インストール@プリキュア!   作:稚拙

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 バグッチャー大図鑑

 トゥインクルバグッチャー

 身長:5m
 属性:星
 実体化所要時間:5分

 第4話『マトリクスインストール!奇跡の新生@キュアメモリアル!!』に登場。
 アラシーザーが、財団Bの博物館『Bミュージアム』の屋上プラネタリウムの映写機制御プログラムと、キュアトゥインクルのキュアチップを使って生み出したバグッチャーで、現実空間に初めて実体化したバグッチャーである。
 プラネタリウム映写機から手足が生えたような外見であり、頭頂部から無数の『☆』型弾丸を発射して攻撃する。アラシーザーの指令で大泉町の中心市街地で破壊活動を行い、多くの死傷者を出す惨事を起こした。
 初変身を遂げたキュアメモリアルの初陣の相手となり、レジェンドインストールなどを駆使したキュアメモリアルの波状攻撃を叩き込まれてデリートされた。
 事実上、人類が初めて遭遇したバグッチャーであり、このトゥインクルバグッチャーの出現が、世界に大小の影響を与えることとなる……
 ユナイテーションワードは『煌めく夜空の星々よ、この安穏なる世界を、脆く、無慈悲に、醜く変えろ』。

 ハッピーバグッチャー

 身長:4m
 属性:光
 実体化所要時間:7分

 第5話『もうひとりのプリキュア登場!その名は@キュアデータ!』に登場。
 ネンチャックが、大泉中学校の図書室の蔵書管理プログラムと、キュアハッピーのキュアチップを使って生み出したバグッチャーで、初の『リーダープリキュア』を媒介としたバグッチャー。
 ボディを含め、無数の『本』が寄せ集まったような形態で、全身の本から無数のレーザーを放つことで、相手を寄せ付けない。さらに本は本体から分離し、浮遊しての自律行動が可能で、所謂『オールレンジ攻撃』も可能と、こと攻撃面では隙らしい隙の見当たらない強力なバグッチャーである。
 当初はキュアネット空間内でメモリアと交戦、圧倒的な攻撃能力で追い詰めるも、キュアデータの乱入で状況が変化、一度は敗北を喫するも、それは『本』を媒介としたダミーであり、本体が実体化するまでの時間稼ぎであった。
 本体が実体化後はキュアメモリアル、そしてキュアデーティアと交戦するが、デーティアの卓越した体術に成す術なく敗色濃厚となり、頼みのオールレンジ攻撃もトゥインクルスタイルにレジェンドインストールしたメモリアルに封じられ、最後はメモリアルの『プリキュア・メモリアルフラッシュ』でデリートされる結果となった。
 ユナイテーションワードは『聖なる幸運の光よ、その輝きを闇に染め、白紙の未来を黒く塗り潰せ』。

 ――――――――――

 プリアラ最終回の興奮冷めぬまま、キーボードをたたいております……
 ラストカットのキュアホイップがとびきり『美人さん』に描かれてたのが印象的でしたなぁ(小並感

 来週からは満を持して『HUGプリ』がスタートします!今回登場のはなちゃんとはぐたんもカワイかったなぁ……(またも小並感

 さて今回は……いろいろ実験して、それから……
 ょぅι゛ょが出るぞ……!!


大泉こども園プリキュア組

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 結局、あの日の事件のことは、次の日のニュースや新聞では、ただの一行も報道されなかった。

 それでいいのかな、って、ふと思ったこともあったけど、ちょっとだけ安心してた私がいた。

 私が―――――東堂りんくがキュアメモリアルだってことは誰にも知られていないわけだし、ほくとくんもそう。私達のプライバシーはきちんと守られたワケだ。

 授業でパソコンルームのディスプレイの前に座ると、ちょっとだけ思い出しちゃって、ディスプレイをそっと指で触る。液晶の波紋が、ぽわんと広がる。

 

 ―――――できるわけない、か。

 

 今のこの姿で、パソコンの中に入れるわけないけれど、つい、ね。

 『キュアネットの中に入っちゃった』コト―――――これって、ホントに現実、なんだよね……。

 それだけじゃなくって、空も飛んで、ほくとくんと心の中で会話して―――――

 そういったことに驚いているというコト―――――

 つまるところ私達は、『変身した私達』に、あまりにも無知すぎたんだ。

 そんな私達がはじめたことはと言うとね……―――――

 

 ――――――――――

 

 『メモリアァ!今何キロッ!?』

 《200キロ出てるよ~!!》

 『そっちじゃなくってぇ~~~!!ぶわッぷ!!??』

 

 また雲に突っ込んだ……ゴゴゴゴゴゴゴゴ!!という、もはやカイブツの声にしか聞こえない『風の音』が、耳の中に飛び込んでくる。

 とたんに、右に左に、上へ下へと、全身が揺さぶられる。えっと……雲の中って気流がスゴいんだよね……油断するとバランス崩しちゃう……!

 ふぇっ?"何いきなり鳥人間コンテストパロッてんの"?"今何してんのか全然わからない"?

