ハイスクールD×D イマジナリーフレンド   作:SINSOU

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言葉を弄ったことで、特定キャラが悪くなってると思います。
もしかしたら、修正するかもしれません。


11話

私は、目の前の光景に、雰囲気に、ただ緊張と不安でいっぱいだった。

何故ならば、目の前では、リアス部長が、

教会から派遣された悪魔殲滅者(エクソシスト)の2人と相対していたからだ。

それまでの経緯を説明するとしたら、流れはこうである。

 

木場さんとリアス部長との溝が出来た翌日、ようは昨日のことだが、

兵藤の家に、今、私の目の前にいるエクソシストが現れたという。

なんでも一方の茶髪のツインテールの女の子が、例の写真に写っていた子供だったという。

私は写真の子と目の前の子を比べてみた。なるほど、確かに判らないだろう。

写真と比べると、髪型的にも、写真的にも、男の子のようだった写真と、

今の女の子の出で立ちを見れば、同一人物と直ぐに判るのは難しい。

 

まぁ、しかし、その胸部装甲は・・・よし!同士ね!

私は影に隠れてガッツポーズをした。

・・・私は何を喜んだんだろう・・・、そして一気に自己嫌悪になった。

 

話を戻すが、なんでも、リアス部長に交渉しに来たと言う。

内容はまだ明かされていなかったらしく、明日、つまり、今日、

色々と話し合うということだった。

なんでも、相当切羽詰っているらしく、それこそ、大嫌いな、

むしろ殺したいほど憎悪している悪魔に協力を仰いだらしいのだから。

それも、リアス部長たちを殺さない、という誓いを立ててまで。

その姿勢に、リアス部長も話を聞こうとなり、交渉の場が設けられたという。

 

そうして現在、エクソシストの二人はオカルト研究部へとやってきた。

私は、そのことを今さっき知らされたので、

なにぶん急なこととは言え、心構えが出来なかったのが不安だ。

と言いますか、連絡くらいお願いします。

そして、私は何も準備をすることも出来ずに、エクソシストを迎えたのである。

入ってくるなり、二人の内、蒼い髪の子が兵藤たちには、眉を顰め、

私には、まるで不思議なものを見るような目で見られた。

 

そして、事ここに至るというわけだ。

 

しかし、いかんせん、私から見ても、この場の空気は最悪に近いと言っていい。

なにせ、ピリピリとした空気を、私の肌が感じているからだ。

まぁ、リアス部長やオカルト研究部の全員、ようは悪魔からすれば、

目の前にいるのは教会のエクソシスト。

自分たち(悪魔)を殺すために生まれた存在だ。

いくら、自分たちを殺さないと神に誓っている(らしい)とはいえ、その気になれば殺せるのだ。

どうあっても安心なんて出来ない。

 

その上、木場さんが完全に危険な状態だ。

エクソシストの二人を、まるで仇敵のような、怨敵のような視線で、

射殺すような目で、睨みつけているのだから。

下手したら、ふと瞬間に、二人へ斬りかかるかもしれない危うさを醸し出してる。

片やエクソシストの方も、蒼い髪の子は、微かに嫌悪の雰囲気を感じる。

うん、雰囲気に呑まれてしまって、私は完全に動けません。

 

そして、この雰囲気の中、話を切り出したのは、ツインテールの子。

兵藤の知り合いと言う、紫藤イリナさんだった。

なんでも聖剣エクスカリバーが強奪されたらしい。

 

・・・あれ?確かエクスカリバーって、持ち主であるアーサー王の死後、

ベディヴィエールが、湖の乙女に返却したんじゃなかったかな?

一昨日、話を聞いた後、家のインターネットで調べたら、そんなのが載ってたけど。

なんで教会が持ってたのかな・・・。

なんかややこしくなりそうだから、黙っておこう。

 

「一誠、実はエクスカリバーは現存していないのよ」

 

疑問に首を傾げていた一誠を見て、リアス部長が応え、そして紫藤さんが説明する。

なんでも、基の聖剣エクスカリバーは、かつての大戦、

ようは三勢力と二天竜の壮絶な戦争によって折れてしまったらしい。

そして、その折れた聖剣の破片を書きあつめ、新たに7本の聖剣としてつくり変えたという。

 

「これが、エクスカリバーさ」

 

すると青髪の女の子が、先ほどから背負っていた、布に包まれていた物を取り出した。

そして、その布を外すと出てきたのが、一本の長剣だった。

 

「「「「「!?」」」」」

 

「凄い綺麗・・・」

 

