Muv-Luv ユウヤ・ブリッジスの第二な人生 作:nasigorenn
リアルが忙しすぎてパソコンの前で寝落ちする毎日でしたので。
今現在の情報で考察するに、考え出された答えはあまりにも非現実的なものだった。
まさか『並行世界』なんてオチだとはなぁ………。
まだその確証は出来ないが、そうでもないと説明がつかないことが多すぎる。逆にその前提でいけば逆に違和感なくしっかりと話が収まる。
だからといって完璧にそうだと確定するのは、それまでの『俺』が認めたくないと思うのも事実。
だから未だに確定するわけにはいかない。しばらくはこの世界について調べようと思う。
仮にも並行世界だというのなら、どういう世界なのかも興味が湧いてくるしな。
だからまずは、中尉………唯依に言われた通りに大学に行ってみるとしようか。
と、思ったんだが…………。
わ、わからねぇ………。
そう、どうにも記憶の混濁があることもそうなんだが、元より俺はこの世界の人間ではないし、それ以上に向こうでも日本に来たこともない。
つまり何が言いたいのかと言えば………土地勘がまったくないので、その『白陵大学』とやらの場所がわからないんだ。
さて、どうしたものか。このままでは大学にいくことが出来ない。別に行かなくても良いと思うのだが、今の俺を取り巻く人間関係を知るためにも行った方が良い。
とは言えだ。下手にここで唯依に大学の場所を聞こうもんなら、それこそ不気味がられてもおかしくない。
こう言うのも何だが、『親しい奴』からそんな視線を向けられるのはかなり堪える。
だからやんわりと違和感なく場所を聞き出すしかない。
そう決意を固め、俺は隣を歩いている唯依に話しかける。
「な、なぁ、唯依」
「っ!? ひゃい!! な、なんれすか!」
こいつ、一体どうしたんだ? 俺が声をかけたことにビックリしたのか、真っ赤な顔で慌ててるようだ。
挙句は噛んだことに恥ずかしそうにしてる。何だ、この感じは…………こう、何と言うか………可愛いな………ってそうじゃないだろ、たく。
どうにもこっちの唯依は俺のことに関し過敏な所があるような気がする。
いや、逆にこれが本来のアイツなのかもしれない。この世界のことで今分かってることから考えれば、こいつは譜代武家でもないし日本帝国軍の軍人でもない。
普通の高校生の女の子なんだ。
歳不相応に背負っていた重責から解放されたのなら、そこにあるのはまさに今目の前にいる唯依のようになるのだろう。向こうの世界では絶対に無理だが。
だからこそ、こうも思う。
きっとこんな風なのが、本来の唯依なのだろう。
そんな彼女を見ていて俺の心は解れ、笑みを浮かべてしまう。
「落ち着けって。別に俺が何かしたわけでもないだろ」
「そ、そうですけど、その………(手を繋いで貰っていて嬉しくて夢中だったなんて言えないし)お、驚いてしまっただけです!」
「そいつは悪かったよ。だからまぁ、とりあえず落ち着こうな、な」
「は、はい………」
落ち着くように言いながら軽く頭を撫でてやったら、途端に顔をトマトみたいに真っ赤にして俯いちまった。もしかして対応を間違えたのか?
だが、その割には嫌がっていないというか、寧ろ嬉しそうにしてるんだが……まぁ、いいか。
「それでなんだが……もしよかったら大学近くまで一緒に行かないか?」
「大学近くまでですか? 少しだけ遠回りになっちゃうから大丈夫かな?」
こう誘えば、少なくても大学近くまで行くのに違和感はないはずだ。
とはいえ、こいつも朝の通学中なわけで遅刻させるわけにもいかない。だから出来ればのお願いと言うことになる。断られたのなら、その時はおとなしく道を調べながら行くしかないか。
そう心に決め込みながら唯依の答えを待つことに。
すると唯依は恥じらいつつも答えた。
「今からだと少し危ないけど、急げば何とか間に合いそうですし……それにブリッジスさんと一緒にいたいから、その………ご一緒させてもらいます………」
「そ、そうか…………」
思わず見惚れちまうくらい、今の唯依は可愛くて………気恥ずかしくて思わず顔を逸らしちまった。
唯依はその後も、モジモジとしながら俺に微笑みかける。まるで俺の誘いに心底嬉しそうに。
「な、なら、その………行こうぜ」
「はい!」
そう答えると唯依は俺の腕に身体を添わせる……まさに寄り添うにように。
その時に感じた唯依のやわらかな感触に心臓がドキドキとした。
そんな風に唯依と一緒に大学まで行ったお陰で何とか迷うことなく済んだわけなのだが、まさかここで『コイツ等』と再開することになるとはなぁ。
それは大学の入り口辺りまで来た時だった。
「おいおい、まさかいきなり高校生とラブラブ通学かよ、相棒!」
「流石はトップガン、女に手を出すのも最速ってか?」
「おい! ユウヤはお前みたいなナンパ野郎とは違うっての、VG!」
「そうね、ユウヤはもっと生真面目でシャイだもの。アナタとは違うわよ」
前の世界の戦友と相棒にまさかこうして再開し、そしてこうして冷やかされるなど思わなかった。
「お、お前等…………」
別に久々の再会ってわけじゃないはずなのに、何故だがかなり会っていなかったような気がする。
それが何だか嬉しくて、そして…………。
「そ、そんな、ラブラブだなんて…………」
唯依の奴が真っ赤になってあうあうしていた。