ゼロの使い魔 ご都合主義でサーヴァント!   作:AUOジョンソン

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「んあー、だらだらしてるのってさいこー……」「……いっつもしてる気がするんだけど……」「お仕事の時は少し頑張ってますもん!」「……そこでもだらだらされてたら大変なことになってたよ」「……そういえばあなたはあんまりダラダラしてるところ見たことないですね……」「してる時はしてるけどな。羽を伸ばすのは大事だぞ」「……特に女の人と一緒にですよね?」「……いやまぁ、そう言うときが多いけど……」


それでは、どうぞ。


第六十一話 無為にすごす日々も良いもの。

「……なんだ?」

 

 俺の宝具……? 召喚宝具が反応……と言うか、使われた形跡がある。え、なにそれ怖い。俺の宝具なのに俺の知らないうちに俺の知らない効果発揮するのやめてほしいんだけど……。

 しかし、俺と絆を結んだ子の召喚ではないようだ。……むぅ、なんというか、別の所から道路だけ使われたような……変な感じだなぁ。マリーが召喚された時とは違う、違和感しかない。ほんと変なの。

 

「……方向は……あっちか」

 

 一応俺の宝具が使われたのと、力の残滓のようなものを感じるため、大体の方向はわかるが……こっちは、マスターの実家の方向か……。

 

「まさかとは思うが……」

 

 ヴァリエール家を狙われた……? マスターに相談するのは……やめておいた方が良いな。実家が狙われたと言われて冷静になれるマスターじゃない。

 

「カルキ」

 

「→ギル。呼んだ?」

 

「ああ。少し出る。この船を頼む」

 

「→ギル。了承した。任せて。……しっかり守ったら、なでなで要望」

 

「はは、可愛い所もあるなぁ。……うん、もちろん。行ってくるよ」

 

 そう言って、飛行船から飛び降りる。もちろん下にはヴィマーナを用意してあるので、俺が飛び乗った瞬間に思考を読み取って飛んでくれる。目標はヴァリエール家方面。近づけば、詳細な位置がわかるはずだ。

 かなりの速度で飛んでいくと、だんだんと感じ取って……なんだ、でかいぞ……? 感じ取れる魔力の大きさが……なんというか、『デカい』のだ。それこそ、前にフーケが作り出したゴーレムみたいな、巨大な魔力構成体がいるような……。

 

「……やはり、マスターの家か」

 

 その反応があるのは、以前行ったことのあるヴァリエール公爵家。ヴィマーナでもそれなりの時間をかけてたどり着くと……。

 

「ああっ、王さまね!」

 

「おぉ、金ぴかだぁ。空飛ぶお舟なんて初めてみただ」

 

「でっ」

 

 か、と言うのは声にならなかった。なんだこれ、巨大すぎる……。え、スルトとかじゃないよな? ……にしては神秘の強さがそこまでではないから違うか……。そこまで古い感じはしないなぁ……。

 

「この人はライダーさん! 不思議な声に導かれて使い魔召喚したら、出てきちゃった!」

 

 笑いながら、その巨大なライダーの肩に座るカトレア。……ライダー? ほんとにぃ? むしろ乗られる側じゃないのか、この巨大さは。

 今家にはカトレアと母親しかいないらしく、その二人から顛末を聞いた。なにやら怪しげなゴーレムに襲撃され、それを召喚したライダーと共に撃退したのだとのこと。……見て確信したけど、俺の領域にいる子じゃないな。……初めて見た顔だ。此方からステータスは見れないみたいだ。……不思議だな。俺の宝具を経路として使ってるのに、俺の領域にはいない子だからだろうか。

 

「真名とかは見たのか?」

 

「あ、うんっ。真名はね、『三コ』って言うんだって!」

 

「『三コ』……さんこ? 聞いたことがない名前だな……」

 

 日本名っぽいし、日本に縁のある英霊なんだろうけど……。うん、わからんな。

 

「ライダー、君はどこの英霊なんだ? 日本か?」

 

「おぉ! そうだぞぉ。気が付いたらこんなえれぇことになっててよォ」

 

 独特の話し方をするライダー。方言だろうか。流石にこの方言がどこの方言かまではわからないが……。

 

「細けぇ生まれなんかは覚えてね。ずっと山ン中だったからよ」

 

 まぁ、そう言うこともあるか。昔なら細かい地図やら地理やら知ってる人もあんまりいないんだろうし。神秘強度からして口伝とかその土地だけで伝えられてるものとかの類だろうな。ウチにもそういうのは何人かいるし。

