艦隊これくしょん その刀は誰が為に   作:幻在

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悲報

今月から、投稿のペースが恐ろしく遅くなります。

読者の方々にはすみませんが、おそらく来年になるまで不定期かつ間が空いたり遅くなる事が多くなります。

それでも投稿はいつもの0時に投稿します。

なので、気長にまっていただけると、嬉しいです。

では、本編をどうぞ。


黒河大抗争編
馬坂 葉子


夜・・・・・

山々に囲まれた海岸に、建物が一つあった。

そこのコンクリートの道を一人歩く女性。

そんな少女に近付く影が二つ。

二人とも男だ。

足音を忍ばせて、そっと少女に近付く男たち。

片方の男の片手には、ガーゼが握られていた。

そして、そのまま背後から掴み掛かろうとした、その時だった。

excuse me(すみません)

「「!?」」

「少しだけ眠っていただきます」

背後から聞こえた声の正体を確認する前に、重い衝撃によって地面にもんどりうって倒れる男二人。

「ふう」

「ありがとうございます、提督」

女性・・・・大和がその様に礼を言う。

「いや、礼を言うのは俺の方だ。悪いな、こんな事に付き合わせて」

それに答えるのは、この建物、鎮守府の主ともいえる『提督』の地位についている男、天野 時打だ。

「いえ、前から仲間を攫った奴に『お礼』をしなければならないと思いましてね」

「わりと物騒な事いうなお前は」

しばりしばりと男二人を拘束する時打。

「しかし、これでもう四回目か」

「一回目は司令官が四月の定例会に、二回目は大規模作戦の時、三回目は十二月の十五日に提督の見ている前で、ですね。こうも懲りずに来ているとなると、流石に憲兵を用意する必要がありますね」

憲兵とは、陸軍から選ばれる、鎮守府を警備する役割を与えられる人材の事だ。

この黒河は、数少ない、『隠蔽されている鎮守府』である為に、憲兵はいないのだ。

その理由としては、わざわざ身に来る一般人がいないから、バレていないから誘拐される可能性も低いから、とかが主な理由だ。

他にも細かい理由もあるのだが、それを言ったらキリが無い。

 

現在、季節は冬。それも、時打が着任してそろそろ一年になろうとしている。日付は二月八日だ。

 

もう秋である。

「そろそろ、大元を潰さないとダメだよな・・・」

「ですね・・・」

こうも連続で来ているとなると、そろそろその原因となっている奴隷売り場(ヒューマンショップ)を潰さなければならない。

この間、瑞鶴が黒河の情報屋である三柱 刃馬の所に行って、その奴隷売り場の事を聞いたら、どうやら、人を売った金で黒河の大組織に賄賂を渡して媚を売っているらしい。

ちなみに、前に潰した道真の事は、組織はそれほど重くみていなかったらしく、すぐに警戒態勢を解いたらしいのだ。

「それにしても、提督、髪が伸びましたね。それもかなり」

今の時打は、背中の背中半分あたりまで髪が伸びているのだ。

一言で言って、一年でここまで伸びるなど異常である。

しかも、女性の様にかなりサラサラなのだ。傍から見れば、女性と間違われても何も言えない程だ。もともと女性らしい顔付きである時打にとっては、これは変装にはかなり役に立ちそうだ。

「ああ、そうだな・・・・・そろそろ髪を切るべきかな」

「というか、そこまで伸ばすなんて・・・・女装趣味でもあるんですか?」

「・・・・・」

そこで黙りこくる時打。

「・・・・・・え?」

「勘違いしないでくれよ大和・・・・・実は子供頃に母さんを真似て伸ばしてたんだ・・・・いや、マジで・・・」

とんでもない事を暴露する時打。

「とはいっても、流石に邪魔だな・・・・」

「というか、誰かに指摘されるまで対処しなかったんですか?」

「面目ない」

時打は、そう言って、自分の左手首にある黒い髪留めで、髪を結う。

「・・・・」

そこで大和は、彼に、とある艦娘の面影を浮かべてしまう。

かつて、自分と最後を共にした、あの――――――

「ん?どうした大和」

「え、ああ、いや、なんでもありません」

「そうか?まあいい。こいつら運ぶぞ」

「分かりました」

そうして、二人は縛られながらのびている男二人を運んでいった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

