今回は、第六駆逐隊がメインです!
実は自分、最初は『六駆』の事を『機動六駆』って呼んでましたwww。
そしてキス島沖がなかなか攻略できない。毎回の如く内の駆逐艦たちが大破や中破に追い詰められ、誰一人として沈めたくない自分の心に従って一人でも中破以上がでればさっさと撤退してしまう為になかなか攻略できない。
駆逐艦の中で最強の響改と吹雪改でさえも戦艦には敵わないこの始末・・・
たとえキラ付けしても夕立が被弾して中破になるから伊良湖が無駄になるというこの始末・・・・
夕立には期待してるんだけどな〜・・・・まだ改じゃないから仕方無いか。
そんなこんなで本編開始です!
黒河の日常
――――爆音が聞こえる。
それは、とある少女の背負う機械的な物から伸びる砲台からだ。
体中から血を流し、所々、衣服が破れている。
そして、少女らしからぬ咆哮を上げ、少女は周りいる『敵』を屠る。
それはもはや『暴走』としか言いようのない程の狂気ぶりだった。
敵に近付いては、殴り飛ばし、その口に砲台をぶち込み砲撃して頭を吹き飛ばす。
魚雷を敵の体に埋め込ませ、爆発させる。
艦載機の攻撃など最初から無視して敵に特攻する。
腕を敵の体に突き刺し絶命させる。
敵が全滅してもまだ飽き足らず、少女は周りの岩などに八つ当たる。
それが、まさか自分の妹たちを攻撃していると思わず―――
―――そして・・・
ざしゅ・・・
右腕に、ぬめりのある感触と、何か、肉の塊を貫く感触で、我に返る。
顔を、右に向けると、そこには、自分を抱き締める、末の妹の姿。
そして、その心臓の辺りを、自分の右腕が貫いている事を・・・・
『こふ・・・』
彼女が吐血する。
少女は、恐れの声を漏らしながら、ただ、狼狽する事しか出来なかった。
『・・・怒るのは、別に良いけど・・・あまり、皆を巻き込んじゃ・・・ダメなのです・・・』
少女は、妹の言葉をただ黙って聞く事しか出来なかった。
『・・・お姉ちゃんは、鳳翔さんの事、とても好きだから・・・怒るのは分かるよ・・・でも、響お姉ちゃんや雷お姉ちゃんを、それに巻き込まないで欲しいのです・・・』
更に、血を吐く、優しい妹。
『あ・・・もう、何も見えないや・・・』
ふふっと、妹は笑う。
『次に生まれ変わる時は・・・・平和な世界だと良いな・・・』
少女は、妹の名前を呼ぶ。
『・・ごめ・・・ん・・・ね・・・・さ・・・よ・・・な・・ら・・・』
そして、妹から力が抜け、崩れ落ちる。
それと同時に、突き刺さっていた少女の腕が抜ける。
しばらくして、少女は、妹の姿を見る。
その体は、すでに、水面から沈んでおり、水面越しでしか姿を見る事しか出来なかった。
そして・・・
「電ぁぁぁああああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!」
暁は飛び起きた。
「ハア・・・ハア・・・ハア・・・ハア・・・・う!?」
いきなり、吐き気が彼女を襲い、すぐさま二つある二段ベッド、それも自分が寝ていた右の下のベッドから転げ落ちる。
そのまま急いでトイレに駆け込む。
「おえ・・・ええ・・・!!」
昨日の夕飯が混ぜ合わさってものが自分のくちから全て出ていき、やがて、収まる。
「ハア・・・ハア・・・ハア・・・」
酷く顔色が悪い状態で、暁は、水道で口をゆすぐ。
―――今日は一段と酷い夢を見た・・・・
ふらつく足取りのまま、トイレを出る暁。
「暁?」
ふと、後ろから声をかけられる。
「司令官・・・」
「どうした?顔色悪いけど」
そこには、左手に刀・・・刃が逆さまについている刀、逆刃刀・深鳳が握られており、服装はいつもの白い軍服ではなく、白いパーカーに少し大きめのジャージといった服装の、この黒河鎮守府の提督、天野 時打が立っていた。