 あー……それはねぇ……

 

 私は上空10000m、時速200キロでブッ飛びながら、遠い目で数日前からの出来事を思い出してた―――――

 

 ――――――――――

 

 BACK LOG LINK TOUDOH

 

 ――――――――――

 

 "あの日"の次の日の放課後、いつものようにパソコンルームに来た私に、ほくとくんが言ってきた。

 

 「試してみたい事があるんだ」

 「試す……??」

 「うん。この間の戦いの時、初めて気づいたことがたくさんあって……それから考えてみたんだ。プリキュアに変身できて、『何ができるのか』……きちんと突き詰めてみたことがなかったな、って」

 

 確かに……私は51人のプリキュアたちのことは骨の髄まで知ってる。だからこそ、レジェンドインストールで他のプリキュアたちの力を借りる時も、ほとんど『なりきり』状態で使いこなすことができる。

 でも、『私自身』―――――『キュアメモリアル』のことは、知ってるようで全く知らない。

 前に、リズムバグッチャーと戦った時、空の上から全力で叫んだら、聞こえるはずもないのに、野球場にいた人たちに私の声が伝わった。

 この時何が起きていたのかは、次の日に野球部の応援に行っていた、クラスメートの高橋おとさんから聞くことができた。

 

 ―――――スコアボードとかケータイのメッセとかにね、〈みんなにげて~~~!!!〉って出てきたの!あれって絶対プリキュアだよ!あの後、野球場からすっごい音したし!

 

 どうやら、『伝えたい情報』を情報機器ごしにメッセージに出力して知らせる……ようなことが出来るらしい。

 もちろん、レジェンドプリキュアでこんなことをできるコはいない。

 その他、パソコンのディスプレイからキュアネットに入れちゃったり、プリキュア同士なら『念話』ができちゃったり、羽が生えて空が飛べたり……

 『インストール@プリキュアのわからん』、多すぎる……

 そんなわけで、ここで改めて、"『インストール@プリキュア』が何ができるのか"を確かめてみようってコト。

 『プリキュア講義』、課外授業の開始です!

 

 「さぁ、実験を始めようか……―――――」

 

 なんか物騒な一言を、ほくとくんの口から聞いた気がしたけど…………

 ま、いっか……

 

 ――――――――――

 

 まず最初に試したのが、『キュアネットへのダイブ能力』。

 これは私から提案した。少しでもネットに詳しい私だったら、なんとか対処できるかも、と思ったから。ほくとくんもOKしてくれた。

 私達がいたのがパソコンルームだったから、早速変身して、電源の入ったパソコンのデスクトップ画面に手を突っ込むと―――――

 

 『をを!!?』

 

 ずぶっ、とした感触。アレだ、すんごいドロッドロの田んぼや沼とかに手を突っ込んだ時の感触、アレだ。

 いったん手を引っこ抜いて、意を決して頭をディスプレイに突っ込むと、そのままずぼっ!と頭が入って、そのまま勢いで全身が入ってしまった。

 前回は『出る』だけだったけど、『入れる』ことが確認できた。これってやっぱスゴくない!?

 そのまま今度は、『どこまで行けるか』の実験。とりあえず、私の家にある、家族みんなで使ってる共用のデスクトップパソコン、そこまで行ってみることに―――――

 ……と、そう思った瞬間、目の前の光景がズバーーーーーーーーーッ!!と流れて行って―――――

 目の前に、四角い枠の奥で、台所に立ってお料理しているママがいた……!?

 

 『え……えええ!?』

 

 おそるおそる、その枠に手をかけて、顔だけ出してみた。ママはこっちに気付いていない。

 す……スゴい。思っただけで、そのパソコンのある場所まで一瞬で移動できちゃうなんて。

 しかもこのパソコン、電源入ってない。つまり、電源が入っていようとなかろうと、キュアネットに接続してさえいれば、その端末まで一瞬で行けちゃうってコト!?

 それなら―――――と、今度は『ほくとくんのネットコミューン』を思い浮かべた。すると、目の前の光景が一瞬で切り替わって―――――

 

 『ばぁ♪』

 《うわぁぁぁぁぁ!?》

 

 ドッキリ大成功♪よぉし、これでこれが『どんな能力』なのか、確証が得られた!

 これは、私の『記憶』をそのまま『ブックマーク』に置き換えて、キュアネットの中を『ブラウジング』できる能力なんだ。

 パソコンやスマホでリンクをクリックやタップすると一瞬で別のページに行けるように、私が覚えていて、場所を知ってて、キュアネットに接続されてる情報機器の中になら、一瞬で行けちゃう。

 しかも、私の身体が通れるくらいの大きさのディスプレイがあれば、そこから現実世界に出ることもできる―――――

 コレって、モノスゴい便利能力……!使い方によっては、たとえ大泉町から離れたところにバグッチャーが出てきたとしても、場所さえわかれば一瞬で行ける!

 バグッチャーが北海道に出ても沖縄に出ても、そこにキュアネットにつながった『画面』や『ディスプレイ』があるなら駆けつけることが出来るわけだ。

 私たち『インストール@プリキュア』に死角無し!どこからでも来なさい、ジャークウェブ!!

