とある火影の転生録   作:ぼんてん

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アカデミー卒業

「これより話し合いを行います。うちはフガク様よりお願いします」

 

ここは木の葉の重役たちが集っている一室。先日のクーデター事件の反省から今日はうちは一族と木の葉の重役たちが話し合う場が設けられたのである。司会を行っているのはシスイとイタチ。

 

「我々うちは一族の中には里から隔離されているのではないかという不安を持つ者がいます。私としましても里の隅の方に追いやられて好きな場所に住むことができないと考えている一族が多いと思います。また木の葉の重役の中にうちは一族の者を入れていただきたく思っております」

 

「うむ・・・確かにそうじゃの。うちは一族を隔離しているような状態になっているのも確かじゃ。これからはうちは一族の者1人1人に好きな場所に住む権利を与えよう。また重役の件は・・・」

 

双方に信頼されている彼らが司会として見守りつつ、話し合いは進行していくのであった。しばらくして里にうちは一族の自由居住権が発表され、一族の中には集落から移り住む者が出始めた。また定期的に話し合いが行われるようになり、木の葉とうちは一族の溝は無くなりつつあった。木の葉警備隊であるうちは一族の士気も上がり、日向家誘拐事件などの事件を何の犠牲もなく解決することができ、里の人々からの信頼は厚くなった。

 

 

 

 

 

時は流れ、アカデミーの卒業試験の一週間前になった。シスイさんとの修行はイタチさんも含めて行うようになった。2人ともとても凄い忍なので、早く追いつけるように頑張りたい。ナルトは忍術が苦手みたいで、今までは1人で頑張ると言っていたんだけど僕が一緒に術の練習をすることにした。

 

「じゃあ、まずは変化の術からやってみよう。おじいちゃんに変化してみようか」

 

「わかったってばよ」

 

ナルトは印を組んでチャクラを込める。ボフンという音を立てて現れたのは・・・

 

「・・・・・」

 

「・・・・・」

 

ちょっと似てないかな。

 

「うん、一応雰囲気としては合ってると思うよ。次は唇と目を意識してやってみて」

 

「おう」

 

何回も練習してだんだん似てくるようになった。ナルトは自分で修正して変化の術をよりよくしていった。

 

「次は分身の術ね」

 

「え~!オレ分身の術好きじゃねーんだってばよ」

 

「だからこそだよ。分身の術はよく使うと思うから練習しておいた方がいいと思うんだ。僕も一緒にやるから頑張ろう」

 

「わかったってばよ・・・」

 

僕とナルトは同時に印を組む。ナルトの横に現れたのは抜け殻のようになっている分身体だった。

 

「やっぱ無理だってばよ」

 

「大丈夫だよ、まだ時間はあるから。変化の術みたいに何回も練習すれば上達するって」

 

「シュンがそういうなら・・・」

 

ちょっとふてくされた様子だけど、ナルトは術の練習を再開した。ナルトは印の形とかは完璧なんだけれど込めるチャクラの量を調節するのが苦手みたいだ。

 

 

 

 

 

あれから1週間経ち今日はいよいよアカデミーの卒業試験である。最終学年である今年は1年に3回試験があり、そのうちの1回でも合格すれば卒業できるというシステムである。ナルトは過去2回の試験に落ちてしまっているが、どれも惜しいラインで不合格になっているのでたくさん練習してきた今回なら多分合格すると思う。

 

「今から卒業試験を行う!試験内容は分身の術だ。呼ばれた者から順に別室に来るように!」

 

ナルトの担任の先生であるイルカ先生はそう言って教室を出て行った。イルカ先生はナルトを通して仲良くなった先生でナルトのことを思ってくれている良い先生だ。隣にいるナルトは凄く緊張しているようだ。何か声をかけて緊張をほぐさないと・・・。

 

「ナルト、大丈夫?」

 

「シュン、オレどうしよう・・・。よりにもよってオレの一番苦手な術だってばよ~」

 

「今まで練習してきたからいつも通りやれば大丈夫だよ」

 

「次、うずまきナルト!」

 

「!!・・・呼ばれたってばよ」

 

「頑張れナルト!」

 

「おう、ありがとなシュン」

 

名前を呼ばれてナルトは試験を行っている部屋に向かっていった。

 

 

 

 

 

「じゃあナルト、早速だが分身の術を見せてくれ」

 

「わかってばよ!」

 

イルカ先生に言われ、印を組む。凄い緊張してるけど、シュンのアドバイスの通りやれば大丈夫だってばよ。集中しろオレ・・・。

 

「分身の術!!」

≪ボフン≫

 

軽快な音と共に現れたのは不完全な分身だった。1週間前の抜け殻のような分身と比べたら進歩しているけれど、全然駄目だってばよ。これじゃあ・・・

 

