リアル鎮守府の一同『オオ―――――!!』
大和「今回は大和が主役です!」
正確には主な登場人物としてな。主人公は時打だ。
大和「ええ!?」ガーン!
赤城「むぐむぐ・・・・ああ、おいし」
おいコラァ!赤城ィ!勝手にボーキサイト貪んな!開発とか空母狙って今少ないんだぞ!?
赤城「良いじゃないですか。そのお陰で紫電改二を手にいられたんですから」
それでも食うなァ!というかたった一個じゃねえかァ!
金剛「HEY、テートク!そろそろ本編いくネー!」
そ、そうだな・・・って金剛!?何危ないオーラ出しながらじりじりと近付いてきてるんですか!?ちょ!?来るなぁぁぁあ!!
金剛「バーニングラブデース!」殺人タックルを発動した。
ぎゃぁぁあああ!! (直撃を喰らって大ダメージ)
赤城「では本編をどうぞ。ああ、おいし」
飛龍「赤城さん。ガチで在庫無くなりますよ!?」
大和の過去 其ノ壱
遠い、昔。
優しい笑顔の人が、自分に、小さな四角い箱を差し出している。
中を開けてみると、中には、丁度、自分の薬指にはまりそうな、銀色の輪っか。
それが、何を意味するのか、自分には理解できていた。
それが分かると、自然と涙が溢れてくる。
嬉しくて、信じられなくて、叶わない恋だと思っていた。
だからこそ、嬉しかった。
『貴方のそばで・・・・ずっと、がんばります』
だからこそ―――――悲しかった。
第三部 大和編
前回のあらすじ――――
無事、電と暁を仲直りさせる事に成功した時打たち。
だが、そんな喜びとは別に、鎮守府の正面海域から一人の艦娘が歩いてくるのが、鎮守府の執務室から見えた。
その姿を目視した翔鶴は急いでその人影の元に向かってしまう。
そして時打も、その姿を見た。
その艦娘の正体の正体は、日本最強とまでいわれた最強の戦艦の魂を持つ、『大和型』の一番艦『大和』だった。
しかし、その体はボロボロで、翔鶴が近付いた途端、気絶してしまう。
早急に入渠させ、時打は、ある五人の艦娘を執務室に呼んだ――――
「今まで聞かなかったが、説明してもらうぞ、長門」
「ああ・・・・分かった」
執務室にて、長門、扶桑、山城、翔鶴と瑞鶴がいた。
その向かいには時打。部屋の隅には響夜と電がいた。
時打の表情は、厳しいものだった。
「以前・・・・翔鶴と瑞鶴の時代にいた艦娘たちの事は話しただろう?」
「ああ。翔鶴と瑞鶴以外は全員沈んだと・・・・」
「実は・・・もう一隻いたんだ」
「それが大和だと?」
「ああ。すまない・・・・どうしても、彼女の事は隠しておきたかった・・・」
長門は、暗い表情で俯く。
それに続くように、他の四人も暗い表情になる。
「隠していた事は不問にしておくが、俺が聞きたいのは、大和に何があったかだ」
と、手を組んで、ゲンドウポーズをする時打。
ふと、長門は、後ろにいる四人の方を見る。
すると、扶桑、山城、翔鶴、瑞鶴の四人は少し躊躇ってから、頷いた。
そして、長門は、時打に向き直ると、口を開いた。
「大和は、前任の更に前、名前は・・・
「ケッコンカッコカリか・・・・一人というのを考えると、ただの戦力増強・・・て訳じゃ無いな・・・・・」
ケッコンカッコカリとは、とある特殊な指輪によって艦娘の限界を突破させる行為の事だ。
戦力増強の為に沢山の艦娘に指輪を渡す提督がいたり、逆に、想いを寄せる艦娘にだけ渡す提督もいる。
最も、後者の艦娘の方が、かなり高い戦果を叩き出しているのだが。
最も、条件さえ満たしていれば、一度指輪を嵌めただけで、限界突破できるらしく、外しても、大きな戦力低下にならないという事もあるらしい。
「はい、提督は、大和さんの事が好きでした」
そこは翔鶴が答える。
「なるほどな・・・・それでそいつの転勤が決まって・・・・」
「捕まった」
「え・・・?」
時打の言葉を遮る様に、山城が口を開く。
「あの
「・・・・どういう意味だ?」