「別に、大丈夫よ。そういう司令官は、どうしてこんな時間に?」
「そうか、言ってなかったな。鍛錬だよ。こうしてないと、体が鈍ってしまうからな」
時打はそう言って苦笑する。
「そう・・・」
「暁の方も、少し休んでから朝食取りに来いよ。そんな状態じゃ、少しやばいかもしれないからな」
「そうね。では、そうさせて貰うわ」
そうして、暁は時打に背を向けて歩いて行ってしまう。
「・・・・」
自室に戻り、ふと、左の下のベッドを見る。
「すー、すー」
いつもは、このくらいの時間に起きるはずなのだが、どうやら、今日は休みの日らしい。
「・・・電」
そんな寝息を立てる電の頭を撫でる暁。
「・・・・ごめんなさい」
暁は、そう一言呟き、自分のベッドに戻った。
マルキュウマルマル―――午前九時、二月中旬。
執務室にて、時打と長門。
それと響夜、翔鶴、瑞鶴。
「はいこれで終わり」
「本当にあれだけの量を一時間で終わらせちゃったよこの人・・・・」
時打のあまりの仕事の早さに唖然とすぐ瑞鶴。
一方の翔鶴は何度か見ているので驚く事なく、笑っている。
響夜にいたっては興味無しだ。
「慣れれば仕事が早く終わってくれて私も楽なものだ」
「執務を全部自分だけでやるなんて・・・」
ちなみに、何故三人がいるのかというと、単に暇だからだ。
翔鶴は別の理由もあるが、それは御存知の通りだろう。
「さて、もう俺が着任して二週間、響夜が来て一週間だな・・・」
時打が椅子にもたれかかりながらそう呟く。
「そうだな・・・」
そこへ、扉の方からノック音が聞こえた。
「大淀です」
「はいってくれ」
時打がそう答えると、扉の方から大淀が入ってくる。
「どうした?」
「艦隊司令部より、入電です」
それを聞いた全員が緊張につつまれる。
「・・・・出撃か?」
「はい」
出撃。
それには二種類のパターンがある。
一つは
提督が本部へ伝令、許可を貰い出撃し、それに見合った戦果を挙げれば、それなりの報酬を受け取れるという物。
もう一つは
これは、本部側からの指令を受け、出撃するというもの。これは、自由に受けられるという訳では無く、更に強制的な物で、絶対に受けなければならないのだ。その分、報酬が単独出撃より高い。
特例で拒否する事もできるが、その艦隊の評価が下がる事は覚悟しておいた方が良い。
「それで、内容は?」
「日本海に出現した深海棲艦の撃退、あるいは撃滅です」
「そうか・・・」
時打は、この艦隊の艦娘たちには出撃させていない。
その理由は、しばらく提督がいなかった事によるしばらく実戦に出られなかった事による実力の低下。
それによる
それによって被害が出てしまい、最悪轟沈も考えられたからだ。
「編成は自由。期間は三日間です」
「三日か・・・・よく考えないとな・・・・」
「そこまで悩む事なのか?」
そこで響夜が口をはさむ。
「普通に
「グハァ!?」
『え?』
その響夜の答えにいきなり吐血したのは長門だ。
そのまま蒼白になりながら地面に四つん這いになる。
「お、おいどうした長門?」
「い、いや・・・思い出したくもない黒歴史を思い出して・・・」
「そ、そうか・・・」
「なんか悪いな・・・」
その長門のダメージに引いてしまう時打と響夜。
「・・・何があったんだ?」
「それは聞かないで下さい・・・」
大淀がやれやれとでも言う様に頭を押さえる。
「とりあえず、編成は考えておくから、下がっていいぞ」
「分かりました。では後程」
そう言って退出する大淀。
ふう、と息を吐く時打。
「・・・・・長門、さっき聞いた通りだ」
ごくり、と唾を飲み込む長門。
「三日もあるんだし明日考えようか」
ガタンッ!
