Fate/XXI :2―間桐慎二はくじけない   作:荒風

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ACT7:スタンドよ、力を示せ

 

 

 久宇舞弥。10年に渡る付き合いでありながら、士郎にとって、彼女は謎だらけの女性であった。

 初めて彼女を目にした時、彼女は切嗣の奥さんなのだろうと、幼い頃の士郎は思った。

 しかし、紹介された時に、どうも違うようだと理解した。

 

『彼女は、久宇舞弥……その、僕の家族だ』

『初めまして、士郎。私は……いわば、貴方の【先輩】です。わからないことがあれば、できる限りは力になりましょう』

 

 愛想笑いの一つもしない舞弥に、困ってしまったことを憶えている。先輩だと言われても、相手の立場が得心できず、どう対応すればいいのかわからなかった。怖いとか、嫌いとかではなく、なんだか難しい人だというのが、第一印象であった。

 共に生活する中で、少しずつ彼女のことを知っていったが、わからないことはより増えていった。

 

 家事については、切嗣と同様にまるで役に立たなかった。家事が下手であるという以前に、家事をすべきという考えが無い。

 食事は、レトルトか総菜、あるいは外食。調理器具や食器はそもそも使わない。

 掃除は最低限。どれだけ散らかっていても、どこに何があるかは把握しているが、片付けようと言う必要性を感じる神経が、最初から無い。

 衣服は同じものを何日も着ることはざら。洗濯は着るものがなくなりかけたら、洗濯機を作動させる。洗濯によって、色落ちや縮みがあるかもしれない衣類であっても、気にせずまとめて洗ってしまう。

 

 子供心に、これは無いと思ったものだ。

 見た目が美人で、できる女という風情なので、ギャップが酷い。私生活でも、裸で士郎の前に現れたりする。士郎が慌てても、無感情に首を傾げるほどだ。情緒が無さすぎる。

 たまりかねて切嗣に、彼女に注意してやってくれと頼んだが、

 

『ごめん、士郎。彼女をああいう風に育てたのは僕の責任だ。日本における常識というものが身についていないのを許してほしい。そして、どうか見守っていてほしい。君も大変だと思うけど、彼女もまた、大変な思いをしているんだ。今までの生き方を捨てて、僕に付き合ってくれているんだから』

 

 切嗣は静かな表情であったけど、その眼が今にも泣きそうに見えた。

 結局、士郎は折れて、どこかずれた舞弥を受け入れることにした。

 

 士郎が、切嗣の養子になってから、舞弥は常に切嗣と共にいた。表情は常に変わらず、切嗣が旅行に行くと言って家を空ける時は、必ずついていった。体調を崩し始めた切嗣にも、何も不平不満を見せることなく、黙々と介護を務めた。

 士郎も、あまり清純でない男女関係の概念を、知識に加えるようになり、切嗣と舞弥の関係に居心地の悪い思いを抱いた時期もあった。しかし、そんな時期は長くなかった。二人の大人に流れる空気は、そんな甘さや熱や、背徳感といったものがなかった。むしろ、間にある空気というものが無いと言った方がいい。

 まるで、二人で一つのような。舞弥が切嗣の体の一部のような。人と人の付き合いというには、欠けているような、あるいは繋がりすぎているような、言い表しきれないものがあった。

 切嗣が亡くなった時、葬式の手配は、周囲の力を借りながらも、舞弥主導で行われた。しかし、それは舞弥の意思ではなく、切嗣の残した遺言に従い、舞弥が動いただけであった。葬式や、遺産相続などの手続きを終えた後、舞弥はしばらく何もしようとしなかった、人形遣いがいなくなった操り人形のように、士郎が言わなければ、ものを食べようともしなかった。

 士郎も大河も心配し、医者に見せるべきか相談しだした頃、急に荷造りをはじめ、旅行に出ると言い出した。

 どこに行くのかと聞けば、

 

『人を探しに行きます。どこにいるのか、生きているのかもわかりませんが、それが……私の責任なのだと、決めました』

 

 彼女の中で、どういった結論が出たのかはわからない。しかし、それが、切嗣に従い続けた彼女が、初めて士郎に見せた、己自身の選択であり、行動であった。

 だから、士郎は心を込めて祝福し、送り出した。この頃には、士郎も初対面の日、なぜ彼女が自分を【先輩】だと言ったのか、理解していた。

 切嗣と共にある人間ということや、切嗣に拾われ、育てられた人間ということだけではない。

 自分自身の中身の無い人間という意味で、彼女は言ったのだ。

 

『同類』の旅立ちを見送った士郎が、次に舞弥と出会うのは、それから3年後のことであった。

 

   ◆

 

「うっす、イリヤ。10年ぶりだが、大きくなってねえなぁ、全然」

 

