というわけで1日で書けちゃいました!!
キュアデータのユーザーも登場する後篇B、送信です!!!
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《CURE-MEMORIAL!! INSTALL COMPLETE!!!》
『記し、念じる、無限の未来!!キュアメモリアル!!!』
私は3階の図書室の窓から一気にジャンプして、グラウンドに着地した。
「プリキュアだ!昨日のプリキュアだ!」
「かっこいい~!」
「写メ撮ろうぜ、写メ!でもってネットに上げようぜ!!」
避難していた学校のみんなが、私を見て声を上げる。
『危ないから、早く逃げて!!ここは私に任せて!』
みんなに逃げるよう呼びかけた、その時―――――
私の5メートルくらい右側に、すっと人影が立った。
『あなたも、はや―――――』
……息を呑んで、言葉が出なくなっちゃった。
そこに立っていたのは―――――
"もうひとりのプリキュア"だった。
つまり―――――キュアデータのユーザーになったヒト―――――
全身を走るLEDファイバーのようなラインと、湧き立つイーネルギーの光は、データと同じ水色。
コスチュームは私―――――キュアメモリアルと同じデザインラインだけど、グローブは手首から先だけを覆っていて、ブーツも足首までのショートブーツで、スポーティな印象だ。
何よりの違いは、キュアデータの時には無かった、首に巻かれた純白のマフラー。風にはためいて、カッコイイ!
サイドテールにまとめられた髪と瞳は、透き通った青空のような水色。顔立ちは、私よりも幼げに見えた。同い年か、もしかしたら年下……中1か、もしかしたら小学生かも知れない。
なんか、清楚なフンイキを感じる。『美人さん』と『幼い』感じが、絶妙に同居している、『大和撫子』なフンイキの子だ。
結論―――――すっごく『カッコカワイイ』!!超絶的にキュアっキュア!!あとで写メ撮らせてもらわないと!!
……よ、よかったぁ……あのキュアデータのユーザーになった子だから、どんなオラオラ系の子かと思ったけれど、フンイキからしておとなしそうだ。
それに、男の子や男のヒトでもなかったみたい。プリキュアのコスプレしたような『男の娘』とかオジサンが現れたらどうしようかと……
『あなたが……キュアデータのユーザーさん?……私、とう……じゃなくって、キュアメモリアル!……あなたのお名前は……?』
あぶないあぶない、思わず本名を言いかけた。変身したら、きちんと『プリキュア』として名乗らないと。
ちら、と、その子はこちらを見て、言った。
『……キュア……デーティア』
鈴をころがすような、見た目とのギャップが全然ない、かわいらしい声だった。
キュアデーティア、かぁ……そっか、私と同じように、この子はデータとマトリクスインストールでいっしょになってるんだ。だから名前も、データに似てる。見た目はあまり似てないけど……って言ったら失礼かな……
『実体化した以上……早く倒そう。ここは……学校なんだし』
『う……うん……!』
とても冷静だ。私よりも年下に見えるのに、なんだか『戦い慣れ』しているようにも感じされる。
でも、この子の言う通りだとも思った。この子も、私と同じ大泉中学校の生徒……だろうし、学校が壊されたりするのは嫌なんだ……と思う。
『キュアデーティアも出てきたか……まとめて始末しろ、バグッチャー!!』
『ハップップ~~~~!!!!』
構えるバグッチャーを前に、デーティアは冷静にバグッチャーを見据えながら―――――
『
そうつぶやいて、覆面のように、マフラーで顎から鼻までを覆った。まるで、忍者だ。
『
ネンチャックの号令で、全身の本を射出するバグッチャー。一斉に本が開いて、たくさんのレーザーが私達を襲う!
『っ!』
私とデーティアは二手に分かれて、レーザーの雨をかいくぐりながらバグッチャーに近づいていく。
と、デーティアが青い弧を描いて、高々とジャンプした。何かする気だ!
何かをつぶやいた次の瞬間、デーティアの足首の部分のメタルパーツが開いて、水色のイーネルギーを放出しだした。
そして―――――
―――――ヅドンッッッッッ!!!!!!!!!!
