8月27日まで、テレビ夕陽系列で毎週日曜9:00 - 9:30に全45話が放送された特撮ヒーロー番組である。
仮面ライダーシリーズ生誕45周年記念作品として製作された本作は、ライダーのモチーフに『ゲーム』、ストーリーの骨子として『医療』を据え、『人間にも感染するコンピューターウイルスと戦う医師たちの群像劇』が描かれた。
ライダーたちの人間関係は物語の中で目まぐるしく変化し、1話見逃してしまうと敵だったライダーが味方に、味方だったライダーが敵になっていた、果ては死んだはずのライダーが復活、ということもままあり、ファンにとっては1話たりとも見逃せないジェットコースター的展開であった。
主人公の宝生永夢を中心に、当初はバラバラでライダー同士の戦いにすら発展することもザラであったライダーチームが、後半に移行するにつれて結束を深め、抜群のチームワークを発揮するようになったことは特筆すべき点であろう。
個性豊かな登場人物たちが織りなす人間ドラマを中心とした骨太のストーリーはファンにも好評となり、メインターゲット層である子供達にも、変身ベルト・ゲーマドライバーをはじめとする玩具類は大ヒット商品となった。
放送終了後にも映画・Vシネマ・小説において後日談が展開され、中でも時系列上の完結編と云える小説版は、それまでの映像作品で培われ、ファンに定着した『永夢のイメージ』を180度変えるものであるとして、今でもファンの間で議論の的となっている。
だが、結果的に1人のシナリオライターによって徹頭徹尾描かれたのは『"命"をめぐる物語』であった。
『ゲーム』と『医療』という、一見無関係に見える2つの要素が、『命』という共通のファクターを経て融合し、それによって生みだされたキャラクターたちが彩る物語は、多くの特撮ファンの支持を得て、未だにその人気は衰えていない。
間違いなく、『平成ライダーシリーズ』はもとより、『特撮作品』というジャンル全体においても、傑作に値する作品であると云えるだろう。
―――――『ネット百科事典・Curepedia』より一部抜粋、加筆
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『白昼夢』というのだろうか、これは―――――
それとも、あまりにも非現実的な出来事に触れすぎたが故に、僕のアタマがついにおかしくなったのか?
《お……おい……コイツは……!!》
データも僕と同じ心境だったらしく、唖然とした声を上げている。
僕の目に映る仮面ライダーエグゼイド*1は、画面越しに見るエグゼイドと、明らかに違っていた。
所謂『スーツ』じみているわけではなく、各部分から金属の光沢を煌々と放っている。左胸のパネルには、残存体力を示す『ライダーゲージ*2』が表示されているけれど、スーツのモノとは違った『映像感』がある。液晶パネルそのものが、胸に埋め込まれているようにも見える。変身ベルト―――――『ゲーマドライバー*3』の前面パネルもまた、テレビ画面のように鮮やかに表示されている。
そして、仮面ライダーを『仮面ライダー』たらしめる複眼『アイライトスコープ』は、ライダーゲージと同じく映像のような外見になっていて、ゴーグルの中で時折まばたきする様も見える―――――
総じて―――――『着ぐるみでは到底繕えない現実的存在感』を、その全身から醸し出していた。
『テレビの中から飛び出してきた』―――――否、そんな言葉で
『最初から現実に仮面ライダーエグゼイドが存在していて、今この瞬間、僕の前に初めて姿を現した』―――――
そう表現するに相応しい程の情報量を、この"仮面ライダーエグゼイド"は、僕に向けて放っていたのだった。
よく知っているようで、その実はじめてこの目で見た『現実の仮面ライダー』は―――――
―――――僕には、鮮烈すぎた。
「永夢くん!……永夢くんでしょ?」
いつの間にか僕の後ろに立っていた園長先生が、非現実的な背中に訊ねる。
親しげに声を掛けるその姿に、違和感を禁じ得ない。
なぜなら……もし、このエグゼイドに変身しているのが、
聖都大学附属病院*4の研修医―――――宝生永夢先生なら―――――
彼は実在しているハズはなく、そして当然、園長先生が顔見知りのハズも無い。
せいぜい、ドラマを見て知っている、くらいのハズ、なんだけど―――――
エグゼイドはこちらをちらと見て、すぐさまネガキュアバグスターへと視線を戻して―――――
『―――――……園長先生―――――久しぶり』
え……!?