 少女の冷たい空気をものともせず、億泰はフランクに話しかけた。10年前、アインツベルンの城で、切嗣ともども雪塗れになり遊んだ思い出を共有する二人の再会である。

 

「ええ……本当に久しぶり」

 

 イリヤも億泰のことは憶えている。何せ、アインツベルンの城に訪ねてくる者などほとんどいない。いたとしても、面会するのはアインツベルンの現当主であるアハト翁であり、イリヤが会うことはない。

 そんな環境で、他にない、共に遊んだ相手だ。彼女の優れた記憶力は、ちゃんとその顔と声を憶えていた。

 

「けど、残念。今回は雪合戦じゃすまないわ」

 

 しかし、浮かべた笑顔には、親しみの温もりは籠っていない。

 

「聖杯戦争に敗北して逃げ出したのを、見過ごしてあげていたのに……わざわざ処刑されに来るなんて、馬鹿だね」

 

 父である切嗣同様、アインツベルンにとっては敗残兵である。容赦する理由は無い。

 

「やりなさい、バーサーカー」

「――――!!」

 

 狂戦士は、並みならぬ付き合いのある億泰を前にしても、戦意衰えることなく、拳を握る。

 それが『バーサーカー』のクラスというものだ。いかに英雄とはいえ、狂気に侵されている状態では、どのような非道も行える。

 それに対し億泰は、

 

「じゃあ、俺逃げるから、あとは頑張れよ!」

 

 クルリと回れ右して、走り出した。

 

「ええ?」

 

 士郎が間の抜けた声をあげ、

 

「ちょっ……何ふざけているのっ! バーサーカーっ!」

 

 イリヤが怒って、バーサーカーに追いかけさせる。バーサーカーからイリヤが離れれば、彼女は無防備になるが問題ない。既に、サーヴァントたちは傷つき倒れている。英霊なしの戦いでなら、イリヤは誰にも負けない自信があった。

 その自信ゆえの、バーサーカーへの命令であったが、もしもバーサーカーに理性があったら、安易にその命令に従いはしなかっただろう。

 

「――――ッ!!」

 

 無言の雄叫びとでも言うべき、威圧感を放ちながら、バーサーカーは億泰を追う。追われる億泰の表情は、その場の誰にも見えなかったが、恐怖で引きつっていた。

 

(うおおおぉぉぉ! 超コエェェェ!! 承太郎さんとボコり合いなんて冗談じゃねーよ!!)

 

 億泰は、承太郎の強さを知っている。自分の知っている者の誰もが、彼に勝てるとは思わないだろう。

 億泰のスタンド能力【ザ・ハンド】は強力な能力だ。右手で掻きとったものを、何であろうとも削り取る能力。空間ごと物体を削り取るため、削られた物体はこの世から消失し、どこに行くのかは、億泰自身にもわからない。

 また、先ほど士郎にやったように、空間を削り取ると、削られた空間を埋めるために周囲の物体を『瞬間移動』させて引き寄せる現象が起きる。

 防御無視の破壊力と、『瞬間移動』によるトリッキーな戦術。もう一度断言しよう。

 億泰のスタンド能力【ザ・ハンド】は、非常に強力な能力だ。

 

「オラァッ!!」

「ひいっ!」

 

 しかし、空条承太郎の【星の白金(スター・プラチナ)】は、最強の能力だ。強い弱いは、相性や使い方次第というが、それでも【星の白金(スター・プラチナ)】が最強であると多くが認める。億泰もそうだ。

 背後から放たれた拳を、背後に回したスタンドで防御するが、逃げながら精密な動作はできない。あまり長くは防げない。

 いつ時を止められて、殺されたことさえ気づかぬうちに死んでも、おかしくない。

 その恐怖に、耐えながら、億泰は逃げる。ここまでは、どうにか作戦通りであった。

 

(賭けだぜコイツは。いつまで、時を止めずにいるか……そういう賭けだ)

 

 時を止められたら、もうそこまでだ。サーヴァントのような耐久力も再生力も無い、生身の人間である億泰は、死ぬ事さえ気づかぬうちに殺される。

 だが、時を止める能力も、決して完全無欠ではない。攻撃をくらわせる手はある。

 まずは、不意打ち。時を止めるよりも前に、気づかれずに攻撃すること。

 次に、遠距離攻撃。時を止めても、時が動き出すまでに近づいて殴り倒せない間合いからの攻撃。それなら少なくとも、こちらは攻撃を受けることはない。一度時を止めれば、もう一度時を止めるには一呼吸の間を置かなくてはいけない。その間に攻撃できる。

 そして、人質。バーサーカー自身ではなく、バーサーカーが大切にしているものを狙う。今回の場合はイリヤになる。イリヤを攻撃すれば、バーサーカーは身を挺して、彼女を護るだろう。かつて、億泰の友人でもある広瀬(ひろせ)康一(こういち)を、爆弾のスタンドから助けたように。

 

(けど3番目は使えない……。なら、1番と、2番!)