デーティアが青白い流星と化し、バグッチャーへ、ナナメ上から急降下キックを突き刺した!
ていうか、さっきの何!?か、カンソー、テッコー……!?
『……立て続けて!キミの番!!』
反動で跳ぶデーティアから、私に檄が飛んでくる。そうだよね、負けてらんない!!
『でぇぇぇぃゃぁあ!!!!』
私は真っ向からパンチを放ち、そのまま連続でパンチのラッシュを叩き込む。コンビネーション攻撃に、バグッチャーはガードしながらも怯んでる。
『何をしてるんだい!?さっさと墜とすんだ、バグッチャー!!』
『シャワワワワ~~~!!!!』
20冊ほどの本がわらわらと、私とデーティアを追ってくる。レーザーで逃げ場を塞がれ、私とデーティアは背中合わせに立った。さっきはちょっと離れてたけど、この子と私の身長差はほとんどないことがわかる。ちょっとだけ、デーティアの方が小さいかな、というくらい。
『攻めきれないね……』
飛び交う本を見上げながら、デーティアが言う。見たところ、この子は真正面からの真っ向勝負が得意な様子。戦いに対する考え方は、データの影響を受けてるのかも。
『それなら……私に考えがあるよ』
『……何をするの?』
『まぁ見てて』
私はそう勝気に返すと、手の甲のキュアットサモナーに、黄色のキュアチップを呼び出して、ネットコミューンに差し込んだ。
《きらめく星のプリンセス!キュアトゥインクル!》
《CURE-TWINKLE! INSTALL TO MEMORIAL!! INSTALL COMPLETE!!》
インナーに纏うは黄金色の星のドレス。髪の毛がふわりとまとめられて、変身完了!
私はバグッチャー相手に、すっと右手を差しのべながら―――――
『冷たい檻に閉ざされた"未来の光"、返していただきますわ―――――お覚悟は、よろしくて?』
『姫プリ』のキメ台詞!私、個人的にもかなりお気に入り!こんなのされたら、私だったら一瞬で覚悟完了、昇天1秒前ってくらい……!!
でもって、やっぱりちょっとだけ口上が違った。バグッチャーに閉じ込められているのがキュアハッピーだから、かな。
『……………………』
私のこの様子を、デーティアはきょとんとした表情で見ていた。
『……どうしたの?』
『え?……あ、ううん……』
デーティアは、覆面越しにふっとほほ笑んだ。
『なんか、カッコいいなって……』
なんだかこの子、このキメ台詞を初めて聞いたようなリアクションをしてる。
まさかとは思うけど、この子って、プリキュアをテレビで見たことないの……?ふつう、女の子なら小さい頃は一度はプリキュアを見てくれてるハズだけど……。
《りんりん、行ける?》
『もっちろん!パフュームもドレスアップキーも一式そろってるし、やれることは全部できる!』
心の中からのトゥインクルの声に、自信満々で答える私。誇りあるプリキュアオタクの私なら、『プリキュア』の完コピ、余裕です!!
クリスタルプリンセスロッドを取り出して、キーをセットする。星の輝きが、ロッドに宿る―――――
ロッドの『星』を、私は上空に撃ち出した。
『何ッ……!?』
ネンチャックが驚いてその星を目線で追う。でも、もう遅いよ!
一足早い一番星がまたたいた、次の瞬間―――――流れ星の雨が、学校のグラウンドに降り注いだ。
―――――ドガガガガガガガガガガガガ!!!!!
流星雨に巻き込まれたたくさんの『本』が、煙とともに爆発していく。
『……あれだけの本を一掃!?そんな―――――』
『隙だらけ、だよ』
気づいたら、デーティアは隣にいなかった。バグッチャーの向こう側―――――背中にまわっていた。
通り抜けざまの、手刀一閃。青色の斬跡が煌いた。デーティアは振り向きもせず、まるで血糊を払うかのように右手を振った。
一瞬の間をおいて振り返ろうとするバグッチャーが―――――崩れるように倒れた。
速い!まるで時代劇の居合斬りだ。私もプリキュアになって動体視力とかも上がってるんだろうけど、それでも見えなかったんだから、どれだけ速いの、今の……!?
