艦隊これくしょん その刀は誰が為に   作:幻在

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今回から始まる五月雨編。

夕立「そこにある結末とは何か、こうご期待っぽい!」

時雨「最近、キス島やリランカが攻略できない上にボーキサイトが足りないのが理由で、時間にまかせた資材集めをやっている提督には悪いんだけどさ・・・・そろそろ出撃させてくれない?」

申し訳ございません時雨。

村雨「そこは『様』か『さん』つけた方が良いんじゃない?」

良いんだよ。では、本編をどうぞ!


五月雨編
孤独の少女


とある海洋にて。

 

立て続けに起こる、砲撃音と爆発音が響いていた。

「おい!?艦爆が抜けてきているぞ!!」

「すみません!瑞鶴が白兵戦に集中していて」

「ル級!残り二隻です!」

「はっや!?もう三隻目じゃない大和!」

「流石大和型・・・・私も負けてられないのです!」

怒号の様に飛び交うそんな会話の中、電がそう言い、目の前のイ級に牙突を叩き込む。

「もう一隻・・・・あ」

ふと大和が残り二隻のル級の内片方に主砲を向けた時、そのル級の背後で、軽巡やら重巡やらに囲まれている吹雪を見つける。

だが、追い詰められているのは何故か、取り囲んでいる重巡たちの方だった。

「やっぱり、提督の力を受け継いだだけはありますね・・・・」

そう感嘆する大和。

今の吹雪は、改装を済ませて、黒いセーラー服の上に黒のロングコートを着ているという服装であり、その体は、幾分かの成長を遂げ、中学生ぐらいだった体格が一気に高校生ぐらいの体格にまで成長している。

そして、その華奢な体からありえない程の膂力で、右手の鴉羽(からすば)色の刀身を持つ打刀、『影丸』を振るう。

「ハア!!」

「ギャア!?」

右斜め上から飛び上がり気味の袈裟懸けを重巡にすれ違いざまに喰らわす。

更に、その後ろにいた軽巡を振り下ろした影丸を左横に構えてそのまま薙ぐ。

「波龍閃!!」

横一文字。

その攻撃は目の前の軽巡だけでなく後ろに控えていた駆逐艦までもをぶった斬る。

そこへ吹雪めがけて回りの深海棲艦たちが一斉に砲撃。

しかも距離が近いのか全て水平だ。

これじゃあ、どう動こうとも避ける事が皆無。

それこそ、空へ飛ばなければならない。

 

 

 

 

 

 

 

それが可能なのが飛天御剣流なのだが。

 

 

 

 

 

その瞬間、吹雪は水面を蹴って空高く飛び上がる!

そして、吹雪がさっきまで立っていた場所に無数の水柱が立ち上る。

『!?』

敵が全員目を見開く。

「飛天御剣流・・・・・」

そして吹雪は、そのまま重巡リ級に落下しながら接近。

「龍槌閃『惨』!!」

そして、影丸を逆さまにもった状態からリ級のその頭蓋を刺し貫く。

声を挙げる間も無く、絶命するリ級。

吹雪は、貫いた後、後ろに後転してリ級から降りる。

その瞬間、すぐに海上を全速力で駆け出す。

本来艦娘は、船という概念を持つ事から、まるでスケートの様に海上を滑る様に移動するのだが、その機能を切り替えて、水面を蹴りながら、文字通り、走る事が出来るのだ。

だからこそ、吹雪は、飛天御剣流の『神速』を発動できるのだ。

すれ違いざまに、敵深海棲艦を斬り飛ばす。

時には上段から切り落とし、時には下段から斬りあげる。

とにかく目に映った敵から斬り伏せていく。

「うっひゃあ・・・・」

そんな吹雪の戦乱怒涛の強さに目の前のヌ級を斬り伏せながらに若干引き気味に声を漏らす瑞鶴。

「すごいですね・・・」

「ああ、流石、一対多数の戦闘を想定した飛天御剣流だ。そして、それを使いこなす吹雪もな」

翔鶴の言葉に、長門がそう答える。

思想改装を実施してから、吹雪の戦績は著しく上がっていっている。

これも、時打の飛天御剣流を使っている事が大きいだろう。

だが、それでも本家である時打に叶わないのだが。

ふと吹雪が左手を翻し、ロングコートの腰回りの裾をばさりとあげる。

そこから姿を見せるのは、十二センチ単装砲。

それを引き抜き、駆逐艦に向かって拳銃みたく発砲。

これを避ける駆逐イ級。

だが、直後に爆発!!

