艦隊これくしょん その刀は誰が為に   作:幻在

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どうも幻在です!

本日、試験が終わりました!

なので、執筆に集中できると思います!

では、本編をどうぞ!



川内「『光』作戦・・・酷い目にあった・・・」

千歳「ま、まあ、それで第一段階行けたじゃない」


レッツ・ゴー!


四隻目の戦艦

無事、任務を終えた鳳翔たち。

「そ・れ・で・だ」

報告に来た鳳翔。

一方で執務机に座る時打。

「今回の作戦について何か申し出は?」

「いえ、意図は察していますから」

ふふ、と笑う鳳翔。

 

昨日の事。

暁と電に何かがあったらしく、時打は今回の作戦を利用して、わざと彼女たちの艦隊をピンチに追い込んだのだ。

 

「暁ちゃんと電ちゃん。後で大泣きして謝り合っていましたよ」

「さっきまでの雰囲気が一気に壊れたな」

ふっと笑う時打。

「ま、何はともあれ、二人が仲直りしてくれて良かったよ」

と、両手を頭の後ろに持っていき指を絡ませ、椅子にもたれかかる。

「提督、ほれ」

「お、ありがとな長門」

そこへ長門が緑茶を湯呑に入れて、時打の座る執務机に置く。

それを時打は一服する。

「さて、これで作戦は終わりだな。本部への報告は俺がやっておくよ」

「そうか」

「だから、長門と鳳翔は出撃で疲れただろうし、休んでくれて構わないぞ」

「すまないな」

と、退出していく二人。

一人執務室に残る時打。

「さて、報告書に書きますか」

と、報告書にたった三十分で事の顛末を全て書き終えた時打。

「ふう・・・」

 

 

この鎮守府に来て二週間。

未だに、時打の事を警戒している艦娘も多々いるが、それでもなんとか話しかける事にまでは打ち解けた。

ただ、自分の過去の事はまだ話していない。

この事実を知っているのは暁、響、雷、電と長門の五人。

 

 

ふと、時打は軍服の上着を脱ぎ、机の隅に置く。

そして、白いTシャツ姿となり、左手首を見る。

そこには、黒いゴムの髪留め。

「・・・・」

そして、手を(ひるがえ)し、甲の方を見る。

正確には、腕の甲側。

そこには、深々と、一筋、太い()()があった。

時打の方向から見て、手の内側から左斜め下に向かって、肘の辺りで止まっているその傷は、かなり、痛々しいものだった。

それを見つめていると、とある光景が目に浮かぶ(フラッシュバックする)

雨雲が空を埋め尽くし、周りには、廃棄された家電製品や車。ましてや、弾丸の空薬莢まである。

へたり込む、一人の少年の足元には、赤い血だまり。

そして、その血だまりの中心に・・・・

「やめよう」

そう呟き、彼はその傷から目を放す。

そして・・・・

「てい・・・・とく・・・?」

「!?」

目の前の翔鶴と目が合った。

彼女の視線の先は時打の左腕の刀傷に向けられていたが、時打の視線に気付くと、すぐさま慌て出す。

「ご、ごめんなさい!か、勝手に入ってしまって」

「ああ!?良いんだ!気付かなかった俺が悪かった!だから泣くな頼むから!」

翔鶴の眼からは涙が零れていた。

どうやら、何らかのトラウマが呼び起されているらしい。

「ひぐ・・・えぐ・・・ごめんなさいごめんなさい・・・」

「え・・・あーと・・・だ、大丈夫だから!処罰とかそういうのしないから!別に勝手に入っちゃいけないとかそういう法律とかないから!」

未だに、彼女の様に、トラウマを抜け出せていない艦娘もいる。

これも、どうやら課題の一つになりそうだ。

 

 

あやすこと十分。

 

 

「ぐす・・・・すみません。取り乱してしまって」

「いや・・・気付かなかった俺が悪かったんだ。謝んな」

と、ぽんぽんと頭を撫でる時打。

それに頬を微かに赤くする翔鶴。

「それで、何か用か?」

「え・・・あ・・・」

聞かれた翔鶴はしどろもどろになる。

時打は、しばし考えた後、口を開く。

「もしかして・・・・ただ俺の所(ここ)に来たかったとか?」

「・・・・・」

翔鶴は顔を真っ赤にして頷く。

(マジか・・・)

