ハイスクールD×D イマジナリーフレンド   作:SINSOU

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18話

絶対に謝罪させる。

 

それが私の中で渦巻いている感情だ。

ただ戦いだけの欲求不満堕天使のせいで、私の町は危険に晒された。

 

目の前の堕天使のせいで

 

友だちの舞ちゃんや桐生ちゃんたちが、近所のおばさんが、カデンツァのお姉さんが、

駒王町に住んでいる皆が危険に晒された。

 

目の前の堕天使のせいで

 

何も悪いことなんてしてないのに、ただ一方的に巻き込まれただけだ。

 

目の前の堕天使のせいで

 

リアス先輩や皆が傷つき、学校も悲惨なことになってる。

 

これも全て、この目の前の堕天使のせい。

 

全て、お前のせい。

 

だから私は謝罪させる。絶対に謝らせる。

この堕天使の口から、ごめんなさいと言わせる。

何をしようと、どんなことをしようと、口さえ開ければ、ごめんさないの言葉は出せるよね。

今の私に渦巻くのは、ただそれだけ。

私の傍に立っている『友だち』に目を向ける。

『友だち』は微かに頷く。

ありがとう、だから一緒に行こう。一緒に目の前のこいつを折檻しよう。

 

 

 

 

両手に光の剣を携えたコカビエルと、私の『友だち』が激突する。

『友だち』の振りかぶった右腕がコカビエルへと向かう。

だが、コカビエルはそれを躱すと、逆に右腕に携えた光の剣を振るう。

金属同士をぶつけた様な、鈍い音が響く。

 

「なに!?」

 

光の剣は『友だち』を斬り裂くことが出来ず、肩から胸まで斬りられたところで止まる。

光の剣に斬られたまま、『友だち』は左腕でコカビエルを殴る。

咄嗟に腕を交差し、その拳を受け止める。

そのままコカビエルは宙を横に飛ばされるが、6枚の翼をはためかせ、そのまま宙に静止した。

と同時に、静止したコカビエルへと『友だち』が迫り、追撃。

そのままコカビエルに組みつき、6翼の内の1つを引き千切る。

引き千切られた翼を放り投げれば黒い羽根が空に舞い、千切れた傷口から赤い血が吹き出す。

 

「キサマァァァ!」

 

激昂したコカビエルは、『友だち』の首を掴むと、そのまま地面へ叩き付ける。

校庭の砂が舞い、大きなクレーターが生まれた。

だがコカビエルは手を休めず、『友だち』を持ち上げると、残った5枚翼を広げ、

塔城さんにやったように、『友だち』を切り刻む。

腕が飛び、脚が千切れて地面に転がり、残ったのは首と身体だけ。

 

「もう終わりか」

 

興味を失ったのか、コカビエルは『友だち』を校舎に向けて投げ捨てた。

『友だち』はそのまま窓を突き破り、教室へと突っ込み、椅子や机に当たっただろう、

なにやら音が聞こえた気がした。

 

「そんな・・・アレでも駄目だっていうの・・・?」

 

誰かの声が聞こえた。

 

そしてコカビエルは『友だち』が突っ込んだ方を一瞥し、私の方へと顔を向けた。

その顔は、何やら冷めてしまったかのような表情だった。

 

「俺を倒すには些か力不足だったようだな。

 こちらも痛手をくらったが、俺を倒すにはまだ足りんかったぞ」

 

コカビエルは右手から光の槍を生み出し、私に向けた。

 

「だが、俺の羽をもぎ取ったことは褒めてやる。褒美だ、死ね」

 

そしてそのまま私に射出しようとする。

 

「夢殿さん・・・逃げてくれ・・・!」

 

誰かが私に向けて声をかける。でも、私はそれを無視する。

だって、私はまだ言ったことを終えてないんだから。

そして光の塊が私へと投げられかけた瞬間、

 

『何が終わったんですか?』

 

その腕が引き千切られた。

千切れ飛んだ右手は、そのまま血のアーチを描きながら、少し離れたところに落ちた。

千切れた際に、生み出された光の槍は、その形を維持できずに霧散する。

コカビエルは、痛みに呻きながらも、傷口を押さえつける。

その顔は、一体何が起きたのか、理解に苦しんでいる表情だった。

 

「な、なん・・・だと・・・?」

 

「い、一体何が起きたって言うの・・・?」

 

リアス先輩の声が聞こえた。その声色からは、先輩たちも混乱しているととれた。

でも私は気にしない、気にもしない。何故ならこれは、私個人のお仕置きだから。

 

『なんで安心したんですか?』

 

私は目の前の堕天使に告げた。

 

『なんでもう終わったと思ったのですか?

