嘘では無くマジです。
が・・・・・・・・・・・・・・・
今使いみちがねぇぇぇえええええええ!!!!
限定海域の『光』作戦に戦艦参加できないってどういう事!?
しかも潜水艦の姫か鬼かどっちか知らないけど、そんぐらいのクラスでてくるってドユコト!?
しかも、我が秘書官である赤城が毎回、中破するのはどうにかならないかな!?
服が破けた姿見るに耐えないんだけど!?
逆に千歳だとか川内とか響が活躍してるのは良い事だ。
まあ、赤城と飛龍には航空戦は結構役に立ってくれてるから良いんだよねうん。
でもやっぱり赤城が中破するのは嫌だ。
赤城「それで進撃している提督もどうかと思いますけど・・・」
それはゴメン!
でも初めての限定海域なんだ許して!
暁「はいはい、興奮してないで本編行ってよね」
了解であります。
では本編をどうぞ!
ヒトヒトマルマル―――午前十一時。
暁たちが、過去の事を話した翌日。
『―――――あー、てすてす・・・・・一応聞こえてるんだよな?』
『ええ。というか、機材の使い方学んでこなかったんですか?』
『いやぁ、よく鍛錬してたから・・・』
『ばかなんですか?』
『返す言葉もございません。さて、と』
鎮守府のスピーカーから、ここの提督である天野時打の声と、大淀の声が流れる。
というか、会話が・・・・
『という訳で、出撃だー』
「「「!?」」」
それを聞いた艦娘たちの表情が強張る。
中には、やっと来たか、と思っているような表情をしている者もいた。
『これは
と、放送越しに時打が一息つく。
一方、艦娘たちのは息を飲んで、その発表を待つ。
『まず、重巡羽黒』
「え!?」
いきなり指摘された事に驚く
だが、当然時打にはその事は分からないので、続ける。
『駆逐艦暁』
「私・・・」
名前を呼ばれた事により、そう呟く。
『同じく、響』
「・・・・」
一方の響は無言で立ち上がる。
『同じく、雷』
「そっか・・・」
そっけない反応をする雷。
『同じく、電』
「ッ・・・」
電は、一人誰もいない部屋で膝を抱えて座っていたが、名前を呼ばれた事でびくりと体を震わせ、顔を上げる。
「・・・・・いかなきゃ」
『そして最後に旗艦だ』
一息ついた時打。
そして、最後に艦隊を任せる事になる艦娘の名を呼ぶ。
『――――軽空母鳳翔。以上六名はただちに執務室に来るように』
それだけを言い残し、放送が切れた。
「さて、みんなよく来てくれた」
執務室にて、ホワイトボードの前に立つ時打。
その正面には、旗艦の鳳翔を中心とした羽黒、暁、響、雷、電の六人、艦隊が立っていた。
「今回、
時打は、ホワイトボードに張られた地図の方へ向かい、マーカーで鎮守府近海の辺りにマルを書く。
「今回は、この鎮守府近海に出現した深海棲艦の撃退、あるいは撃滅だ。情報によると、編成は空母一、軽母一、軽巡一で他駆逐といった編成だ。そこで、今回は爆撃をするのではなく、されない為に制空権の確保を優先する。だから、鳳翔には戦闘機を主として載せたいと思う。良いか?」
「分かりました」
時打の言葉にうなずく鳳翔。
「そして、問題は軽巡と駆逐艦の方だ。どちらも雷撃が出来るうえ、それなりの統率が取れていると聞く。その為に、羽黒と響、雷は砲撃で弾幕を張ってもらい、その合間を縫って暁と電には雷撃をしてもらいたい。そこで陣形が崩れた所で、電には『白兵戦』に移ってもらう」