さらに険しい顔で、長門を睨む時打。
「・・・・資材の違法入手、報告書の捏造、更には、轟沈した艦娘の隠蔽」
「全部偽物だよな?」
「当然よ」
瑞鶴が声を震わせる。
「あの人が・・・・そんな事しない・・・そもそも、一人も沈めた事なんてなかったッ。なのに・・・なのに・・・ッ」
瑞鶴は、悔しそうに、歯を食いしばる。
「そうか・・・・」
ふと、時打は、一息つくと、話題を進ませた。
「それで、どうして大和は
「・・・・」
黙りこくる五人。
しかしそこへ・・・・
「提督!」
バンッ!と、黒髪の小さな少女が勢い良く入ってくる。
初春型の四番艦『初霜』だ。
「どうした初霜?」
「大和さんが、眼を覚ましました!」
『ッ!』
それを聞いた一同は急いで医務室に走り出す。
「んん・・・・ん・・・?」
目を覚ませば、そこは見知らぬ・・・いや、どこかの医務室の天井だった。
「あれ・・・・・・私・・・・」
半ば混乱している様で、頭が働かない。
とにかく、起き上がろう。
「く・・・うう・・・」
だるい体を持ち上げ、起き上がる大和。
「あら、起きたの?」
「え・・・?」
ふと、声がした方を見ると、そこには、オレンジに近い茶髪をした少女が、椅子に座ってこちらを見ていた。
―――誰だ?
「えっと・・・・ここは・・・?」
「貴方の鎮守府、黒河よ」
「ッ!?」
そう告げる彼女に、大和は体に電撃が走るような衝撃に見舞われる。
―――ここが・・・!?戻ってきてしまったの・・・・?!
体を恐怖で震わせる大和。
また・・・・・あの恐怖を・・・・
「あの司令官はもういないわよ」
「え・・・・・?」
ふと、少女の言った言葉の意味を理解できなかった。
「初霜。司令官たちにこの事伝えて」
「は、はい!」
初霜と呼ばれた黒髪の少女は勢い良く部屋を飛び出す。
「あの・・・・」
「ん?」
書類に何かを書き留めている少女に、大和は問いかける。
「もう、あの提督がいないって・・・どういう事・・・?」
「ああ、その事。変わったのよ。今は新しい司令官がこの鎮守府を任されてるわ」
「・・・・」
その提督は安全なのか、その提督は危険なのか、その提督は、誰かを沈めていないか。
大和は、その事を聞こうとしたが、躊躇った。
だが・・・・
「あの提督は安全だし、優しいし、誰も沈めていないわ。まあ、やってるのは演習ばっかだからなんだけど」
それで、大和は、ある人物を連想させる。
―――もしかして、あの人が・・・・
そんな思考を断ち切るかのように、ドアが開く音がした。
「ッ!」
ふと身構える大和。
「あ、司令官」
「!?」
この角度からでは、カーテンが邪魔で見えない。
だから、少女がいった事に思わず体を硬直させてしまう大和。
「ご苦労さん雷」
そして、その提督を目に捉え・・・・少し落胆した。
夜空の様に真っ黒な黒髪に、深い、深海の様に
そして、腰に携えた、日本刀・・・分類では
―――あの人じゃない・・・
そう思っている内に、彼は、敬礼をした。
「どうも、大和。俺は今、この黒河鎮守府を任されている提督、天野時打だ」
その顔に笑みは無い。
ただ分かるのは、底が見えないという事。
「・・・・大和型の一番艦、大和です」
ただ、そう返事をする大和。
「大和さん」
「ッ!?」
その声を聞いた大和は、弾かれるように顔を上げる。
翔鶴だ。
「しょ・・・・かく・・・・」
「どこにいってたんですか・・・・」
その顔は、今にも崩れて泣き出しそうだった。
「・・・・」
そんな彼女に、大和は顔を反らす事しか出来なかった。
否、彼女が顔を背けた相手は、翔鶴の後ろ、長門だ。
その眼からは、明確なる、『怒り』の感情が見て取れた。
「大和」
ふと、時打が大和に声をかける。
「動ける様なら、執務室に来てくれ。そこで話をしよう」
それだけを言い残し、彼は医務室を出ていく。
「・・・・・」
ただ、大和は、その背中を、見つめる事しか出来なかった。