 

 億泰が、時間停止の間に追いつかれる距離まで、バーサーカーとの間合いが縮まった瞬間、

 

 パパウゥゥッ! パウパウッ!

 

 透明の薄い円盤が複数、バーサーカーに向けて飛来した。

 

「ッ!」

 

 スタンドの拳を素早く反応させ、バーサーカーはその円盤を叩き落とす。打ち砕かれた円盤は、液体となって落ち、地を濡らす。円盤の正体は、ただの水。ただし、強い圧力で押し出されて、刃と化し、金属や大理石も切り裂く切れ味を備えたものだ。

 スタンドで的確に平面の側を叩いたから容易く落とせたが、バーサーカー本体の方なら、切り刻まれていただろう。

 

「うーむ、波紋カッターをあっさり防ぐか。確かに、そこらの屍生人(ゾンビ)よりは遥かに強力なようだ」

 

 ウォーターカッターを放った男は、防がれたことを悔しがるでもなく、余裕の態度で現れた。

 

「しかし、狂える戦士など、所詮は真の戦士ではない。それを教育してあげるとしよう」

 

 派手なシルクハットを被った『キャスター』は、500mℓの水入りペットボトルを片手に、悠然と最強のサーヴァントに挑む。

 

「――――ッ」

 

 バーサーカーは、キャスターを叩きのめすために近寄ろうとして、すぐに足を止める。彼の頬に、薄くではあるが傷が開き、血が流れ出していた。

 

「気づいたか。なぜ、最初から私が出なかったか。君が億泰くんと追いかけっこをしている間に……すでに我が陣地はできあがっていたのだ」

 

 バーサーカーの周囲には、無数の円盤が浮遊していた。宙に浮くほどに軽い、僅かな量の水でつくられたそれらは、電気ノコギリのように高速回転し、触れたものを切り刻む。先ほど飛来してきたものよりも、もっと小さく、薄く、透明なそれは、夜の闇の中では容易に見つけ出すことはできない。

 しかも、キャスターは目の前で水を口に含み、次々と新たな波紋カッターを生み出している。

 億泰がバーサーカーの注意を引き付けている間に、キャスターの行動は開始されており、そしてバーサーカーは、用意された罠の中に、突っ込まされたのだ。

 

   ◆

 

「へぇ……ちょっとは頭を使ったみたいね」

 

 罠に嵌ったことに勘付いても、イリヤの余裕は変わらなかった。

 いくら【星の白金(スター・プラチナ)】でも、無数の刃を無傷で潜り抜けることは不可能。狂気に侵されていない状態であれば、その精密動作性をフル活用して、的確に波紋カッターを叩き落とすことも可能であったが、バーサーカーでは無理だ。

 時を止めたとしても、脱出した直後に時は動きだすだろう。次の時間停止が使えるようになるまでの間という、バーサーカー最大の隙が生まれてしまう。バーサーカーの能力を知らないものならまだしも、彼の能力を良く知る虹村億泰は、その隙を決して逃すまい。

 中々に悪い状況のはずだが、イリヤは動じない。

 

「ひょっとして、バーサーカーじゃなくて、私を殺せば勝てるって思ってる? でも、そっちのサーヴァントはほとんど重傷。マスター同士の戦いなら、私に敵う者はいない。サーヴァントの傷を治したとしても、令呪を使えば、すぐにバーサーカーは手元に戻せる。無駄なことじゃない?」

 

 最強を自負する幼き少女の姿をした魔術師、イリヤスフィールは舞弥を嘲笑う。

 

「私は、バーサーカーのいない間に、貴方を殺すなどという策をとったのではない。ただ、貴方と話す時間が欲しかったのです。イリヤスフィール・フォン・アインツベルン」

「話ってなぁに? 貴方、確かマイヤでしょ? 資料にあったわ。キリツグの愛人だって」

「愛人とは違うかもしれませんが……貴方と敵対するつもりはありません」

 

 カナリアを虐めようとする猫のような微笑みで、イリヤは父の愛人とされている女と相対する。

 

「敵じゃない? じゃあ、なぜ聖杯戦争に参加したの?」

「一つは、士郎を護るために」

 

 衛宮士郎。切嗣が最後に救い、救われた存在。切嗣の忘れ形見。そして、久宇舞弥の同類。

 

「そしてもう一つは……貴方を護るために」

 

 アイリが最後まで案じた存在。切嗣とアイリの愛娘。幾度となく、彼女をまたその手に抱くために、切嗣はアインツベルンの城へ赴き、そのたびに追い返された。

 それを知っている。舞弥だけが、切嗣の息子と娘のことをわかっている。

 だから、舞弥は二人が殺し合うことだけは、絶対に止める覚悟であった。

 