「あ、あの、司令官さん!」
そこで羽黒がおどおどしながら手を挙げる。
「なんだ?」
「あの・・・なんで電ちゃんに『白兵戦』が・・・?」
「ああ、そうか」
落ち度だった、と言い頭を抱える時打。
「お前ら、今の姿が人と同じ・・・だって事は理解しているよな?」
「はい。なんでも、船には女の神様がついていて、それが、私たちの体のモデルになっていると聞いたことが」
鳳翔がそう答える。
「まあ、そう解釈してくれても構わないが、とにかく、お前たちは人間の体を模している訳だ。だから、人同じ生活が出来る。ならば、人の武器を持ててもおかしくは無いだろ?」
「そ、それは、天龍ちゃんを見れば分かりますが・・・・」
羽黒が変わらない態度でそう言う。
「ま、最も、俺が学生時代に電を鍛えたってところが関係してるんだろ。言っておくが、他にも白兵戦に特化した艦娘はいるぞ?」
「そ、そうなんですか・・・」
羽黒は納得が半ばいっていない様子だ。
「話を戻すが、相手の陣形が崩れたら電は白兵戦に移行。良いな?」
「はいなのです」
微笑みながら、そう答える電。
その表情に、一瞬、浮かない顔をする時打だったが、すぐに表情を戻し、彼女たちに命令する。
「よし、各員、工廠へ向かい、それぞれの装備を確認。不備があれば明石、夕張に申し出て修理してもらう事。
「敵艦見ユッ!」
羽黒がそう叫ぶ。
彼女の飛ばした水偵が敵の艦隊を捉えたのだ。
「良し、提督のたてた作戦の通り、制空権は私がなんとか抑えます。皆さんは砲雷撃戦の準備を」
鳳翔がそう叫び、全員がそれに同意する。
ふと、暁が隣の電を見るが、電がこちらに視線を向けた途端、すぐに目を伏せてしまった。
その様子を心配そうな表情になる鳳翔。
だが。
「鳳翔さん!敵、艦載機を発艦させました!」
「分かりました!」
すぐさま鳳翔は矢を引き抜き、それを弓につがえ、引き絞る。
「お願いします!」
そして、放つ。
すぐさま矢は無数に分裂、更にその姿を零戦に変え、飛び上がる。
そして、視界の彼方、いくつもの光が見えた。
艦載機たちが敵機動部隊を叩いているのだ。
「ッ・・・・・何機か抜けた・・・ッ!」
羽黒がそう呟く。
見て見ると、確かに何機か抜けてきている。
「皆さん、衝撃に備えてッ!」
鳳翔が叫ぶ。
それと同時に敵の異形の艦載機が魚雷を放つ。
それを間一髪のところで回避する。
「三式弾装填!
羽黒が珍しく声を挙げて砲火。
それが敵艦載機のいる所まで飛んで行った瞬間、爆発する。
長門が時打に対して使った炸裂弾、『三式弾』だ。
一定の時間で爆発する様になっており、それによって飛び散った鉄屑などが艦載機を襲い、撃墜させるという仕組みだ。
対空射撃にこれほど適した砲弾はないだろうが、それも高度による問題。
それはさておき、その爆発に巻き込まれた敵機動部隊は全滅。
一方で鳳翔の飛ばした艦載機たちの方は未だにきっこう状態が続いており、中々制空権が掴めない。
だが、その視界に敵深海棲艦の艦隊を捉える。
「砲雷撃戦、用意!」
すぐさま行動に移る鳳翔。
その掛け声で、随伴艦の全員がそれぞれの兵装を構える。
「って―――――!!」
腕を振り下ろすのと同時に、羽黒、響、雷が自分たちの主砲、副砲を連射ッ!
