ゼロの使い魔 ご都合主義でサーヴァント!   作:AUOジョンソン

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「やっぱり静かな建物の中で、追い詰められたとき、土壇場で召喚成功! そこからの静謐な空間でつぶやくように聞かれる、『問おう。汝が私のマスターか?』の言葉! いやー、熱いですよねぇ。……ねっ、たーいちょ」「まぁ、わからんでもないけど……まるで見てきたみたいに言うじゃないか」「んはー、これだから時代遅れの古代英霊さんはあたたたたたたた! すごいシームレスにつねるなぁこの人!」「古代英霊具合ではいい勝負だろ俺らは」「……んまぁ、そうなんですけど」「……俺はうれしいよ。遠い昔から一緒に生きて、今も一緒に過ごせて」「あ、う、あの……わ、私もれふぅ……だいしゅきぃ……」「泣くなよ……ほら、ちーん」「ちーん。ずびび」


それでは、どうぞ。


第六十話 無音の出会い、久遠の付き合い。

 アーハンブラ城までは思ったよりもすぐについた。やはり空を征くというのは良いものだな。時間も短縮できるし、監視の目も緩いから隠密に動きやすい。

 

「城に降りて人質を奪いに行くのは、俺とタバサ、それに謙信に信玄で行こう。他はこの船の上で、何かあった時の別動隊だ」

 

 俺が人員を割り振ると、マスター以外はすんなりと納得してくれた。……マスターはこういう時外されるとむくれるからなぁ、と思うが、何も言わないところを見るに心では納得しているのだろう。感情がついてきていないだけで。こういうところは成長したなぁと思うのだが……。あとはキレたときに爆発させる癖さえなくなればな。

 

「タバサ、俺と一緒に先行するぞ。謙信、信玄、殿は任せた」

 

「……ん」

 

「よし、承った!」

 

「うむ、よいぞ!」

 

 四人で甲板の端に立ち、ポイントに着くのを待つ。さて、どんな罠が待ち構えている……?

 

「よし、降下地点だ! 行きたまえ!」

 

 コルベールの言葉に、俺はタバサを抱えて飛び降りる。

 

「タバサ、『フライ』も『レビテーション』も使うなよ! この落下速度を活かして急襲する!」

 

「っ! ……わかった。着地を、任せる……!」

 

 ぎゅ、と杖を強く抱いたタバサを抱えながらかなりの速度で落ちていくと、横に信玄が並ぶ。

 

「お前さんや! 我が具足がいくつかの生体反応を掴んだ! おそらく警備の兵士やらだろう。……ワシに露払いを任せよ!」

 

「頼んだ、信玄!」

 

「応よ!」

 

 背中、足の裏、手のひらから魔力を放出して推進力を得て、自由落下している俺たちより加速して落下……いや、突撃していく信玄。数秒後に下で爆発が見えたので、無事に突っ込めたらしい。さて、次は俺たちの番だな。

 

「タバサ、着いたら怪しそうなところを指示してくれ。そこに向かって突っ込んでいく」

 

「……わかった。あの造りなら……貴人の扱いをしているなら上階に部屋があるはず」

 

「よし、なら、上に登っていくぞ!」

 

 どの部屋にいるかわからない以上、屋根を突き破ったりしてタバサのお母さんを危険に晒すことはないだろう。素直に玄関からカチコんで、正々堂々、奪い取る!

 

「信玄が騒いでいるから、兵士もいないな」

 

 着地の瞬間だけ宝具を使って衝撃を殺し、そのまま正門らしきものをぶち破る。入り口もついでに貫けたので、タバサを抱えたまま駆ける。俺が抱えた方が早いので、タバサには道案内に専念してもらっている。たまに出てくる兵士は通りすがりに蹴ったり殴ったり峰打ちしたりして無力化している。

 いくつかの階段を上った後、妙に兵士たちが固めている入り口が見えた。

 

「タバサ、あの人数を一気に無力化できるか!」

 

「任せて。――」

 

 呪文を詠唱し、そのまま杖を突きだすと、暴風と言って差し支えないほどの風が目の前の集団を飲み込んでいった。……結構吹っ飛んでったけど、生きてるよな……? まぁ、できるだけ殺さないで進んできただけだから、その辺はもう兵士たち本人の運の良さに頼ることになるんだけどさ……。

 兵士たちが硬く守っていた扉を開けると、大きな天蓋付きのベッドに、静かに眠る女性が。

 

「お母様!」

 

 俺の腕から飛び降り、駆け寄っていくタバサ。……良かった、無事だったか……。

 