《大暴れだな、相棒!》
『……今日は、ちょっと抑えてる。初めて……いっしょに戦うし、ね』
デーティアのイーネドライブが点滅して、データの声があたりにひびく。覆面を下ろしたデーティアが、口元を緩めて応えている。そうそう、素顔のほうがずっとカワイイよ!
『……大丈夫?無理、してない?』
『え?……ううん、全然大丈夫!』
こんな気遣いからも、この子の温和な性格が伝わってくる。ホント、『あの』キュアデータとは正反対の子だ。
私は元の姿に戻って、"ハッピーバグッチャー"を見ながら言った。
『いっしょにハッピーを……みゆきちゃんを助けよう……!あの子の笑顔を……スマイルを、取り戻したいから……!』
なんとなく、だけど、キュアハッピー―――――星空みゆきちゃんには、シンパシーを感じてる。
『物語』が好きなこと。ハッピーエンドが好きなこと。ヒトの気持ちに敏感だからこそ―――――
ヒトを信じて、きちんとわかり合うことを、諦めなかったこと―――――
『こんな形であなたと出会ってしまったのはつらいコトだけど……でも……』
私は、あなたの『物語』の続きが知りたい―――――
みゆきちゃんが描いた、『白紙の未来』のその先が―――――
『笑顔の物語』を、私は知りたい―――――
『笑顔のパワーで……私とあなたの、世界はつながる……!バグッチャーにとらわれたその瞳は曇ってしまったかもしれないけれど……でも!今からでも……!!』
私は駆け出す。
私の想いを、みゆきちゃんに届けるんだ!!
『私の負けない勇気!!ここに束ねて、あなたを、未来に導く!!!もう一度輝いて、みゆきちゃんっっ!!』
両腕に力を込める。両腕のメタル部分が開いて、ピンク色のイーネルギーを噴き出す。
同時に突き出した両のてのひら。ピンクの粒子がはじけて、バグッチャーを吹き飛ばした。
『ギュゥアアア……ッ!!』
吹き飛んだバグッチャーが上体を起こす。そこへ―――――デーティアが追撃をかける。
素早くジャンプして、右脚を大きく振り上げる。きらめく青色のイーネルギー―――――!
―――――ヅドゴォォォォォォオオオオオオオンンン!!!
脳天への、強烈なカカト落としだ。衝撃で、グラウンドにまるで卵の殻のようなヒビが走り、バグッチャーの巨体がめり込んだ。
その反動で、デーティアははるか上へと跳んだ。そして、右手をバグッチャーに向けて広げて、左手で右の二の腕を押さえる。開かれた右の手のひらに、イーネルギーが凝縮されていく。
感じる―――――今まででいちばんの、デーティアの『本気』が飛んでくる!!私は反射的に、飛びのいて退避した。
一発のイーネルギーの砲弾が発射され、バグッチャーにまっすぐ命中し、青色の大爆発を巻き起こした。
な……なんかスゴいド派手なんだけど、こんなの撃っちゃって……大丈夫なの……!?いろんな意味で。
それにこの子の技って……今気づいたけど、明らかにプリキュアの技のそれじゃない!っていうか、カタカナ一文字も入ってなくない!?
この子……キュアデーティアって―――――いったい……?
そう思ったその時、空から降りてくるデーティアの全身から蒸気が噴き出た。
『ここまでか……メモリアル、後は頼むよ!』
おk、頼まれました!!身体に力を込めて、パワー全開!!
《CURE-MEMORIAL!! FULL DRIVE!!!》
全身から放たれたイーネルギーが、一振りのロッドへと形作られる。
体中の高揚感と、電子の輝きを、ロッドへと集めて―――――
祈りと願いとともに―――――解き放つ!