その全てが狭斜、至近弾となり、水柱を立てて弾幕となる。
「雷撃準備!」
「「はい!」」
その時、二人とも気まずい顔をしたが暁、電をして自分たちの両腕につけられた魚雷発射管に魚雷を装填する。
「発射!」
それと同時に二人が魚雷を発射。
魚雷が真っ直ぐに飛んでいく。
『ッ!?』
それにいち早く気付いた旗艦である空母ヲ級。
すぐさま指令を出そうとするも、羽黒たちの弾幕によって妨害され、魚雷がヌ級、ハ級に直撃。
更にハ級が轟沈する。
「よし」
密かにガッツポーズをする暁。
(このまま行けばいいのだけれど・・・)
作戦は上手くいっている。
だが、鳳翔は浮かない顔をしている。
会議が終わり、執務室を出ていく前。
「鳳翔」
そこで時打に呼び止められる。
「はい?」
「少し良いか?」
他の五人が出ていき、鳳翔だけが残る。
「今回の作戦。どうにも胸騒ぎがする」
「胸騒ぎ・・・とは?」
「ああ。なんだか・・・・
「!?」
時打の口から漏れた、不吉な言葉。
「それは・・・・どういった根拠で・・・」
「いや・・・・鎮守府近海に深海棲艦が確認されたのは一週間前。だが、その間に奴らはなんの
そこで時打は大淀から渡された作戦指令所を鳳翔に渡す。
それを見た鳳翔の顔が驚愕に染まる。
「こ、これは・・・・」
『敵深海棲艦は、何かを待っている模様』
「昨日はスコール。そして、その何かというのを、昨日の内に合流していたとしたら・・・・」
鳳翔は、別に飛ばしておいた艦載機の報告を待つ。
もうそろそろ来ても良い筈なのだが・・・
気付けば、敵駆逐艦全てが沈み、軽巡は大破。軽空母ヌ級も中破して艦載機を飛ばせなくなり、ヲ級も小破。
一方でこちらは完全な無傷。
このまま行けば完全勝利は確実。
だが、それでも・・・・・・・
―――――ひゅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅぅ・・・・・・
「!?!?!?」
突如、どこからか聞こえた音。
―――自分はこの音を知っているッッッッ!!!!
「避けてぇぇぇええ!!!」
叫ぶ鳳翔。だが、その叫び虚しく、羽黒に何かが直撃する。
「きゃぁぁああ!?」
「羽黒さん!?」
直撃したのは左弦。
その方向を見ると、そこには・・・
「・・・戦艦・・・?」
俗に言う・・・・・戦艦を主としたガチ編成だ。
戦艦四隻に加え、重巡が二隻。
完全巨砲至高主義編成だ。
――――どっからどうみても勝ち目なんて無い。
「提督の読みがあたった・・・ッ!」
それを聞いていた鳳翔だったが、いざ的中すると、この先どうすればいいのか分からない。
「提督ッ!」
すぐさま、鳳翔は時打に連絡。
『来たか?』
「はいッ!戦艦四隻、重巡二隻です!」
『ガチできやがったな・・・・』
「提督、今の戦力では到底敵いません!撤退の許可を!」
戦艦相手に駆逐艦が敵う訳が無い。
その装甲の前に一方的にやられるだけだ。
『――――撤退は認めない』
「な!?」
そこで時打から出たのはありえない言葉だった。
『これは指令だ。とにかく耐えるんだ。避け続けても良い。小さなダメージでも敵に蓄積させる事が出来る筈だ』
「しかし―――」
鳳翔が抗議しようとするも。
『―――暁と電の為だ』
「!?」
それを聞いた瞬間。
「電ぁぁぁあああああああ!!!!」
暁の絶叫が聞こえた。
「ひぃッ!?」
近くに砲弾が着水した水柱で悲鳴をあげ、周りの事など聞こえなくなっていた。
「落ち着いて暁ちゃん!まだ、誰も沈んだ訳じゃない!今ならまだ態勢を立て直せるから!」
だが暁は震えるだけで何も言わない。
「ッ!」
すぐさまそば水柱が巻き起こる。
「ッ・・・・どうすれば・・・・・」
そこでふと、深海棲艦の方を見る。
敵は砲撃してくるばかりだが、こちらを牽制しつつ確実に当ててこようとしてきている。
狭叉弾とか至近弾だとかが辺り、だんだんと逃げ道が無くなってきている。
ただ可能性があるとすれば、電の白兵戦だろうか・・・・?