 私はまだ、貴方から謝罪の言葉を受けていないんですよ?

 それなのになんで勝ち誇ったような顔をしたんですか?

 私は言いましたよね。絶対に謝罪させるって』

 

そう、私はまだ目の前の堕天使から「ごめんなさい」を聞いていない。

悪いことをした奴を反省させると言ったんだ。

だったらこいつが反省するまでは、私は逃げるつもりはない。

 

「ならばこれならどうだ!」

 

コカビエルは、残った左腕を頭上へと掲げる。

その瞬間、先ほど右手から生み出したものとは桁違いの大きさの槍が、出現した。

 

「あれは体育館を吹っ飛ばした奴じゃねぇか!」

 

兵藤の叫ぶ声が響く。

どうやらアレが、ここから見えている、体育館を残骸にした元凶ですか。

そんなことを思っている間にも、巨大な光の槍はその形をはっきりと顕現させた。

 

「これで死ねぇぇぇ!」

 

そして左手を振りかざせば、巨大な光の槍が私に向かって動き出す。

そう、振りかざせればの話だけど。

 

『お願い』

 

私がそう告げた瞬間、コカビエルの左足が千切れた。

突然のことにコカビエルは身体を支えられず、そのまま地面へと倒れる。

だが、コカビエルが左手を振ったのがわずかに早かったらしく、

巨大な光の槍が私に目がけて向かってくる。

 

誰かが私に向かって逃げろと叫んでいるが、

逃げたところでやりの大きさからして、逃げ切れずに死ぬのは、誰が見ても明らかだ。

だから私は告げる。

 

『砕け散れ』

 

その瞬間、巨大な光の槍は鎚で砕かれたダイアモンドのように弾け、

光の粒がそこらじゅうに散った。

 

 

「何をした?」

 

倒れたままのコカビエルが叫ぶ。

 

「一体何をしたんだ貴様は!?」

 

先ほどとは違い、コカビエルの顔はより深い混乱に陥っていた。

 

『そんなの、どうでもいいじゃないですか。気にすることでもないでしょう?

 それにしてもおかしな話です。』

 

私はコカビエルの叫びを無視し、自分の言葉を吐き出す。

 

『それで終わりだと、無力化できたと、どうして思ったんですか?』

 

私の言葉に呼応すかのように、倒れているコカビエルの背後に、五体満足の『友達』が現れる。

その姿に、コカビエルどころかリアス先輩も驚く。

 

「一体、どういうことだ!?こいつは確かに手足を切り落とした筈!」

 

先ほどまでの余裕を失ったのか、声を荒げるコカビエル。

でも、私はそんなことは気にしない。だって、そんなことは関係ないから。

私は『友達』にコカビエルを抑え込むようにお願いし、そのまま彼に向かって歩く。

誰かが私を止める声が聞こえたが、私はそれを無視する。

 

『さて、コカビエルさん』

 

私は無表情のままコカビエルを見下し、彼に告げる。

 

『これから貴方が謝罪するまで、貴方を折檻します。でも安心してください。

 貴方が反省し、謝罪し、きちんと罪を認めてくれるなら、それ以上は何もしません。

 貴方が謝罪をしてくれるなら、私はそれでいいんです。

 だからコカビエルさん、もうこれ以上はこの町を巻き込まないと、誓ってください』

 

「貴様、俺を侮辱し・・・がぁぁぁぁぁあ!?」

 

『友達』がコカビエルを持ち上げ、地面に叩き付ける。

 

『私が聴きたいのはそんな言葉じゃないんです。

 私は貴方が反省したという言葉が聞きたいんです』

 

「俺が、貴様のような人げ・・・ぐあぁぁぁぁあ!?」

 

今度は5枚の翼の内の一枚を引き千切る。

黒い羽根が舞い上がり、紅い血が噴き出す。

 

「ひ、酷い!酷すぎます!」

 

誰かが声を荒げているが、私には別にどうでもいい。

 

「何やってんだよ、何やってんだよ!ことな!」

 

誰かが私に向けて何かを言っているが、私は別に気にしない。

そしてもう一度、翼を引き千切ろうとして、

 

「すまないが、それ以上やられるとコカビエルがもたないかもしれん。

 そうなると俺の責任になる。」

 

突然、聞いたこともない声が聞こえ、何かが割れる音と共に、それから白い光が落ちてきた。

そして地面に激突し、砂煙が舞うのは、誰だって想像できるだろう。

だが、その光は地面には激突せず、そのまま地面スレスレで止まった。

そして、歪なまでに光り輝く姿を見て、兵藤の声が響いた。

 

「白い龍・・・」

 

なにやら真っ白い鎧が乱入してきた。


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