梅雨の季節となった六月。佐世保鎮守府は、今日も変わらぬ日々を送っていた。
夕張
「うーん、やっぱりなんか違うんだよねー。」
由良
「そうかな?阿武隈ちゃんや鬼怒ちゃんと同じ制服なんだけど、何か変かな?」
この日工廠では、由良改二の改造を夕張が手伝っていた。
夕張
「やっぱりこのスパッツ由良に合わないから脱がすね!」
由良
「え!ちょっと!夕張!?」
その時だった。
信長
「夕張。由良の改造はどうなっている。」
信長が由良の様子を見に工廠に入った。
夕張
「えい!」
由良
「ヒャッ!」
信長
「あ(ピンク)。」
夕張は、由良が着ていたスパッツだけを脱がすつもりだったが、同時に下着までズレ落ちてしまい、そこを信長に見られてしまった。
由良
「提督さんのエッチィィィ!!」
信長
「ヘブッ!!」
その後由良とは気まずくなり、お互い口を聞かなくなった。
鈴谷
「で頬っぺたにビンタの後が残っていると?」
信長
「それから由良がワシを避けるようになってしまったんだが、どうしたらいい?」
熊野
「自業自得ですわ!フンッ!」
そして信長は提督室にて鈴谷と熊野に相談していた。だが何故か熊野は不機嫌だった。
実は、熊野の本人は由良ではなく自分が改造すると思っていたらしく、改造設計図に必要な勲章の最後の一個をカレー洋リランカ島沖を熊野自身も出撃し、やっとの思いで攻略し、信長に報告したが由良を改造する事実を聞かされ不機嫌になってしまったのだ。
信長
「いや、今改造待ちの艦娘って全員改造設計図が必要な艦ばかりなんだ。リットリオもローマも改造できる
鈴谷
「そういや鈴谷の時も改造設計図有りだったっけ?まああの時は改造設計図はあったけど
信長が鈴谷と熊野を呼んだのは、由良の相談だけでなく、熊野のご機嫌取りのために二人を呼んだのだ。
信長
「いい加減機嫌を直せ熊野。改造は出来なかったが、お前達の此度のリランカ島沖の報酬はこれで我慢してくれ。」
信長が取り出したのはなんとケーキだった。しかも、熊野が食べたがっていたお店のケーキだった。
熊野
「これ、よろしいんですの?」
信長
「お前に変な期待をさせてしまったお詫びだ。これで許してくれ。」
熊野
「まあ、もらって上げてもいいけど。」
熊野は素直になれなかったが内心嬉しかった。その後は、三人で楽しくアフタヌーンティーを楽しんだ。
熊野
「これなら来月までの改造我慢できますわ!」
信長
「え?来月ビスマルクの改造予定なんだが?」
ブチッ!
信長の一言で熊野の何かが切れた。
天龍
「やっと作戦完了で艦隊帰投か。おせーな、ちゃっちゃとやれよ。」
深雪
「遅いの天龍さんじゃないの?」
天龍
「夕張と一緒にすんな!」
遠征から第二艦隊(天龍、龍田、深雪、初雪、白雪、磯波)が帰投し、天龍がドアを開けようとしたその時だった。
熊野
「このハゲェ!!」
天龍
「なんだ!?」
突然提督室から怒鳴り声が聞こえてきた。
熊野
「違うだろ!違うだろ!違うだろ!!」
信長
「ちょっ!痛い!痛い!」
熊野
「私の心が痛いよ!!」
信長
「ちょっと!?もう素手で殴ってるんだけど!?」
熊野
「これ以上私の心を傷つけるな!!」
信長
「これ以上ワシを傷つけるなぁ〜!!」
熊野
「これ以上私の評判を下げるなぁ!!」
信長
「もう下がってる〜!!」
熊野
「バカかお前は!!」
信長
「はわッ!!」
信長が殴られた後提督室が静かになった。
熊野
「全く!失礼にも程がありますわ!!」
機嫌を悪くした熊野が提督室から出て来てどこかへ行ってしまった。彼女の行動に天龍は唖然とし、とりあえず鈴谷に事情を聞いた。
天龍
「おい鈴谷。今熊野
鈴谷
「別に気にしなくていいよ。熊野のご機嫌を損ねた提督が悪いから。」
自業自得である。そして次の日、嬉しい知らせが届いた。
阿武隈
「艦隊が帰投しました!」
信長
「阿武隈。確か輸送船団護衛の旗艦は由良に一任した筈だが?」
阿武隈
「さあ?先に入渠してくるから報告よろしくねって。」
信長
「そうか・・・。」
輸送船団護衛艦隊は由良、阿武隈、吹雪、睦月、如月、夕立のメンバーだが、由良は信長と顔を会わせられず、ドッグに行っていた。
阿武隈
「それより提督見て見て!新しい子ドロップして来たよ!」
信長
「は?誰?」
その艦娘は彼女であった。
大淀
「問おう。貴方が私の
信長
「お前はどこの騎士王だ。」
念願の大淀が遂に出撃可能になったのだ。
信長
「大淀。今日から演習艦隊に入れ。次の
大淀
「わかりました士郎!」
信長
「士郎じゃねーし。もうテンション上がり過ぎて別キャラになってんだけど?」
それ程嬉しかったらしい。
吹雪
「司令官。運営から指令書が来ていました。」
