艦隊これくしょん その刀は誰が為に   作:幻在

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飛龍「一時期、秘書艦を務めさせてもらいます、飛龍です」

赤城はただ今入渠中。なので代わりに飛龍に来てもらっています。

加賀「私の練度が高ければ、一緒に戦えたのに・・・」

あと蒼龍さえくれば南雲機動部隊揃うのになぁ~!

飛龍「最近、開発でいいのが出ませんからね~。そのお陰で大型建造に着手できないのも痛いですし、そもそも他の艦隊を遠征に行かせない提督もどうかと思いますけどね」

う・・・・

加賀「そうすれば資材も沢山手に入るのに、内の提督はバカなのかしら?」

うぐぐ・・・・・と、とにかく、本編をどうぞ!


大連合艦隊 組み分け

定例会議から、一週間がたった。

 

 

 

 

四月中旬。

ヒトマルマルマル―――――午前十時。

横須賀にて・・・・・

「長門、お前ちゃんと入渠してきたんだよな?」

「ああ。問題ない」

と、長門は右手をぐっぱぐっぱと、開いたり閉じたりした。

「しっかりしてくれよ。響夜から修行のためとはいえ、かなり右手を酷使してたんだからな」

そう咎める時打に、大げさに肩を竦める長門。

その後ろには、黒河鎮守府所属だというのが分かるジャケットを着ている他五人の艦娘たち。

今回の大規模作戦に参加する黒河鎮守府の選抜メンバーだ。

「どんな人がいるのかな~」

「あまり、怖い人じゃないといいですね、姉さん」

「どうしよう・・・もし電と離れ離れになったら・・・」

「だ、大丈夫だよ暁ちゃん。きっと、皆優しいから」

川内、神通、暁、電がその様に談笑。

だが、瑞鶴だけは少し浮かない顔をしていた。

「心配か?」

時打がそんな彼女に話しかける。

「え?」

「加賀の事だ」

「・・・・うん」

うなずく瑞鶴。

「でも、大丈夫。今度こそ、加賀さんを・・・・」

小さな声で、瑞鶴が、その様に呟く。

「・・・・・自己犠牲だけはするなよ」

「うん。でも・・・・」

瑞鶴が、少し間を置いて、答える。

「考えるより先に動いてたら・・・・その時は許して」

「・・・・分かった」

そして、ある地点についた所で、時打は後ろにいる自分の艦娘(部下)たちに振り向く。

「俺たちはここで別れよう。これが、お前たちが入る艦隊の名簿だ」

と、時打は六枚の紙を、それぞれ一枚づつ渡す。

「へえ・・・」

「・・・・!」

「良かった・・・」

「陸攻ですか・・・・」

「私は・・・・水上打撃か」

「私はやっぱり機動部隊か」

それぞれの感想が口から漏れる。

「それじゃ、仲良くやれよ」

『はい!』

元気良く答えた彼女たちに微笑み、時打は指令室に向かった。

 

 

 

 

 

 

 

 

神通、長門は水上打撃部隊だ。

主に、敵の艦隊などを叩くのが仕事だ。

「失礼する」

「失礼します」

長門と神通が、同時に、水上打撃部隊の部屋に入る。

「黒河から来た長門だ」

「同じく、軽巡の神通です。よろしくお願いします」

すると一瞬で、その部屋にいた艦娘たちの視線が突き刺さる。

もう、全員来ていた。

みてみると、大和型二番艦の武蔵、長門型二番艦の陸奥、妙高型重巡の足柄、同じく重巡の那智、護衛として陽炎型駆逐艦の雪風、白露型の白露、睦月型の如月、同じく弥生、初春型の若葉、そして、軽巡の龍田。

