仮面ライダー ザ エスケープ   作:あるアルミン

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Worldescape26

夢を見ていた。あの日の夢、呆気ない人生を終え、まだ絶望のぜの字も知ら無い無知で愚かな存在だった。その日、俺は神にあった、それは本当に美しい絶世の美女と言える程、その存在は美しかった。神は俺に転生を持ちかけた、前世の記憶と人間を超える力、特典を持って異世界へ生まれ変わら無いかと。ライトノベルやアニメが好きだった俺は即座に首を縦に振ってしまった。それが、俺の第1の罪、

 

転生し間も無く、俺は憧れた仮面ライダーの力を使って原作で救われなかったもの達を救おうとした。ピンチに陥ったヒロインや主人公達、味方のモブや民間人を助けた。だが、溢れた水が全て盆の中に収まる訳ではない。助けられなかったもの達も沢山いた。俺はその罪悪感に蝕まれた、何故全てを救うことが出来なかったのか?俺が誰かを助けるたびに、別の誰かが死んでゆく、その人達の運命を弄んだ、俺の第2の罪、

 

誰かを助ける為に戦っていた俺は、自分の戦いが無意味なんじゃ無いかと思い始めてきた。戦うたびに誰かが死ぬ、そう思うだけで自分が罪の意識と言う重圧に押しつぶされそうになる。だが、それでも俺は自分の行いが誰かを救えると信じて、戦った。心を鬼にして敵を圧倒した、相手のがら空きの胸にパンチを叩き込もうとしたその時、俺は一瞬、こいつを倒せばまた、誰かが犠牲になってしまうのでは無いか、と自分の信念を疑ってしまった。そのせいで、俺は敵から重傷を負わされ、大切な仲間を失ってしまった。自分自身を疑ってしまった第3の俺の罪、

 

そのトラウマから、俺の心はだんだんと衰弱していった。もはや冷静な判断力まで失い、俺は争いのない世界を作ると言う男の口車に乗せられ、そいつが敵の刺客だと気付かずにそいつを信じてしまった。そのせいで多くの人が死んだ。それが第4の罪、そしてそいつを信じてしまった俺の心の弱さが第5の罪、

 

そいつを信じて、誰も信じられなくなった俺は、自暴自棄になって、どうしようもない行き場の無い怒りを敵にぶつけた。八つ当たりのように敵を倒していき、俺を止めようとした仲間すら手に掛けてしまった。それが俺の第6の罪、

 

あの日、俺は出かけていた。妹は親と家で俺の帰りを待っていた。妹は昔から俺に甘えて兄にはドライな態度をとっていた。俺が他の女性と話したりすると何故かとても怒る、可愛いもの………………………だった。あの日までは、いつからか妹は狂気を纏ってしまった。異常な愛情で濁った目で俺を見つめる、

 

 

「私はお兄ちゃんのこと全部知ってるよ、お兄ちゃんが好きなものも、お兄ちゃんが持ってるものも、お兄ちゃんが思ってることも、全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部全部知ってるんだよ。だから安心してね」

 

 

ある日、家が爆発した。ガスの元栓を閉め忘れたことが原因で家は半壊、妹は手足を失ってしまった。意識を取り戻した妹は俺にいった。

 

 

「お兄ちゃん、私大丈夫だから、ちゃんとお兄ちゃんの役に立てるから!!だからだからだからだからだからだからだから私を見捨てないで見捨てないで見捨てないで見捨てないで見捨てないで見捨てないで見捨てないで見捨てないで見捨てないで見捨てないで見捨てないで見捨てないで見捨てないで見捨てないで見捨てないで見捨てないで見捨てないで見捨てないで見捨てないで見捨てないで見捨てないで見捨てないで見捨てないで見捨てないで見捨てないで見捨てないで見捨てないで見捨てないで見捨てないで見捨てないで見捨てないで見捨てないで見捨てないでお願いッ!!なんでもする!!お金が欲しいならいくらでもあげるッ!!お兄ちゃんの性処理玩具にもなるッ!!なんでもするから!!だから私を見捨てないでッ!!!!」

 

 

気づけば俺は妹を突き飛ばしていた。怖かった、変わってしまった妹が、だから俺は逃げ出した。誰もあってこれない所へ、俺は自殺した。俺は全てから逃げた、それが最後の罪

 

 

 

 

 

 

 

 

 

死ぬと次に転生するまで、その神の元にいなければならない。その間、母のように狂気の愛で俺を愛してくれた神は傷ついた心を癒してくれた、俺は神にいや母に甘えた。俺の心を癒した神、俺の心を傷つけたのもまた神だった。なんども転生させなんども俺を殺すそうする事で無限に俺と居られるそれが神の狙いだったのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここまでだね、彼の記憶を観れるのは。後は神様の妨害で見ることができない」

 

 

倒れた大虎を見つけてきてくれたお婆ちゃんに頼み記憶の中を見せてもらった。カービィは大虎の胸の上で寝ている。俺、天龍は絶句した。まさかそんな鮮烈な人生を送って居たとは。

 

 

「なんだかこいつが可哀想に思えてきたぜ」

 

 

天龍を従えた転生者が死ねば天龍達は解放される。だが、こいつは何をしても逃げることは出来ない。何故なら相手が神だから。

 

神とはつまり運命であり世界であり真理であり全であり一である。人と言うちっぽけな存在が、それを倒す事が出来るのだろうか?それでも大虎は神に立ち向かっている。自由を求めて

 

 

 

 

 

 

 

誰かに記憶を覗かれたような不快感を覚えながら、目を覚ました。ここは何処だ?と今までのことを思い出した。ああ、そうだ俺は暴走して手当たり次第に奴らを殺して、そして倒れたんだった。とっさに私物を確認した。

 

 

「ロストドライバー、ガイアメモリ、カードデッキ、ライナーパス、全部ある」

 

 

安堵の息を漏らし、ふと目線を向けた。油断して居た、この部屋には俺1人しかいないのだとばかり思っていた。俺は夢を見ているのか?ついに頭がおかしくなったのかと思った。何故なら、俺の目の前に

 

 

 

 

ブラックマジシャンガールが立っていたからだ。


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