 

 ――――――――――

 

 次に、『情報送信能力』を試してみることに。

 目の前にあるパソコンのディスプレイに、文字を出すことが出来るかどうか―――――

 これにはデーティアが挑戦してくれた。

 

 『――――――――――…………』

 

 デーティアは目を閉じて精神集中―――――そして、カッ!と目を見開いて―――――

 

 『ッ!!』

 

 ビシッ!!と、ディスプレイに右手をかざした。すると―――――

 

 〈胸のエンジンに火を点けろ!!!〉

 

 と、ディスプレイにでかでかと表示されたのだった。

 

 「ををっ!……って、なにコレ?」

 『…………う、宇宙刑事ギャバンのオープニングテーマの歌詞……』

 

 確かに男の子が好きそうなフレーズ……でもなんかピンとこないんだよねぇ……

 ともかく気合を入れて念じれば、狙ったディスプレイに文字が出せることは分かった。次は―――――『距離』。

 今度は学校から少しずつ距離を離していって、どれだけ遠くから文字を送れるかの『実験』。

 結果、一番遠くからの『有効射程』は5km圏内くらい、ということがわかった。ちょーど、学校から最寄りの大泉駅くらいまでの直線距離がそれだ。

 で、ちょっと気になったから、この能力がどんなリクツで使えるのかなーって、いろいろといじってたら、左耳のイヤリングに行きついた。耳に穴をあけないおハダにやさしいタイプだ。

 このイヤリングをはずすと、ディスプレイに文字を出せなくなった。つまり、このイヤリングに何か仕込まれてるというコト。

 リングの飾りになっている、濃いピンク色―――――デーティアのは濃い水色―――――の、パチンコ玉よりもちょっと大きいくらいの丸い珠。よく見てみると、中には機械がビッシリと詰められていた。……イーネドライブもそうだけど、プリキュアのアイテムにしてはファンタジー感があんまりない……

 これに関連して、右耳のイヤリングも調べてみると、こっちはどうやら『念話能力』に関係しているみたい。

 つまりは左耳のイヤリングが情報の『送信』、右耳のイヤリングが情報の『受信』を、それぞれ受け持っているみたい。イヤリングのカタチをしたアンテナだった、というコト。

 ……ここまで『機能性』を詰め込んだイヤリング、アニメのプリキュアシリーズでは見たことないんですけど……

 

 ――――――――――

 

 で、本日最後に試すことになったのが『飛行能力』!ある意味これが最大の目玉!

 これを使いこなすことができれば、戦いの時はもちろん、どこかに移動する時でもひとっとび!

 これはふたりでやってみようってことになって、ふたりで変身して屋上に。

 確か……ハネが出るとき、うなじにくっついてるHDDみたいなのから出てきてた……ような気がする。

 私のは見れないから、デーティアの"HDD"を見せてもらった。……そもそも"HDDがうなじにくっついてるプリキュア"ってのもおかしな話なんだけど……

 見た目は、透明なカバーで覆われた、5cmくらいの大きさのディスク。普段の状態でも、中でディスクがギュンギュン回転してるのが見える。

 ディスクドライブの下に、モノスゴ~く小さい字で、こう刻印されていた。

 

 【P.R.E.C.U.R.E. SYSTEM CORE DRIVER】

 

 『プリキュアシステムコアドライバ』……??

 な、なんかますますプリキュアっぽくない気がする……

 それに、『プリキュア』が、本来の『PRECURE』じゃなく、『P.R.E.C.U.R.E.』と、わざわざ一文字ごとに区切ってあるのも気になる……

 もしかして……これって『プリキュア』じゃなくって、なにか別の―――――

 

 『どうしたの?』

 『あ……ううん、ゴメンね。始めよっか』

 

 そうだった、今日は『飛行能力』の実験をするのであって、この"HDD"の検証じゃない。

 『空を飛びたい』と心に念じると、コスチュームのLEDファイバーのような光がひときわ強くなって、周りの景色が一瞬歪んで、"HDD"から光のハネがしゅば!と出てきた。

 メモリアとデータによると、このハネが出る瞬間、目には見えないエネルギーフィールドが同時に出てる、らしい。だから最初にハネを出した時、黒服のヒトたちが撃ってきた銃弾をはじき返すことが出来たのね……。

 とりあえず、『どこまで飛べるのか』を試してみようと、東京スカイツリーまで行って、『証拠写真』を自撮りして帰ってくる、ってことになった。あ、デーティアは富士山の頂上まで行ってくるって言ってたけど、大丈夫かなぁ……

 で、スカイツリーまでは1時間も経たずに着いちゃった!フツー、大泉からだと電車でも2時間はかかるのに……

 

 《高いねぇ~……》

 『なんか今更だけど……足がすくんじゃう……』

 

 ホント、ビルからビルに飛び移ることをいつもやってるのに、高さ634メートル、そのてっぺんからの景色にビビっちゃうなんてそりゃないよね……

 ちょっとふるえる手で、ツリーの先端が写るように自撮りをして、帰りのルートに出発!