ピンク色のイーネルギーが渦を巻きながら、バグッチャーの全身を呑み込み、さらっていく―――――
『デ……リィィィトォォォォ………………!!』
輝きの中で、バグッチャーは消散し、夕暮れの空へと還っていった。
『デーティアだけじゃぁないってことか……!チ、キュアメモリアルもマークだ、マーク……!!』
親指の爪を噛みながら、ネンチャックは闇色の光とともに消えていった。
『!……また逃がした……』
歯噛みするデーティア。引き際が良いのって、ワリとプリキュア悪役の皆さんの常道、だと思う。居残って仕掛けてくるなんてこと、ほとんどなかった気もするし……
『…………ふぅ……勝てたぁ…………』
私は一気に脱力して、その場にぺたんとへたり込んだ。心労と肉体疲労で、今日はなんだかクタクタ……バグッチャーも、さすがはリーダープリキュアの力を取り込んでただけあって、普段の3割増しくらい強かったし……
『大丈夫?』
私の顔を、微笑みを浮かべたデーティアがのぞき込んでくる。ほんとこの子、時々カワイイ顔をする。無邪気というか、なんというか。
『ありがと。助か―――――』
―――――じゃき!ぷしゅーーーーーーーーーーーーー!!!!!!!!!
笑顔で返そうと思ったその時、突然私の体が蒸気を噴いた。キメ技を撃った後のオーバーヒート防止のための放熱。
ものすごく至近距離でデーティアを巻きこんじゃったけど、大丈夫!?
『ご、ごめん!!』
『ごっほ……ごほ……ふふふ…………あはは、あはははははは……!!』
何がツボにはまったのか、デーティアはおなかを押さえて笑いだした。
『もう……笑わないでよぉ!どうしてこうなっちゃうのか、私にもよくわかんないし……』
『はは、それは……こっちも同じ……そうだよね、まだ、慣れてないもんね、この体……』
この子も、プリキュアになってから日が浅いみたい。けれど、あんなに慣れた戦い方ができるって、どういうことだろう……?
ともあれ―――――私にとって、心強い味方ができたのは、事実なんだよね。
『……なんか……"あの子"に似てるなぁ……』
そんなデーティアのつぶやきが耳に入った。この子の知り合いに、私と似てる子がいるのかな?
私は立ち上がって、デーティアを見つめた。
『ありがとう……いっしょに戦ってくれて。……それで、よかったらこれからも、いっしょに戦って、くれるかな?』
するとデーティアは、一瞬驚いたような表情を浮かべた。少し顔を赤くして、ちょっと視線を泳がせる。でも、最後には―――――
『……もちろん。……よろしくね、メモリアル』
デーティアの方から、右手を差し出してきてくれた。ためらいなく、私はその手を握った。やわらかくって、それでいて『熱さ』を感じる手だった。
あぁ……なんか私、すっごく感動してる……私と同じで、プリキュアのユーザーになった子と、こうして握手してるんだもん……
これからは、メモリアと、データと、この子……そして、助け出したプリキュアのみんなと、ジャークウェブに立ち向かっていける。
『それで、なんだけど……あなたの本当の名前、教えてくれないかな……?』
そうなれば、当然普段から顔を合わせて、相談とか、作戦会議とか、いろいろお話をしなきゃいけない。
連絡先とか、知っておきたいと思って、私は訊ねたんだけど―――――
デーティアは、握っていた手を放して、表情を曇らせてしまった。
『……それは、できない』
『え……?』
そ、そんなぁ……ホントの名前も知らないままとか、それって、いっしょに戦う仲間としてどうなの?
『どうして……なの?』
『………………それは……』
うつむいたまま、デーティアは言った。
『……本当のことを知ったら……きっと、キライになるから―――――』
『……え』
『……ごめん。さよなら!』
デーティアは私に背を向け、校舎の向こうへとジャンプして行ってしまった。
あまりに突然だったから、私は呆然としていた。どういうこと―――――?
本当のことを知ったら、キライになるって……?