(覚悟……この私が)

 

 切嗣に拾われる前も、拾われた後も、彼女には覚悟するような心など持っていなかった。

 戦乱の地に生まれ、道具として扱われてきた。ただただ流され、依存して生きてきた。そうせずに生きるには、彼女にとって世界はあまりに残酷すぎた。

 だが、今や彼女は道具ではない。使い手であった切嗣が亡くなった時、彼女は動くのをやめなかった。

 

『たとえ生んだだけだとしても、酷い親だとしても、それでも親にはいて欲しいと望むのが子供なんだよ。だからよ、会ってやれよ。そうすりゃよ、あんたも、あんたの子も、ひとりぼっちじゃなくなるぜ?』

 

 静かに朽ちていこうとする舞弥の胸に、その言葉が反響した。そして、彼女は歩き出した。

 

 故郷へと帰り、忌まわしい記憶を辿り、自分が飼われていた部隊の情報を探り、『我が子』を探した。3年かけて、彼女は『我が子』の足跡を追い、ついに辿り着いたのは、『我が子』が死んだという、決定的な情報であった。

 手榴弾の爆発で、死体は半壊していたらしい。それでも、残った肉体から行ったDNA鑑定の結果、その死人が舞弥の子であることは、確定してしまった。

 その日、舞弥は泣いた。驚くべきことだった。自分に、まだ涙を流す機能が残っていることに、舞弥は心から驚愕した。

 丸1日、何もせずにただ泣き尽した後、舞弥は日本へと向かい士郎に会った。

 士郎は、舞弥が出て行った頃より、背が伸び、料理の腕も上達していた。そして舞弥は決めたのだ。

 せめて、切嗣の子は護ろうと。自分は切嗣の一部だったのだから、切嗣の子は、自分の子供も同然であると。

 それは所詮、代替行為に過ぎぬのかもしれない。ただ自己満足の、自慰行為に過ぎぬのかもしれない。それでも、舞弥は決めたのだ。道具としてではなく、身勝手な人間として、決めたのだ。

 けれど、イリヤはそんな舞弥の思いなど知らず、興味も無い。

 

「護る? お母さまを守れなかった貴方が?」

 

 仇の片割れの言うことに、耳を貸す気も、もちろん無かった。

 

「舞弥さん……どういうことだ? この娘が、爺さんと何か関係あるのか?」

「士郎……」

 

 舞弥は迷う。この状況で話を進めて、平和に終わるとは思えない。

 士郎が巻き込まれることは予測の範疇だったが、こうも早くイリヤとぶつかるとは思っていなかった。昨夜にキャスターから、士郎がセイバーを召喚したという報告は受けていたので、今夜、話をしようとしていたのだが。

 

「貴方は何も話さなくていいわ」

 

 イリヤは髪の毛に魔力を注ぐ。

 髪の毛は、空中で編み上げられ、立体的な形になる。美しい鳥の造形の使い魔。それが2羽。

 

「死になさい」

 

 髪の毛で造られた使い魔は、羽ばたきながら、舞弥に嘴を向け、

 

 バシュッ! バシュッ!

 

 魔力弾を放つ。

 舞弥は、士郎の身を突き飛ばして、魔力弾から逃がし、自分も飛び退る。

 

「舞弥さん!」

 

 士郎は舞弥の身を案じて声をあげるが、それは無用というものだった。舞弥は素早く銃口を、空に浮かぶ使い魔に向け、撃ち放つ。

 この時のために準備した魔術弾。舞弥自身の魔術の腕は、見習いより少し上程度。イリヤに魔術戦で勝つなど不可能。ゆえに、実力は道具で補う。

 

 バジュゥッ!! ドジュウッ!!

 

「へえ?」

 

 イリヤは少しばかり感心する。その魔術弾の威力は相当のもので、イリヤの使い魔は、弾丸を自動的に回避したにも関わらず、軌道を変化させた弾丸によって一撃で破壊された。それを為したのは『人間の指』を加工した弾丸。北欧の指さしの呪い(ガンド魔術)と、死霊魔術(ネクロマンシー)の組み合わせの産物。知人の、魔術使いから買い取ったものだ。

 高価な品のため、多用することはできないが、威力は十分。ただ問題は、強力すぎること。手加減ができないため、イリヤに直接攻撃することはできないということだ。

 もっとも、舞弥のそんな考えは、イリヤをまだ甘く見た考えだった。イリヤの力はまだ、この程度ではない。

 

「じゃあ、次は4羽」

 

 すぐさまイリヤは、新しい使い魔を補充する。しかも倍の数だ。

 

「なんて馬鹿げた魔力……!」

 