「っし」

と、爆発して沈んだイ級の横で電がガッツポーズを取る。

魚雷を当てたのだ。

「ナイスだよ電ちゃん!」

「はい!それを後ろ!」

「おっと!」

すぐさま後ろから軽巡たちが放った雷撃を避ける吹雪。

「いいコンビですね」

「そうですね」

そんな二人の様子を見て、そう呟く大和と瑞鶴。

「さあ、そろそろ終わらせよう。斉射用意!」

「はい!」

「瑞鶴、白狼の準備を」

「分かった!」

そうして、もはや一方的ともいえるこの戦いが、程なくして、終わった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

現在の時打の階級は、大佐。

春の大規模作戦の功績、および、黒風、白狼、そして新たに艦攻『紅燕(こうえん)』を開発し、開発部でおおいに貢献し、結果、時打を一気に大佐にまで昇進させたのだ。

当然、注目されるのは言われるまでもない。

ただ、時打が作ったのは艦載機だけなので、全国の空母たちから賞賛されるのも無理もない。

最も、開発者としての部分だが。

 

 

 

 

そして、時打は今、大本営、横須賀を訪れていた。

そばには、長門ではなく、羽黒がいた。

八月の定例会の為だ。

「今回は、特に大きな事も無かったな」

「はい。資料をまとめてみましたけど、特に大きな事もなかったですね」

廊下を歩きながら、その様な会話をする時打と羽黒。

「時打」

「ん?長官?」

ふと、時打たちは、後ろから豪真に声をかけられた。

「なんですか?」

「いや、お前に会わせたい奴がいてな・・・」

と、少し気まずそうな態度を取る豪真。

「会わせたい人?誰なんです?」

「ああ、別にお前は良いんだが・・・・」

そう言葉を途切らせた豪真は、羽黒をちらりと見る。

「?」

それに首を傾げる羽黒。

「羽黒に会わせてはいけない奴なんですか?」

「いや・・・・というよりも・・・・向こうが、なあ・・・」

しどろもどろになる豪真。

「?」

「とにかく、これはお前たち黒河鎮守府に関する問題だ。羽黒、というよりも、黒河に所属する全ての艦娘に関わる事だ。とにかく付いてきてくれ」

そう、豪真になされるままに連れていかれる時打と羽黒。

そこは、本営の地下。

薄暗い廊下を、三人は黙って歩いていく。

若干、羽黒がきょろきょろと辺りを見ながら怯えているのだが。

ふと、角を曲がった先に、光が見えた。

どうやら、右側の窓から光が差し込んでいるようだ。

そこへ移動する。

「見て見ろ」

と、豪真は時打に向かってそう言った。

「「?」」

二人は、窓の中をのぞく。

すると、そこには、深い青色の長い髪をした、一人の少女が、その部屋にたった一つしかないベッドの上で、ちょこん、と座っていた。

「あれは・・・・五月雨か?」

時打は、そう直感した。

服装は、セーラー服に似た服装ではなく、病院の患者が来ているようなローブとズボンだが、彼女は間違いなく白露型六番艦『五月雨』だ。

だが、明らかにおかしい所といえば、時打の知る五月雨は、真面目で一生懸命、ドジっ子な部分もある、まさに王道ヒロインの要素を色々と詰め込んでいるといった様子だ。

だが、彼女からは、それが感じられないどころか、生きているのかと分からない程に、眼が虚ろなのだ。

ベッドの前には、暇つぶしの要素に本などが置かれているが、一度もそこから動かしていないのか、積まれたままの状態となっていた。

テレビも埃をかぶっている。

「長官、彼女は一体・・・・」

「それは、彼女が良く知ってるんじゃないのか?」

豪真の方を向いた時打だったが、豪真の視線が、時打の背後、羽黒の方を向いている事に気付き、そちらへ視線を向けてみると、そこには、眼を見開き、まるで狼狽しているかのような表情で、中にいる五月雨を見つめていた。

