吹雪「あっさりと負けてしまいましたね・・・」
それで唯一無傷なのが響だけ・・・・
そして、リランカにも行ってみたら、なんと旗艦である赤城だけが無傷というこの事実。
飛龍「何故、幸運値は私の方が高い筈なのに・・・」
それは自分にも分らん。
そして、建造でついに榛名がきてしまいましたよ。
これで第四艦隊解放だぜヒャッホイ!
榛名「提督が喜んでくれて、榛名は嬉しいです!」
では、本編をどうぞ!
次の日―――マルナナマルマル――――午前七時。
「ハア!」
長門が右手を木に叩き付ける。
木が軋み、長門の腕が突き刺さる。
「ッ・・・・だめだ。違う・・・」
失敗だ。
この一週間、一度も成功した試しも無い。
「せめて・・・・出撃までには成功させたかったんだがな」
長門はそう呟き、右手首に左手を乗せる。
「ここにいたんだ」
「・・・三鷹提督・・・」
後ろから声をかけられ、振り返ると、そこには三鷹がいた。
「何用で?」
「いやぁ。ずいぶんと珍しい特訓をするんだなって思って」
「あまり簡単なものじゃありませんよ」
「だろうね」
柔らかい笑みで微笑む三鷹。
そこで、三鷹はある事を言う。
「ねえ、長門」
「なんでしょうか?」
「どうして時打くんについて行こうと思ったの?」
「・・・・」
その答えに、ふと考える長門。
「時打くんは、あの飛天童子だ。3000人を斬殺した張本人で、殺人鬼。そんな彼にどうしてついていけるんだい?」
三鷹は、そう聞く。
「・・・」
眼を閉じる長門。
「・・・・確かにそうだ」
眼を開き、先ほど殴った木の方に向く。
「提督は、あの金山市で、己の正義に従って、人を殺してきた」
でも、と長門は続ける。
「だからこそ、提督は知っているんだと思う。命の尊さを」
左手を、木に触れさせる。
「―――命の大切さを。生きていれば、別の幸せがあるという事を。だから―――」
右腕を振り上げる。
そして、その右手を木に叩き付ける。
「―――私は、ついていくと決めたんだ。あの人の、
木が爆散する。
「そっか・・・・」
三鷹は納得した様に笑う。
「それじゃあ。僕はもういくよ。じゃないと叢雲がうるさいからね」
そう言って、三鷹は立ち去っていく。
「ふ・・・あの人、わざとこんな事を」
笑みを浮かべる長門。
そして、視線を右手に戻す。
「・・・・」
開いていた手を、ぎゅっと握る。
「・・・・見ていてくれ、陸奥」
そう一言呟き、長門は歩き出した。
後ろにいる、彼女に微笑む半透明の人物に気付かず――――
横須賀の弓道場。
そこで、弓を射るものが複数。
「・・・・・ッ!」
赤城が弓を引き絞り、放つ。
その矢は真っ直ぐ飛んでいき、的の中心を穿つ。
その隣で、同じように中心をいる矢が一本。
「やりますね、瑞鶴」
「いえ、そんな・・・・」
照れる瑞鶴。
その様子に、気にも留めない加賀。否、弓を射ながら誤魔化す。
「五航戦が・・・」
「漏れてますよ、加賀さん」
加賀の横で苦笑いを浮かべる飛龍。
「嫉妬するのは分かりますが、良いじゃないですか。先輩と後輩みたいで」
「それが気に入らないの。五航戦のクセに・・・」
「本当にストレートですよね」
飛龍が矢を放つ。
それは、中心から少し外れた場所に刺さる。
「あちゃぁ、外しちゃったか」
その隣で、加賀が弓を射る。
すとん、と中心を難なく貫く。
「お、流石!」
「当然よ」
「流石ですね」
「・・・」
そこへ瑞鶴が加賀の的を見て褒める。
だが、それを聞いた加賀が複雑な気持ちになる。
「・・・何の用?」
「ただ褒めただけですよ?」
「・・・あ、そう。貴方も射に戻ったら?」
「そうですね。では失礼して」
と、瑞鶴が弓を構える。
真っ直ぐ伸ばされた左手に弓を持ち、それに矢がつがえられる。
そして、射る。
矢は真っ直ぐに飛んでいき、的の中心に命中する。
「・・・・まあまあね」
「え~、もうちょっと褒めて下さいよ」
「いやよ」
「やっぱりストレート」
加賀の言葉に苦笑いを浮かべる瑞鶴。
「はあ・・・」
それに溜息を吐く加賀。
短い間だが、もうこの瑞鶴の事が分からなくなってきた。
どうにも、親しく話しかけてくるのに、嫌な感じがしない。
馬鹿にしようにも、昨夜のあれが邪魔してどうにも上手く罵倒できない。
(本当に・・・・なんなの・・・?)