(それでも無傷で辿り着けるかどうか・・・・)
電は、腰に差してある小太刀を見る。
陸上で深海棲艦と戦う事は無い。
だから、相手を殺さないために、逆刃の小太刀である『落雷』を常時装備しているのだが、相手が深海棲艦なら話が別だ。
小太刀『電光』
普通に刃が刀身の反りの方にある小太刀だ。
出来も良く、たいていの物なら簡単に斬る事の出来る小太刀だが、本来小太刀というのは盾として使えると言われているために、軽く、攻撃に向いていない。逆に小回りが利き、防御に向いているのは当然の事。
その弱点と利点を上手く抑える為に、刺突を昇華させた『牙突』を習得。更に自分なりのアレンジを加えて『電式』を編み出したのは言うまでもない。
「牙突なら・・・・」
腰の後ろにある電光。
確かに牙突の突進力なら戦艦の装甲を貫けるかもしれないが・・・・・・
「助けて・・・・助けて・・・・」
今の状態の暁を一人にする事はできない。
動けないこの状況で、相手にとってなんのダメージにならない主砲、雷撃を打ち込み続けるのか・・・
「ッ!?」
そこでふと、戦艦の一人が放った砲弾が目に入った。
その軌道には・・・・少し離れた所にいる暁がいた。
このままでは直撃してしまう。
「だめぇぇえぇえ!!!」
それを確認した途端、電は走り出す。
そして、砲弾が暁に直撃する瞬間、電がその間に飛び込む。
電に、砲弾が直撃する。
その光景を、間近で見る暁。
そして・・・・
「電ぁぁぁあああああああ!!!」
絶叫。
それだけが響いた。
電、中破。
「電!電ぁ!」
急いで彼女を抱き上げる。
「ッ・・・・こふ・・・」
「やだやだ!死んじゃやだ!」
暁が必死に電の体を揺する。
「ちょ・・・そこまで揺らされると・・・」
だが、意識ははっきりしているようだ。
「あ、ごめん!」
「はぶ!?」
と、突然離した所為で地面にまた倒れる電。
しかしそこからなんとか起き上がる電。
「電ちゃん!」
そこへ鳳翔がやってくる。
「大丈夫!?」
「はい。まだやれます・・・」
無理矢理に立ち上がる電。
「無理しちゃだめよ!」
「でも、やらなきゃ・・・!」
「やるって何を・・・」
「白兵戦です」
それを聞いて電が今何をしようとしているのか悟る鳳翔。
「やめなさい!」
「やめません。もうこれしか手はありません」
電が兵装艤装を
そして、腰の後ろにある小太刀『電光』を抜く。
その右手を鳳翔がつかむ。
「ダメよ!単独で突撃するなんて、そんなの自殺行為だわ!」
「でも、このままじゃ全員やられてしまいます!」
電が鳳翔の腕を振り切って戦艦の艦隊に突撃する。
はずだった。
暁が電の左手を掴む。
電が暁の方を見た瞬間、今、特攻しようとした気が失せた。
「いか・・・ないで・・・」
その、まるで独りぼっちの子犬の様な表情を見たら、いくら電でも、立ち止まらずにはいられなかった。
「ッ・・・・・」
必死に縋り付く暁に対して、電は何も言えない。
「・・・・ごめん」
そう言い、電は暁を抱きしめる。
「あの時・・・・貴方の事なにも考えずに口聞いて・・・ごめん」
回りに水柱が立ち続ける中、ただ、電は、あやすように暁を抱きしめ続けた。
万事休す。
そう思い、苦い顔をする鳳翔。
(何か・・・・他に・・・方法は・・・・)
そう、考えた時だった。
「全主砲展開ッ!掃射ァ!!!!」
ドォォォォンッ!!