「タバサ、お母さんに間違いないか?」

 

「……ん。うんっ。間違いない」

 

「よし、連れて行こう」

 

 謙信にタバサのお母さんを抱えてもらい、俺はタバサを抱え、窓から飛び出す。ヴィマーナを呼び出してそこに着地し、信玄を回収に向かう。

 

「あ、いたよ殿」

 

「ほんとだ。……死屍累々って感じだな」

 

 近くを飛ぶと、それに気づいた信玄がこちらに進路を変えて、ヴィマーナに乗り込んでくる。

 

「ふぅっ! 良い運動にはなったな!」

 

 呵々大笑する信玄に苦笑を返しながら、俺たちは飛行船へと戻る。……これで、なんとか任務完了だな。

 

・・・

 

「いやはや、やられちゃったねぇ」

 

 死屍累々……いや、半死半生くらいの割合くらいの兵士たちを見ながら、ごそごそと人間を集めていく。

 

「いやー、ちょうどよかった。素材が足りなくなってきてたんだよねぇ」

 

 まだ生きている者からは魂をエネルギーに変換して死体へと変え、すべての人間を死体に変えてから、死体そのものを素材として回収していく。うーん、人間は捨てるところなしの優秀素材だなぁ。こうして怪しまれずに回収できるとは、彼らの襲撃を防がなくて正解だったな。

 

「人間とエルフの体組成はほぼ一緒みたいだな。体の修復分にもとっておこうかな」

 

 固めて収納した団子状態の素材に手を突っ込んで、ひと塊すぐに使えるように取り込んでおく。これで急に損傷しても修復できるな! 残りは収納しておこう。他の何かに使えるかもしれないしな。それにしてもエネルギーも取り込めたしいいことづくめだな。なんか大きな巨大ゴーレムも作らされてるし、こうやって自分の用事済ませられる時間は大切だよな。

 

「よっし、そろそろ帰るかー。……それにしても、あの王様もなかなか無茶なことを言うなぁ」

 

 今頼まれている仕事について思いをはせる。まぁこの星では質量は正義だからなぁ。ああいうのを作れっていうのもわかるけども。そっちにも使ってるから人間(そざい)が足りなくなってきてるっていうのもあるしね。さて、ここでやることは終わりかな。戻って仕事も進めないといけないし、この星の生命体は大変だなぁ。ま、生きていくっていうのはどこも大変ってことだな。

 しっかしまぁ、搦め手と言うのは凄いことだな。あの王様はきっといろいろと罠を仕掛けるタイプの策士だと思う。ハマると本当にうざいんだけど、そういう奴こそ策が破られたときどうなるか見ものなんだよな。片手間になるけど、協力すると面白そうだな。

 

「よっし、えっと、次は何だったか。……ああ、あの試作品を送り込むんだったか。……なんてところだったか……そうそう、ヴァリエール公爵家だ」

 

 次の仕事に取り掛かるべく、魔法の力で体を浮かして移動を始める。まぁ簡単な仕事だ。巨大な兵器をヴァリエール公爵家に落として暴れさせて、家族を一人攫ってくる。なんか病弱な娘が一人いるらしいから、それを狙うとのことだ。そうすれば、あの王が欲しがっている『虚無』の力を持つ少女をおびき寄せられるって寸法だ。しかもその少女はあの『黄金』の契約者でもあるらしいので、一人攫うだけでかなりの戦力が転がり込んでくることになるだろう。……ほんと破格だよなあの『黄金』……。

 

・・・

 

「んは!」

 

「……どうしたんだよ、小碓」

 

「……いえ、なんか別側面のボクと言うか、クラスの違うボクがなんか大変なことしている様な電波を受信しまして……」

 

「はぁ? ……そんなキャラだったっけ、小碓って」

 

「ちっ、違いますよ!? キャラ変しようとしてるとかじゃなくて! 小碓命じゃないボクが現界したっていうか……あー、でも主はそういうのとは別だからなー……わからないかー」

 

 タバサのお母さんを救出した帰り道。小碓がなにやら虚空を見ながら変なことを言い始めた。確かに言われた通り俺には別側面とかないし召喚されるときは座から直接変換されてここに来るし、通常の英霊召喚とは違うから、小碓達のそういう『別側面が召喚されてる』感じとかはわからないけどさ……。

 

「まぁボクも特殊って自覚はありますけど、主は一番特殊だからなぁ……あとはジャンヌちゃんとか? あの子も『本当の』ジャンヌの皮をかぶってますもんね?」

 