 

「そうだったのか。……何にしても、カトレアを助けてくれてありがとう。この家の人たちは大切な人たちなんだ」

 

「たっ、大切……う、ううん、勘違いしてはダメよ、カトレア。王様はみんなのことを言って……で、でも嬉しいわっ」

 

「? カトレア、何か言ったか?」

 

「いいえっ! 何も言ってませんわ!」

 

 ライダーの方に意識を向けていたから、カトレアが何か言っていたのを聞き逃してしまった。……まぁ、何も言っていないというなら気にしない方が良いだろう。

 

「それにしても、元気になってようやく召喚した使い魔が英霊とは……流石はマスターの姉と言うところか……」

 

「うふふ。やはり私たちの妹だもの。似るものなのかしらね?」

 

 口に手を当て、上品に笑うカトレア。その理論だともう一人の姉たるエレオノールも英霊を召喚することになるんだが……。そんなことない……よな?

 

「何はともあれ無事でよかった。カトレアには俺とのパスが薄くあるっぽいし、何かあれば強く念じてくれれば伝わるから、また何かあれば助けに来るよ」

 

 たぶんだが、前に治療したときの土下座神様の残りと言うか、残滓をアンカーとして今は裏に隠れてる方の神格が干渉したのだろう。俺のスキルではあるが、力としては女神様のものだからな。それを辿って俺の宝具を使用して、代わりに召喚したのだろう。そう考えれば、それを逆にたどれば俺とカトレアにもパスが繋がっているのがわかる。マスターとの間のものに比べれば相当に薄いし細いが、念話くらいなら問題なくつながるだろう。

 

「わかったわ。……それにしても、ヴァリエールの領地にまで来るなんて、相手は何者なのかしら?」

 

「……さぁな。怪しいのはガリアだが……手札がわからないしな」

 

 今回のゴーレムはたぶんだが英霊の宝具やらなにやらではない気がする。この世界由来の物っぽいので、たぶんガリア側の暗躍なんだろうが……。証拠もないしな。

 

「そう……こちらも気を付けることにするわ。……ルイズをよろしくね、王さま」

 

「もちろんだ。カトレアも壮健でな」

 

 そう言って、再びヴィマーナに乗り込む。ルイズの母親は今回の襲撃に関して色々と動いているらしく、俺に説明をした後早々にいなくなってしまったのだ。見送ってくれるカトレアに手を振って別れを告げ、飛び立つ。

 今回の襲撃の目的はわからないが……こちらの守るものに手を出したんだ。どうなるかを教え込んでやるとしよう。

 

・・・

 

 一度事後処理も落ち着き、俺が飛行船に戻るころにはすでにキュルケの領地にたどり着く直前のことだった。マスターを筆頭に色々と聞かれたが、これ以上心労をかけることもないとウチのサーヴァントたち以外には何があったかは報告していない。まぁマスター的にも受け入れにくいだろうしな。

 

「……さて、無事につけば次は久しぶりの学院か」

 

 時期的にテファが編入して少し経っているころくらいかな? オスマンには言ってあるし耳を隠す眼鏡も渡しているから、騒ぎにはなってないと思うけど……。本当ならしばらくは様子を見て、周りにしっかり溶け込めるかを見る予定だったけど……今回の救出作戦は急だったしな。……エルキドゥが見てるだろうし、シエスタにも一言言ってあるから、何かあれば鯖小屋に避難できるだろうから大丈夫だとは思うけど……少し心配だ。早めに帰りたいが……この飛行船でも二日くらいはかかるだろう。……まぁ、帰ったらまずは話を聞いて問題ないか確認するとしよう。

 

「勝手に一人帰るわけにもいかないしな」

 

「ギ・ル・さ・まぁぁぁぁぁぁ~!」

 

「おっとあぶねえ」

 

「ヒュッ……」

 

 甲板に立って物思いに更けていると、後ろから厭らしい気配と共に壱与が飛び込んできた。なので直前に一歩横にずれると、面白いように飛行船から落ちていく壱与。断末魔は短すぎて空気が漏れる音かと思ったが、あまりの高所からの落下に恐怖でのどが引きつったらしい。それだけを残して落下していった。

 

「……惜しい子を亡くしたな……」

 

「あら? こっちに壱与来なかった?」

 