思わず僕は、園長先生とエグゼイドをかわるがわる見ていた。
『話したいことは山ほどあるけど……今はその子と一緒に下がっててくれ』
まさか―――――本当に、永夢先生なのか……!?
それに、先生と顔見知りなんて……
今更ながら、何が現実で、何がフィクションなのか、その境界すらわからなくなってしまった。
データが僕のスマホの中に現れ、バグッチャーと対峙して、プリキュアに変身した時以上に、僕はこの『非現実感』の中、混乱の極みにあった。
僕が憧れたヒーロー、その"ホンモノ"を前にしているというのに、僕は―――――
一歩も動けず、一言も喋れずにいた。
『……見たことのないバグスターだな。オレがプレイしたことのないゲームのキャラ、か……でも』
《
エグゼイドの手に、
《
音声と当時に刀身がそそり立った。
仮面ライダーエグゼイドが使用する、『マイティアクションXガシャット』に登録された
"激打撃斬"『ガシャコンブレイカー*5』だ。
これもまた、テレビドラマで見ていた
ドラマでは剣と一体成型で表現されていた『ブレードエリミネーター』が、燃える炎のように刀身から立ち昇っていたからだ。
『刀身そのもの』じゃなく、『斬撃に沿って放ったレーザーワイヤーで攻撃している』という、ドラマの設定に合致したその外観が、『ホンモノの説得力』を僕に焼き付けてくる。
『初見プレイでも、ノーコンティニューでクリアしてやるぜ!』
聞き慣れたキメ台詞を放ったエグゼイドは、一瞬でネガキュアバグスターの間合いに入ったと思うと、一太刀、そして返す刀で二太刀目を浴びせた。
命中する度に、HIT!というエフェクトが立体的なアニメーションともに飛び出す。まさしく、ドラマさながらだ。
『つぅ……!ったいわね~!プリキュアで武器使うなんて悪者の常套手段じゃない!邪道よ邪道!!』
『邪道?使えるシステムやアイテムをフルに使って攻略するのが、ゲームのルールだろ!……でもま―――――』
やれやれと首を振ったエグゼイドは、ガシャコンブレイカーをハンマーモードに《
『いいぜ?―――――来いよ!』
―――――右手の指を揃えてくいくいと曲げて、相手を挑発する。
『っっっきぃぃぃ~~!!!なめんじゃないわよっっっ!!!』
仮面に被われていても、その奥の表情が簡単に想像できるほどの怒りのリアクションを見せると、ネガキュアバグスターはまっすぐエグゼイドに向かっていき、がむしゃらに仕掛ける。対するエグゼイドは、その攻撃をかいくぐりながら、パンチやキックを的確に打ち込んでいく。一目で『格が違う』ことがわかる戦いぶりだ。
《……やっぱ……………………すげぇ》
力の抜けたデータの声が、いやに鮮明に聞こえた。
僕は―――――もう、なにも語ることはできなかった。
僕の五感、そのすべてに叩きつけられる、圧倒的な―――――
ホ ン モ ノ
『おいおいその程度かよ?"魅せプレイ"もできやしないぜ。ちょっとは"魅せ場"を作らせてくれよ、なっ!』
エグゼイドはひらりとネガキュアバグスターを跳び越すようにジャンプして、上空に浮かんでいた黄色いメダル―――――"エナジーアイテム*6"をキャッチした。
《
『行くぜ!』
着地したエグゼイドは、残像を残すほどの超スピードで疾走し、ネガキュアバグスターの周囲を旋回して翻弄する。この状態のエグゼイドにネガキュアバグスターは攻撃はおろか触れることさえ出来ず、繰り出す攻撃は全てMISSの文字が浮かぶ。時には背後に立ってトントンと肩を叩き、相手が振り返ると同時に回り込んで視界から消える、という余裕まで見せつけた。
『こんな……こんな遊び半分のヤツなんかに……!』
『遊び半分なんかじゃないぜ?オレはいつでも全力だ!全力でプレイして、全力で戦って―――――』
最後に真正面に回ったエグゼイドが、ミドルキックを叩き込みながら叫ぶ。
『全力で
―――――GREAT!