 その行為を見て、凛が呟く。飛び道具と自動操縦を兼ね揃えた使い魔。ミニ魔術師のような、高性能の使い魔を量産するなど、飛び抜けすぎている。凛とて一流の魔術師だが、イリヤの力はそれ以上だ。桁が違う。

 

「慎二! あんた、何か手は無いの? あんた、スタンド使いなんでしょ?」

「……えっ、な、なんでっ?」

 

 なんで知っているのか、そう聞き返しそうになる。だがそれが、自分がスタンド使いであると認める返しであることに気づき、慌てて口を噤むが、遅かった。してやったりという顔で、凛が言う。

 

「間抜けは見つかったようね? スタンド使いについて、私もそんなに知識はないけど、スタンドは、霊視のできる魔術師か、スタンド使いにしか見えないっていうのは知っているのよ。魔術を使えないのに、昨日の夜、あんたはスタンドが見えていた。消去法で、あんたはスタンド使いってことになる」

「うぐぐ……!」

「スタンドには色々と、特殊な固有能力があるんでしょ?」

「くそっ! わかった使ってやるよ! けど、後で何も言うなよ! 何もな!」

 

 慎二はやけっぱちになって怒鳴り、イリヤに向けて右手をかざす。そして、

 

「【マイキー・ザ・マイクマン】!!」

 

 慎二の右手から、彼の分身が飛び出した。

 大きさは30センチもない。メタリックなボディは、ロボットのようであったが、卵型の黒い頭部についた、カタツムリのように突き出た目や、カエルのような口は、生物的であった。首は無く、頭が直接くっついている棒状の胴に、マッチ棒のように細い手足が生えていた。

 尻からは尻尾のようなものが生えているが、尻尾というには長すぎる。細いロープのような、犬につけるリードのようなその紐状のものは、慎二の右手に繋がっていた。

 パッと見て、それを簡単に言い表すなら、『マイクに顔や手足をつけて擬人化させたもの』であった。そいつは飛び出てから、スタッと着地すると、軽妙な動きで手足を動かし、身を捻り、ビッと音が鳴りそうな動きで、イリヤに右手を突き付けた。

 

「っ!」

 

 何をするつもりかと、イリヤが身構える。警戒する美少女に対し、慎二のスタンドは、

 

『レディィィィス・アァァァンド・ジェトルメェェェンッ!! 赤コーナー! 聖杯戦争、御三家からの使者! ホムンクルスの少女! バーサーカーのマスター! イリヤスフィール・フォン・アインツ、ベルゥゥゥンっ!!』

 

 高らかに、イリヤのことを周囲に紹介した。

 

「……え?」

 

 何がどうなっているのか、予想外の行動をしたスタンドに、イリヤは可愛らしい声をあげた。

 

『青コーナー! 同じく、御三家の末裔! 魔術回路ナシ! からっきしの魔術師未満! 間桐慎二ィィィィっ!!』

「うるさいぞ、この馬鹿スタンドがっ!」

『ギャフンッ!』

 

 顔を真っ赤にして、自分自身のスタンドにディスられた慎二は、己がスタンドを蹴りつけた。スタンド【マイキー・ザ・マイクマン】は悲鳴めいた声をあげたが、スタンドは基本的にスタンドでなくては傷つけられないため、あくまでポーズにすぎない。

 そんな、慎二とスタンドのいわば一人漫才を見ながら、凛は戸惑いつつ口を開いた。

 

「え~っと、間桐くん? ひょっとして……それだけ?」

 

 なんか、相手と自分のデータと名前を周囲に紹介した――それだけ。

 

「……それだけだよっ! 他には何もできないよ僕のスタンドはっ! 悪いかっ!」

「え、ええ……? あー、あの、そのぉ……何か、ごめん……」

「謝るんじゃねえよ! 余計つらいわ!」

 

 本気で申し訳なさそうな凛に、慎二は若干涙目で憤る。そんな弛緩した空気に、イリヤでさえも困った顔をしていたが、やがて手をあげ、針金細工の使い魔たちを動かしだした。

 

「……ちょっと、面白かった、かな? うん、できるだけ苦しまないように殺してあげるから、動かない方がいいわ。下手に避けて急所を外すと、死にきれずに苦しむから」

 

 イリヤがパチリと指を鳴らす。すると、使い魔の形状が変化し、剣の形となった。そして、剣の切っ先を、慎二に向ける。慎二にそれを防ぐ術はなく、まさに風前の灯火であった。

 そのとき、

 

 コツン

 

 イリヤの靴に何か軽くぶつかった。

 

「?」

 

 足元を見ると、小さな筒状の何かが落ちている。それが転がってきていたようだ。

 

「…………!!」

 

 魔力は何も感じ取れない。だから気づきもしなかったが、その『異物』に、イリヤは危険を感じ取った。反射的に使い魔を移動させ、自分の前に置いて盾にする。直後、その筒状の物体が破裂した。

 

 ドカァァァァァァッッッ!!