翌日、ヒトハチマルマル―――――午前八時。

「今日から、憲兵がここに着任する事になった」

その場の空気がざわざわと騒ぎ始める。

「理由は皆、知っての通り、ここ最近やってくる人攫いどもだ。以前に翔鶴が攫われたお陰で、調子に乗って攫いに来る奴が多くなっていやがる。一応、俺の知り合いである長官が選んだ人材だから、お前らを無碍(むげ)に扱うという事はしないと思うが、くれぐれも仲良くしてやってくれ」

「あの・・・・」

時打の言葉に、手をあげるものが一人。

駆逐艦の三日月だ

「着任するのは、何人なんですか?」

「二人だ。内一人は期間限定だがな」

「二人?何故それだけなんですか?」

「なんでも、大人数で一気に着任させたら、お前らが混乱するだろうから、だと」

時打は溜息混じりにそう言う。

「提督さん」

「どうした瑞鶴?」

「響夜の事はどうなるの?」

「それについては、もうとっくに長官に言っている。お陰で『お叱り』を受けたがな」

と、時打は苦笑いをする。

実際、長門もその現場を見ており、その時の時打の苦笑いっぷりを見て、つられて笑ったという。

「とりあえず、十二時にそいつらは来る。それまで気長に待っていてくれ。それじゃ、今日は解散」

その一言で、艦娘たちは解散した。

 

 

 

 

 

 

 

それから数時間後・・・・・

 

 

 