ひるんで吹っ飛ぶネガキュアバグスターに、エグゼイドは向き直る。
『―――――そうすることが、オレが……いや、『オレ達』が、この手の中に見つけた"答え"だから』
「……!」
気持ち、エグゼイドの視線がうつむき加減に下を向くように見えたのは、たぶん気のせいじゃない。
本当に彼が―――――僕がテレビで見ていた宝生永夢先生なら、やっぱり―――――
『なにカッコつけてんのよ……バカバカしい!私は『生きたい』、それだけなのに!』
『だからって他人を犠牲にしていいってのはムシが良すぎるぜ―――――あ』
エグゼイドが何かに気付いたのか、ネガキュアバグスターを指差す。
『ソコ、危ないぜ』
いきなりそう言われて怪訝に思ったのか、ネガキュアバグスターは面食らったようにその場で動きを止めた。そこへ―――――
―――――ヒュゥゥゥゥゥゥゥゥ~~~~~~~……………………ン、
―――――GREAT!
さっき、『邪道』と言われて上空へ投げ上げたガシャコンブレイカーが、ネガキュアバグスターの頭のてっぺんに見事に落っこちてきた。
『!!!!!っつぅぅ~~~~~……………………!!!!』
ネガキュアバグスターは悶絶して頭を押さえてのたうち回った。ギャグマンガでよく見るような光景が繰り広げられている。
『言わんこっちゃない……さて、フィニッシュだ!』
エグゼイドはゲーマドライバーから板状のツール―――――『ライダーガシャット』を引き抜き、さながら口元から息を吹きかけるような仕草を見せると、ベルトの左側面のキメワザスロットに差し込んだ。
《
両手を組んで、身体をほぐすように動かしてから、腰を低く構えたエグゼイドの右脚に、エネルギーが集中して、輝きを増していく。
意を決すように、エグゼイドはキメワザスロットの中のライダーガシャット、そのスイッチを押した。
ライダーガシャットが叫びを上げる。それを合図に一際激しくスパークするエネルギーを纏ったまま高々とジャンプしたエグゼイドは、跳び蹴りの姿勢に入ったと思うと、ネガキュアバグスターへと真っすぐに急降下キックを放った。
エグゼイド必殺のライダーキック―――――『マイティクリティカルストライク』。
通常のキックとは異なり、空中で数種類のキックを立て続けに決めるこの技は、数あるライダーキックの中でもテクニカルな技だ。
その瞬間の姿は―――――僕の脳裏へと深く刻み込まれた。
所謂『ライダーキック』―――――それも、『本物のライダーキック』を、この目にしたのだから。
迸る閃光、空気を裂く轟音、美しいまでの蹴り姿、連続で命中するキックの打撃―――――
五感で
―――――ドゴォォォォォォオオオオオン!!!!!!
エグゼイドが着地を決めると同時に、橙色の爆炎が轟音とともに巻き昇った。熱風が、座り込んでいる僕に土埃とともに襲ってきて、思わず僕は右腕で視界を覆った。
この熱、この風―――――これは、画面やスクリーン越しで見ている限り、決して味わえない臨場感―――――!
でも、内心興奮していた僕の視界―――――陽炎の向こうに、はっきりと見えた。
両ひざをついて、草の地面にばたりと倒れ込む東堂さんの姿を。
「……!東堂さんっ!!」
立ち上がるエグゼイドを尻目に、僕は思わず東堂さんに駆け寄って抱き起こした。
「東堂さん!大丈夫!?しっかり!!」
「……う……う~ん……」
よ、よかった……息がある……
流石は『ドクターライダー』の異名を持つエグゼイドだ。東堂さんに傷一つ負わせることなく、バグスターだけを"切除"してくれたみたいだ。
「歩ける!?」
「……な、なんとか……」
東堂さんはうつろな目をしていたけど、どうにか僕の言葉に応えてくれた。僕は東堂さんに肩を貸すと、土手のへりまでどうにか連れて行くことができた。
《おい、様子がおかしいぞ……?りんくもメモリアも、まだキツそうじゃないか……!?》
データにそう言われて、僕は東堂さんの姿を見やった。オレンジ色のノイズが、顔や腕に走る様が治まっていない。
それに―――――
もしバグスターの完全撃破に成功していたなら、GAME CLEAR!の表示が出るはず。それが出ない、ということは―――――!?
『まだゲームは続いてるってことか』
エグゼイドがそう呟いたのを合図としたかのように、先程ネガキュアバグスターが撃破された場所に向かって、無数のオレンジ色の粒子が集中していき、結合して増殖し、人型を成していく。そして―――――
『……よくも……よくもやってくれたわね……!まさかプリキュア以外のヤツにコケにされるなんて……!――――――――――悔しい……!』
『マイティクリティカルストライク』をどうやって避けたかはわからないけど、倒されていなかったのか……!