「な、なんで・・・・どうして・・・・」

「羽黒?」

「嘘・・・・嘘だよ・・・だって・・・・あの子は・・・・」

「羽黒!」

「!?」

情緒不安定になりかけていた羽黒を、時打は一括する。

「まずは落ち着け」

「はい・・・・すみませんでした」

項垂れる羽黒。その表情は、暗い。

そこで時打は、豪真に向き直った。

「長官、彼女は、五月雨は、俺の前任が転勤になった時に、死んだ筈なのでは?」

これは、電と暁が問題を起こした時に、響が話してくれた時に言っていた、前任、秋村 禅斗の艦娘の筈だ。

その転勤が決まった時、五月雨は、首を吊って死んだのだ。

死んだ・・・・筈なのだ。

「五月雨の首・・・あそこに、痣があるのが見えるな?」

「痣・・・ええ、あります」

五月雨の首には、くっきりと、幅三センチの太い線状の痣が見えた。

それも、縄の痕。

「五月雨が、どういう訳かここに送られてきた時にな、ストレッチャーから落ちたんだよ」

「え・・・・大丈夫なんですかそれ?」

「それで、打ちどころが悪かったのか良かったのか、それで息を吹き返したんだよ」

「なんですかその荒治療の様な展開は・・・・・」

豪真のさらっとした言い方に、苦い顔をする時打。

「ただ、その時のアイツの絶望した顔には、面を喰らったがな」

と、豪真は、そう言った。

「「・・・」」

それに何も言えない時打と羽黒。

だが、そんな沈黙を破る様に、羽黒が豪真に問う。

「あの、どうして、五月雨ちゃんはここに・・・・」

「彼女の要求だ。ここに、監禁してくれってな」

豪真は、そう述べた。

それに、何も言えない羽黒。

「・・・・長官」

「不可だ」

時打の言わんとした事が理解したのか、拒否する豪真。

「しかし・・・」

「もう、誰とも関わりたくないそうだ」

と、豪真はそう言う。

時打は、しばし立ちすくし、拳を握りしめる。

その視線を、部屋の中にいる五月雨に向けて。

本当に、死人のように、微動だにしていない。

「まあ・・・」

そんな時打に、豪真が気の抜けた声を発する。

「もともとそんな五月雨の心を解きほぐすために、お前を連れてきたんだがな」

ニッと、笑う豪真。

「長官・・・・」

そんな豪真に、茫然とする時打と羽黒。

「ドアはそこだ。だけど気を付けろよ。下手すると、()()()()()

「肝に銘じております」

と、時打は、腰の深鳳の鞘に左手を添える。

そして、豪真が示した扉へ向かう。

ドアノブに手をかける。そして、ゆっくりと、ドアノブを捻った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「」

 

 

 

 

 