『え!?』
突如、どこからともなく飛んできた無数の砲弾が戦艦のいる艦隊に殺到する。
更に、空高くから何かが急降下してくる。
それはその体から何かを分離すると、勢い良く水面と水平になるように体を持ち上げる。
次の瞬間、その何かと分離した黒い物体は戦艦ル級たちに直撃し、爆発を起こす。
「全く、提督さんも人が悪いわよね」
「ええ」
「あ・・・!」
更に頭上から何かが通りすぎていく。
烈風と零式艦戦52型だ。
「全く、提督さんも人が悪いわよね」
その声が聞こえた瞬間、ヲ級がいた方で爆発が巻き起こる。
「あれは・・・・・彗星!」
日本の最新鋭爆撃機、『彗星』が爆撃したのだ。
そのお陰で軽巡が轟沈。
ヲ級とヌ級も冗談では済まないダメージを負う。
更に追い打ちをかけるように、鳳翔の脇を何かが通り抜け、魚雷を海面に落とし、ヌ級に命中させる。
「天山・・・」
今の鎮守府で、あれほどの練度であの艦載機を運用できる空母は、自分の鎮守府でただ一人。
「お待たせ、鳳翔さん!」
「瑞鶴!」
正規空母『瑞鶴』だ。
更に、その後ろからは、長門と扶桑、そして明石だ。
「本当、底の見えない人だ」
長門はふふ、と笑う。
「ほら見せて電ちゃん」
「あ・・・」
一方で明石は電の傷を治療し始める。
「これは・・・・・」
「提督さん。鳳翔さんたちが出撃した後、すぐに長門さんを使って集めてね。何事かと思ったら、鳳翔さんたちがピンチになったら助けに行けって言ってさ。心配性だよねあの人」
アハハ、と笑う瑞鶴。
一方で、瑞鶴の飛ばした艦載機たちがなんと戦艦の対空射撃をものともせずに回避し続けているのだ。
しかも、弄ぶかのように零戦や烈風だけが機銃でちょっかいを出している。
戦艦相手に完全に遊んでいる。
それほど瑞鶴の艦載機の練度が高いという事だ。
『悪い、なんかお前ら負ける事前提な事して』
時打が無線越しにそう謝罪する。
「いえ、もういいです」
『そんじゃ、暁、電、そのままで聞いてくれ』
そこで時打が一息つく。
『電にはこれから白兵戦に移ってもらう。だけど、一人だけじゃ不安だ』
それに頷く一同。
いつの間にか、羽黒や雷や響が戻ってきていた。
『だから暁。お前も同行しろ』
「え!?」
これに声を挙げたのは暁だ。
「む、無理です!」
『無理じゃない。お前の単独での戦闘力は常軌を逸している。ただでさえ艦隊一個分壊滅させた戦果があるんだからな』
「あ、あれは・・・」
それはおそらく、電が沈んだ時の暁の暴走の時だ。
『あれは、確かにお前の暴走で一時的に目覚めたものなのかもしれない。だけどな、
「ッ・・・・」
『暁。ここにいる電は、お前の電じゃないのかもしれない。だけどな、ここにいる電も電なんだよ。お前は、一人沈んで行ったあの夜の事をまた繰り返すのか?』
「ッ・・・!?」
史実では、暁は夜戦で、照明灯を敵艦に照らして味方にその存在を知らせたが、逆に敵に見つかって魚雷を何本も撃ち込まれたという時の事だ。
『違うだろ?そうじゃないだろ?お前は、妹たちを置いてまた一人逝く訳じゃないんだ。もう、誰も沈めちゃだめなんだ!もう、電を沈めた悲劇なんてまた起こしちゃいけないんだ!その為に、立ち上がれ!お前は、電の姉だろ!?姉なら妹を護りやがれバカ野郎ッ!』
どんどん口調が強くなっていく時打。
だが、確かに暁の心に響いだ。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・うるさいわね」
すっと立ち上がる暁。
「そんな事、分かってるのよ・・・」
ぎゅっと、両拳を握りしめる。
確かな、想いは、そこにある。
「良いわよ!やってやるわよ!駆逐艦舐めんじゃないわよくそったれがぁッ!」
天に向かって、咆える暁。
乗り越える事は、決して簡単じゃない。だけど、乗り越えれば、確かに、手にいられるものがある。
もう、何も恐れる必要などない。
「行くわよ電!」
「うん!暁!」
すでに修理が終わった電が電光を左手に持つ。
そして、二人同時に走りだす!