「今日の執務は、これで全部だな」

「はい。資材の量もしっかりと計算しました」

時打の言葉に、今日は休暇をとっている長門の代わりに秘書艦を務めている霧島がそう返す。

ふと、霧島が時報をする。

「そろそろヒトフタマルマルですよ。提督」

「っと、そうか。艦娘には体内時計があって、寸分狂いなく時間を確認できるんだっけか?」

「はい」

もともと、軍艦だった頃には当然、艦内に時計がある訳で、その時のものが体に時計的な作用をほどこしている様なのだ。

「じゃあ、そろそろ正門の方に行くか」

そうして、門の方に行く二人。

するとそこには人だかりができていた。

おそらく、今日くる憲兵の事が気になってやってきたのだ。

その中には響夜もいる。

「よう」

「お、遅かったじゃねえか時打」

「少し時間がかかってな」

「っというか、今日誰が来るとか聞いてないのか?」

「ああ」

響夜の言葉に、そう返す時打。

すると天龍が鎮守府につながっているトンネルを見て、声を挙げる。

「来たぞー!」

回りが一気に騒めく。

「そろそろですね・・・・」

霧島が緊張した様な声音でそう呟く。

鎮守府の門の前に、黒いリムジンの様な護送車が止まる。

そして、護送車の扉が開き、出てきたのは・・・・

「やっほー、天野、髪伸ばしたー?」

茶髪でポニーテールの女性だった。

「ま、馬坂!?お前だったのか!?」

その女性、馬坂と呼ばれた女性に驚く時打。

「よう」

更に反対側からは達也が出てきた。

「達也!?お前もか!?」

「期間限定という事でな」

思わぬ人物に驚きを隠せない時打。

「達也は知ってるけどよ・・・女の方は知り合いか?」

「ああ、俺がまだ憲兵学校に通ってた頃の同級生だ。名前は、馬坂 葉子」

ふと、時打の口元に笑みが浮かぶ。

「しっかし、お前が来てくれるなんて嬉しいよ」

「私の方も、貴方が所属してる鎮守府につけて嬉しいわ」

互いに歩み寄る時打と葉子。

しかし人混みに紛れていた吹雪は見ていた。

「あれ?なんで刃出してるの?」

電も見た。

「あれ?なんかあの人、足の動きが少し慎重な気が・・・」

次の瞬間、時打と葉子の姿が霞んだかと思うと、高い金属音が鳴り響いた。

『!?』

その場にいる一同が一斉に驚く。

いつの間にか時打が抜刀し、女性が蹴りを入れたのだ。

そのまましばらく硬直していた二人だったが、すぐさま二人同時に振り向く。

「腕は鈍っていないみたいね」

「お前も、前より速くなったんじゃないか?」

「そうかもっね!!」

ふと女性が深く沈みこんだ。

「お前ら、少し広がってくれ」

時打がそう言い、刀を横に水平に胸元辺りに構えたかと思うと、丁度、そこへ女性の足が直撃する。

踏みとどまった時打は、葉子の蹴りの威力が完全に消えたのと同時に、時打は刀を上段に構え、振り下ろす。

それを、葉子はしなやかな動きでかわす。

「やれやれ・・・」

一方で達也は溜息をついていた。

「初めて会った時から思っていたが、本当に好戦的だな。奴は」

「おいおい、これ止めなくてもいいのか?」

「別に俺が止める事のものじゃないだろ」

響夜の言葉に、そう返す達也。

一方で、時打と葉子は、もの凄い速さで激闘を繰り広げていた。

時打は刀で、葉子は足のみで連撃をぶつけてあわせていた。

ふと時打が飛び上がる。

「やっば!?」

それを見て葉子は笑いながらも冷や汗を流す。

「飛天御剣流 龍槌閃ッ!!」

時打は、落下の威力を使い、刀を振り下ろして地面を砕く。

それを避ける葉子。

「あっぶな~。でもま、そっちも技使ってくるなら、こっちもやらないと、失礼だよね!」

葉子はそう言い、腰を落とす。

 

馬坂流 瞬踏(しゅんとう)

 

そして踏み込んだかと思うと、目にも止まらぬ速さで時打の懐に入り込み、左足で直進蹴りを放つ。

瞬く間に相手を踏み倒す。

それがこの瞬踏の名の由来。

しかし、それを黙って受ける時打ではない。

すぐに右へ回避したかと思うと、そのまま遠心力を付けるように回転。

 

飛天御剣流 龍巻閃

 