「んあー、まぁ、こっちの芋ジャンヌはちょっと本来とは違うからね」

 

 あの子も結構特殊な生まれ方してるからな。……俺の所為と言うのもあるけど。

 

「ボクは小碓命としてと、日本武尊の二側面……と言うか、ほぼ別英霊みたいなところありますからねぇ」

 

 そうだったのか……確かに日本武尊にはあったことないからな……初めて出会ったのは小碓の姿でだし。

 

「んま、そういうことですよ。……それはそれとして、良かったんですか? このままげるまにあ? だかに連れて行っても。国際問題とかになりません?」

 

 このままタバサのお母さんをガリアに置いておくわけにはいかないということで、キュルケの実家であるツェルプストー家に連れて行き、領内で匿うことにしたのだった。こういう時にフットワーク軽いのは、ゲルマニア貴族の良い所なのだろう。マスターは『トリステインと違って貴族の誇りが軽い』とかいうんだろうが……そこはキュルケがタバサとの友情を重んじた結果だろう。ツェルプストー家やゲルマニアの貴族がどんな存在かはわからないが、キュルケ個人はとてもいい子だと分かる。何度かやっているお茶会で話していて感じたこともあるし、何よりマスターのことをからかいながらも、姉のような母のような顔でマスターを見ていることがあるのを知っている。同じようにタバサのことも可愛がっていることを知っているし、何より彼女自身、こういう時には放っておけない質なのだ。だから今回のこともまぁ納得できる流れだとは思う。

 

「……ま、最悪はトリステインも協力できるだろうし、何だったら最悪アルビオンに連れていけばいい。こういう時に辺境伯って立場は使うものだからな!」

 

「確かに。あそこは空の孤島。手出しのし難さならピカイチでしょうしね」

 

 小碓は俺の言葉に納得したようにうなずいた。

 

「さ、そろそろ休むぞ。防御宝具や索敵宝具も設置し終わったしな。……ありがとな、ついてきてくれて」

 

 俺たちは……と言うか俺は、この飛行船を守るために防御や索敵をしてくれる宝具を設置して回っていたのだ。これなら俺たちがずっと気を張る必要はないし、何か来ても自動なので対処が容易となるのが良い。そんな俺を見つけた小碓が同行してくれて、先ほどの意味の分からない電波を受け取ったということだ。

 ……しかし、セイバーのクラスになった、ちょっと成長した小碓か。……ちらりと小碓を見てみる。

 

「……?」

 

 可愛らしくこてんと首を傾げた小碓。見た目は完全に少女のそれだが、ここから少し成長するということは……かっこよくなるのだろうか。それとももっと可愛らしくなるのだろうか。

 

「……背丈はそんなに変わらないと思いますよ。……どっちかっていうと可愛い系です」

 

「俺の考えを読むなよ」

 

「んふふ、わかりやすい顔してる主がいけないんですよ」

 

 歩いている俺の手に抱き着くようにしがみ付く小碓。……この可愛らしい感じがさらに可愛く……。セイバーで再召喚とかできるんだろうか。でも日本武尊って奥さんいた気がするんだけどなぁ。その辺小碓はどう思ってるんだろうか。聞いてみると、『たぶん主と出会った小碓が成長して日本武尊になっても、たぶん奥さんごと一緒に主のものになろうとすると思います』とのこと。……凄い事言うなこの子。今までいろいろ献上されてきたけど奥さん献上されそうになるの初めてだ。

 

「んふふ、今はいもしない僕のお嫁さんの話するより……僕のこと、見てほしいです」

 

「……あー、部屋に戻ろうか」

 

 ゲルマニアへの旅路はまだ続く。小碓の相手をする時間はたっぷりあるだろう。

 

・・・

 

 日もとっぷりと暮れて、みんなと一緒にご飯を食べ、寝る準備を整えた私は、いつものように柔らかなベッドへ潜り込む。明日はついに使い魔を召喚しようと決めたのだ。早めに寝てしまうに越したことはない。呪文を唱えても苦しくならないし、歩くだけでも息切れしていたのも嘘のように、私はいろんなことをできるようになった。おともだちのみんなにおやすみの挨拶をして、目を閉じる。どんな子が来てくれるかしら。……私の王さま。あの黄金の王のように、素晴らしい子が来てくれるのかしら。

 

「……きゃっ」

 

 あの人のことを想うと、顔がすぐに赤くなる。不思議な王さま。私の体を治してくれた、英霊さん。またこのお家に来てくれないかしら。私の可愛いルイズと、その使い魔である王さま。それにエレオノール姉さまに、お父様とお母様。そして私のおともだち。こんなに私の好きな存在に囲まれて、幸せすぎて怖いくらい。