この頃、あの事件以来、翔鶴が妙になついてきていたが、まさかこれほどとは思ってもみなかった時打。

「まあ、いいけどさ」

「本当ですか!?」

「雷も良くここに来てるぜ?他にも瑞鶴も愚痴をこぼしに来たりだとか、新しく開発したいものがあるから相談に乗ってくれって明石が来たりとかいろいろ」

「そ、そうなんですか・・・」

それを聞いた翔鶴が少し残念そうな表情になる。

ともかく、ソファに座った翔鶴に加え、時打はその向かいに座る。

「それで・・・提督・・・」

「この傷の事か?」

「・・・・はい」

時打は、左腕の刀傷を翔鶴に見せるように持ち上げる。

「少し・・・・昔にな」

「・・・・『飛天童子』の・・・頃のですか・・・?」

「・・・」

それを聞いた時打は分かっていたかのように苦笑する。

「・・・・どれくらい調べたんだ?」

「・・・暗殺の件数。その殺人数・・・・・です」

「そっか・・・」

気まずい沈黙。

それを破る様に、時打が口を開く。

「昔、守りたかったものを、守れなかった時に負った傷でさ・・・敵に刀奪われて、それでつけられたんだ」

「そう・・・・なんですか・・・」

翔鶴が申し訳無さそうに俯く。

そんな翔鶴の頭を撫でる時打。

「そう落ち込むな。全部俺の落ち度なんだからさ」

「・・・・」

撫でるのをやめる時打。

そして、時打は、左手の髪留めに目を移す。

「それに」

時打は立ち上がり、窓の方へ歩く。

「もう、人斬りの罪を償う答えは見つけてる」

「え・・・?」

翔鶴は顔を上げ、時打を見る。

「・・・守り続ける」

左手を窓に触れさせ、外の海岸を見る。

そして、そのまま翔鶴の方を見る。

「今、この目に映る全ての笑顔を守り続ける。時間が続く限り、敵を打つ。それが俺の、『答え』だ」

と、そう答える時打。

その名の通りの『答え』だった。

「そうですか・・・・」

翔鶴は、心底安心した様に、息を吐く。

それを見た時打は、笑みを零し、また、海岸の方を見る。

 

 

 

水平線に何かを捉える。

 

 

 

「ん・・・・?」

目を凝らす時打。

「あれは・・・艦娘か・・・?」

「え?」

翔鶴が、それを聞き、時打のすぐ横に駆け寄る。

通常の艦娘にしては、異常に艤装が大きい。おそらく戦艦級。扶桑や山城の艤装に近いだろう。

だが、所々破壊されておりボロボロ、本体の方も、かなり傷付いている。

「あれは・・・・誰だ・・・・?」

可能性としては、この鎮守府で、()()()()()()()()()()()()()()である事だ。

ただ、何故この二週間、一度も見る事が無かったのが疑問だ。

今まで聞かなかった、長門は何か、隠している様にも見えた。

もしかして、知られたくない理由が・・・

「う・・・そ・・・・」

「翔鶴?」

そこでふと、翔鶴が声を震わせている事に気付く。

「なんで・・・今・・・」

「おい、どうした・・・?」

だが、そんな時打の言葉を無視して、慌てて執務室を飛び出す翔鶴。

「おい!?」

時打もそんな彼女を追いかける。

そのまま鎮守府の正面の海岸に出る。

翔鶴は艤装を展開し、海に飛び込む。

「なんだってんだ・・・」

「提督!」

ふと後ろから声をかけられる。

山城だ。

「何があったんですか!?」

「知らん!なんかあそこにいる艦娘の姿を見た途端に入っていったんだ!」

簡潔に説明する時打。

「艦娘・・・・って・・・」

山城も、その姿を確認した途端、その表情を強張らせる。

「なんで・・・」

「おい!?あの艦娘はなんなんだ!」

問い詰める時打。

だが山城は返答を躊躇うように唇を結ぶ。

「ッ・・・・」

時打は、もう一度、海岸の方を見る。

そして、いくらか近付いたのか、その艦娘の正体を確認する事ができた。

 

 

 

「――――大和・・・だと・・・!?」

 

 

 

声を押し殺し、そう呟く時打。

 

 

 

 

 

 

 

 




次回!

大和編!

お楽しみに!

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