しかし、葉子はその背後から迫る一撃を、すぐさま突き出した左足を引き戻して、その足で思いっきり地面を蹴り、後転宙返りで回避する。

そのままもう一回で後ろにバック転をしたかと思うと、距離を取る。

「ひゅう、さっすが」

「お前もな。さっきの瞬踏も前より速くなってる」

互いにほくそ笑む時打と葉子。

そのまま続行となるとしていたが・・・・・

「はいはい、そこまでですよ」

「ん?」

「吹雪」

そこへ吹雪が割り込んでくる。

「戦いなら後でいくらでもできるでしょう。それよりも、皆さんに紹介した方が良いんじゃないんですか?」

「っと、そうだな。勝手に戦いに没頭している場合じゃなかった・・・」

「う~、もうちょっと楽しみたかったのに~」

吹雪の仲裁によって中断させられる戦闘。

突如始まった戦いが終わってくれた事でホッと安堵を息を漏らすその場の一同。

「そんじゃ、改めて」

葉子はピシッと気を付けをして、敬礼をする。

「本日付けで、この黒河鎮守府の憲兵長を務める事になりました。馬坂流闘技免許皆伝の馬坂 葉子です。よろしくお願いします!」

そんな元気な挨拶に、周りにいた艦娘たちが毒気を抜かれたように茫然とする。

「・・・・あれ?」

それに首を傾げる葉子。

そんな空気を変えるように、今度は達也が前に出る。

「秋風達也だ。今回は、一ヶ月の間ここで憲兵をする事になった。よろしくとだけ言っておこう」

と、それだけ言って、あとはだんまり。

「・・・・・神通」

「はい」

ヌッとどこからともなく音を出さずに出てくる神通。

『うわぁ!?』

それで一部を除く全員がものすごいリアクションで驚く。

一ヶ月前の改装で川内ともども改二になったお陰で、ある程度、服装に変化があり、額には鉄の額当てが付けられていた。

「案内してあげなさい」

「はい」

時打がそう言うと、神通はうなずき、二人に近付く。

「こちらです」

「あ、うん・・・・」

「分かった」

葉子は引き攣った笑みを、達也は真顔でそう言い、神通についていった。

「さて、質問など皆したいだろうけど、今日は休暇だ。暇を適当に潰しててくれ」

時打がそう言うと、その場にいた艦娘たちがそれぞれ解散していく。

その中で、時打は、改装して、神通の様に忍者に似た格好をした川内に近付いた。

「で、前に話してたもの凄い足技を使う奴が言ってたけど、それがアイツなんだ。どうだ?感想は」

と、時打は川内に近付くなりその様に言ってきた。

「・・・・・・」

一方の川内は茫然としていた。

「凄まじかったか?」

時打が、更に問いかける。

「・・・・うん」

「そうか。弟子入りしたいなら、好きにすれば良い。自分で道を見つけるのは良い事だ」

時打は、それだけを言い残し、立ち去っていく。

そして、その場に残ったのは川内だけだった。

「・・・・・私も・・・強く・・・・」

川内は、それだけを呟いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

黒河市のどこかにある、奴隷売り場にて。

「またか・・・・」

そこの主と思われる男が、忌々し気にそう言う。

「はい。どうやら、あの場所には強力な用心棒がいるようでして」

それに答えるのは、部下と思われる男性。

「チッ、良い収入源だってのに・・・仕方ない、そこを大人数で襲うぞ」

「はあ・・・・・」

「他の同業者を集めるぞ。決行は一週間後だ」

「へ~え。面白い事を考えてるねぇ~」

『!?』

突如、彼らのいる部屋の隅から、子供の様な声が聞こえた。

「アタシもその話に混ぜて欲しいなぁ~」

次に聞こえた声で、部屋に出来ていた影から、一人のすらりとした足をした()()が出てきた。

「こ、これは、弘斗(ひろと)様、何故ここに・・・・」

その姿を見た男たちは慌てて畏まる様に頭を下げる。

「べっつに~、面白い話が聞こえてきたから、よってみただけ~。それでさっきの話だけど、なになに?もしかしてとても強いの?その用心棒って人」

「え、ええ・・・・これまで何度もそこへ向かった同業者がいたのですが、全てその場で捉えられたらしくて・・・」

「そうなんだ~。じゃあ、その人も速いのかな~?」

「ええ。おそらくは」

踊る様にその場でステップする少年。

「ふ~ん。それじゃあ、アタシも手伝ってあげようかなぁ。その襲うって奴」

「え!?いや、わざわざ貴方の・・・ごほ!?」

「本当でございますか?」

部下が弘斗の言葉に思わず反対しようとしたが、上司が部下の腹を殴って阻止、そしてまるで了承するかのように聞いてくる。

「うん。だって面白そうだし」

「『十王』の一人に手伝ってもらえるとは、光栄の至りでございます」