「今じゃないのか!?」
「あぶな!?」
思わず殴りかかってしまう長門。
それを間一髪でかわす時打。
「別に良いだろ。
「確かに、お前は今回が初の出撃任務だし、ここの艦娘にとっても久しぶりの出撃だ。気楽にしたい気持ちは分かるが、もう少し責任感をだな・・・」
「今はまだ重要任務を任せられない艦隊なんだから、気長にやっていこうぜ。せんべい食うか?」
「まあ、そうだな・・・・貰おう」
と、せんべいを食べ始める二人。
ちなみに、この鎮守府の裏手にある山の向こう側にある黒河市なる街の駄菓子屋で買ったものだ。
「あ、私も・・・」
「俺にもくれ」
「良いぞ」
翔鶴も響夜も食べ始める。
ズー、とお茶を一斉に飲み、ぷは、と声を漏らして一服する。
「とりあえず編成は明日考えよう」
と、外を見る時打。
「・・・」
と、そこでふと黙ってしまう時打。
「どうかしたんですか?」
翔鶴がその様子の時打に話しかける。
「いや・・・」
立ち上がった時打は、窓を開け、しばらく空を見上げる。
「・・・・・雨が降りそうだな」
と、呟いた。
「雨?」
響夜がそう聞き返す。
「湿気が多すぎる。冬にしては珍しいな」
「そうなのか?まさか」
響夜がそう小馬鹿にする様に笑う。
それもそうだろう。
なんてたって空は雲一つ無い快晴の空なのだから。
「んー、振りそうなんだがな・・・」
と、窓を閉じる時打。
「ま、今日は鎮守府の中で過ごすか」
と、呟き、時打は、長門と共に執務室を出た。
向かったのは、食堂だった。
「あ、司令官」
「お、吹雪か」
真っ先に気付いたのは吹雪だった。
「おはようございます!」
「おはよう。演習の調子は良いか?」
「はい!司令官のお陰です」
この艦隊で、翔鶴と長門以外で最も和解した艦娘といえば、艦種問わず吹雪だろう。
その証拠に満面の笑みで時打に微笑みかけている。
「おはよう司令官」
「叢雲か。おはよう」
その後ろから来たのは、吹雪と同じ『特型』あるいは『吹雪型』の五番艦の叢雲。
俗にいう、ツンデレである。
「何しに来たのよ」
「暇だからだ。別に仕事終わらせたんだから、いても良いだろ?」
「まあ、いいけど・・・」
うぐ、と唸る叢雲。
「そういえば電・・・第六駆逐隊の皆は見なかったか?」
「響と雷ならさっき来て、電ならここに来る途中の廊下ですれ違ったわ。ただ、暁は見てないわね」
「そうか。ありがとう叢雲」
「べ、別に褒められるような事じゃないわ」
どうやら、ここの艦娘は褒められる事に慣れていない様だ。
それも提督限定で。
しかし、暁については気になる事がある。今朝、見かけた暁の様子。
とても顔色が酷く、先ほどトイレから出てきた所から見ると、吐いていたようにも見えた。
過去に何があった?