 

 閃光と轟音が解き放たれた。

 

「なんっ!?」

 

 盾でも防ぎきれぬ、目を眩ませる光と、耳を痺れさせる音。

 

 スタングレネード。

 

 人質などを取られ、殺傷力の高い武器を使うと人質まで巻き込みかねないような状況下にて、敵の行動を鈍らせるためなどに使用される、手榴弾の一種。音と光で、相手の視覚、聴覚にダメージを与え、戦闘を困難にすることができる。

 魔術師として育て上げられたイリヤの知識には存在しない、近代技術が生み出した非致死性兵器。

 慎二が、パンナコッタ・フーゴから貰い受けた装備品の一つ。これを、慎二は周囲の目が【マイキー・ザ・マイクマン】に集まっていた瞬間を狙って、投げていたのだ。スタングレネードが地面にぶつかった時の音は、【マイキー・ザ・マイクマン】の口上によってかき消された。

 

「今だ逃げろっ! それくらいできるだろライダーっ!」

 

 慎二が駆け出す。呼びかけられたライダーも身を起こし、血だらけの体に無理をして、走り出す。

 

「えっ! あっ、待ちなさい!」

 

 眩んだ目を抑え、イリヤは使い魔の攻撃を放つ。しかし、

 

 ザグンッ!!

 

「無様をさらしました。申し訳ありません、マスター」

 

 剣の使い魔は、立ち上がった『剣の使い魔』によって破壊された。

 

「セイバー、大丈夫か!」

「ええ、しかしまだ回復しきってはいません」

「ああ、ここは逃げよう!」

 

 ようやく、2本の足で立ち上がれるまでに調子を取り戻したセイバーは、悔し気ではあったが、やむを得ず、士郎と共に逃走を開始する。その背中に攻撃を仕掛けようにも、目の眩んだイリヤでは、繊細な追撃はできそうになかった。無闇な追撃では、セイバーに容易く防衛されてしまうため、無意味だ。

 

「アーチャー、あんたもいい?」

『残念だが、仕方ないな。援護する』

 

 念話で凛とアーチャーが互いの意志を確認する。アーチャーは再び弓に矢をつがえ、放った。その矢は、イリヤに向けて鋭く飛来した。

 

   ◆

 

「――――ッ!!」

 

 イリヤの危機に気づいたバーサーカーは、すぐさま行動する。いや、『すぐ』なんて言葉では遅すぎる。一瞬後、バーサーカーは波紋カッターの檻を突破していた。そして、キャスターたちのことなど目もくれず、イリヤのもとに走る。

 その背中を、キャスターと億泰は攻撃することはできた。だが、しなかったのは、卑怯な行為を嫌ったため――だけではない。単純に、リスクが大きすぎたためだ。

 子を護ろうとする親よりも、恐ろしい生物はいないのだから。

 

「オラオラオラオラオラオラァッ!!」

 

 矢がイリヤに当たるよりも先に、バーサーカーはイリヤの前に立ちふさがり、雄叫びをあげる。

 爆裂弾の如き威力を持った矢を、【星の白金(スター・プラチナ)】の『突きの連打(オラオララッシュ)』が破壊しつくす。イリヤにもバーサーカーにも、傷一つなく、アーチャーによる攻撃は終わった。

 しかし、その攻撃をしのぎ終わった後、その場に、イリヤとバーサーカー以外の人影は無かった。

 

「……あ~あ、逃がしちゃったか。まあいいわ、せっかくのお祭りだもの。すぐ終わっちゃ、つまらないわ」

 

 悔しそうな様子はない。本気で、イリヤは言っている。イリヤにとって、この聖杯戦争はお祭りだ。人生で最初にして、勝とうが負けようが、最後になる『遊戯(ゲーム)』だ。

 どう転ぶにせよ、イリヤはこの地で終わるのだから。

 

「帰ろうかバーサーカー」

 

 そのイリヤはまるで、思う存分遊んでから、明日何をして遊ぼうか考えている子供のようだった。

 きっと、その通りだったのだ。

 

   ◆

 

「どうやら、逃げ切ったみたいね」

 

 全力で走ったことで乱れた息を整え、凛は周囲を確認して言う。慎二がつくった、イリヤの目が眩んでいる微かな隙がなければ、逃げ切れたかわからない。

 

「それにしても、恐ろしい相手だ。3対1で圧倒されるとは」

 

 完敗したアーチャーは、苦い表情を浮かべる。

 

「……あれ? 慎二とライダーは?」

「どうやら、別の方向に逃げたようですね」

 

 士郎は、悪友とそのサーヴァントがいないことに気づく。セイバーも、自分と士郎の撤退に集中し、慎二たちまで見ている余裕はなかったため、今まで気づいていなかった。

 