信長は吹雪から指令書をもらい中身を確認した。その時、彼の表情が変わった。
信長
「吹雪。各艦に通達。鎮守府の掃除と寮の部屋を確保せよ!」
吹雪
「あの、何かあるんですか?」
信長
「ある団体がしばらくこの鎮守府に滞在する事になる。その準備をこれから執り行う。光秀、イヨクはある場所に向かい先方に会ってこい。」
二人は信長はその場所の書かれたメモを見て驚いた。
光秀
「司令!これは一体どういう事ですか!?」
光秀達はこれを見て信長に猛反発した。
光秀
「前回の社会科見学といい、一般人を基地内に入れるなど前代未聞です!!」
イヨク
「上層部は何を考えているんだ!」
信長
「わからん。だが命令に背く訳にはいかぬ。ならこちらから早急に対応するまでだ。」
大淀
「あの提督。指令書に何が書かれていたんですか?」
信長
「知ってるか大淀。『アイカツ!5周年』だそうだ。」
大淀
「は?」
艦娘達は信長が何を言っているのかわからなかった。指令書に書かれていたのは、『スターライト学園』『ドリームアカデミー』『四ツ星学園』『ヴィーナスアーク』with『神崎美月』『夏樹みくる』による『アイカツ強化合宿in佐世保鎮守府』というイベントを行うため、佐世保鎮守府をその場所として使うのだ。残念ながら『白鳥ひめ』『如月翼』『二階堂ゆず』『香澄夜空』は仕事のため参加していない。
つまり今回のゲストは、『アイカツ!&アイカツスターズ!』なのだ。
光秀
「では司令、我々は先方の挨拶に行ってきます!」
吹雪
「あの明智大佐。その『あおい』と書かれたアイドルグッズ置いてって下さい!」
イヨク
「明智大佐!遊びじゃないんだぞ!!」
夕立
「その『AOI』って書かれたうちわ何っぽい?」
信長
「仕事だぞ!!てかお前ら『霧矢あおい』ファンか!?」
光秀、イヨク
「あおいちゃんは穏やかじゃありません!!」
大淀
「穏やかじゃないのはお前らの頭の中だ。」
数日後、彼女たちは鎮守府に到着した。
織姫
「『スターライト学園』学園長の三石織姫です。」
ティアラ
「『ドリームアカデミー』学園長の夢咲ティアラと申します。」
諸星
「『四ツ星学園』学園長の諸星光です。」
エルザ
「『ヴィーナスアーク』オーナーのエルザ・フォルテです。」
信長
「佐世保鎮守府艦隊司令長官の織田信長海軍中将です。」
吹雪
「秘書艦を務めています、特型駆逐艦の吹雪と申します。」
大淀
「軽巡洋艦 大淀です。」
信長
「現時刻をもって三ヶ月間、各学園のアイドルをお預かりします。粗相のないようこちらも注意深く対応させて貰います。」
と言ってるそばから早々、問題が起きた。
いちご
「着いた!!」
あおい
「ここが佐世保鎮守府!」
蘭
「まさか海軍基地でアイカツするとはな。どうだったんだいちご。アメリカでアイカツブートキャンプした時、軍人さんに厳しい特訓させられたんだろ?」
きい
「もう・・・・地獄だった。」
蘭
「そういやドリアカもやってたんだっけ?」
金剛
「HEY!girls!!こっちに注目ネ!」
何故か金剛が勝手に進行していた。
金剛
「
光秀
「何してるんですか金剛さん!!」
金剛
「勿論!アイドルのgirl達に基地を案内しようとしてましタ!」
光秀
「勝手な事はやめて下さい!!てかあなた方艦娘は指令があるまで待機のはずでしょ!?」
だが金剛だけではなかった。
那珂
「みんなー!注目!!」
朝礼台ではしゃぐ那珂もだった。
那珂
「艦隊のアイドル!那珂ちゃんだよ!!よろしくねー!!」
あおい
「誰あの子!穏やかじゃない!」
蘭
「見慣れないアイドルだな?」
川内
「ごめん。あれ自称アイドルだから。」
神通
「妹がご迷惑をお掛けします。」
妹を心配してか、川内と神通も駆けつけてきた。
隼鷹
「凛ちゃーん!お久ー!」
凛
「隼鷹さん!」
何故か、隼鷹も入ってきた。しかも二人は知り合いみたいだ。
隼鷹
「この前はありがとうね!仕事中に無理言ってサイン貰ったりして。」
凛
「いいえ、お安い御用です!提督さん喜んでましたか!」
隼鷹
「大喜びだったよ!ほんの数分だけ。」
凛
「数分?」
更に朝礼台の上に立っていた那珂もだった。
セイラ
「那珂!」
那珂
「あっ!セイラちゃん!」
『音城セイラ』に呼ばれた那珂は、朝礼台から下りると、隼鷹達も集まってきた。
那珂
「この前はありがとうね!」
セイラ
「気にしないで!提督さん喜んでた!」
那珂
「うん!ほんの数分だけ。」
セイラ
「数分?」
凛
「あの数分って何かあったんですか?」
隼鷹
「いや、それが提督にサイン渡した後。」
隼鷹、那珂
「
セイラ
(さすが海軍基地だ。プライベートにも厳しいのか。頑張らないと!)