「あ、提督」
「ん?鳳翔か」
ふと、そんな思考を断ち切る様に後ろから声をかけられ、振り向くと鳳翔がいた。
「おはようございます」
「ん、おはよう。今日は遅いな」
「ええ、少し、駆逐艦の子たちの面倒を見てまして」
「ん?睦月型の?」
「はい」
ここで少し説明しておくが、この鎮守府に籍を入れている艦娘は、他の鎮守府に比べてかなり少ない。
前任の提督が轟沈させ過ぎた上に建造をしなかった事が重なった結果である。
なので、今この鎮守府にいる艦娘は、たった三十ぐらい。
鳳翔を入れた空母が四隻。
長門を入れた戦艦が四隻。
天龍を入れた軽巡が八隻。
重順が四隻。
駆逐艦がたった十二隻と言った数だ。
名簿化している余裕は無いので、その事はまた後程。
「司令官」
「ん?不知火」
「おはようございます」
「おう、おはよう」
『陽炎型』の二番艦の『不知火』は素っ気なく挨拶をするとさっさと今日の朝食を選びに行ってしまった。
「そういえば・・・・暁ちゃんをみませんでしたか?」
「え?いや見てないけど」
「そうですか・・・」
それを聞いた鳳翔はしゅんとなってしまう。
「?」
その様子に疑問符を浮かべる時打。
「ん?ああ、暁」
長門がそう言ったので、長門が見ている先を見る。
そこからとぼとぼと歩いてくる暁が見えた。
「よう、暁」
「あ、司令官」
いまだに、顔色が悪い。
「あ、暁ちゃん」
「鳳翔さん・・・」
声を掛けてきた鳳翔を見た暁の眼が一瞬見開かれたと思うと、すぐに伏せてしまう暁。
「・・・おはよう」
か細い声で、そう挨拶し、鳳翔の横を通り過ぎて行ってしまう。
「? いつもよりテンションが低いような・・・・」
「そうだな・・・いつもより、かなり・・・」
長門もそう呟く。
ただ、その中で、鳳翔だけは浮かない顔をしていた・・・・
弓道場・・・・もとい、航空訓練施設。
空母はたいてい、弓をつがえて艦載機を発艦させる者が多い。
中には、陰陽術の様に、式神の様に艦載機を飛ばす空母も存在するが、そういうタイプの艦娘はこの鎮守府にはいない。
そして、今この弓道場にいるのは、『翔鶴型』の二番艦『瑞鶴』と、同じ『瑞』の名を持つ『祥鳳型』の二番艦『瑞鳳』だ。
瑞鶴が、矢筒から矢を一本抜き出し、左手に持つ弓につがえる。そしてゆっくりと引き絞り、まっすぐに、目の前に目標に標準する。
こういう事は、ただの作業だ。
ただし、いざ戦闘となれば、その『作業』は『技』へと変化する。
だから・・・・
「ッ・・・!」
矢を放つ。
真っ直ぐと飛んでいくそれは、一瞬にして姿を変え、一機の艦載機『烈風』になり、目の前の的に銃撃。
全て直撃する。
正規空母『瑞鶴』
翔鶴同様、前任の提督の更に前の提督の時に建造された艦娘だ。
境遇は翔鶴とほぼ同じだが、心身共に弱くなってしまった翔鶴の為に、前任の提督の言動を我慢しながらこの弓道場にて艦載機を飛ばし続けて演習し続けてきた結果、この黒河鎮守府で少なくとも空母の中ではダントツの熟練者となったのだ。
その為、この鎮守府で、瑞鶴はここの主戦力ともいえるのだ。
「ふう・・・」
ぱちぱちと、手を叩くのは当然の事ながら瑞鳳だ。
「流石です瑞鶴さん」
「ありがと瑞鳳。さ、次は貴方の番よ」
「はい!」
元気良く挨拶をする瑞鳳。
あの提督が来てから、この鎮守府に笑顔が戻ってきた。
今までは、無理して笑っている艦娘が多く、なんだか息苦しい空気が漂っていたが、改めてあの提督が着任して一週間がたったころには、心の底から笑う艦娘が増えた気がした。
「瑞鳳。もう少し肩の力を抜きなさい」
「は、はい!」
今までは一人だったが、こうして、教える相手がいると、とても楽しいと最近思うのも、きっと彼のお陰だろう。
それと・・・・
「おー、やってるなあ」
「げ・・・・」
「あ、響夜さん!」
―――不本意ではあるが、この佐加野響夜という男もである。
姉である翔鶴を助けてきてくれた事には感謝するが、その自由気ままな所や、勝手な所が一々癪に障る。
ただ、その言葉で瑞鳳が親しんでいる事は微笑ましい事なのだが・・・
「調子はどうだ?」
「・・・・上々よ」
何故かいつも瑞鶴ばかりに構ってくるのは気のせいだろうか?
いや、駆逐艦の子たち相手に遊んでいたり、天龍や木曾と拳で語り合っていたり(ガチ)と色々な艦娘と交流していた所は見ていた。
だから自分ばかりに構う事は無いのだが、どうにもその数が自分の方が若干多いような気がするのだ。
「やっているわね」
「あ、翔鶴姉」
最近となって、翔鶴も練習に付き合ってくれるので、どうでも良い筈なのだが、どうしても気になってしまう。
どうにかできないものか。