「あいつ、あのバーサーカーを承太郎って呼んでたわね。もっと詳しく聞きたかったんだけど」

「承太郎さんのことだったら、俺が知ってるぜ?」

「億泰。余計なことは言わないように」

 

 慎二がいないことで、情報源がなくなったことを残念がる凛に、億泰が手を挙げる。しかし、舞弥は彼の発言を押しとどめた。

 

「……そういえば、貴方もマスターのようね。衛宮くんの知り合いらしいけど」

 

 別のマスター、それすなわち敵対者。凛は剣呑な目つきになる。舞弥もまた、火のように苛烈な凛に対し、氷の眼差しで対抗する。

 熱さと冷たさ、二つの視線が睨み合った。

 

「おいおい、どうにか逃げ延びられたんだぜ? もう今夜はお開きにしとかねぇ?」

「私もそれがいいと思うね。皆、満身創痍だし、いつバーサーカーが追いついてこないとも限らない」

 

 億泰とキャスターが二人を宥め、

 

「……まあ、結果的には私も助けられたわけだしね」

「別に貴方を助けたわけではないですが、いいでしょう」

 

 凛と舞弥は、矛を収める。

 

「それじゃ士郎くん。共闘は今回だけよ。次に会ったときは、もう戦いをやめろだなんて言わないように。言うだけ無駄だから」

「そうか……けど、できれば俺、遠坂と戦いたくないな。俺の言うこと、聞いてくれたし……俺、お前みたいな奴、好きだ」

「んなっ!?」

 

 何の気なしに思いの内を口にする士郎と、瞬時に赤くなった顔で、慌てふためく凛。

 士郎はただ、自分の説得を聞き、『対戦相手以外を傷つける気はないし、そんなことする奴は自分も許さない』と、明言してくれた凛に、素直な好感を示しただけなのだが。

 

「……氏より育ちと言いますが、切嗣の子だけのことはありますか」

「え? あの人もこんなだったの?」

 

 無駄に冷静な舞弥の呟きを聞いた億泰は、自分の記憶に残る、冷徹な殺し屋としての切嗣が、女性を口説く姿を想像できず、ギャップに苦しむ。

 死闘の直後とは思えぬ、緩い空気の中、彼らは帰途についたのだった。

 

 

   ◆

 

「よし……気づいていないな」

 

 慎二は、住宅の影に隠れ、士郎たちを見ていた。

 

「上手い具合に見つけられた。ベストのタイミングだ」

「見つけたのは私です。褒めていただいても構いませんが?」

「あ~、偉い偉い」

 

 別の道を逃げた慎二だったが、すぐにライダーにサーヴァントの気配を探させ、士郎とセイバー、凛とアーチャーの背中を見つけていた。そして右手を広げ、

 

「【マイキー・ザ・マイクマン】」

 

 スタンドを出現させた。

 手から飛び出したスタンドは、シュタッと着地してポーズを決め、そしてまずセイバーの背中を指差す。

 

『レディィィスッ・アンドッ・ジェェェントルメェェェンッ!』

 

 そして先ほど同様、紹介を始めた自分のスタンドの声に、耳を澄ませる。

 先ほどよりは声は小さい。士郎たちに聞こえない程度の声にしているためだ。慎二のスタンドであるため、声の大小くらいは思う通りにできる。

 

(あいつら、僕のスタンドが『使えない能力』だと思っているだろうな。けど、『使える』か、『使えない』かは、『使い手』次第なんだぜ?)

 

 慎二は、この能力を初めて発動させたときのことを思い出す。

 まだ幼いと呼べる年齢の頃、初めて『教授』と出会った日。スタンドを目覚めさせる矢により、スタンド能力を発現させたあの日を。

 

   ◆

 

 あの日、慎二の体から飛び出したスタンドは、開口一番、

 

『レディースッ・アンドッ・ジェントルメェェェンッ! 青コーナーッ! 我が本体ッ! この私、【マイキー・ザ・マイクマン】のスタンド使いッ! マキリの末裔、間桐慎二ィィィッ!!』

『…………はぁ?』

 

 いきなり(まく)し立てられ、混乱する慎二をよそに、スタンドは続けて叫ぶ。

 

『赤コーナーッ! 時計塔、現代魔術科の若きロード! でも、魔術師の階位は第四階位の『祭位(フェス)』どまり! 魔術の凡才、教育の天才! ロード・エルメロイⅡ世こと、ウェイバー・ベルベットォォォ!!』

『凡才で悪かったな……』

 

 額に青筋をビキビキと立て、無表情で怒る『教授』。しかしその怒りを抑え、そのスタンドを見極めにかかった。

 

『しかし……喋るタイプのスタンドか。【エコーズ】など、たまにあることはあるが……便利と言えば便利だな。おい、そいつに、能力は何か聞いてみろ。喋るタイプなら、答えてくれるはずだ』