 さらに卑弥呼まで顔を見せにきた。何かあったのだろうかと思いながらも、壱与のことを聞かれたのでああ、と前置きして応える。

 

「さっき後ろから抱き着いてきたから避けたら落ちてったぞ」

 

「そう。……あんなのでも弟子だったから、死ぬとき苦しんでなきゃいいんだけど」

 

 ……死ぬのは良いのか。まぁでも生前卑弥呼は壱与から命狙われまくってたからな。そう言っても不思議じゃないか。

 

「黙祷するのも時間の無駄だし用件話すけど会議するらしいから呼びに来たわ。奪還した人質匿う場所に送った後の行動とか話したいんだって」

 

「ああ、わかった。ありがとな」

 

 こちらを見上げる卑弥呼の頬をぷにぷにと突きまわして少し怒らせた後、その場から立ち去る。

 

「あ、もし壱与が化けて出たら相手してやってくれよ」

 

「いやよ。あいつ今でも悪霊みたいなもんなのに。相手して憑りつかれたら責任とってあいつ引き取ってくれるの?」

 

「卑弥呼も壱与もしっかり引き取って責任とるよ。当たり前だろ」

 

「……きゅん」

 

「え?」

 

「……何も言ってないわよ。さっさと行きなさい」

 

 ぺちんと腰のあたりを叩かれたので、これ以上聞くことも出来ずその場を後にするのだった。

 ……なんか可愛いのを聞き逃した感じはするんだけどなぁ。

 

・・・

 

 この船の船長であるコルベール先生、ツェルプストー関係者たるキュルケ、母親を救出できて少し顔が穏やかになったタバサ、そして俺とマスターの五人が即席で設定した会議室に集まって、机を囲んでいる。これからのことを話しあうと言ってもキュルケの家のどこに降下するかと、預けたあとどの航路で帰るかを大体ですり合わせるくらいのものだ。航海士……こちら的には航空士というのだろうか、その道のプロたちが考えてくれたものなので、こちらから何か言うことはないだろう。俺の経験なんてヴィマーナでのものしかないので、確実に参考にならないしな。餅は餅屋というから、任せていいだろう。その代わり、サーヴァントとの戦いだったり何か問題が起きれば、全力で手助けする次第ではある。

 

「……と、言うわけだ。理解できたかね?」

 

 地図を広げたコルベール先生からの説明を受け、俺たちは理解したことを示すためにそれぞれ首肯したり返事を返したりした。まぁとりあえずはツェルプストー家にキュルケとタバサが一緒にシルフィードで向かい、この飛行船が着陸できる場所を確保してもらう。それから領地に着いた後は護衛しつつツェルプストー家へ。キュルケの予想だとこれだけ大きい飛行船は家の前に直付けできないだろうとのことで、少し離れたところに停泊させ、そこから俺の宝物庫にある馬車で向かうというものだ。

 そこからは再び飛行船で学院に向かい、一区切りつくと言ったところか。

 

「ようっし、ならば二人には先ほど言った通り向かってくれ。君はこれまでと同じように全般的な警戒をしたり自由にしていて欲しい」

 

「ああ。もちろん。この船の防護は任せてくれ」

 

 自動警戒宝具やら自動防護宝具やらを張り巡らせているので、ヴィマーナと同等かそれ以上の守りがこの船を囲んでいる。カルナが襲撃しに来ても一秒は持つ計算ではある。一秒あればサーヴァントの内の誰かは反応できるだろう。

 

「さて、となると到着までは時間を持て余すな。……マスターでもからかいながら過ごすか」

 

 善は急げと言うし、さっそくマスターを探そう。

 会議室から出てマスターの部屋まで向かっていると、死角から腰のあたりにタックルを食らう。

 

「ギルさまぁぁぁぁ! なぁんで避けたんですかぁぁぁぁぁ!」

 

「おっと、壱与か。生きてたんだな」

 

「死んでると思われてた!?」

 

 俺の腰に抱き着いた壱与は、びぇぇん、と喧しく騒いでいる。まぁ英霊なんて生きてる死んでるっていうのは野暮なことっていうのはわかるけど……。普通あの高さから落ちたら致命傷に……そういえば飛べたなこいつ。まぁそうでなくても英霊なんて存在なんだ。霊体化すればなんとでもなるか。

 

「壱与の魂はギルさまと共に! ギル様が退去されない限り壱与もしませんとも! ……あ、ギル様に言われたときは別ですよ! いつでも死にます!」

 