エグゼイドが言ったとおり―――――まだ終わっていない!
白黒のシルエットが、悔しさからか身体を震わせている―――――
――――――――――!
背筋を舐められるような悪寒が、一瞬奔った。
何かが―――――起こる……!
『くやしい……悔しいクヤシイKUYASHII口惜しい悔ヤSHIい――――――――――』
闇の底から響くような悍ましい絶叫を、ネガキュアバグスターが発した。一瞬、ヤツの白黒の仮面が、中心線から真っ二つに割れるのが見えたと同時に、その全身をバグスターウイルスが覆い尽くした。
「何が起こってるんだ……?」
『ウイルスの突然変異……!?』
エグゼイド―――――永夢先生もまた、戸惑っているようだった。
つまり、永夢先生が突然変異したウイルスを見るのは初めてということになる。
……となると、突然変異したバグスター―――――"ネビュラバグスター*7"を見たことが無い、のだろうか……?
やがて、球体状になったウイルスが破裂するように弾け飛び、そこには―――――
現れたのは―――――『ふたり』だった。
見た目も、白黒だったさっきまでの姿と違って、片方は短髪の黒、片方は長髪の白とはっきりしている。
ちょうど、さっきまでのネガキュアバグスターが―――――
「分離した、のか……!?」
《いや……多分違うな》
「え……?」
データは2体に分離したネガキュアバグスターを、苦々しい顔で睨んでいた。
《元々……メモリアとりんく、『2人』に感染してたバグスターだ……最初の姿は『2体分』が一緒くたになってたんだろうよ。それが、頭数を増やしてエグゼイドに対抗するために『元に戻った』―――――》
「それが……"こいつら"の本当の姿……なのか……」
黒いネガキュアバグスター―――――"ネガキュアブラック"は、エグゼイドをビシッ!と指差したポーズのまま叫ぶ。
『あたしたちが負けたのは、"ひとり"だったから!"ふたり"なら、絶対に負けない!!』
この言葉に合わせ、白いネガキュアバグスター―――――"ネガキュアホワイト"がずいと前に出る。
『覚悟してもらうわよ!』
心なしか、口調もさっきまでの『妖艶』な雰囲気から打って変わって、ハキハキとした正統派ヒロインのようだ。
ただ―――――この時、データが目を大きく見開いた驚愕の表情を浮かべていたことに、僕は気づいていなかった。
ネガキュアブラックが一歩踏み出したと思ったその時には、ソイツはその場から消えていた。
―――――どこへ行った!?
『だだだだだだだだだだだだだだだだ!!!!!!!』
次にネガキュアブラックを見た時には、エグゼイドに猛ラッシュを叩き込んでいた。エグゼイドと2人のバグスターとの間合いは6~7mはあったのを、一瞬で……!
受ける側のエグゼイドは、両腕を交差させて肩をすくめ、防御を固めていた。虚を突かれて間合いを詰められた以上、とっさの判断だったに違いない。
『……こ、のォッ!!』
右腕を大きく振り抜いて、エグゼイドはネガキュアブラックから間合いを離す。でもその時―――――
『はああぁぁぁぁぁぁぁッッッ!!!』
間髪入れず、今度はネガキュアホワイトが、ネガキュアブラックの頭上を跳び越すように、空中から錐揉み回転しながら踵落としを見舞う。防禦してクリーンヒットを避けたエグゼイドだけど、エグゼイドの立っている足元、その地面にヒビが入り、鈍い音とともに地面が沈み、エグゼイドのライダーゲージが2割ほど減少するのが見えた。
「
《空中で回転を加えることで破壊力を増すワザ……それにさっきの"ブラックモドキ"の猛ラッシュ……間違い無ぇ……!!》
データは確信したように言った。
《アイツら……!"お師さん"とメモリアの"せんせい"……キュアホワイトとキュアブラックの戦い方を完コピしてやがる……!!》
「えっ……!?」
《だとしたら……マズい!!》
データの危惧は、すぐに僕の眼前に現れた。
落ちていたガシャコンブレイカーを拾い上げたエグゼイドが、ハンマーモードを振り上げるようにネガキュアホワイトに命中させた。ガードするも勢いのまま吹っ飛ぶネガキュアホワイトの先に、ネガキュアブラックがジャンプする。示し合わせたように、黒と白が頷くのが見えた。
『でぇい……!!』
『やぁぁっ!!』
―――――空中で、黒と白が交錯する。
ブラックがホワイトの両足の裏をドッキングさせるように蹴り飛ばし、さっき吹っ飛んできた軌道をそのまま、先程以上の速度でホワイトが戻り飛び、その勢いを乗せてエグゼイドへと蹴り込んできた……!