加賀は、弓を絞りながら、そう考えるのだった。
「ああ、そうか」
『ええ。この調子でいけば、なんとか作戦が終わるまでには完成するかと』
「慣らしとかもさせたかったが、流石にそれはぶっつけ本番でやるしかないか」
『大丈夫ですよ。この別動隊は、貴方が選んだ選りすぐりたちなんですから』
「ふ、そうだな。頼んだぞ」
『あいあいさー!』
がちゃり、と通話を切る時打。
「どうだ?」
その後ろから、豪真がそう聞く。
「作戦が終わるまでには完成するらしいです」
「間に合うかどうかは、分からないな」
豪真の横で、翔真がそう言う。
「翔真さん、本当に良いんですか?」
「何がだ?」
時打の問いに、首を傾げる翔真。
「赤城たちにこの事を伝えなくて」
「伝えたら、それに頼ってしまうだろう?そうなったら、士気が落ちるのは当然だ」
「そうですね・・・すみません。無駄な事を聞いて」
「いや、お前は内の赤城たちの身を案じて言ってくれたんだ。気にする事は無い」
時打の謝罪を、そう流す翔真。
「だがまあ、今回はそれなりに期待した方が良いかもな」
「? どういう意味です?」
豪真の言葉に、今度は時打が首をかしげる。
「実は、そこに送った潜水艦から電文がきてな。なんでも空母棲鬼を一隻投入したらしい」
「な!?」
その豪真の言葉に驚く時打。
「それって・・・・」
「ああ、機動部隊の戦力増加・・・・流石にお前の所の援軍に期待するしかないな」
機動部隊の戦力増加となると、こちらの機動部隊の負担が増える。
だから、なんとしてでも、黒河の新型の開発を急がなければならない。
そこで、豪真の携帯が鳴る。
「む、そろそろか」
豪真をその携帯を取り出し、そこに表示されている時計を見る。
「行きましょう」
「ああ」
時打たちは、外へ向かう。
そこにあるアスファルトの広場の上には、何人もの艦娘・・・・今回の大規模作戦に参加する艦娘たちが、それぞれの部隊の列に並んでいた。
すでに別の鎮守府の提督たちまでいる。
そして、時打と翔真も、自分たちが担当する部隊の前に立つ。
そして、豪真が高台の上に立つ。
その横には、彼の秘書艦である筑摩。
「皆の者、よく集まってくれた」
視線が、一気に豪真に向けられる。
「今回、集まって貰ったのは他でもない。大規模作戦についてだ」
会場にいる全員が息を飲むのがわかる。
「この作戦は、失敗すれば、西日本で、厳しい戦いが繰り広げられる事だろう。そうすれば、何人もの犠牲が出てしまうのも避けられないかもしれない。それだけは絶対に阻止しなければならない。犠牲の上にある勝利など、私は望まない」
豪真が、威厳ある声と態度でそう言い放つ。
「よって、私が望むのは完全なる勝利だ。死人を一人として出さない絶対なる勝利だ。故に私は、お前たちに言う」
そこで切る豪真。
そして、空気を震わせる程の怒号が聞こえた。
「必ず帰って来いッ!!!!!!
それは、黒河で時打が、長門たちに言った言葉と、ほぼ同じ言葉だった。
「以上だ」
それだけを言い、偶然にも豪真を見ていた時打に視線を送る。
「時打、号令」
「え、あ、豪真長官に、敬礼ッ!!」
隣の翔真に言われ、時打は一瞬戸惑うも、すぐにそう声を上げ、敬礼をする。
それに応じる様に、後ろの艦娘や、提督たちが一斉に敬礼をする。
「出撃だ!諸君らの武運を祈る!」
そして、その場にいる全員が一斉に動いた。
次回『作戦開始!予想外の事態!?』
敵棲地、そこに仕掛けられた罠とは!?
次回を楽しみに!