――――――――――
PLAYER CHANGE
CURE-MEMORIAL
CURE-MEMORIA
CURE-DATEAR
⇒ CURE-DATA
――――――――――
《おい!どういうことだよ!?なんで逃げんだよ!?》
アタシは相棒を問い詰めていた。
《せっかくメモリアといっしょに戦えるって思ったのにさ……!何考えてんだ!?》
『………………ごめん、データ』
さっきからこれだけだ。何を言っても、コイツはこれだけしか返さない。
『やっぱり、ダメだよ……まだ、言えない……』
やれやれ……コイツ、カンジンなところでチキンになりやがる。
覚悟を決めて自分を貫くって言い放ったくせに、素直に自分を出せねぇんだから……
《ま、いいさ。心の整理がついたら、いつでも言いな》
『……一生秘密にしてる方が、いい……』
《……バカヤロウ……》
当分、コイツのことをメモリアと、アイツのユーザーに話せるのは先になりそうだな……
お前は、このアタシが世界一って認めたヤツなんだ―――――
貫くなら最後まで、自分ってヤツを貫いて見せろよ―――――相棒……。
――――――――――
PLAYER CHANGE
⇒ CURE-MEMORIAL
CURE-MEMORIA
CURE-DATEAR
CURE-DATA
――――――――――
デーティアのことを考えて、ぼう然としていた私。
……なんか、忘れてるような気がする……なんだっけ?
『…………ぉ~~……ぃ…………』
誰かが呼んでる声がする。
『おぉ~~~い!』
今度ははっきりと聞こえた。その方向を見ると、この校庭で一番高い、桜の木があった。
その中ほど、幹と幹の間に、ピンク色のキュアチップがはさまっていた。でもって、幹の間にはさまったまま、動けないでいるホログラムのキュアハッピー……
『はやくおろしてぇ~~……(T T)』
ご、ごめんね!?デーティアのことを考えてたら、カンジンなことを忘れちゃってた!!
というか……忘れてて、やっぱりごめんね、みゆきちゃん……
――――――――――
『助かったよぉ……ありがとう、メモリア……それから、ユーザーさんも』
気を取り直して、私達は校舎の屋上で、助け出したキュアハッピーと話をすることができた。
《ハッピー……本当によかった……あの時助けられなくって、本当にごめんなさい……》
『ううん、あやまらなくてもいいよ、メモリア……あなたの頑張りがあって、こうしてまたお話できるわけだし―――――』
キュアチップから浮かび上がる幻影のようなハッピーは、私に視線を向けた。
『りんくちゃん……聞こえたよ、あなたの声。負けない勇気、いっぱい受け取ったよ……ありがとう!』
にっこりと笑うキュアハッピーは、間違いなく、私があこがれた、『理想の女の子』のひとり―――――
たくさんの笑顔で、私の希望になってくれた、星空みゆきちゃんだった。
『……みゆきちゃん……私の方こそ、ありがとう……』
スマイルプリキュア―――――言葉通りに、笑顔の似合うプリキュアチーム、そのリーダー。
取り戻せて、本当によかった―――――
笑顔のまま消えていったハッピーの幻影。残されたチップを、私は夕闇の空にかかげた。
『キュアハッピー、キュアっとレスキュー!!』
《やったぁ~!》
12人のリーダープリキュアのひとりを、早くも助け出すことができた!
すると、その時。
―――――ぴかん!
なにやら、髪の毛にヘンな違和感を感じた。花火みたいに12本に枝分かれしてる髪の、7番目のテール、その根元を手繰ってみると―――――
『これって……キュアデコル?』
『スマプリ』のキーアイテムだったキュアデコル。そのうちの、キュアハッピーに変身するときに、みゆきちゃんがスマイルパクトにセットするリボン型のデコル、それと全く同じモノが、私―――――キュアメモリアルの髪の毛に、ヘアリングにあしらわれてセットされていた。
一体、何の意味があるんだろう……
《終わったし、帰ろ?りんく?》
心の中のメモリアが言って、もう下校時刻を過ぎてることに、私は気が付いた。
あたりは夕闇が支配して、私のコスチュームのLEDファイバーみたいな光が目立つようになってきた。
おなかもペコペコ、ココロもクタクタ。今すぐ帰ってママのご飯をおなか一杯食べたいところ―――――なんだけど。
『ちょっと……寄り道しても、いいかな?』