長門の視線が、陸奥に向く。

その視線に、陸奥は首を傾げるが、長門はすぐに視線を外し、龍田へ。

「一週間ぶりだな、龍田」

「そうねぇ」

と、龍田は気の抜けた喋り方で長門に応じる。

「まあ、ここではあの時の事は水に流して、仲良くしましょう」

その言葉に眉をひそめる長門だが、時打の事を思い出し、ため息を一つついた。

「そうだな。今は協力し合おう」

「ふふ、賢いのねえ。うちの長門はとてもおっちょこちょいなんだけど」

「・・・・」

その私と一緒にしないでくれ、と内心で本気で思った長門。

それに苦笑いを浮かべる神通。

すると、褐色肌の艦娘、武蔵が長門に歩み寄る。

「今回はよろしく頼む。それなりに期待はしている」

そう言い、右手を差し出す。

不器用なのか、少しぎこちない。

だが、その笑みからは見下しているという感情は感じ取れない。

「ああ、こちらからもよろしく頼む」

そう言い、長門も右手を出し、その手を握り返す。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

電、川内は陸上攻撃部隊の護衛。

そこで・・・・

「・・・・」

「・・・・」

「Oh!貴方たちが黒河の艦娘ネー!金剛デース!ヨロシクオネガイシマース!」

と、金剛がハイテンションに、しかしその手に持ったティーカップに乗ったお茶を一滴も零さずに自己紹介をする。

「どうも、軽巡洋艦『川内』です」

「駆逐艦『電』です。よろしくお願いします」

一瞬、茫然としたが、すぐに我を取り戻し、敬礼をする。

その部屋には、金剛の他に、同じ金剛型の比叡、榛名、霧島の三人。重巡に摩耶と鳥海。護衛として、駆逐艦の陽炎、天津風、霞。重巡の利根がいた。

「ほ~う。こやつが噂に聞く黒河の電か」

「え・・・なんですか?」

すると、利根が電を興味深そうに観察し始める。

主に、電の腰の後ろにある小太刀に視線がいっている。

その視線に下がる電。

「ふ~む。腰に刀・・・・珍しいものじゃのぅ」

「そ、そうでしょうか?昔は私たちは鋼鉄の塊だったでしょうけど、今は人の体を持った艦娘です。なら、人と同じ事ができても可笑しくはないかと・・・」

「だったら無駄なんじゃないの?」

そこへ割り入ってくる者が一人、天津風だ。

「私たちは軍艦。そして向こうも軍艦。だったら、かなり近づかないと敵を攻撃できない刀なんて、そんなの時代遅れの代物でしかないわ。それとも、自分の提督にでも当てられたのかしら?」

と、挑発的にそう言ってくる天津風。

それを聞いた電は・・・・

「え?そうですけど?」

と、何故か不思議そうに首を傾げる。

どうやら、自分が馬鹿にされている事に気付いていないようだ。

 

自分の事に対しては、かなり鈍いのだ。

 

「な・・・」

「うわぁ。上手く流されちゃったわねぇ・・・」

と、陽炎がカラカラと笑う。

そこへ電が天津風に向き直る。

「確かに、剣は明治、いえ、江戸の頃から、だんだんと衰退していきました。でも、『剣を使う術』は無くなっても、『剣に歩む道』は、今も生きてるんです。残念ながら、私や司令官が使っているのは、『剣術』ですけどね」

そう、笑う電。

「貴方が私の事を気に入らなくても良い。でも、今だけは作戦を成功させようとする同志の一人です。そこだけは、どうか認めて下さい」

と、ぺこりとお辞儀をする電。

「うぐぐ・・・・」

ここまで言われると、流石に何も言えなくなる天津風。

と、そんな空気をぶち壊すかのように、金剛が割り込んでくる。

「まあまあ!そんな事より、スコーンを食べまショウ!紅茶にはこれが一番デース!」

「あ、貰います!」

そんな空気に乗る電。

「・・・」

それに茫然とする天津風。

「じゃ、私も貰おうかな」

更に乗る川内。

そんなこんなで、陸上攻撃部隊のメンバーが終結した。

 

 

 

 

 

 

 

 