上司の男が、その様に言う。

「あ、そうだ。十王といえば、健吾もこの話乗っかりそうだな~」

「健吾様でございますか?」

「うん、あの人、とても好戦的だからね~。他にも部下を連れてくるよー」

「ありがとうございます」

「それじゃあ、決行の日になったら呼んでね~」

そう言って、影に消えていく少年だった・・・・

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ん?」

「? 提督、どうかしたんですか?」

ふとお茶から目を放し天井を見上げた時打。

その様子に、一緒にお茶を嗜んでいた翔鶴が気付く。

「いや、なんか寒気が・・・・」

「・・・近いうちに何かがおきそうですね・・・・」

時打のその呟きに、翔鶴も冗談じゃない苦笑いを浮かべた。

「それにしても、提督って髪が結構伸びやすいんですね」

「まあ、昔は切るのが面倒だったから、こうして伸ばしてたんだがな」

「他の人から見たら女性って間違われますよ?」

「そうかもな」

翔鶴との会話を弾ませる時打。

「それにしても、似てるなぁ・・・・」

「何に?」

翔鶴の何気ない一言に、時打が問いかけてくる。

「軽巡の矢矧さんですよ。提督、今その人にとても似てますよ?」

「そうか・・・・母さんの名前も『矢矧』だったけど、思い出してみると、確かにそうかもな」

時打はそう言い、耳の前にある髪の毛をいじりだす。

「へえ、そうなんですか・・・・もしかしたら、提督のお母さん、艦娘かもしれませんね」

「まさか、そもそも艦娘じゃ子供を作れないだろ?」

生殖器官が使えない事と歳をとらない事が、唯一『人間(ヒト)』と『艦娘』を区別する方法だ。

「そうですね・・・・・」

それを聞くと、何故か悲しい気持ちになる翔鶴。

「まあ、確かに、子供の頃は父さんよりも母さんの方に近しい感じもあったし、そもそも親父は俺が三歳の頃に死んでるんだ」

「え、そうなのですか・・・?」

それを聞いた翔鶴の眼がうるみ出し、それに気付いた時打が慌てて誤魔化す。

「で、でも、父さんの残してた『るろうに剣心』があったお陰で、今俺はこうしてあの時お前を助けられたんだし、良い事もあったんだ。お前が気に病む必要なんて無い」

それに、と彼が続ける。

「俺は、お前らの笑顔を守れてる事が、一番嬉しいんだ」

「・・・・」

時打の、悲しそうな笑顔。

そこに、一つの感情を滲ませて。

だが、時打はそんな空気を変えるように話題を変えた。

「そういや、川内は今頃どうしてるかな」

「あー、そういえば、今回着任した憲兵さんって、提督の知り合いでしたよね」

「ああ、馬坂っていう、四国じゃ有名な家の人間なんだ」

「四国の・・・?それがなんで横須賀の憲兵学校に・・・・」

「なんでも、世界を知る為だとか・・・・」

「ははは・・・・」

時打の答えに、苦笑いを浮かべる翔鶴。

「さて、そろそろ見回りに行こうか」

「あ、でもそれは憲兵の仕事じゃ・・・・」

「あ、そうだっt・・・・・」

「ヘーイ、テートクー!」

「どわぁぁぁぁああああああ!!!!」

突如、扉が開け放たれ、その様な口調と共に誰かが入ってくる。

その瞬間、時打が恐ろしいスピードで執務机の後ろに隠れる。

「え?え?」

そして翔鶴は何故、時打が隠れたのか理解できずに混乱していた。

「ハッハッハー!やっぱ壱条長官の言ってた事は本当だったわね時打!」

「って馬坂、お前か!?」

その声の正体は憲兵の制服たる、黒の軍服姿の葉子だった。

しかし、その服装は上は軍服だが下はスカートといった感じであり、足には黒のニーソといった感じだ。

「お前ぇ・・・・・」

「まあまあ落ち着いて」

怒り心頭の様子の時打をなだめる葉子。

「て、提督・・・・」

ふと、葉子の後ろから川内がなんだか浮かない表情で出てくる。

「って、川内じゃないか、どうした?」

そんな様子の川内に、首を傾げる川内。

「あ、そうそう時打、こいつしばらく前線から外す事できない?」

「前線から?・・・・・良いのか?」

葉子の言葉に首を傾げた時打だったが、すぐに何かを察して尋ねた。

 

「ええ、一人前の、馬坂流戦闘術の人間に育ててあげるわ!」

 

 

 

この時、密かに、大きな戦いが迫っている事に、まだ誰も気付く事は無かった。

 

そして、この了承で、川内にどの様な変化をもたらすのか、それは、神のみぞ知る。




次回『馬坂の技』

我、前線ヨリ離レ、修行ヲ開始ス。

お楽しみに!

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