『あ、えーと、マイキーとかいったか? お前、何ができるんだ?』

 

『教授』に促され、質問した慎二にスタンドは答えた。

 

『ワタシは【マイキー・ザ・マイクマン】ですぞ、我が本体! ワタシの能力は今行ったとおり! 名前とデータを紹介することッ! 以上!』

 

 きっぱりと言われ、慎二は立ち尽くし少し呆然とする。頭の中で理解するにしたがって、表情が歪んでいく。

 

『……紹介、するだけ? ビームを出すとか、バリアーを張るとか、そういうのは無いのかよ?』

『ありませんぞっ!』

 

 はっきりと言われ、慎二は頭を抱えて軽く絶望する。なんで命を賭けて手に入れた能力が、こんなものなのかと、運命を恨む。

 しかし、『教授』の方は、別のことに気づき、その能力の有用性を見出した。

 

『【マイキー・ザ・マイクマン】……今、貴様は私のことを、ウェイバー・ベルベットと言ったな。確かに私の本名はウェイバー・ベルベットだが、それはまだ、名乗っていなかったはずだ。それに、時計塔のロードであるという情報も、まだ言っていない』

 

 いまだ魔術の重鎮たちに比べればはるかに若いが、経験においてはかなりの修羅場を潜り抜けてきた男は、目の前の、一見ふざけたスタンドが『危険』でさえあることに気がついていた。

 

『お前は、本体である慎二も知らない情報を、知ることができるのか?』

その通りでございますッ(エグザクトリィィィッ)! 私の能力は、先ほども言った通り、【名前とデータを紹介すること】ですゆえに!』

 

   ◆

 

 名前と、ほんのわずかな情報を手に入れることができる能力。

 

 条件は、慎二の目が、テレビや写真などではなく、本人を直接見ることである。一度に二人まで、情報を引き出すことが可能。名前は確実に知ることができるが、共に紹介されるデータに関しては、まったくのランダム。その人物の、銀行口座の暗証番号だったり、浮気相手のことだったり、好きな食べ物だったり、過去の業績や役職だったり、様々だ。役に立つとは限らないが、繰り返して行えば、必要な情報を手に入れられる可能性も高まる。『教授』が慎二を呼び出すときは、大抵、事件解決のためのヒントを手に入れるためだ。

 

(そして、聖杯戦争では更に重要性が増す。聖杯戦争においてサーヴァントの『真名』を隠すことは基本。英霊は有名であるがゆえに、名前がわかれば調べて、対策を立てることもできるからだ。だから、名を知ることができる能力を持った僕は、聖杯戦争においてかなり優位な場所にいる!)

 

 内心、得意になって、慎二は【マイキー・ザ・マイクマン】が抜き出す、相手の情報を心待ちにする。そして、セイバーを指差したスタンドは言い放つ。

 

『青コーナー! ブリテン最後の王! そして未来の王! 聖剣の担い手、アーサー王こと、アルトリアァァ・ペェェンドラゴォォォン!!』

 

 次に、アーチャーを指し示し、

 

『赤コーナー! かつて目指した正義の味方! 未来より呼ばれて来ました、この過去に! かつての自分に何を想う、エミヤァァァ・シロォォォッ!!』

 

 そう言って、紹介を終えた。

 

「…………はぁ?」

 

 慎二は自分のスタンドを初めて使ったときと、同じ声をあげたのだった。

 

 

 

 

 ……To Be Continued

 

 





◆マイキー・ザ・マイクマン

破壊力・E
スピード・D
射程距離・B
持続力・B
精密動作性・A
成長性・D

本体・間桐慎二
能力・慎二がその場にいると視認できる、二人の人間(幽霊も可)の本名と、少しのデータを紹介する。本名は確実にわかるが、データはどんなデータが紹介されるかランダムである。慎二が能力の対象となる人間の、本名やデータを知らなくても、関係なく明らかにできる。

 元ネタはキン肉マンの29周年記念企画本『肉萬』に、荒木先生が描いたオリジナル超人、『マイキー・ザ・マイクマン』。

◆荒木先生が描いた『マイキー・ザ・マイクマン』

出身・大阪―日本
年齢・1905年生まれ
身長・25m
体重・未計測
超人パワー・データなし
弱点・たまにかむ
解説・リング上の照明ライトのところからスルスル降りてきて、「レディース&ジェントルメン! 青コーナー!」とか「赤コーナー!」とか、リングに乗った超人たちのデータをアナウンスしてくれる。そしてスルスルと上へ帰っていく、それだけの超人。
 ミュージシャンの「スティング」に声が似ている。友人はテリーマン。好きな食べ物はブタキムチ。ワイヤレスマイクに嫉妬している。

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