彼女が、何かつぶやいた気がした。

だが、聞き取れなかった。

時打は、それでもかまわず、扉を閉め、五月雨の前に立つ。

「・・・・お前が、五月雨だな?」

「」

何も答えない。

むしろ、動く気が無いようだ。

「俺の名前は天野時打。黒河鎮守府の、今の提督だ」

そして、時打は大きく踏み込んだ。

その瞬間、彼女の体が大きく跳ねるのを見逃さなかった。

そして、ゆっくりと、その顔が挙げられた。

「」

その顔は、酷くやつれていて、瞳は虚ろ。窓越しからでは分からなかったが、ここまで酷いとは思わなかった。

だが、その表情は、酷く怯えていた。

「え」

彼女が、初めて声を発した。

その短い音から分かる程、彼女の声は、枯れていた。

「一つ言っておく」

そこで時打は、あらかじめ布石を打っておく。

「俺はお前を連れ戻しに来たんだじゃない。ただ話がしたくてここに来ただけだ。そこを理解してくれれば、後の俺の話は流してくれてていい」

時打の言葉に、ただ茫然とする五月雨。

どうやら、先ほどの言葉が余程の衝撃だったらしい。

「ま、これから話す事は、今の鎮守府の状態だがな」

「あ、あの・・・」

「ん?」

五月雨が、話しかけてくる。

「あ、あの・・・・提督は・・・・秋村提督は・・・今、何をしていますか・・・?」

五月雨は、そう、半ば安定しない音程でそう聞いてきた。

「さあ・・・分からないな。秋村提督が今、どこで何をしているのかは、さっぱりだ。ただ、別の鎮守府に行ったって事ぐらいだが・・・・」

「そう・・・・です・・・か・・・・」

時打の言葉に、俯く五月雨。

そこで、時打は耳を澄ませた。

「私がいないのに・・・・・どうやって・・・・・」

「どういう意味だ?」

「!?」

時打は、あえて聞いた。

それにバッと五月雨は顔を挙げた。

「お前がいないのに、どうやって鎮守府に就く事ができたのか、あるいは、どうやって運営していくのか、そんな感じか?」「―――」

返す言葉も無い、といった表情になる五月雨。

「・・・・・」

「ま、そんな事は後回しに、一応は俺の話を聞いておけよ」

「いやです」

「即答かい」

五月雨の反応に、若干傷付いた様な仕草をする時打。

だが、五月雨の方は、深刻だった。

「いや・・・です・・・・」

俯き、頭を抱える。

「聞きたく・・・ありません・・・・・」

「・・・そうか」

時打は、短く、そう答えた。

「じゃあ、また出直すとするよ。また来る」

「・・・・もう、来ないで下さい」

「断る」

時打が、その様に即答する。

その瞬間、部屋の空気が、一気に下がった。ような気がした。

 

「――――殺しますよ?」

 

五月雨は、そう、脅した。明確な殺意を持って、時打を睨みつける。

普通なら、ここでビビッて腰を抜かしそうなものだが、散々人を殺してきた時打には無駄な事だ。

「生憎と、そういうのには慣れてるから無駄だよ」

「なら体に教えてあげましょうか?」

「艤装を展開できないのに?」

「!?」

時打の指摘に、驚く時打。

どうやら図星だったらしい。

実は時打は結構鋭かったりする。恋愛事に関してはてんでダメだが。

響の話を聞き、豪真にここに連れてこられた時に、時打は一つの仮定を立てた。

 

どうして、五月雨が生き返ったのか。

 

鎮守府からここに運ばれるまでに、すでに蘇生できる時間は過ぎていた筈だ。

なのにどうして生き返ったのか。艦娘の体の構造は、頑丈で力が常人よりも強い事に加え、生殖器官が機能していない、歳をとらない事を除けば、あとは全て人間と同じだ。

人と同じように呼吸をし、人と同じように体を動かし、人と同じように食べ物を食べる。

だから、首を吊れば、人間同様死ぬ筈なのだ。

なのに、五月雨は生き返った。

偶然にも、発見されるのが早かったから蘇生できた。のなら納得はいくが、おそらくそうではない。

 

彼女の、(ふね)としての魂が、身代わりになったのだ。

 

艦娘の艤装はその魂に直結している。

だから、自分が艦としての自信が損なわれれば、艤装は上手く動かなくなるのだ。

これは、過去に実例のある事から言えるものだ。

そして、今の五月雨は、その艦としての魂を失った、いわば不老の存在でしかないのだ。

勿論、記憶はある。

軍艦としての記憶、この世界に転生してからの記憶。そして、培った経験。

ただないのは、その艦娘としての魂のみ。

人としての魂は、まだある。

 

