「すまんの〜、行き倒れていたわしを解放して飯まで」
デジャブか、これがデジャブか、ポッピーが拾ってきた狐、小牟、
「小牟、お主、我とキャラ被っとるぞ!!」
1発即発、ダブル狐、あの3人で手一杯だってのにまだ増えるか……………テーブルに項垂れてこの状況に頭を悩ませていた。これ以上キャラが増えないでくれ………………俺のストレスが……………………………
大虎は死にそうな顔をしていた、ストレスでデンジャラス・ゾンビの死のデータが溜まりすぎて既にレベルXどころか、このままでは死のデータが天元突破してしまう。
「ん、大虎、何処へ行く?」
トボトボと家を出ていく、それに小牟が付いてくる。生気の無い顔で歩く少年と、バナナ髪の少女の姿が目撃されたらしい。
少し離れた場所に公園があった、彼はいつもそこで缶珈琲を飲みながら日々のストレスを緩和している。
「フハハハハハ!!わしの必殺、小牟シュートを喰らえいッ!!」
子供達と一緒にサッカーをやっている小牟、余談だが小牟のあの服装をエロい目で見ていたガキどもであった。
「あいつ、いつか補導されて捕まんねえかな」
チャイナ服とベストジャンパーを着ているが、絶対領域効果によりもはや履いていないのでは無いのでは無いのかと思う程だ。自分としてはちゃんとしたズボンを履いてほしいものだ。
「ほれほれ!!見たか、わしのチョーファインプレー!!」
こっちに向かってダブルピースをしてくる。一瞬、その顔にほっこりしてしまったのは内緒だ。
「フハハハハハ、天才ゲーマーSとはわしの事よ!!」
次はゲームをし始めた、やっているのはゲキトツロボッツ、最強のEX裏ラスボス、プロトガットンを最初期のキャラでクリアしている。あれ、結構強く設定してあったんだけどな。
ふと気がつくと、公園の向こう側に不審な人物を発見した。白い見たこともない制服を着て黒い髪をしている。俗に言うぐだ男のような姿をしている、
「小牟、子供達を逃せ………………小牟ッ!!」
『ギュ・イーン』
ギリギリギリッ!!小牟に迫っていた刃を済んでのところで止める。小牟は唖然としていたがすぐに子供達を逃して結界を張った。
「おいおい、何してくれちゃってんの?邪魔すんなよwww」
舐めるような目で小牟を見るぐだ男もどき。いつも思うが、転生者にはまともな人間がいないようだ。あいつは典型的なロリコン野郎、しかも見た目が子供なら例えババアでも恋愛対象に入れるタイプの奴だ。
そして、隣には露出の多い白い髪の少女。手にはナイフを持っており、無邪気な目をしている。
「お前がクソ野郎だって事はわかった。同時にお前が変態ゴミ野郎だって事もな」
「は、なんとでも言ってろ。ジャック、やつを殺せ。あの女だけは殺すな。だが動かないように痛めつけろ」
「うん、わかったお母さん」
「小牟隠れてろ、俺が片付ける」
「ヒュー、お主かっこええの〜、じゃが、わしも助太刀させてもらうぞ」
と言って肩を並べてくる小牟、
「………………足手まといになるなよ、変身」
『デンジャラス・ゾンビ!!』
『デーンジャー!デーンジャー!『ジェノサイド!!』デス・ザ・クライシス!デンジャラス・ゾンビ!!『woooo!!』』
「わしがしっかりサポートしてやろう」
『ガシャコンスパロー』
チャキ、まずは先手を取る。ガシャコンスパローを片方逆手に持ち、下と上からの同時攻撃。ジャックはそれに気づき後ろにバックステップ、乱撃と共にジャックを攻めていく。だが、ジャックはほんの少しの隙をつき、背後に回り込む。とっさにガシャコンスパローを背後に持っていくと、ガキィンッ!!と金属のぶつかり合う音が聞こえる。
「喰らえいッ!!小牟キィック!!」
小牟の蹴りを、ジャックはナイフを引いて、ナイフ2つをクロスさせてガードした。だが、ガシャコンスパローをアローモードに変え、ジャックを撃つ、と見せかけてマスターであるぐだ男もどきを攻撃した。しかし、光と共にジャックは姿を消し、ぐだ男もどきの前に現れ矢を切り裂いてしまう。
俺から目を離したその隙が命取りだった。突如、ジャックとぐだ男もどきの体が掴まれ拘束される。それはレベルXになった事で習得した増殖能力で作り出した分身。分身は2人を引き剥がし、ぐだ男もどきの口を封じる。
『ゲスが、消えろ!!』『クリティカル・デッド!!』
地面から次々と黒い影が現れる。それはぐだ男もどきにまとわりつき、分身とともに次第に赤く点滅する。
そして次の瞬間、大爆発を起こした。ぐだ男もどきは肉片も残らない程の爆発に消された。
すると、契約者がいなくなったジャックの体が徐々に光の粒子となっていく。その時、ジャックは涙を浮かべて、
「ありがとう。私たちを解放してくれて…………」
ジャックはぐだ男もどきの欲望の為に、夜の営みと人殺しの道具として使われていた日々から解放された。死ぬ事も帰える事も許されず、永遠に奴の奴隷として使われるのかと思っていた。今日までは。
『ガッシューン』
大虎は変身を解き、ジャックに近づく。
「………………………もしも、もしも次お前と会えたなら………俺がお前のお母さんになってやる」
「………………本当?」
「ああ、約束だ」
「………………うん!!」
笑顔で消えていくジャック。その笑顔は本物だった。
「のう、いいのか?あんな約束をして」
「…………………………帰るぞ小牟」
その時小牟には、大虎が涙を流しているように見えた。