ドガシャァァアンッ!!
幻在「せっかく全員、演習でキラ付けしたってのに、何なんだよこのくそ羅針盤!」
飛鷹「せっかくボスマス行けると思ったのに~~!!」
隼鷹「あっはは~・・・・まあ、外れマスの戦艦タ級二隻のいる所倒せたからいいじゃん」
響「そういう隼鷹は被弾して大破してたけどね」
隼鷹「・・・・」
大和「私が力不足なばかりに・・・・く」
幻在「絶対にリベンジしてやらぁ!!」
飛鷹「オオ――――!!」
飛龍「それじゃあ、本編をどうぞ」
横須賀の工廠へ急ぐ。
艦娘の建造は、各地方、それも関東でそこでしかされない。
そして、黒河の提督、天野時打が依頼した建造が、今日、終わったのだ。
つまり・・・・・・新戦力だ。
「高速戦艦・・・・・・今の鎮守府ではいない艦種だったな」
「ああ、戦艦枠は私をいれて大和と扶桑、そして山城しかいないからな」
と、赤レンガの工廠の中にある廊下を歩いていく。
たいていの場合、建造された艦娘は、ある程度の講座を受けて、建造を依頼した鎮守府へ送られるのだが、時打の場合の事もあり、偶然にもこの横須賀の工廠に直接くる事もあるのだ。
「ここだな」
と、艦娘待機部屋ともいうべき扉の前で止まる。
そして、時打は一度長門の方を見る。それに対して、長門は頷く。
時打は一度、深呼吸をして、意を決した様に、扉を
「はい」
「黒河の天野時打だ。入るぞ」
「どうぞ」
了承の声が聞こえたので、ゆっくりと扉を開ける。
一瞬、窓から差し込んだ光が視界を霞ませるも、だんだんと慣れていき、目に映るシルエットの正体がだんだんとはっきりしていく。
そして・・・・
「こんにちは、私、霧島です。よろしくお願いします」
高速戦艦、霧島だった。
ヒトフタヒトゴー―――――十二時十五分。
横須賀の食堂にて。
「へえ、提督は剣術をやっておられるのですか」
「まあな。飛天御剣流っていうんだ」
「そうなんですか」
何故、ここに時打、長門、そして新人の霧島がいるのかというと、単なる昼食の時間だ。
一応、互いに挨拶を済ませた後に丁度正午になったので、親睦を深めるといった名目でもあるのだが。
と、そこで霧島は気付くのだが、周りの視線、特に会議に出席していた提督たち(霧島は知らないが)からの視線の色がなにか違った。
何か、敵意のような・・・・そうでないような・・・・
「内の鎮守府、もとはブラックだったんだ」
そこで、霧島の疑問に答えるように長門が答える。
「それも前までの話だったんだけどな。この提督がきてから、うちも元の活気を取り戻してきている。だから、心配するな」
「そうですか・・・」
それを聞いて安心する霧島。
「ま、その事実をしらない奴が多いんだがな」
と、時打が付け加えるように言う。
確かに、ブラック鎮守府というのは、艦娘を人として見ている人間にとっては嫌悪に値する所だ。
まあ、こんな風に、嫌われている状況に陥るには、どこかしら情報が洩れなければこうにはならない。
そんな風に話し合っているうちに、食器が空になったので、それを返却して、横須賀の鎮守府の廊下を歩く。
そこへ・・・・
「時打~!!」
「ん?・・・おわぁ!?」
と、時打の背後から声が聞こえ、振り向いてみると、なにかが抱き着いてきた。
「な!?」
「え!?」
それに驚く長門と霧島。
「ひ、飛龍か、びっくりさせんなよ・・・」
「えっへへ~。久しぶり!」
その正体は飛龍だった。
「おう久しぶり。そして離れろ」
「あ~ん、良いじゃん別に!」
「良くねえよ!」
時打に抱き着いて離れようとしない飛龍。
と、そんな飛龍の道着の襟首をつかむ存在がいた。
「わ!?」
「こら、飛龍。あまり時打くんを困らせちゃダメじゃない」
「う~。蒼龍~」
彼女の同僚、蒼龍だ。
その蒼龍に、飛龍は恨めしそうに上目遣いで見る。
「蒼龍も久しぶり」
「久しぶり時打くん。提督になったのは本当なんだね」
と、微笑む蒼龍。
「提督、知り合いなのか?」
「まあな。この横須賀のエースの一角たちの飛龍と蒼龍だ。お前もご存知、横須賀の南雲機動部隊の二人だよ」
「よろしく!黒河の長門、霧島!」
「よろしく」
飛龍はフレンドリィに、蒼龍は礼儀正しく挨拶をする。
「ああ、よろしく」
「よろしくお願いします」
と、同じように長門と霧島も挨拶を返す。
「そういえば、提督に聞いたんだけど、今回の大規模作戦、時打の鎮守府も参加するんだよね?」
「ああ。空母一隻、駆逐艦二隻、戦艦一隻に軽巡二隻だ。そうだ・・・・」
と、時打は何かを思い出したかのように、突然、頭を抱え始める。
「しまった・・・・・空母枠、五航戦だ・・・・」
「「え・・・」」
「「え?」」
時打の言葉に顔が引きつる飛龍と蒼龍。
一方で、長門と霧島はその理由が解らず、首をかしげた。
「だ、大丈夫かな・・・」
「喧嘩に発展しないといいんだが・・・」
「あの加賀さんの事だからなぁ・・・」
更に三人で頭を抱え始める。
「ど、どうかしたのか・・・?」
「ふむ、もしかしてその加賀さんって『五航戦嫌い』なんでしょうか?」
と、霧島は分析を始める。
「今までの建造記録からみて、建造された加賀さんの性格の殆どが五航戦嫌い。希に例外ができる事もあるのですが、それでも五航戦嫌いな個体は多いようです。なので、ここの加賀さんも、五航戦が嫌いな五航戦嫌いだという可能性が極めて高いといえます。それがこちらの瑞鶴も一航戦が嫌いな一航戦嫌いならなお
「そ、そうなのか?」
と、長門が霧島から時打たちへ視線を移すと、まるで図星ともいうべき表情の三人がいた。
「まあ・・・・そんな所か?」
「う、うん・・・」
「すごいね・・・・」
かなり感嘆していた。
「まあ・・・」
と、そこで長門が顎に手をあてながら時打たちにある事を言った。
「そちらの加賀はともかくとして、こっちの瑞鶴なら問題はないんじゃないのか?」
「え?そうなのか?」
きょとんとする三人。
「ああ。昔、うちの鎮守府にも加賀がいてな。はじめは、瑞鶴の方が嫌っていたんだが、なにかあったのか、ある時からよく喋るようになったんだ。今は、もういないがな・・・・・」
と、長門の瞳に影が差した。
「・・・・ま、それはそうと・・・・」
と、時打が話題を切り替えた。
「そろそろ戻ろうか。霧島も、はやく、自分が着任する鎮守府のことも見ておきたいだろ?」
「そうだな」
時打の言葉に同意する長門。
「もう行っちゃうの?」
「ああ、今度の大規模作戦で会おう」
「うん。じゃあね、時打くん」
そして、彼らは別れた。
次回『指導』
幻在「タ級、ぶっ潰す!」
川内「もういいから」