『暁と電を全力援護だ!瑞鶴ッ!』
「了解!アウトレンジで決めたいよね!」
瑞鶴が彗星を発艦させる。
それも、空高く。
『長門、扶桑!お前らの自慢の火力で敵を撹乱、タイミングは任せる!』
「了解!扶桑!」
「ええ。主砲、副砲、一斉射ッ!」
二人が同時に全ての砲門という砲門から砲弾を放つ。
副砲も何も関係無しに敵を撹乱する為に砲弾を撃ちまくる。
「私たちもやるよ!」
「ええ!」
響と雷も、自分たちの主砲から砲弾を放つ。
その水柱の壁に、動けない戦艦たち。
そして、その視界の悪さが、一人のル級を沈める結果となった。
「牙突ッ!!」
「!?」
立ち上がった水柱を貫いて、一本の刀がル級Aの首を貫く。
「ガア・・・ア・・・!?」
「ヤァ!!」
そして止めといわんばかりに捻る。
ゴキリ、という鈍い音と共にル級Aの首が文字通り、
そのまま態勢を保てなくなり、水面に倒れ伏す。
すぐさま異変に気付いたル級B、C、Dが電に主砲を向ける。
だが。
「遅いのです」
それよりも早く、電がまだ首に刺したままのル級Aの体をル級たちに投げつける。
「「「!?」」」
当然、既に発射態勢に入っており、砲弾が放たれているので、そのル級Aに直撃する。
事実、盾にされたのだ。
「ガァァア!!」
仲間を盾にされた事を怒ったル級Cが主砲を向ける。だが、それよりも早く、
「ギャア!?」
「首吹き飛んで死ね」
瞬間に首が吹っ飛ぶ。
「うわ・・・えぐい・・・」
「そんなの貴方も同じでしょ電」
暁が魚雷をル級Cの左目に魚雷をブッ刺し、その状態のまま爆発させたのだ。
「オオオオオッ!」
そこで突如、重巡リ級が主砲を魚雷を発射する。
だが、駆逐艦の機動力でそれを避ける暁と電。
すぐさま電が牙突の発射態勢に入る。
だが、それを阻止せんといわんばかりの別の重巡リ級Bが主砲を向ける。
だが、いきなり、脇腹が爆発する。
「ゲウ!?」
すぐさまそちらの方向へ首を向けるも誰もいない。
つまりは砲撃された訳ではない。では誰が?
「へっへ~ん。どうよ、この水切り爆撃は」
「正確には反跳爆撃よ、瑞鶴・・・」
「い、良いでしょ別に!」
反跳爆撃。
爆弾を水切りの様に水面で跳躍させて、敵の装甲を側面から攻撃する爆撃だ。
これは日本が英国に使われた攻撃方法だが、それが日本、ましてや艦娘にできない道理などない。
えっへんと胸を張る瑞鶴に申し訳無さそうにツッコミを入れる鳳翔。
「ありがとうございます、瑞鶴さん」
密かに感謝の言葉を漏らし、電は駆け出す。
そして、牙突を命中させる。
「ぎゃぁ・・あ・・!?」
見事、腹に命中し、悲鳴を挙げるリ級A。
だが、それだけでは終わらない。
そのまま捻り、刃を上に向け、そのまま斬りあげる。
「ギャァァアア!?」
「沈め」
止めに踵落としを喰らわせ、リ級Aを無理矢理海に叩き落す電。
「な、なあ提督」
『なんだ?』
「なんか・・・いつもと違くないか・・・・?」
『ああ、アイツ今、悪即斬状態だからな』
「あ、悪即斬?」
『別にそうなった訳じゃないけど、なんていうかな・・・深海棲艦相手だと、容赦しなくていいから、手加減抜きでやるというか、スイッチが入るというか・・・・』
「分かった。もう良い」
時打の曖昧な説明で、理解できたのか、悩みだした時打を止める長門。
だが、その間に暁はル級Bを潰し、電もリ級を刺し貫く。
「ッ・・・アア!!」
「「やかましい」」
「ッ・・・・」
たった一言で押し黙ってしまうル級。
もう、既に敵ではない。
『あー、全艦、帰還準備。もう勝ったも同然だからな』
一同『了解』
そういう時打に、全員が賛同した瞬間、電の大技が炸裂する。
「牙突・零式ィ!!!」
「ギャァァアアアア!!!!」
大きな断末魔と共に、戦いに決着が着いた。
次回、第六駆逐隊編最終回!
そして次編の主役は・・・・・