廊下にて。

「うう・・・・緊張するわね・・・」

「だからって、ここで待っていてもしょうがないんじゃないんですか?」

「まあまあ良いじゃない。緊張するのは誰だってするものよ」

暁が、扉の前で立ち往生し、途中で会った、装甲空母の大鳳に加え、瑞鶴が苦笑する。

「そんな事いって、緊張していなくても、心配してるのは瑞鶴さんの方じゃないんじゃないんですか?」

「そんな事ないわよ?」

「だって・・・・加賀さん・・・・」

「・・・・」

その名前を聞いた瑞鶴の顔から、少し暗い笑みが浮かぶ。

「大丈夫。気持ちの整理は済んでるから」

「なら、良いんですが・・・・」

そんお微妙な空気に、少し気まずくなった大鳳は、話題を切り替えた。

「と、とにかく入りましょう。誰が来てるのか、気になりますし!」

「あ、ちょ!?」

と、大鳳が扉に手をかけ、まだ心の準備が出来ていない暁が止めに入るがもう遅い。

がちゃり、といつもの音が響き、中に入っていく大鳳。

それに続いていく瑞鶴。その後を暁が慌てて追いかけていく。

「小田原から来ました。装甲空母『大鳳』です」

「黒河から来ました。正規空母『瑞鶴』です」

「お、同じく、黒河から来ました。駆逐艦の『暁』です」

すると、畳の上に座ったり寝転がったりしている艦娘たちがこちらに一斉に視線を向ける。

見た所、やはり横須賀の南雲機動部隊の面々が揃っていた。

赤城、加賀、蒼龍、飛龍の四人は当然の事。

他にも、随伴艦として、龍鳳、白雪、初雪、皐月、北上の五人。

三人が敬礼を解くと、真っ先に近付いてきた人物が一人。

「よろしくね。今回、この航空機動部隊の旗艦を務めさせて頂く、赤城です」

と、赤城が右手を差し出してくる。

その手を、瑞鶴は手に取り、笑う。

「はい、こちらこそ、勝利の為に精進させて頂きます」

その反応に、赤城も微笑む。

「赤城さん」

そこへ割って入ってくる者が、ここでも一人。

「あまり五航戦の子なんかと仲良くしないで」

「良いじゃないですか。仲間なんですし」

「仲間でも信頼信用した覚えは無いわ」

そう、加賀は棘のある言葉で瑞鶴を遠回りに攻撃する。

一方の瑞鶴は、代わりに分かっていたとでもいう様に笑みを作る。

「良いですよ赤城さん。加賀さんはこういう人って知ってますし」

「そうですか?でも、仲良くはして下さいね」

「分かりました」

と、ぺこりとお辞儀をして、加賀の方を見る。

加賀は瑞鶴から視線を外し、一人、ちゃぶ台に向かってお茶を飲んでいた。

(あの人もお茶は好きだったな・・・・)

そう感傷に浸りながら、瑞鶴は段差になっている畳の上に腰をかけた。

(今度は・・・必ず・・・)

あの日の事を思い出し、瑞鶴は決心をつける。

そこへ、飛龍が瑞鶴の背中に飛びかかる。

「わあ!?」

「やっほー!時打の所の瑞鶴!私は横須賀所属の飛龍」

そこで加賀がピクリと反応する。

「ど、どうも、瑞鶴です・・・・って、提督さんの事を知ってるの?」

「知ってるも何も~、結構お世話になったんだよ~。誘拐されかけた時にカッコよく助けてくれたんだ~」

「え!?」

助けたってどういう事!?と、内心で思いっきり動揺している瑞鶴。

「ど、どういう意味でしょうか・・・・」

(まずい、まさか翔鶴姉にライバルが・・・・・)

と、ある意味どうでも良い事――――別に面白いから良いが――――を思った瑞鶴。

「うん。私が勝手に街に出かけてた時にナンパされちゃってさ~。それで断ったんだけど、逆に炊き付けちゃったみたいで、連れて行かれそうになったんだ。それで、偶然にも時打がきて、ナンパ野郎どもをバッタバッタと殴り倒していったんだ。その時の雄姿といったらもう~」

えへへ、と片手を頬にあてる飛龍。

(な、なにこの惚け顔・・・・そこまでベタ惚れって訳!?)