 ……したけど、飛んでてちょっと気になったコトが。

 

 『ねぇメモリア……コレ、誰かに見られたり撮られちゃったりしてないかな……?』

 《う~ん……それなら、もっと高いところ飛ぼうよ!》

 『大丈夫かなぁ……?』

 《だいじょーぶだいじょーぶ!そ~れ~!》

 『ちょ、ちょっとぉ!?』

 

 勝手に高度を上げてく!?ちょ、コレってメモリアもコントロールできるの!?

 視界の片隅にある数字が、あっという間に4桁を超えて、5000、6000、7000―――――

 え?『視界の片隅に数字が表示されてる』ってヘン?……それがね……

 キュアメモリアルに変身すると、まるでFPSのゲーム画面のような視界になっちゃうんだよね……前にちょっとだけ親戚の家でやったことあるからよくわかる。

 今の状況とか、私の『中』のメモリアの様子とか、あとは……なんかよくわかんない英語や数字がたくさん。アニメやマンガで見るような、『人型ロボットの視点』を、そのまま連想してもらえたらわかりやすいかも。

 『光のハネ』を出してる間、【Wi-Fi WING DRIVING】と視界の上の方に表示されて、高度計や速度計……かもしれない数字が目まぐるしく増えていく。

 ―――――とか説明してるうち、高度計らしき数字が『10000』を超えた。もうこうなると、雲さえも下にある。

 で、今度はどれだけ早く飛べるのかなぁ~ってメモリアが言い出して―――――

 

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 ―――――……時速200kmの風を直に受けてる今に至ります、ハイ。

 正直……今の私の顔は、パソコンやスマホで読んでくれてるみなさんには見せられない顔です……風圧でスゴいことになってます……

 これが小説で本当によかった―――――

 

 ―――――ぼん!!

 

 と、ここでようやく雲の中から出られたみたい。

 よ、よかった……このまま高度を下げて―――――

 

 《りんく、前!前~~!!》

 『ほぇ?』

 

 ほんの一瞬、よそ見してた。

 メモリアに促されて前を見ると―――――

 

 ―――――キィィィィィィィィィィンンンン!!!!!

 

 巨大な飛行機のアタマが見る間に迫ってきてた!?

 

 『ひゃぁっ!?』

 

 くるりと体全体をひねらせて、何とか避ける!!

 だけど、さすがに無理しちゃったみたいで、体全体ががくんと『下』に引っ張られる感覚……!

 

 『《ふぇええぇぇぇぇぇぇぇぇ!!!!!》』

 

 バランスを崩して、真っ逆さまに落ちて行ってしまいましたとさ……―――――

 

 ――――――――――

 

 『――――――――――ぇぇぇぇぇぇぇえええええ!!!!』

 

 や、ヤバい!どんどん地上が―――――それも街が近づいてくる!

 このままだと街中に落ちちゃう!

 

 《!バランスをとるよ!》

 

 メモリアの声が聞こえたと思うと、くるん!と体が空中で一回転して、地面が下に、空が上になった。

 よ、よかったぁ……一瞬、『【悲報】市街地にプリキュア墜落』って、まとめサイトの見出し記事が脳裏に過ぎったものだから、ホントーにヒヤヒヤした……

 

 『あ、ありがとうメモリア……』

 《ううん、あたしもゴメン……高いトコ飛ぼうって言ったの、あたしだし……》

 『無事ならOKだよ♪……あそこの路地に降りよう』

 

 見ると、ゴミ収集所がある狭い袋小路がある。歩いてる人もいないようだし、あそこに降りて変身解除して、とりあえず場所を確認しよう……

 少しずつ高度を落として、ふわりと着地。ここ、どこだろ……??

 まずは場所を確認しなきゃと、ネットコミューンを取り出したその時。

 

 『……………………あ』

 

 袋小路の出入り口。そこに、ハンドボールくらいの真っ赤なゴムボールを持った、ひとりの女の子が立っていた。

 水色のスモックを着てるってことは、どこかの保育園か幼稚園の子……なのかな……?

 その子は、こちらを見たまま、口を半開きにして硬直していた。

 そして、私の方向を指さして―――――

 

 

 「プリキュアーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!!!!」

 

 

 と大絶叫した。

 

 「みんなーーーー!!せんせーーーーーー!!プリキュアーーーーーーーー!!!!!!」

 

 去り際にもう一度叫んでから、いずこかへと走り去ってしまった……

 

 『………………どッ!?どーしよ~!?見られちゃったよ~~!?』

 《お、おちついてりんく!まだりんく、変身したまま!バレてないよ!?》

 『そ、そそ、そっか……!』

 

 それなら、誰も見てない今のうちに変身を解いて、何食わぬ顔でここから出ていけばいい、か……

 私はネットコミューンの電源ボタンを押して、変身を解いて元の姿に戻ると、ワザとらしく口笛を吹きながら路地から出た。すると―――――

 

 「プリキュアどこだ~~~~!?!?!!?!」

 

 さっきの子とは違う、別の女の子の声だ。ぎょっとして振り向くと、さっきの子と同じスモックを着た赤いショートヘアの子が―――――

 

 ―――――車椅子で爆走してきた。

 

 両腕で車輪を猛烈に回す様は、さながら暴走機関車のようだ。女の子が乗った車椅子はギャリギャリギャリ!!と火花を上げてドリフトすると、路地に入って、そこで甲高いブレーキ音を立てて止まった。

 

 「んぁ~??プリキュアいないぞ~~!!??プリキュアいねが~~~!??!」

 

 今度は秋田のなまはげですか。それにしても、車椅子をまるでレースカーのように使いこなす、驚異の幼稚園児……

 この子は一体……!?