「うずまきナルト・・・失格!」

 

「・・・・・」

 

わかっていたけど辛い・・・ごめんシュン、せっかく教えてくれたのに。ミズキ先生がイルカ先生に何か言っているけどショックが大きすぎて何も聞こえなかった。

 

 

 

 

 

試験が終わり、アカデミーの中は人ごみでいっぱいになっている。僕は受け取った額当てをカバンにしまいナルトを探した。しばらく探して、ブランコに乗っているナルトを見つけた。

 

「ナルト・・・」

 

「ごめんシュン・・・一緒に卒業できなかったってばよ」

 

「・・・・・」

 

「せっかくオレに教えてくれたのに・・・」

 

こういう時にどう声をかけたらいいのかわからない。ナルトの気持ちが痛いほどわかる。このままで居るわけにもいかないので一緒に帰ろうと声を発しようと思ったその時声が聞こえてきた。

 

「見て、あの子よ・・・。あの子だけ試験に落ちたらしいわよ」

 

「いい気味ね、なんたってあの子は・・・」

 

「しっ!その先は禁句よ」

 

ナルトが落ち込んでいるのにそんな言葉を追いうちのようにかけてくる人たちに対して、僕は激しい怒りを感じた。何故かは知らないけどナルトを悪く言うことは許さない。

 

「なんでそんなこと・・・」

 

僕が抗議しに行こうと思ったらナルトに腕を掴まれた。

 

「ナルト?」

 

「いいってばよ、シュン」

 

「だけど!」

 

「本当に大丈夫だから・・・」

 

ナルトの声が震えているのが分かった。僕はこの場所から急いで離れようとナルトの手を引いて家に向かった。家に着くなりナルトに1人にしてほしいと言われたので、僕は自分の部屋のベッドで寝転んでいる。今日はナルトが1人で整理できるように1人にして、明日気分転換のために2人でどこかに行こう。そんなことを考えているうちに、眠気が来て僕は眠ってしまった。

 

 

 

 

 

≪ドンドン≫

 

僕を眠りから覚ましたのは僕の部屋のドアを叩く音だった。なんだろう?疑問を感じながらドアを開けるとそこにいたのはイルカ先生だった。

 

「イルカ先生?」

 

「シュン、ナルトを知らないか!?」

 

「ナルトなら隣の部屋にいると思いますけど・・・どうしたんですか?」

 

「理由は移動している時に話すからナルトを探すのを手伝ってくれないか?」

 

「わかりました」

 

イルカ先生の様子からただ事ではないと察した僕は先生に協力することにした。

 

 

 

 

 

「ナルトが封印の書を!?」

 

「ああ、今里じゅうの大人たちがナルトを探しているんだ」

 

イルカ先生の話によると、ナルトが禁術の載っている巻物をおじいちゃんの家から持ち出したらしい。それで今里じゅうの人たちがナルトを探すために行動しているようだ。僕がちゃんとナルトの話を聞いていれば・・・。

 

「僕のせいだ・・・僕がちゃんとナルトの気持ちを分かっていれば・・・」

 

「それは違うぞシュン。そんなこと言ったらオレだってナルトのことに気が付いてやれなかった」

 

「イルカ先生・・・」

 

「反省は後だ、今はとにかくナルトを探そう。オレはこっちを探すからシュンはあっちを探してくれ」

 

「分かりました!」

 

森に入りイルカ先生と別れてナルトを探すことになった。しばらく探していると、ナルトの特徴的な金髪が目に入った。

 

「ナルト!」

 

「シュン!なんでここに!?」

 

「ナルト、里の人たちが探してるよ」

 

「え?なんでだってばよ?」

 

「それは・・・」

 

「ナルト!!」

 

さっき別れたイルカ先生が合流した。

 

「あ、鼻血ぶー見っけ!」

 

「馬鹿者!見つけたのはオレだ!」

 

「ナルト、今まで術の練習してたの?」

 

「へへ、そうだってばよ」

 

「なんでこんなことしたんだ?」

 

「ミズキ先生が教えてくれたんだってばよ!この巻物に載っている術を覚えれば合格間違いなしだって」

 

「イルカ先生・・・これは」

 

「ああ、まさかミズキが!!危ない」

 

イルカ先生が僕とナルトを突き飛ばした。驚いてイルカ先生の方を向くと、そこにはクナイが背中に刺さっているイルカ先生がいた。

 

「「イルカ先生!!」」

 

「よくナルトを見つけることができたなイルカ!もう1人いるようだが」

 

「ぐっ・・・ナルトをたぶらかしたのはお前か!ミズキ!!」

 

「ご名答!!」

 

そこにいたのは残酷な笑みを顔に張り付けたミズキ先生だった。




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