『ぐぅぁッ!!』
「……!!」
「永夢くん!!」
土手ッ腹にキックを叩き込まれたエグゼイドが仰け反り吹っ飛ぶ。思わず僕は息を呑み、園長先生が悲鳴めいて永夢先生の名前を呼ぶ。
―――――よろめきながら起き上がるエグゼイドのライダーゲージが、一気に5割削れていた。
《やっぱりか……!脚力自慢の"お師さん"をメインに据えたタッグ技だ……メモリアと組んで2対2で組手した時に―――――》
「……データ、見たことがあるの!?」
《……いや、実際喰らったことがある……腹に》
「え……」
その技にトラウマでもあったのか、データは顔色悪くおなかをさすっていた。
『………………ッ
『随分と余裕みたいだけど……』
『やせ我慢はしない方がいいわよ?』
鳩尾を右手で押さえながら、ふたりのネガキュアバグスターを見据えるエグゼイドだけど、まだどこか、余力を残しているように見える。
―――――そうか。
「―――――……まだ、"基本フォーム"だ」
《……ほくと?》
「エグゼイドの本気は―――――ここからだよ」
彼が、僕の知っている『仮面ライダーエグゼイド』なら、こんなところでは終わらないハズだ。
実際に―――――彼はまだ、諦めていなかった。
『やせ我慢?冗談キツいぜ……最初はパターン見てからってのが攻略の基本……だから……―――――』
エグゼイドはスロットからマイティアクションXガシャットを取り出すと、ホルダーから新たなガシャットを取り出した。
その色は―――――オレンジと青緑。ツートンカラーの、幅広のガシャットだった。
『……、オレも"相棒"と戦わせてもらうぜ』
ラベル部分をネガキュアバグスターに示すように目前に掲げ、そのスイッチを押した。
大仰にも見えるアクションとともに、エグゼイドはドライバーを触発するようにゲーマドライバーのレバーを開閉する―――――
《
《
《
陽気な電子音声が響き渡ると同時に、大地を蹴ったエグゼイドが高々と天に舞った。
閃光とともに降り立ったエグゼイドは―――――
『ふたり』になっていた。
『『っ!?』』
その姿を見たふたりのネガキュアバグスターがたじろぐのが見えた。
無理もない。ふたりで、互いの肩のパーツ"フェイスアンブレイカー*8"を接続した左右対称のポーズを決めながら着地したこの姿は―――――
―――――平成ライダー……否、昭和の世から令和へと連綿と続く仮面ライダーたちの中で、最も異色とも云うべき仮面ライダーだから―――――
『仮面ライダーW』で披露された『ふたりでひとり』の仮面ライダーの逆をいく、『ひとりでふたり』の仮面ライダー、それが―――――
「……"ダブルアクションゲーマー・レベル
思わず、僕はその名を口に出していた。
オレンジとエメラルドグリーンを主体としたスーツのカラーリングが、僕の目に眩しく焼きつく―――――
『行くぜ―――――パラド』
エメラルドグリーンのボディカラーの、"
『ああ―――――心が躍るな、永夢』
もうひとりのオレンジ、"
『『超キョウリョクプレーで、クリアしてやるぜ!!』』
ふたり同時にふたりのネガキュアバグスターを指差すと、"R"はネガキュアブラックに、"L"はネガキュアホワイトに、まるで最初から示し合わせたように突撃していった。
SAVE POINT……
例によって字数が多くなりすぎたのでここまでです(涙
ダブルアクションゲーマーVSふたりはネガキュアのタッグバトルはまた次回で!!
さて、アンケートの結果、ピースのレジェンドライブの技名は圧倒的支持で『ライダーネタ』にけって~い!え~っと……コレ、プリキュア小説なんですけど……読者の皆様、そんなに仮面ライダーが好きか~!!(>▽<)
どのような技名になったのか、それは後々のお披露目をお楽しみに!!