 

 「ねぇーのんちゃぁ~ん!プリキュアいないぞ~~!?」

 「え~!?のんさっきここでみたもん!ピンクいろの、テレビにでてたプリキュア!キュアデーティア"じゃないほう"!」

 

 あとから、先程大絶叫した紫色の髪の子が追いついてきた。

 それだけじゃなく、4~5人の、同じスモックを着た子供たちがぞろぞろと集まってきた。

 

 「のんちゃんほんとにみたの?」

 「みたもん!らんかちゃん、のんがうそつきっていうの!?」

 「そ、そーじゃないけど……」

 「―――――あまりせんさく(詮索)すると、プライバシーのしんがい(侵害)

 「こころちゃんものしり~!」

 「―――――ふふ……どーも」(メガネキラーン)

 「ぬぬぬ……プリキュアめ、オイラにおそれをなしてにげだしたよーだな……!!」

 「ぷらむちゃん、なんかそれワルモノっぽいよ……」

 

 な、なんなの、このコたちは……

 私そっちのけで自分たちの世界に入ってるこの感じ……な~んか見たことあるような……

 ―――――あれだ!『プリキュア談義』をする私とむぎぽんとそらりん、ソレだ!

 

 「ねぇおねえさん!さっきこのみちからプリキュアでてこなかった!?」

 

 紫色の髪のコが、私の服のたもとをくいくいと引っ張りながら訊いてきた。

 

 「プリキュア?……いやぁ、見てないわねぇ……もしいるんだったら私も会いたかったな~」(棒)

 

 すまない、チビッ子たちよ。ヒロインの正体はヒミツというのが、昔からのお約束なのダ。

 

 「あら?あなたらしくないですの。"ぷいきゅあ"のことをあつくかたってくださるあなたなら、もっとこのわだいにかぶりついてくるはずですの」

 

 ……!?

 聞き覚えのあるその声……その独特の"ぷいきゅあ"というイントネーション……

 そして……金髪ツインドリルヘアー!まさか……!!

 

 「おひさしぶり……なきがしますですの。りんくさん♪」

 「さ……さっちゃん!どうしてこんな所に!?」

 

 やっぱり、川村さちちゃん、通称さっちゃん!『財団B』の会長のお孫さん、川村ゆめさんの妹さん!

 

 「どうして?とおっしゃられても―――――」

 

 さっちゃんはくい、と、路地から出たすぐ左側に視線をうながす。

 

 「ここは、わたくしどものかようこどもえんのすぐそばですの」

 「……!」

 

 狭くもなく、学校のグラウンドほど広くなく、ジャングルジムや鉄棒が設置された、適度な広さの園庭。

 赤いとんがり帽子の園舎。見覚えのあるウサギ小屋―――――

 このこども園……ここって……

 

 「…………貴女……東堂りんくちゃん?」

 

 投げかけられた懐かしい声に、私は思わず振り返る。

 ―――――その優しげな表情は、ほとんど変わっていなかった。

 

 「りんくちゃんよね?……お久しぶりねぇ♪大きくなったわねぇ……」

 「園長……先生……?」

 

 忘れるなんて、絶対ない。

 小さい頃にお世話になった園長先生。

 つまり―――――このこども園は、私が小学校に入るまで通ってた、思い出の詰まった大切な場所―――――

 

 

 ―――――大泉こども園―――――

 

 

 ――――――――――

 

 お茶してく?と、園長先生に誘われた。

 最初はちょっと遠慮したけど、私を『"ぷいきゅあ"はかせ』だと園児のみんなに紹介したさっちゃんと、プリキュアファンのみんなにせがまれたのもあって、私は8年ぶりにこども園に足を踏み入れることになった。

 子供達に、『ほんとーにプリキュアにくわしーの?』って疑われたので、みんなにプリキュア関連のクイズを出してもらうことに。

 ……あっという間に全問正解してみせた私を見る、子供たちの目があきらかに変わった。

 スゴい目の輝きようだ。キラキラとした憧れの視線が……なんかハズかしいような……

 学校で待ってるほくとくんにメッセを送って、来客用のスリッパを履いて、一歩踏み込む。廊下の『きゅっ』とした感触が、どこか懐かしい。

 不思議な感覚……建物自体はまったく変わっていないのに、どうして―――――

 

 ―――――こども園が、"小さく"感じるんだろう。

 

 簡単な話。私がそれだけ成長しただけのこと。そして、それだけ時間が経ったこともわかる。

 園長先生についていきながら、かつて駆けずり回った廊下を歩く。むぎぽんやそらりんと、毎日のようにプリキュアごっこをしてたのは、今でも瞼の裏に焼き付いている。

 窓から園庭とウサギ小屋が見えた。よく見ると、ウサギが一羽、小屋の中で動いている。でも―――――

 