今の私には、行くべき場所が―――――
決して目を背けてはいけない場所があった。
――――――――――
昨日、実体化したバグッチャーが暴れた大通りの現場。
すでにたくさんの重機が現場に入り、がれきの撤去作業を進めている。
規制線のすぐそばには、献花台が設けられていた。それを見つけた私は、途中のお花屋さんで作ってもらった花束を手向けて、両手を合わせた。
白い花を中心に、ガーベラと、ほんの少しだけの、ピンクのゼラニウム。私は、この花束に私の心を込めた。
―――――ガーベラの花言葉は、『希望』。
―――――ピンクのゼラニウムの花言葉は、『決意』。
『ハトプリ』を見ていた時に、夢中で勉強した花言葉。それを思いだしながら、私は一つ一つの花を選んだ。
手向けて祈りを捧げる時、バッグからそっと、キュアットタブをのぞかせた。メモリアをはじめ、レジェンドプリキュアのみんなもまた、両手を合わせて、バグッチャーの犠牲になった人たちを悼んでくれていた。
「……行こう」
献花台、そして大通りに背を向けて、私は歩き出した。
もうすでに黄昏時を過ぎ、私の視界には夜闇が広がる。
行き交う人、そして自動車と建物の光。それは、そのひとつひとつが、ヒトが『生きてるコト』の証―――――命の光。
私の心は、もう揺るがない。
私の戦いは、私だけの戦いじゃない。
―――――私の戦いは、メモリアの戦い。
―――――私の戦いは、プリキュアたちみんなの、サーバー王国のみんなの戦い。
―――――私の戦いは―――――この世界を―――――
―――――この、あたりまえの『毎日』を―――――
―――――この世界に息づく『命』を、守るための戦い。
現実は、アニメじゃない。失われた命は、二度と戻ることはない。
ジャークウェブが、この世界に絶望を―――――『死』を齎そうというのなら、私は戦う。
この世界に、ヒーローもヒロインもいないというのなら、私がなる。
絶望しかないというのなら、私が希望を齎す光になる。
私にとっての『プリキュア』がそうであったように―――――
私は―――――
ううん、私"達"は決意した―――――
「私達が―――――この世界の"
―――――STAGE CLEAR!!
RESULT:CURE CHIP No.24『CURE-HAPPY』
プリキュア全員救出まで:あと47人
TO BE NEXT STAGE……!
『爪弾くはたおやかな調べ!』
―――――りんくの『今回のプリキュア!』
りんく「今回のプリキュアはだ~れだ?』
『キラキラ輝く、未来の光!キュアハッピー!』
メモリア「『スマイルプリキュア』のリーダー、"
りんく「絵本とお話が大好きな、星空みゆきちゃんが変身した、聖なる光のプリキュアだよ!」
メモリア「そんなハッピーのキメ技は、コレ!」
『プリキュアっ!ハッピー……!シャワーーーっっ!!!』
メモリア「聖なる光のビーム、ハッピーシャワー!」
りんく「気合いだ!キアイだ!き・あ・い・だ~~!!」
メモリア「気合でぐんぐんパワーアップ!その分体力も使うけど……」
りんく「最初のころは1発撃ったらヘロヘロに……今となっては懐かしいよねぇ……それじゃ!」
りんく・メモリア「「ばいば~い!!」」
次回予告
りんく「データのユーザー、キュアデーティア……どうして自分のこと話してくれないの?」
メモリア「変身するのがイヤなのかなぁ?」
りんく「ううん、そんなコトないと思う!プリキュアは女の子の憧れだよ!?女の子は誰だってプリキュアになれるんだよ!?プリキュアになれてうれしくない子なんていないと思うよ!……こうなったら、私があの子の正体を突き止めちゃうんだから!」
メモリア「だ……大丈夫……?」
インストール@プリキュア!『あなたはだあれ?キュアデーティアの@正体!』
りんく「ピカッとキュアっとあつめてプリキュアオールスター!」
――――――――――
はい、というわけで、キュアデータが掟破りなら、そのユーザーもまた掟破りでしたとさ……
大和撫子っぽくて童顔美人のキュアデーティアですが、自分のことを話したがらないシャイなコです……
そして、りんくも腹をくくりました。
自分が、この世界のプリキュアになる―――――
決意を新たに挑むりんくとメモリアの戦いの行方や如何に……?
そして早くもデーティアの正体が次回明らかに!
『インストール@プリキュア』、もう一つの山場がここに……!!