「あ、言っとくけど私時打に惚れてるわけじゃないから」

「今心読んだ!?」

「何の話?」

と、なんだかコントを始めた二人を、蒼龍が引き離す。

「はいそこまで」

「あ~、良いじゃん蒼龍~」

「話したいならくっつかなくても良いでしょ?こんにちは、私は蒼龍。時打くんとは、提督につれられて、海軍学校に行ったときに会ったの」

「そうなんですか・・・・提督さんって結構顔が広いのね」

「広い、というよりも、ここの艦娘ならほとんどが知ってるよ」

「え、そうなんですか?」

意外な事に純粋に驚く瑞鶴。

「うん。それと、敬語は私や蒼龍には使わなくていいよ。流石に加賀さんにはどうかと思うけど、気軽に話しかけていいから」

「う、うん、分かった・・・・それで、なんで全員知ってるの?」

「それはね」

そこへ赤城が割り込んでくる。

「よく提督に会いに学校を抜け出してここに来る事が多かったからなのよ」

「ええ!?サボりって事ですか!?」

時打の意外な一面に驚く瑞鶴。

なんだかさっきから驚かされてばかりだ。

一方で、暁は向こうにいる駆逐艦の子たちと楽しく談笑していた。

「さあ、でも、卒業できる程の単位は稼いでいたと聞いてましたが・・・・」

「・・・・」

思い出してみると、あの提督はなんでも出来過ぎる。

執務、スケッチ、料理、開発、世話、機械、裁縫、Ect・・・

とにかく、運が他人より悪い事を除けば、なんでも出来てしまうのだ。

正に、完璧超人を体現していると言っても過言では無い。

料理に至っては鳳翔や間宮を超えている。

ちなみに黒河に伊良湖はいない。

「よく絵をかくのが好きな人でしたねぇ」

「走るのも速くて島風悔しがってたもんね~」

「それに良く見せてくれる飛天御剣流の剣舞も美しかったな~」

と、三人が天井を仰ぎ見る。

それに、瑞鶴は、改めて時打の凄さを感じるのだった。

 

 

 

 

 

(って、剣舞って私たち見た事ないよ!?今度提督さんに見せてもらお!)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

指令室。

「よく来てくれたな、お前達」

無駄に広い部屋に、執務机が一つ。

そこに座るは、一人の男。

この関東の鎮守府を統べる、壱条豪真だ。

そして、その向かいに立つのは六人の人物。

南房総の提督、柏木 亜美。

鎌倉の提督、岩倉 久三。

鴨川の提督、郷天 神代。

小田原の提督、三鷹 悠馬。

横須賀の提督、壱条 翔真。

そして、黒河の提督、天野 時打。

「ここに来てもらったのは、お前たちも分かっている通り、明日、実行される大規模作戦についての最後の打ち合わせだ。何か、質問のある者は?」

誰も手を上げない。

「よし。今回の作戦は、一週間前、元帥殿がいっていた様に、敵機動部隊を封殺、あるいは攻撃する航空機動部隊。敵戦艦群を強襲する水上打撃部隊。そして、今回、撃破目標である飛行場姫の轟沈を任される陸上攻撃部隊の三つに分かれて遂行する。それぞれの艦隊を任せる提督だが、まず、陸上攻撃部隊に、岩倉と郷天」