 「……さすがにもう、アヴニールはいないよね……」

 

 『アヴニール』は、私がこのこども園にいたころに飼われていたウサギ。まっしろな毛並みがステキだったのをよく覚えてる。

 後々になって、『キラキラ☆プリキュアアラモード』が放送されて、はじめてキュアホイップを見た時、アヴニールを思い出したっけ。

 次の年に始まった『HUGっと!プリキュア』に登場するプリキュアたちの名前が気になって調べてみたら、全員がフランス語由来ってわかって、さらに調べていくと、偶然、『アヴニール』という言葉がフランス語だったことがわかった。

 意味は―――――『未来』。こども園で飼われてるウサギの名前として相応しいのかも、って思って、園長先生のセンスにニヤッとしたっけ―――――もう、こども園を卒園して随分経ったあとだったけど―――――

 ……でも、小屋の中にいるのは別のウサギ。背中に黒い毛が雑じってるから、一目瞭然。

 

 「あのコは"リュック"っていうので」

 

 そう声を掛けてきたのは、さっちゃんの後ろにいた女の子。

 

 「ちぇなか(背中)のけなみが、かばんをちょ(背負)ってるみたいなので」

 「へぇ……って、あなたもしかしてクインシィちゃん!?」

 

 なんか聞き覚えのある舌足らずな話し方だなぁって思ったら、まさかのクインシィちゃん!

 なるほど、普段は"男装の麗人"スタイルだけど、スモック着てるとすっかりフツーの女の子だ。

 しかしながらチューリップを模ったカタチの名札には、『くいんしい』とひらがなで書かれている。執事としての名前を魂の名前として刻んでるのは、お兄ちゃんのギャリソンくん譲りみたい。

 

 「おじょーたまをおまもりちなければなりまちぇんので。りんくたんもくれぐれもちょちょー(粗相)のなきよー、なので」

 「あはは……」

 「リュックはね、アヴニールの子供なの。クインシィちゃん、リュックのことが大好きなのよ♪ヒマさえあれば、すぐウサギ小屋に行っちゃうの」

 

 園長先生が注釈を加えてくれた。

 なるほど……あんなカワイイ子に好かれるなんて、勝ち組じゃん、リュック♪

 ……それにしても、カバンを背負ってるような見た目だから、リュックか……なんかそのまんま。

 でも、アヴニールの子供って言われると、なんだか私も愛着が湧いてくるような気がするなぁ……

 

 「―――――"未来(アヴニール)"と……"カバン(リュック)"、か……」

 

 ――――――――――

 

 「園長先生、全然変わってないですね」

 「そう?また顔の小じわが増えちゃったのよ。最近、ますます歳を感じるようになっちゃって……うふふ♪」

 

 職員室のソファに座って、ふたりでお茶を飲みながら、思い出話に花を咲かせた。

 園長先生―――――本名は馬越界花(かいか)さん。

 その人柄で、私たち園児はもちろん、ママやパパたちにも評判だった。

 卒園してからはほとんどこども園に来なかったから、最近は会ってなかった。

 同じこども園を卒業したむぎぽんやそらりんとの会話の中で、時々話題になってはいたけど、実際に会いに行こうって、どうして今まで思わなかったんだろう……

 

 「昔からりんくちゃん、プリキュア好きだったわよねぇ。……今でも?」

 「モチのロンです!日曜朝8時半からの30分は、人生最高の30分です!!」

 「うふふ♪それを聞いて安心したわ♪……最近、プリキュアのことで世間が騒がしくなってきて、ふと……りんくちゃんのことを思い出したの。この間のことで、りんくちゃんがプリキュアのこと、嫌いになっちゃったんじゃないかって、心配だったのよ」

 「…………園長先生……」

 

 それほどまでに、私のことを心配してくれていたなんて。

 やっぱり園長先生は、あのころから全然変わってない。私達ひとりひとりを、きちんと見て、知って、わかってくれてる―――――

 それはたとえ卒園して、こども園に来なくなっても。園長先生にとっては、私達はいくつになっても『こども』なんだ―――――

 

 「りんくちゃん、昔から言ってたわよね……『いつかようせいさんがきて、わたしをプリキュアにしてくれるの』って。……でもまさか、本当にプリキュアが出てきちゃうなんてねぇ……」

 「!……そ、そうですねぇ……誰かに先越されちゃいましたねぇ、あはは……」

 

 さすがに、そのプリキュアが当の私だって言えるワケない。……10年前の私なら、喜んで言っちゃってたかもだけど。

 

 「だんだんと、アニメと現実の区別がなくなって、"不思議なコト"が、どんどん身近になっていく……」

 

 どこか遠い目をして、園長先生は呟く。

 

 「……"ママ"と過ごした子供のころを、思い出すわね……」

 「園長先生?」

 「あらあら……ごめんなさい、ちょっと昔を思い出しちゃって……」

 「昔と言えば……今も昔話とか、子供たちにしてるんですか?先生創作のアレ」

 「昔から言ってるじゃない。アレは昔話じゃなくって、思い出話なのよ?子供のころの私の思い出……」

 「今更思うんですけど……思い出話に、フツー魔法や妖精は出てこないと思いますが……」

 