 そんなことを考えながら、心を落ち着け、さぁ眠ろうと一度大きく息を吐く。……すると。

 

「……て」

 

「……?」

 

 声が、聞こえた気がした。

 目を開けて周りを見渡すけど、お部屋にいるおともだち達ではないみたい。それに、今の声は人が発した言葉のように思えた。

 

「お……て」

 

「まただわ」

 

 さっきよりもっとはっきり聞こえた。それに、近いような気がする。女の人のような、高い声。優しそうで、荘厳さすら感じる声。

 

「起きて」

 

「……起きて? ……誰? 私は起きてるわ」

 

「起きて。呼んで」

 

「呼ぶ? 呼ぶって何を?」

 

 周りにいる子たちには聞こえていない見たいで、みんなすぅすぅと眠っている。……この声は何なの?

 悪い感じはしない。何か、私に伝えたいことがあるような必死さを感じる。

 

「起きて。呼んで。戦って」

 

 声を掛けられるたびに、胸の中が熱くなるような気がする。王さまに治してもらった時と同じように、心臓が熱を持っているみたい。魔力が暴れ出しそうで、今までの身体だったら耐えられないと思えてしまう。昂りすぎた魔力が、出所を求めて暴れまわっている。そんな感じがする。

 心を落ち着けて、その魔力を操る。私にはそれなりに魔法の才がある。ヴァリエール家の娘として恥じないくらいには。エレオノール姉さまやルイズ、お父様やお母様も素晴らしい魔法の才を持っているけど、私もしっかりとヴァリエールの血を継いでいるのだ。

 

「……痛ッ」

 

 急に右の手首に鋭い痛み。寝間着をまくり上げると、右の手首を一周するように不思議な文様のような痣がくっきりと浮かんでいた。これは……?

 その文様を見ていると、不思議と『サモン・サーヴァント』の言葉が口を突いて出てきた。

 

「……来て、私のおともだち」

 

 不思議と、『繋がった』と確信した。私の右手首の文様が、確かに何かと契約したと教えてくれたのだ。

 

「来るわ。空から」

 

 そこまで聞いて、この繋がりの懐かしさを感じて、私はおそらくこの声の主がわかった。王さまが言っていた、あの『治す力』の大元。白い女神さま。多分だけど、王さまを通じて、私の体に残った力を使って語り掛けてくれたのだ。そして、それはたぶん、王さまが対応できない脅威が来るから。空からくる、何かから、家族を、家を、民を守れと言ってくれているんだわ。

 杖を持って、窓を開ける。みんなも起きて、何事かと見つめてきたり、不安で鳴いている子もいる。

 

「大丈夫。みんなはここで待っていて」

 

 にっこり笑って、窓から飛び降りる。

 

「『フライ』」

 

 地面に降り立つと、直後に轟音。音の方へ目を向けると、夜の暗さの中でも分かる巨大な影。

 

「……ゴー、レム……?」

 

 それにしても大きすぎる。人間がアリかと思えるくらいの、巨体。

 

「お父様はいらっしゃらないけど、ここにはお母様もいる。……そして、姿は見えないけれど、私の使い魔も」

 

 たぶんだけれど、英霊の方。王さまと同じく、超常の存在。

 

「やるわ。それがきっと、一番の恩返しだもの!」

 

「それがいいナ。おらも手伝おう」

 

 最初は暴風かと思った。あまりの大きな声に、音ではなく風かと思ったのだ。この領地一体に吹く風かと思うほどに響く声。ハッと後ろを見ると、山があった。目の前に立つゴーレムに負けずとも劣らない大きさの山。あそこからの吹きおろしの風かと思ったが、山が動いたことによって私の考えが甘かったことを悟る。

 山じゃない。あれは山じゃない。人なのだ。大きな大きな、巨体と言う言葉が霞むほどの大きな体。その大男と、私はパスが繋がっていることに気づく。ならば、あれが私の使い魔……サーヴァント!