その剣を見て、私は言葉を漏らした。なるほど、確かに聖剣なのかもしれない。

素人の私から見ても、その長剣は見る者を惹き付ける何かが、

御利益がありそうな、神聖な雰囲気が感じられた。

ふと、周りを見ると、他の人たちは、まるで蛇ににらめれた蛙のように、固まっている。

それを見ても、確かに聖剣なのだと実感した。

 

「これが私の聖剣エクスカリバーの一つ、『破壊の聖剣』だよ」

 

そう言って、青髪の人は、再度それを布で包んだ。

すると、神聖な雰囲気が一気に霧散する。なるほど、その布で隠してるんだ。

確かに、そんなもの(聖剣)をおおっぴらに持ってたら、警察に捕まるからね。

銃刀法違反って、いったいどれくらいの罪だったかな・・・。

 

「そして、私のは『擬態の聖剣』。自由自在に形を変える力を持っているの。

 それぞれの聖剣には、それぞれ別の能力が備わっているわ」

 

紫藤さんが取り出したのは、先ほどの長剣とは違い、なんというか・・・紐のようなものだった。

でも、先ほどの長剣のように、神聖な雰囲気を感じる。

ただ、先端がうねうねしているせいか、気持ち悪いと思ったのは、失礼ではないと思いたい。

だって、蛇みたいで、私は駄目なんだよなぁ・・・。

 

そうして、同じように布で覆うと、蒼髪の人が紫藤さんに小言を言う。

どうやら、紫藤さんの方は、悪魔側には協力的で、青髪の人は、悪魔に対して懐疑的らしい。

というか、青髪の人、ゼノヴィアさんって言うんだ・・・。

 

話を聞いて、青髪の人の名前が解った私は、ふと、酷い寒気を感じた。

まるで、極寒の湖に裸で放り込まれたような、痛いと思える様なそんな寒気。

ちらりと感じた方へ眼を向ければ、木場さんが二人を、

先ほどとは比べ物にならない形相で睨んでいた。

もはや、今すぐにでも斬りたい、破壊したいという思いを、理性で必死に止めているような、

そんなギリギリ踏みとどまっている、危うい状態。

下手すれば、彼女たちの一言で、一動作で、下手すれば一呼吸をするだけで、

一瞬のうちに二人に襲い掛かりそうな雰囲気だ。

 

「木場さん、お願いです。ここは抑えてください・・・」

 

「・・・」

 

私は、ゆっくりと木場さんの傍により、声をかけるが、返答は無言だ。

若干、寒気が収まったような気はしたが、それでも肌がひりつく感じがする。

取りあえず、私はすごすごと後ろに下がった。

 

その間も、リアス部長は紫藤さんとゼノヴィアさんと対話をする。

なぜ、エクスカリバーが日本のしかも駒王町と関係するのか、

なぜ奪われたのか、誰が奪ったのか、それは色々と聞きだした。

 

なんでも、教会の各地に保管されていたエクスカリバーがそれぞれ一本ずつ奪われた。

そして、奪ったのは堕天使が組織しているという『神の子を見張るもの(グリゴリ)』で、

主犯はその幹部のコカビエルと言う。なんでも、戦争を生き残った猛者らしい。

その名前を聞いて苦笑するリアス部長だけど、私は気が気でなかった。

 

だって、そんなのは絶対に恐ろしい相手だと解るから。

そんな存在が、駒王町に、私の大切な人がいる町に来ている?そんなの絶対に大変じゃない!

しかも、ゼノヴィアさんが言うには、既に秘密裏に来ていたエクソシストが殺されているとか。

 

なにそれ。

私は一瞬だが、思考が止まった。

なによそれ。

なんでそんなことをしてるのよ。なんで、私の町でそんなことが起きてるのよ。

下手したら、巻き込まれて死ぬ人がいるかもしれないじゃない。

現に、エクソシストの方たちは死んでるのよ?

だったら、それが原因で、町の人が危険にあうかもしれないじゃない。

なのに、なんでそんな他人事みたいに言ってるのよ。

 

私は、エクソシストの二人に詰め寄ろうとして、服を掴まれた。

 

「ことな先輩」

 

見れば、塔城さんが、私の服を掴み、ゆっくりと首を横に振る。

ここは抑えてください、と、彼女が言っていると私は理解した。

先ほど、自分が木場さんに抑えるように言っておいて、私も同じ轍を踏んでいた。

私はハッとし、こちらを見ていた塔城さんに、ありがとう、と答える。

 

「ゴメンね、塔城さん。咄嗟に止めてくれてありがとう」

 

「すみません、でも、ことな先輩の顔が少し怖かったので・・・」

 

心配そうに私を見つめる塔城さんに、私は小声でと応える。

 

「安心して。もう、大丈夫だから。今は、リアス部長を信じるね」

 

「それならいいですけど・・・」

 

私と塔城さんがひそひそと話し合っている内に、

どうやらリアス部長と教会の二人との話し合いも終わりそうだった。

見ると、ゼノヴィアさん?が、リアス部長にここ(オカルト研究部)に来た理由を話していた。

 

「私たちの依頼、いや、注文だが、

 私たちと堕天使のエクスカリバー争奪戦での戦いの際、君たち悪魔が介入をしないこと。

 ようは、この事件に一切関与するな、ということを伝えに来た」

 

リアス部長の目が鋭くなる。

 

「随分な言いぐさね。それは牽制?それとも挑発?