「だから、なんだっていうんですか?」

「艤装がなくちゃ戦えないだろ?」

時打の言葉に、五月雨は、不敵に笑う。

ふと、時打は、何か大事な事を忘れていると思い出す。

そして・・・・明確な殺意を感じた。

「ッ!?」

思わず、上体を反らす。

五月雨が、飛びかかってきたのだ。

喉元を正確に、潰す気で。

「な!?」

「なろッ!」

すぐに時打は、五月雨の来ていたローブの裾を掴むと龍巻閃の要領で右に回転。

そのまま床に叩き着けられる。

「が!?」

「忘れてた。そういやCQC(近接格闘)が出来たんだったな」

時打は、額に冷や汗を流しながら、そう言った。

「嘘・・・・」

「嘘じゃない。これでも武術の心得はあるんだ」

そう言うと、時打は、五月雨から離れる。

「今日はこれぐらいでおひまとさせてもらうよ。またな」

起き上がって、無言でうつむいている五月雨にそう言い残し、時打は、部屋を出て行こうとした。

「あの・・・・」

掠れた声で、五月雨が呼び止める。

「なんだ?」

時打は、上半身だけを五月雨に向けて、そう聞いた。

「できれば・・・・誰にも・・・この事は・・・いわないで・・・ください・・・・」

そう、懇願した。

「・・・・・・それでいいのか?」

「・・・・・はい」

時打の問いに、五月雨は、間を置いてそう言った。

「・・・・言っておくが、窓の向こうに羽黒がいるからな」

「!?」

時打の発言に、五月雨は弾かれる様に顔をあげる。

「少なくとも、今の鎮守府で、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()からな。だから、いつかお前を説得する。覚悟しておけ」

そう言って、時打は五月雨の返答を待たず部屋を出て行った。

横をみれば、そこには、心配そうな、泣きそうな様子の羽黒がいた。

「あ、あの・・・・」

「一応、五月雨に言いたい事は言ってきた・・・・・って、長官はどこに行った?」

「あ、えっと・・・長官さんはさきほど、部下の方から連絡が入ったみたいで、そうしたら、いきなり()()()()()()()()で歩いて行ってしまって・・・」

「物凄く怖い顔?なんでだ・・・・?」

思い当たる節としては、何か豪真にとってものすごくマズイ状況になったか。あるいは、艦娘の『存在意義』についてで何かを言われたか。

それはともかく。

「行ってみよう」

「は、はい」

そう言い、時打と羽黒の二人は、豪真が歩いて行ったであろう廊下を歩いていく。

もともと、ここまでは一本道で、ただただ長い階段を上っていく。

そして、地下三階であろう階の階段に足を踏み入れた時だった。

「だからここには五月雨ちゃんはいないっていったでしょう!」

突然、時打の良く知る人の叫び声が聞こえた。

「な、なんでしょう・・・・?」

「急ごう」

「あ、はい・・・・ってえええ!?」

時打の言葉に同意した羽黒だったが、突然、時打の脇に抱えられた。

それに驚きの声をあげる羽黒だったが、そのすぐに発せられるべき声を発する暇の無く、ものすごい風と共に、彼らは飛んだ。

「きゃぁぁぁあ!?」

「う、流石に重いな」

「酷い!?」

何気ない時打の発言にショックを受ける羽黒。

そう思っている間に、すでに階段の一番の上に到達。

そこで、丁寧に下ろされる。

そこまで来て、誰かが口論しているような声が聞こえた。

そして、時打が扉に手をかけて、ゆっくりと開け・・・・ようとした。

 

「いい加減にしろ、秋村」

 

その瞬間、羽黒の中でドス黒いものが渦巻いたのと、時打が勢いよく扉を蹴ったのは、同時だった。




次回『Hell to you』


貴方に地獄を。


お楽しみに。

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