 お遊戯の時間の合間に、園長先生が『思い出』を語って聞かせてくれていたのを、よく覚えてる。

 でも、『思い出話』の割には、魔法とか妖精とか、『ファンタジー的』な要素が多分に入ってた。

 だから私達は、これは園長先生の『思い出話』じゃなく、『創作昔話』だって思ってたけど、園長先生は決まって、ノンフィクションを主張する。

 

 「私は"魔女"よ?魔女が魔法や妖精の話をするのは自然でしょ?」

 

 『私は魔女よ』―――――これも園長先生の口ぐせだ。

 でも、『魔女』を自称してるのに、おっとりとしてて、優しい雰囲気を漂わせてる。『フレプリ』のノーザや『スマプリ』のマジョリーナのような、典型的な『魔女像』からはかけ離れてる。

 それに、実際に魔法を使って見せたことなんて、当たり前だけど一度もない。魔法を使ってってせがんでも、『今は使えないのよ♪』とか、『あらあら、MPが切れそう……』とか、『くっ!! ガッツが たりない!!』とか、ありとあらゆる言い訳ではぐらかされてしまうのがオチだった。

 

 「やっぱり、園長先生変わってないですね♪思い出しただけで笑えてきちゃうんだもん……♪」

 「ふふ♪笑ってるりんくちゃん、久しぶりに見ることが出来て、私も嬉しいわ♪」

 

 その時、職員室のドアを開けて入ってきたのは、私―――――キュアメモリアルを目撃して絶叫していた、紫色の髪のあの子。

 

 「りんくちゃん!みてほしいモノがあるの!きてきて~!」

 

 ??……何だろう?

 一言、園長先生に会釈をしてから、私は職員室を後にした。

 

 ――――――――――

 

 紫の子―――――ののかちゃんに連れられて遊戯室に入ると、さっき路地に来た女の子たちがいた。

 

 「おまちしてましたっ!」

 

 濃いピンクのセミロングの、ちょっと控えめならんかちゃん。

 

 「―――――プリキュアはかせ(博士)のりんくさんに」

 

 蒼いロングヘアーで、メガネをかけた知的な雰囲気のこころちゃん。

 

 「オイラたちのとっておきをみせてやるぞ~!!!」

 

 赤いショートカットの、車椅子でドリフトかました活発なぷらむちゃん。

 で、金髪のさっちゃんと、緑の髪のクインシィちゃんと、紫色の髪のののかちゃん。

 この6人は、全員がプリキュアにハマった"キュア友"で、こども園の中で最大の"プリキュア大好きグループ"だと、さっき園長先生が教えてくれた。

 

 「ごらんあそばせですの、りんくさん!」

 「わたしたちの、さいこーけっちゃくなので!」

 「みんなで、へんし~~ん!!」

 

 ののかちゃんの合図でみんなが取り出して、頭からスポっとかぶって見せたのは、なんとダンボールと厚紙で作った、手作りのコスチューム!

 

 「お……おお……をををを……!!!❤❤❤」

 

 こ……この感じ……この感覚……!!懐かしい!めっちゃ懐かしい!!

 おうちでも変身コスチュームを買ってもらってたけど、それでも好きすぎて、こども園の工作の時間でコスチュームをダンボールと厚紙で作ったのをよく覚えてる!

 14歳になって、まさかの『ホンモノ』を着ることになった今でも、この『手作り』感と、それを着る子供達に敵う『カワイさ』は絶対ない!!(断言!)

 この子たち……デキる!!まだ5歳か6歳だというのに、その心には確かに『プリキュア愛』を感じられる!

 結論―――――

 

 久しぶりに言わせていただきます!

 

 

 ―――――すっごく、キュアっキュアです!!!

 

 

 「すっご~い!!よく出来てる!特にココのリボン!ダンボールでここまでデキるなんて……愛を……愛を感じるよッ……!!サイコーにキュアっキュアだよ!!」

 「ふふふ……りんくさんならば、そうおっしゃるとおもいましたですの!」

 「―――――こーそーみっか(構想三日)せーさくいっしゅーかん(製作一週間)たいさく(大作)

 「これをみてもらったりんくたんに、わたちたちからおねがいちたいことがあるので」

 

 6人の女の子たちが、私を見上げてくるけど、さっちゃんが困った顔になった。

 

 「このいしょう、こんどのおゆうぎかいではっぴょうするよていになっておりますですの」

 「でも、おゆうぎかいのだしものの『おはなし』を、まだかんがえてないの……だからりんくちゃんに、おはなしをかんがえてほしいの!」

 「私に……お話を?」

 「それだけではございませんですの。わたくしたちがカンペキな"ぷいきゅあ"にちかづくために、りんくさんには―――――」

 

 さっちゃんの目がきらりと光り、視線が私を貫く。

 

 「わたくしたちの"ぷろでゅーす"をおねがいするですの!」

 「「「「「「おねがいします!」」」」」」

 