 もしかして、私たち悪魔がその堕天使と手を組む可能性があると見ているのかしら?」

 

「可能性が無いわけではないだろう?」

 

ゼノヴィアさんが、事もなく言い放った。

 

 

 

 

 

 

「は?」

 

 

気付けば、私は言葉を漏らしていた。

ゼノヴィアさんの言った言葉が、私には理解できなかった。

ゼノヴィアさんの言った言葉を、私は聞き取れなかった。

何?今、こいつは何を言った?

 

「ことな先・・・輩・・・?」

 

私の町に、秘密裏にエクソシストを送り込んでおいて、

下手すれば巻き込まれて、大切な人が死ぬかもしれないのに、こいつは何を言ってるの?

自分たちの不手際で聖剣を盗まれておいて、何を言ってるの?

自分たちの不手際で、無力さで、私の町を巻き込んでおいて、一切関わるな?

こいつは何を言っているんだ?

 

黒い感情が波打つ

 

「上は悪魔と堕天使を信用していない。

 聖剣という忌まわしいものを破壊できるなら、君たち(悪魔)からすれば、大きな利益だ。

 堕天使も同様、こちらの戦力を削ることは、あちらにも益になる。

 故に、手を組まれると厄介なのでね、先に牽制をうたせてもらう。

 仮に堕天使と手を組んだ場合は、先に君たちを殺す。

 障害は取り除いておくべきだ、たとえ魔王の妹であろうとね。それが上司のお考えだ」 

 

目の前の青髪女の言葉に、感情が渦巻き始める

 

確かに信用できないのは理解できる。

不意打ち、騙し討ちなんて、それこそ戦争においては基本だ。

だが、だからと言って、この町を、巻き込んで良い理由にはならない。

この町に害をもたらす奴は、私の大切な日常を壊す奴等は絶対に許さない。

『誰であろうと』絶対に

 

渦は全身へと広がり、そして引いていく

まるで、潮が引いたように

 

「・・・そう、ならば言わせてもらうわ。

 私は!リアス・グレモリーは!何があっても堕天使と手を組むことはないわ!

 グレモリーという名に誓ってね!」

 

「そうか、ならいい。

 取りあえず、情報を伝えておかなければ、いざことが起こった時、恨まれるのは私たちだ。

 先ほどもいったように、協力を仰ぐつもりはない。

 まぁ、一時的に神と手を結んだとなれば、君たちにとっても拙いことになるだろうしな」

 

お前は何を言っているんだ?

既に私の町を巻き込んだというのに?恨まれていないとでも思っているのか?

お前達にとっては、私たち(町)は恨まないとでも思っているのか?

 

「それで、そちらの戦力は?」

 

「私とイリナの二人だけだ。

 正教会としては、エクスカリバーを1本でも死守すればいいと思っているらしい。

 最悪のことを想定してね」

 

ああ、そうか、つまり、エクスカリバーを守れれば、『どうなってもいいということか』

ああ、こいつらは、私の町を、大切な人を巻き込んでも・・・

 

「どうでもいいということなのね」

 

ああ、もう駄目だ

 

「無謀ね、戦争を生き残った猛者と戦うにしても戦力不足もいいとこ。

 死ぬつもり?」

 

「その覚悟は出来てるわ」

 

「出来れば死にたくないがな」

 

リアス部長と、エクソシストの二人が話をしている。

だが私には、そんなことはどうでもいい。

私にとって、そんなことは一切どうでもいい。

信仰だろうと、使命だろうと、そんなことには興味すらない。

 

私にとって重要なのは、目の前のこいつらが『敵』であるということだけだ。

事件の犯人、コカビエルとか言う堕天使は絶対に謝らせるとして、まずはこいつらだ。

私の町を、大切な人たちを巻き込んだ挙句、

自分たちは使命を全う出来れば、死んでもいいというらしい。

じゃあ、『使命すら全うできなかったら、こいつらはどう思うんだろうか?』

ゆっくりと、私の身体が、心が冷えていく。

景色が無機質に見えていく。

そして『腕』が、『身体』が、『脚』が、

歯車のような、砂が流れるような、様々な音を立てて、形が作られていく。

 