「こっわ。死なないでこれからも末永く付き合ってくれよ」

 

「はい! そう言われるのであれば、あの緑色をぶち殺して不死の秘薬を手に入れることもやぶさかではありません!」

 

「……やぶさかではあれよ。一応同じ日本のサーヴァントだろ」

 

「……いやあの緑色は宇宙人じゃないですか……」

 

 珍しい声色の壱与にツッコミをいれられながら、廊下を歩く。それもそうだな。一応分類的には日本の英霊のはずなんだけれど、出身地月だからなぁ……。

 

「ありゃ、先をこされちゃったわね」

 

 そろそろ引きずるのも面倒だな、とか抱えて持っていこうかな、とか思い始めたころ。ひょっこりと卑弥呼が顔を出してきた。口ぶりからして壱与と二人して俺を探していたようだ。何か用件だったんだろうか……?

 

「……チッ。撒いたと思ったんですけどね……」

 

「なんか言ったかしら、馬鹿弟子?」

 

「……なにも言ってませんけど?」

 

「あ゛あ゛?」

 

「あんです?」

 

「こらこら、メンチ切らない。額押しつけ合わない。そんな不良の喧嘩の前みたいなことしないの」

 

 ぐりぐりと額をすり合わせながらメンチを切り合う仲がいいんだか悪いんだかわからない師弟を引きはがす。二人とも小柄で軽いからこういう時すぐ引っぺがせて便利だ。ベッドの上でも取り回しがしやすいので色んな体位を試せる……と言うのは余談だ。

 

「ちょっと! わらわを猫みたいに持つんじゃないわよ!」

 

「ひゃああ……こんなぞんざいな扱い……おもらししちゃいますよぉ……!」

 

「両方うるさいなぁ……投げるか……?」

 

 ちょうど近くに窓もあるし、二人とも飛べるし……行けるか?

 

「ちょっ、壱与は良いけれどわらわはそんな扱いしないでくれる!?」

 

「そっ、そうですよ! 壱与は良いですけど、卑弥呼さまをそんな扱いしたらダメですよ!」

 

 二人の共通認識が一致してる当たり、仲は良いんだろうな。……それか壱与の性癖が当たり前のようになっているのか……。

 

「よし、じゃあほら、いってこーい」

 

「え、ひゃっ」

 

 言われた通り壱与をブン投げて卑弥呼を降ろす。また短い悲鳴を残して落ちていった壱与を見て、何故か卑弥呼が青ざめる。

 

「……アンタ……自分で言っていたとはいえマジで投げたのね……」

 

「壱与なら喜ぶだろうと思ってな」

 

「壱与以外にこんなことしたらダメだし、わらわ以外にそんなこと言ったらだめよ。完全にサイコパスみたいなこと言ってるわ」

 

「はっはっは、おいおい、卑弥呼も冗談が上手いな。俺ほど人のことを思いやれる人間もいないぞ」

 

「すっご、何アンタ。サイコパスにキャラ変するの? ……滅茶苦茶上手くいってるわよ、それ」

 

 じっとりとした目でこちらを見上げてくる卑弥呼。……え、そんなに変なこと言ったかな。壱与相手ならいつも通りの言動なんだが。

 

「……まぁいいわ。壱与とあんたの蜜月とか聞きたくないし。……邪魔者もいなくなったしね。んふ」

 

 そう言って俺にしなだれかかってくる卑弥呼。……んー、今はマスターを探してるんだけどなぁ……ま、時間はあるか。

 

「ようっし、そこの部屋は空き部屋らしい」

 

「おあつらえ向きじゃない!」

 

 喜々として俺の手を引いて空き部屋へ突撃していく卑弥呼。……この後また飛んで戻ってきた壱与を含めて、何回戦かした後、空き部屋で気絶したように眠っているような顔をして気絶している二人を寝かせ、またマスターを探すために俺は単身部屋を出るのだった。……ややこしい表現だなコレ。

 

「さて」

 

 少し時間が掛かってしまったが、まぁまだまだ時間はある。まったり行くとしよう。先ほど二人に足止めを食らった廊下を再び進む。ちょうど曲がり角に差し掛かった時、曲がり角の先から謙信が歩いてくるのが見えた。

 

「お、謙信」

 

「うん? ああ、殿か。どうしたんだい、ぷらぷら出歩いたりして」

 

「マスターでも探して遊ぼうかと思ってな」

 

「ふふ、からかって、かい?」

 