凛
(今回のアイカツ強化合宿頑張らないと!)
飛鷹
「その後、この二人対潜水哨戒の部隊から外されたんだけどね。」
セイラ、凛
(御愁傷様です。)
それを見ていた信長の行動は、
信長
「家の艦娘がご迷惑をお掛けしてすみませんでした!!」
各学園長達に全力で謝罪することだった。
吹雪
「司令官も大変だな。」
その後各学園長は帰り、信長とアイドル達と大淀、吹雪、光秀、イヨクが司令室に集められた。
信長
「諸君らには三ヶ月間、この佐世保鎮守府に滞在してもらうが、知っての通りここは軍事基地だ。一般人でも入ってはいけない設備が多数存在する。立ち入り禁止の看板は立てておくが気をつけるように。」
おとめ
「それでも入ったらどうなるんですか?」
信長
「家の艦娘が拳銃でお前の頭を狙い撃ちます。」
おとめ
「気を付けます!!」
大淀
「冗談はさておいて、本当に気を付けてくださいね。先月家に入ってきたばかりの艦娘が見学で訪れた一般人を銃殺しようとしたことがありましたので、迂闊に立ち入り禁止区画に入ったら死ぬと思ってください。」
信長
「そこまで念押ししなくてもよくない?」
アイドル達
(なんかとんでもないとこ来ちゃった?)
光秀、イヨク
(なんかとんでもないとこに配属されちゃった?)
いいえ。前回とんでもない艦娘が来ちゃったからである。
信長
「そう言えばさっきの話で思い出したんだが、あいつ改造したんだっけ?」
大淀
「ええ、先月に改造を済ませました。」
信長
「名前も変わったんだったな。確か・・・
大淀
「キモ。」
その時だった。
ガングート
「
噂を聞きつけて、ガングートが司令室に入ってきた。
信長
「皆紹介しよう。この前小学生を殺そうとしたロシアの戦艦
ガングート
「なんて紹介してるんだ!?てか私の名前は
信長
「その名前言いづらい。」
ガングート
「何だと!?」
結局ガングートと呼ばれるようになったが、本人は納得してないようだ。
信長
「さて話を戻すが、そう言った立ち入り禁止場所に勝手に入って何かあっては遅い。そこで!諸君らにはある書類にサインをしてもらう。」
だが信長が取り出したのは書類ではなく色紙だった。
蘭
「あの。」
信長
「ん?なんだ?」
蘭
「それ・・・なんですか?」
信長
「見ての通り、これにサインを書いてもらう。だがただのサインではない。お前達の持つアイドル特有のサインで書いてもらう!!」
光秀
「しかも一人3枚ずつでお願いします!!あと指紋認証の為に握手もお願いします!!」
イヨク
「後、右下に小さく我々の名前も!!」
ガングート
「書き終わったら私の名前を呼んで間違ってたらその場で銃殺刑にしてくれる!!」
ガツンッ!
ゴツンッ!
バコンッ!
ドッカーンッ!!
信長、光秀、イヨク黒焦げ重症。ガングート大破炎上中。
大淀
「大変申しわけありません。こちらの書類に普通のサインをお願いします。」
アイドル達
(大丈夫かな?ここ?)
こうして彼女達の佐世保鎮守府でのアイカツが始まった。次回、信長に悲劇が襲いかかる。そして由良との関係も回復にあらず。
そのころ大湊鎮守府。
伊吹
「なんだ貴様は!?家の三日月ではないな!!」
三日月
「提督。いかがしましょう。」
オルガ
『潰せ。』
伊吹
「えっ!?いやちょっと待っ・・・・はわっ!?」
大湊鎮守府は再び機能を停止した。
信長
「だから後書きで書くな!!