「ことな先輩・・・?」

 

誰かの声が聞こえたが、そんなことは気にも留めない。

 

目の前の『敵』が、アーシア・アルジェントに何かを話している。

アーシア・アルジェントの顔が曇る。

 

 

 

 

 

「すっと、信じてきたのですから・・・」

 

アーシアの言葉に、ゼノヴィアは布に包まれたままの聖剣をアーシアへ向け、

慈悲深い顔で、声で、彼女に告げる。

 

「そうか、なら今すぐ私たちに斬られるといい。

 今なら神の名の元に断罪しよう。

 罪深くとも、我らの神ならば救いの手を差し伸べてくださるはずだ」

 

そう言ってアーシアに歩み寄ろうとするも、その間に一誠がすかさず入った。

一誠の目は、ゼノヴィアを睨みつけるように鋭く、アーシアを背にするとこで、

彼女を庇うように、守ろうとしているように見える。

 

「イッセーさん・・・?」

 

「うん?なんだ、君は」

 

「触れるな」

 

一誠ははっきりとした声で、ゼノヴィアに告げる。

 

「アーシアに近づいたら、俺がてめぇを許さない」

 

「なぜだ?元は『聖女』だとしても、今は悪魔に堕ちた『魔女』だ。

 それなのに、彼女は今も主を信奉している。

 ならば、その魂を断罪し、浄化するのは彼女にとっても救いのはずだが?」 

 

一誠は、目の前で首を傾げるゼノヴィアに声を荒げる。

 

「救いだって?ふざけるな!

 お前たちは、勝手にアーシアを『聖女』として祭り上げておいて、悪魔を救ったら『魔女』?

 アーシアの想いを知らずに、自分たちの望みと違ったら、手のひらを反して追放?

 なんで助けてやらなかったんだよ!

 なんで誰も友達になってやらなかったんだよ!?アーシアは、小さな女の子なんだぞ!?」

 

「神に愛される『聖女』は、もはや人間ではない、『聖女』だ。

 そこに他者からの愛情などは必要ない。神からの愛で生きられるはずなのだから。

 他者からの繋がりを求めた『聖女』は、ただの人間だ。 

 それゆえ、他者の愛情を、ましてや友達を求めた時点で、『聖女』の資格など無かったのだ。

 現にアーシア・アルジェントは悪魔として生まれ変わり、『魔女』になったじゃないか」

 

ゼノヴィアの言葉に、一誠は怒りを止められなくなる。

 

「なんだよそれ・・・なんなんだよそれ!

 お前らの信じる神様は全てを救ってくれるんだろ!?

 なら、必死に信じていた女の子を救わない神なんてそんなの間違ってる!」

 

「それは彼女の信仰が足りなかったからでしかない。

 それにしても、君は『魔女』の何だ?なぜ『魔女』を庇いだてる?」

 

ゼノヴィアの疑問に、一誠は胸の想いを、力の限り叫ぶ。

 

「家族だからだ!アーシアは俺の友達だ!仲間だ!家族なんだ!

 大切な家族を傷つける奴を、俺は絶対に許せない!

 お前たちがアーシアを傷つけるというなら、俺がお前達全ての敵になってやる!」

 

「イッセーさん・・・」

 

その言葉に、アーシアは目を潤ませながら、一誠を見つめる。

対称的に、ゼノヴィアはそれを鼻で笑う。

 

「それは教会の全てを敵にするという、宣戦布告かな?

 一介の悪魔風情が、大きく出たな?グレモリー?これはどうすればいいのかな?

 私たちは戦わないとは言ったが、襲われては仕方がないぞ?」

 

「イッセー、止めなさ・・・」

 

「盛り上がっているところすみません」

 

 

リアスの言葉を遮るように、冷たい声が、オカルト研究部に響き渡った。

一誠はもちろん、ゼノヴィアやイリナ、リアスや木場たちも、声の方へと顔を向ける。

 

「私としては、どうでもいいんですけど。

 これ以上ややこしくなるのなら、

 すぐにでもこの事件を終わらせて、さっさと帰ってくれませんか?

 できれば、今すぐに、この事件を解決してくれませんか?

 お願いですから、この瞬間にでもいいですから、さっさとお帰り願えませんか?

 はっきり言って、迷惑なんですけど?」

 

すると、ずっと壁際の方で黙っていた夢殿ことなが、

まるで人形のような無機質な笑みを浮かべて、自分たちを見ていたのだった。


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