 

「らいだぁってんだ。おらのことはそう呼んでけれ」

 

 そう言って立ち上がった大男は、そのままゴーレムへと二歩で近づくと、がっしりと組み合った。……信じられない。何かの物語の世界にでも迷い込んだみたい。

 

「カトレア! 無事ですか!」

 

 騒ぎを聞きつけたのだろう。お母様がしっかりと戦闘準備を整えて『フライ』で飛んできた。軍にいたこともあるらしいお母様は、こういう時頼りになる人だ。

 

「あの大きな男の人は味方です! 私が召喚した使い魔です! ……ゴーレムを抑えてくれているから、それを手助けしながら術者を探さないと!」

 

「……なるほど。わかりました。あなたは使い魔を補佐してあげなさい。私が下手人を探してくるわ」

 

 あら、お母様怒ってらっしゃるわ。……それもそうか。ここはヴァリエールの土地。賊が勝手にこんなことをして、許すようなお人じゃない。

 

「私も怒ってるのよ。使い魔さんとはもっとゆっくり落ち着いて欲しかったし、お話だってたくさんしたいのに、呼び出してすぐに戦うなんて!」

 

 ずずん、どすん、と一進一退の戦いをしているらいだぁ……ライダー? と、ゴーレムの下へ駆けだす。なんとか手助けしたいけれど、私なんてちっぽけすぎて、下からじゃあ何もできない!

 そう思っていると、甲高い鳴き声が。……これは、おともだちの……!

 

「……! ありがとう!」

 

 身体が大きい故に別の所で寝ていたおともだちの一人……ワイバーンが、私を乗せてくれた。これで空を飛べれば、空中から支援ができる!

 

「ライダーさん! 私も攻撃して気を引きます! 頑張って!」

 

「あいよぉ! にしても、おらみてぇにでっけえのが、鎧なんて着れるなんてなぁ。お侍さんなんけぇ?」

 

 大きささえ無視すれば、どう見ても人間が二人取っ組み合ているようにしか見えない。それほど、相手のゴーレムは俊敏な、それこそ人間のような動きをしている。鎧を着こんで、大きな剣を持っているから、なおさらゴーレムには見えない。唯一人間らしからぬところは、その顔が一つの目のような光しか灯っていないところだろうか。

 

「おらよぉ!」

 

 べごん、とライダーさんの拳がゴーレムの鎧をへこませて、破片が飛び散る! 破片と言っても、元のサイズがサイズなだけに、一つ一つが落石のようなものだ。慌てて躱しながら、気を引けるような魔法を放っていく。どんなに様子見の攻撃でも、こちらはトライアングルクラスの攻撃を放たないと向こうは気にも留めない。それに、鎧や剣に弾かれている様な気もしている。直撃している様な感覚がないのだ。私は戦ったことがないし、この感覚も信じていいのかわからないけど……。

 

「こりゃ不思議な加護が働いてるでねぇか? やけにかってぇ!」

 

 ごわん、ごわん、とまるで教会の大きな鐘が鳴っているかのような音を立てながら、ライダーさんがどんどんとゴーレムの鎧を破壊していく。鎧の中は流石に魔法を弾けないのか、そこに打ち込んでいるのは効いている……ような気がする。

 

「おおおおおおおおおお!」

 

 ゴーレムが一瞬ふらついたのを目ざとく見つけたライダーさんは、両手を組んで振り下ろし、手に持っていた剣を叩き落した。ゴーレムも負けじと腰につけていた小さな投げナイフを投げるも、近すぎてライダーさんには当たらない!

 でも投げナイフと言ってもこのサイズだと普通に大剣のような大きさだ。私は必死に避けながら、顔に魔法を放つ。その隙に組み付いたライダーさんは、掛け声とともにゴーレムを持ち上げた。

 

「どっしゃぁぁぁい!」

 

 それを思い切り地面に叩きつけると、信じられないぐらいの轟音とともに、鎧は砕け散り、ゴーレムの体もひしゃげた。……たお、した……?

 

「うごかんくなっちったな。おー、中はおっきぃお人形さんだったか」

 

「ライダーさん! ありがとう! お怪我はない?」

 

「おーぅ! おらは大丈夫だぁ!」

 

 そこから、下手人は見つけられなかったと憤懣やるかたないような様子で帰ってきたお母様と合流し、この騒動はひとまず落ち着いたのでした。

 ……それにしても、この人……おうちに入るかしら?

 

・・・




――ステータスが更新されました。

クラス:ライダー

真名:■■ 性別:男 属性:秩序・善

クラススキル

対魔力:E
魔術に対する守り。無効化は出来ず、ダメージ数値を多少削減する。

騎乗:B

保有スキル

巨躯:A++

■■:E+

直感:A

能力値

 筋力:A++ 魔力:E 耐久:B 幸運:C 敏捷:A 宝具:B

宝具

■■■■■■■■■■■(■■、■■、■■■!)

ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:自分自身 最大補足:―


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