突如降り出した雨、天から降り注ぐソレは全てを洗い流し浄化するように流れる。そして、その雨の中、いくつもの異形の存在が戦い合っていた。
風魔と忍者プレイヤー達は連携して、ゲンムゾンビゲーマーLevelXを襲う。負けじとゲンムもガシャコンスパローを振るい、応戦する。風魔と忍者プレイヤーの武器は似ている。まず、暗殺に特化した小刀、そして忍者らしい撒菱、そして、
バグスターウィルスで開催された光の手裏剣、生身の体で当たれば確実にゲーム病に犯される危険なものである。
『なぜ貴様が!!ハリケーンニンジャガシャットとゲーマドライバーを持っているんだッ!!』
彼の持つゲーマドライバーは彼、戦道大虎がオリジナルを元に独自に作り上げたライダーシステムである。本来のゲーマドライバーの何十倍もの性能を誇るそれは、対転生者用に作られ、オリジナルのゲーマドライバーを使用したライダーならばまず勝つ事は不可能だろう。それが熟練の存在だとしても、デンジャラスゾンビの能力によって大幅に能力を下げられているはずなのだ。
だが、目の前の忍者プレイヤー、一人一人が、自身の作成したライダーのLevel2相当に匹敵する。更に、風魔はLevelX相当に匹敵するポテンシャルを持っている事自体、本来あり得ないのだ。
『この力!!この性能ッ!!やっぱりッ!!俺の作ったゲーマドライバーと同等!!』
ガシャコンスパローのアローモードでBボタンを押しエネルギーをチャージする。ガシャコンスパローから放たれたチャージ攻撃は忍者プレイヤーの肉体を貫通し更に後ろの忍者プレイヤーを2人、同時に貫く。
『答えろ、どこでそのベルトを手に入れたッ!!』
バグヴァイザーのAボタン、Bボタンを同時押しし、更にBボタンを押す。
《CRITICAL DEAD!!》
ゲンムの足元から大量の増殖したゲンムが出現し、風魔に迫る。風魔はガシャットをゲーマドライバーから抜き、キメワザスロットホルダーに差し込みボタンを押す。
《キメワザ!!》
そして、再度、ボタンを押し、小刀を二刀構える。
《HURRICANE CRITICAL STRIKE!!》
小刀から放たれた2つの竜巻が、増殖ゾンビ達を吹き飛ばす。地面を抉り、木をなぎ倒す。
ゲンムは吹き飛ばされまいと必死に抗う。そして、風魔の真後ろを増殖ゲンムの一体が捉えた。増殖ゲンムに羽交い締めにされる風魔の瞳に映ったものは、デンジャラスゾンビの力を足にまとったゲンムのライダーキックだった。
GAME CLEAR!!
風魔の体は消滅しガシャットとゲーマドライバーは腐食し、ガシャットは粉々に壊れてしまった。変身を解除した大虎はゲーマドライバーとガシャットを回収する。
(なんでだ!!?なんでこいつがここにあるんだッ!!?)
大虎の頭は混乱していた。何故、
(…………………まあいい、コレを解析すれば、完成する)
「おい、何見てんだ?」
ドキッッ!!!!大虎の心臓が跳ねた。振り向くとそこには天龍が立っていた。完全に1人だと思っていた大虎は本気でビビった。
「お、脅かすな………それよりサッサと行くぞ」
「あ、いいけどよ。本当に大丈夫か?」
「大丈夫だッ!!気にすんな!!」
余談だが、大虎はお化けが苦手なのだ。妖怪やドラゴンなどは平気だが、お化けだけは絶対に無理なのだ。ダークゴーストの力を使っているのに変な話だが、
▽
「おい………………なんだ、ここは」
そこはボロボロの廃墟だった。絶対に出る。確実に出る。100パー出る。恐怖の館、大虎にとっての絶望、
「………………用事を思い出した。俺は帰らせてもらう」
カービィを頭に乗せ、180度体を回転させ、元来た道を戻ろうとするが、
「巫山戯んな!!サッサと龍田助けに行くぞッ!!」
天龍に首根っこを掴まれ引きずられて行く。
「おいッ!!やめろッ!!龍田の事は諦めろッ!」
「何ビビってんだ!!今更引き返せるかッ!!安心しろ、ここにいる半透明の奴らも俺たちに協力してくれるって話だ!!」
「おいゴルァッ!!それは確実に出ちゃいけない奴らだろッ!!!俺をそんなところは連れて行こうってのかッ!!?」
「大丈夫だ!!こいつらは優しい奴だ!!いつも話し相手とかになってくれるし、悪さもしねえ良いお化けだ!!」
「お化け言うなッ!!?お化けじゃねえ!!幽波紋だッ!!スタンド!!幽波紋と呼べッ!!!!お化けじゃねえッ!!」
ガチのビビリ事案を引き起こす大虎、大虎は突然の道端などでの脅かしにはビビらない。何故なら、すでにその気配を察知しているからだ。だが、幽霊は駄目だ、妖怪や妖精などは平気だが、それ以外にも、お化け屋敷や心霊スポットなどで脅かされるのも駄目である。
「よし、………………行くぞ」
天龍の後ろに隠れた大虎は、震える声で"お、おう"と答える。目の前にはお札が無数に貼られている扉だった。天龍はそのドアをゆっくりと開けた。
2人はこの部屋以外の全ての部屋を探したが、転生者さ見つけられなかった。そして、この部屋が最後の部屋なのだ。
扉が開くと、そこには、
「あら?お客さんかしら、随分と可愛らしいお客さんだこと」
転生者の姿は見当たらず、そこには車椅子に乗ったお年頃のお婆さんが笑顔で出迎えてくれた。その隣には紅茶のティーカップを持った龍田がいた。