「闇の書の完成まであと少し、ここで邪魔をされたくは無いんだよ」
闇の書はこの世界の物語に大きく関わって来る。無論、転生者達は様々な理由で闇の書を狙う、その中で最も厄介な相手は、闇の書の持ち主、八神はやてを殺し闇の書を自らのものにしようとする、もしくは闇の書を永遠に封印しようとする者達だ。
八神はやてが殺されてしまえば、計画が台無しになってしまう、故にそのような存在は消さねばならない。
「風祭幽香、悪いが消えてもらうぜ」
「あら、私を殺せるかしら」
凶暴そうな目つきにワンピース姿、緑色の髪に傘の様な剣を持つ彼女は闇の書を完全に抹消しようとするいわば『否定派』の人物、
八神はやてを殺さず助ける『肯定派』と八神はやてを殺し完全に抹消する『否定派』の2つの勢力に別れた。しかし、風祭幽香はそんな事はどうでも良かった。ただ戦えればそれで、
もしも何でも願いを叶えてくれると言われたら彼女は真っ先に戦いを選ぶだろう。
「ああ、殺す………………今までも、そしてこれからもな」
『PERFECT PUZZLE』『What's the next stage? What's the next stage? What's the next stage?』
「変身」
『デュアルアップ!!Get the glory in the chain! PERFECT PUZZLE!』
一瞬遅れて、爆発音と砂煙が舞い上がる。砂煙が晴れるとそこには傘の様な剣を突き立てた幽香とそれを右手だけで掴み止めている仮面ライダーパラドクスパズルゲーマーレベル50の姿が、
左足から繰り出されるパラドクスの蹴りを体を回転させいなし懐に潜り込む。が、予期していたかの様にパラドクスはエナジーアイテムを使う。
『液状化!!』
液体になり物理攻撃が無効化され、その状態から幽香に纏わりつく。液状化が解けるとすでに幽香は腕を拘束された状態だった。その時、パラドクスは違和感を覚えた、幽香の持っていた傘剣が消えていたのである。ヒュルヒュルと風を切る音が、
パラドクスは幽香を離し回避する。遅れてパラドクスの立っていた場所に傘剣が突き刺さった。
「へ〜、初見でこの攻撃を避けれたのは貴方が初めてよ」
『成る程、特典を過信した馬鹿どもとは違う訳か』
「ええ、私が消した方転生者達は、みんな自身の能力を過信し死んだわ、それにこの姿にもね」
彼女の特典、それは『風見幽香』の力を手に入れると言うもの、その力は接近戦で力を発揮する。その為、彼女は接近戦にばかり目が行き、そこをついて殺すと言うスタイルをとっている。
「貴方はハニートラップには掛かりそうな無いわね」
『安心しろ、俺は男女平等だ』
『KNOCKOUT FIGHTER』
『The strongest fist! "Round 1" Rock & Fire! The strongest fist! "Round 1" Rock & Fire!』
『大変身』
『デュエルアップ!!Explosion Hit! KNOCK OUT FIGHTER!』
炎の拳を持ち、相手をKOする
『仮面ライダーパラドクス ファイターゲーマーレベル50』
『第二ラウンドと行こうか』
「あらあら、随分と私の心を滾らせてくれるじゃない」
動いたのはパラドクス、幽香の顔面に炎の右ストレートを打ちかます。幽香はそれを紙一重で避け肩から腰にかけてアッパーを打ち込む。だが、パラドクスは足でそれを受け止め逆にアッパーを打とうとした。ついに2人はノーガードの殴り合いへと変わっていった。時に躱し、時に弾き、時に拳同士で相殺させ、夢にまで見たオラオラ対決が続いていた。
しかし、生身の拳の幽香に対し炎の拳を持つパラドクスは炎の追加ダメージにより、幽香の腕は焼けボロボロになってしまった。一瞬、隙を突かれ幽香の腹に強烈な一撃をお見舞いした。
その瞬間はスローモーションの様に流れた。骨は折れ、ジュー!!と言う音と肉が焼ける匂い、折れていない骨が軋み、口から血を流す。静止画像の様な瞬間も一瞬で過ぎ、ものすごい速度で後方に吹き飛んでいく幽香、そして木にぶつかり停止、
『………………最後に言い残す事は、』『キメワザ!!』
「あら…………ゴフッ………随分と………………………優しいのね…………なら…………1つ、質問………が…………………あるわ、ねえ、
息子達、って知ってる?」
『………………………』『KNOCK OUT CRITICAL SMASH!!』
その拳が幽香に当たったその時、彼女の上半身は吹き飛んだ、木っ端微塵に、そして炎が残った下半身を焼き尽くす。
ガサガサ、後ろの茂みから音がする。振り返りそこを見ると男の子が1人、彼はさっきの惨状を目の当たりにし腰を抜かした。目撃者は消す、彼はその拳を振り上げ、そして
その無慈悲な拳を振り下ろした。
「おかーさーん!!おかーさーん!!」
「あらあら、何処に行ってたの拓郎?」
男の子とお母さんの何気ない日常、そしてその横を通り過ぎる大虎、ゆっくりと歩いていく。
「今日は拓郎の大好きなカレーよ」
「わーい♪カレー大好き!!」
済んだのところで止めていた。男の子は気絶しその場に倒れている。大虎は変身を解くとメモリーのガイアメモリを取り出して男の子の記憶を改竄する。
(何故、俺はこの子を殺せなかった………………)
だが、直ぐにその事は忘れ、次の計画の準備を進める為に家に帰る事にした、美しい夕焼けを見ながら、大虎は帰路に着いた。