「分かりました」

「御意」

「次に、水上打撃部隊に三鷹と亜美」

「了解です、長官」

「了解」

「そして最後に、機動部隊に翔真と時打」

「承知しました、父上」

「期待していて下さい」

それぞれが返事をする。

「それで、今回の事だが、電の調子はどうだ?時打」

そこで、豪真が時打に問いかける。

「ええ。今の所は、快調です」

「そうか、なら良し」

腕を組んでうなずく豪真。

その光景に不満の意を表すような表情をする亜美、久三、神代。

「父上。それで、詳しい内容は如何様に?」

「うむ」

豪真が手を二回たたく。すると、部屋の窓にシャッターが下りて暗くなり、豪真の左、時打たちの右にスクリーンが下りてきて、そこに映像が映し出される。

そこには、今回の攻略目標のある、マーシャル諸島があった。

「今回、飛行場姫はマーシャル諸島の、ノックス・アトール島に構えている。そして、敵水上打撃部隊は、そのすぐ西にあるジャルイット・アトール島にある母港にいる事が分かった。ならば、陸上攻撃部隊は南に迂回して、背後から飛行場姫を叩く。その間に、こちらの水上打撃部隊で、敵水上打撃部隊を、機動部隊の加賀、蒼龍、瑞鶴で飛行場姫、赤城、飛龍、大鳳は敵機動部隊を叩く。尚、飛行場姫には滑走路の高速修復が可能だという事がすでに分かっている。だから、少数の烈風隊で敵迎撃部隊を攪乱しつつ、多数の爆撃機で滑走路を徹底的に攻撃。そして、滑走路を使えなくする、もしくは敵艦載機の全ての撃墜による封殺に成功した後は、陸上攻撃部隊が三式弾で本体を叩く」

豪真の言葉に合わせる様に、スクリーンの場面に矢印などが表示され、分かりやすく表示される。

「大体の流れは分かったな?」

全員が同時に頷く。

それを確認した豪真はさらに続ける。

「そして、現場で異常事態に陥った時は、お前達、提督が直接指揮を下し、艦隊を導け。今回、一個の連合艦隊に二人の提督をつけたのは、一人じゃ対処できない事態に備える為だ。協力しあうのも、一つの勉強と思っておけ」

豪真は、そうしめくくり、また手を叩く。するとシャッターが上がり、部屋が明るくなる。

「最終確認は明日、午前七時(マルナナマルマル)に、艦娘輸送船の出航は午前九時(マルキュウマルマル)を持って、作戦実行は正午を持って開始する。今日はここまで、解散!」

そう言い、それを聞いた全員は背後の扉に向かって歩き出す。

 

 

 

 

 

――――一人を除いて。

 

 

 

「長官」

「? どうした時打」

「一応、これに目を通しておいてください」

「?」

時打が差し出したクリアファイルに入れられた資料。

その行動に気付いた一同が、一斉に立ち止まり、時打の方を向く。

それを見た豪真は、少しした後に、目を見開く。

それに、眉を寄せる、時打を除く、全員。

「・・・・間に合うのか?」

「分かりません。ですが、間に合えば確実に、敵空母を封殺出来るかと」

それに呆然とする一同。

「そうか・・・」

その資料を置いた豪真は、天井を仰ぎ見る。

「・・・・期待しても良いんだろうな?」

「ええ。おそらく、いえ、絶対に間に合わせて見せます」

自信に満ち溢れた笑みで、時打は答えた。

 

 

 

 

 

 

 

指令室を出た時打たち。

「天野時打」

「?」

ふと、神代に呼び止められた時打。

「・・・・調子に乗らない事だ」

それだけを言い残し、神代は、時打と翔真とは、別の方向へ歩いていく。

「アイツは・・・」

「まあまあ、良いじゃないですか。対抗心というものは、時には凄い物になるんですから」

「お前の『生きる意思』の様なものか?」

翔真が、笑みを浮かべず、だが、内心では笑っているようにそう聞く。

「まあ、そんな所ですかね」

「ふん。それよりも」

翔真が眼鏡を押し上げる。

「さっき父上に出したあの資料。中身はなんだ?」

翔真が鋭い眼つきで時打を睨む。

それに時打は大げさに肩を竦め、答えた。

「まあ、翔真さんにならいいですかね」

「早く話せ」

「まあまあ、そう焦らず」

そして、時打は、自分たちが担当する艦隊のいる部屋につくまでに、翔真に、自分の『切り札』を口にした。

 




次回『決戦前夜 瑞鶴と加賀』

過去を抱える瑞鶴、加賀とどう向き合うのか。


お楽しみに!



追記

調べてみた所、飛龍の友永隊は艦攻隊なので、蒼龍と入れ替えて機動部隊の方へ変更しました。
その点はご了承下さい。

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