 くすくすと笑う謙信。

 

「そう言う謙信は何してるんだ?」

 

「ふふ、巡回してるのさ。何かあった時にすぐ動ける人員はいた方が良いだろう? ……それに、こうして歩いてれば殿と出会えるかなって思ったんだ。……そこの空き部屋が使えるそうだよ?」

 

 そう言って謙信は俺の手を取る。……あれ、この展開なんか既視感が……。

 

「ふっふっふ、もう具足は脱いだよ。残りは……殿が……キミが、脱がせてくれるかい?」

 

 先ほどの消耗がないとは言えないが……こんなことを美女から言われて引くのは俺じゃない。それに生前は一週間ほどずっと閨に詰めていたこともあったんだ。この程度問題はない。

 

「あっ、ちょっと、まだ部屋に入ってな……やんっ」

 

・・・

 

「……少しやりすぎたな。流石は武将……身体の使い方を分かってるな……」

 

 最後には逆転できたが、あそこで腰を掴んでなければやられてたな。あれは天性の腰使いだな。次は油断しないようにしよう。

 

「む、良い所にいた」

 

「信玄か。どうしたんだ?」

 

「うむ……この体が少しずれているような気がしてな。お前さん、女体には詳しいだろ。診てはくれんか」

 

「……詳しいってほどじゃないけど……。っていうか俺が詳しいのはどっちかっていうと魔力供給とかその辺のアレコレなんだが……」

 

「む、ならちょうどよいではないか! この体に魔力供給ついでに調整をしてくれ!」

 

「えっ、でもその身体他人の……」

 

「わしがおらなんだら死んでおる身体じゃ! 文句も言うまいて! それに女体だとどう感じるのかも気になるしな! わっはっは!」

 

 呵々大笑する信玄に引っ張られながら、俺は心の中で謝る。……本当にごめん、いつか完治して意識が戻るようになったら土下座するし責任ちゃんととるから! 

 ……ちなみに初めてだったようだし、信玄もなかなか奇妙な体験であると痛がりながらも笑っていた。……信玄の元の姿見てたらたぶんできてなかったな。よかった、座で出会ったのが鎧姿で。アニエスの身体は少しずつ慣れてきたのだが、最後に少しだけ違和感があった。そこを集中しながら探っていくと、信玄の言う『不調』の元のようなものがわかった。多分だが、信玄の霊基にアニエスがまだ慣れ切っておらず、戦闘を重ねるごとに積み重なった『ズレ』が表面化してきたのだろう。その辺を調整したので、しばらくは大丈夫だろう。

 

「かっかっか! なるほど、おなごの気分とはこんなものだったか。……ふぅむ、興味深い。また機会があればわしを抱け!」

 

「ベッドでは可愛げもあったのにな……」

 

 まぁこれから次第だろう。元気に笑うアニエス(信玄)の顔を見れば、満足と言うものだ。

 

「そう言えばどの程度回復したんだ?」

 

「む? ……まぁそうじゃのー……最近は少し戦闘で無理したところもあるしの。体感で七割から八割と言ったところか。もう少しすればきゃつの意識も戻ってくるじゃろうて」

 

「そうか! それは良かった!」

 

 アンリもアニエスのことは心配していたし、これならば向こうに戻った時いい報告が出来そうだ! 

 

「うむうむ! わしも鼻が高いというもの! それにこの体の持ち主たるおなごが目覚めれば、さらに戦いやすくなろうて!」

 

 今は信玄が体を動かすのも鎧を展開して魔力を展開するのも担当しているから少しだけ動きにラグのようなものがあるらしいのだが、アニエスの意識が戻れば、それを分担することができるためもっと効率的に戦えるのだそうだ。

 ここからは戦力がどれだけあっても困ることはない。良い兆候だな。

 身体慣らしついでに飛んでくると言った信玄を見送り、俺は一旦甲板で休憩することにした。……結構疲れたしな。

 

・・・




――ステータスが更新されました。

クラス:ライダー

真名:三コ 性別:男 属性:秩序・善

クラススキル

対魔力:E
魔術に対する守り。無効化は出来ず、ダメージ数値を多少削減する。

騎乗:B

保有スキル

巨躯:A++

■■:E+

直感:A

能力値

 筋力:A++ 魔力:E 耐久:B 幸運:C 敏捷:A 宝具:B

宝具

■■■■■■■■■■■(■■、■■、■■■!)

ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:自分自身 最大補足:―


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