 6人全員がそう言って、ぺこりと頭を下げた。同時に言おうとして揃っていないのが、実に『らしい』。

 ……なるほど。つまり、この子たちはお遊戯会でプリキュアショーをしようとしてて、衣装はもう完成した……

 でも、肝心の台本が出来てない……ってことか……

 しかも、プロデュースってことは、舞台演出とかもしてほしいってコト……―――――

 

 どーしよー……私、勉強もあるし、今度のコンクール用の脚本の構想練ってる最中なんだよね……

 しかも、今更言うまでもないけれど、プリキュア見習いとして、ジャークウェブにつかまったレジェンドプリキュアたちを取り戻す使命もあるわけだし……

 

 

 …………って、何考えてるんだ私は。

 

 

 二つ返事で受けるしかないっしょ!!

 

 

 私だってプリキュアを愛する、誇り高きプリキュアヲタク!そしてその愛が高じてホンモノのプリキュア(ただし見習い)になった現役プリキュア!!(見習いだってば)

 でもって、将来は脚本家を目指してる身とあっては、ここで断りゃ女がすたる!!そうよね、キュアメロディ!

 演出とかそーゆーのはやったことないけど、なんとかなる!……たぶん。

 プリキュアに憧れる子供たちの願いにこたえて、夢と希望と情熱を守るのも、プリキュアの使命、だよね!

 よぉ~し、私の脚本・演出の初舞台!つくっちゃうぞ~!!けって~い!!

 

 「おk!みんなのお願い、引き受けました!!」

 「い……いいの!?」

 「もっちろん!!みんなの衣装を見れば、みんながどれだけプリキュアが好きかって、すっごくわかるもん!みんなが一生懸命作った衣装に応えられるくらいの素敵なお話、つくって見せるよ!!」

 「や……やったぁ♪」

 「っしゃーーーーーー!!!」

 「―――――さっちゃんさん、あなた(貴女)かんが()えはまちが(間違)ってなかった」

 「このわたくしがめをつけたんですの!とーぜんですの♪」

 

 思い思いに喜びをバクハツさせる6人の『ちいさなプリキュア』たち。なんてほほえましい光景……

 みんなのママやパパ、先生たちに、みんながどれだけ、『プリキュアがダイスキ』なのかを伝える―――――

 

 私の夢への第一歩は―――――責任重大、だ。

 

 「のんちゃ~ん?お兄さんがおむかえに来ましたよ~♪」

 

 茶色いロングヘアーでメガネをかけた女性の保育士さん(せんせい)が、遊戯室にののかちゃんを呼びに来た。

 ……そういえば、園長先生以外の保育士さん、全員代わってたな……

 

 「!にぃきたぁ~!」

 

 ののかちゃんの表情がにぱっと明るくなった。

 ののかちゃん、お兄ちゃんがいるんだ……それもこのののかちゃんの反応からして、ステキなお兄ちゃんみたい。お兄ちゃん子なんだねぇ……

 

 「ごめんのん、遅くなっ――――――――――」

 

 遊戯室の入り口からひょっこりと顔を出したののかちゃんの"お兄ちゃん"は、私を見て硬直してしまった。

 でもって、私もその"お兄ちゃん"を見て、一瞬頭が真っ白になった。

 ど、どーして…………

 

 ……ほくとくんが大泉こども園に……!?

 

 「と……東堂さん!?なんで、ココに……?!」

 

 いや、それは私の言いたいセリフだって!?……ある意味お約束だけど。

 

 「??にぃとりんくちゃん、おともだちだったの?」

 

 無邪気に私を見上げてくるののかちゃんに、私は恐る恐る訊いていた。

 

 「えぇと……ののかちゃん……そういえば、きちんとしたお名前、聞いてなかったんだけど…………」

 

 そう言うと、ののかちゃんはきちんと私の正面から、満面の笑みで堂々と自己紹介して見せた。

 

 「はって(八手)ののか、5さいです!」

 

 ……SAVE POINT




 インストール@プリキュアのひみつ!

 ・イヤリング
 
 メモリアルとデーティアのイヤリングは、ふたりの『通信能力』を制御するコアになっている。
 メモリアルとデーティアの『思念』を解析して、左耳のイヤリングで送信、右耳のイヤリングで受信することで『念話』を成立させている。
 このことから、コレは『イヤリングのカタチをしたアンテナ』であるとりんくは推測している。

 ・Wi-Fiウィング

 うなじの部分にある『コアドライバ』から出力される光の翼。メモリアルは『蝶の翅』、デーティアは『妖精の翅』をそれぞれイメージした形状となっている。
 電波が飛び交っている場所であれば自由自在に空中を飛行することが出来る便利な能力。さらに、出力される瞬間には不可視のエネルギーフィールドが同時に展開し、相手の攻撃を防ぐこともできる。
 しかし飛行中はウィングの出力にイーネルギー供給が割かれるため、この状態でフルドライブモード=キメ技を使用することは不可能である。

 ――――――――――

 どこかで聞いたような名前がたくさん出てきた今回……
 さちお嬢様を書いたのはリアルで1年ぶりだったりします(汗

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