シスイさんと模擬戦を行った日から1ヶ月。その間シスイさんと出会うことは無く1人で黙々と修行を重ねていた。そして今日久しぶりにシスイさんとの修行を行うことができる。
「久しぶりだなシュン、最近会えなくてごめん」
「いえ、シスイさんも忙しいことはわかってるので大丈夫です」
「ありがとう。・・・今日はオレの使っている術を教えたいと思う」
「シスイさんの使っている術を!?」
「ああ。最近任務が忙しくてもしかしたらこれが最後の修行になってしまうかもしれないしな」
「そうなんですか・・・。わかりました!シスイさんの術を習得出来るように頑張ります」
「今日お前に教える術は瞬身の術と呼ばれる移動忍術だ。よく見とけよ」
シスイさんがそう言ったと思ったらいきなり姿が消えてしまった。
「え!?」
「シュンこっちだ」
後ろから声が聞こえたので振り向いてみると5メートルくらい離れたところにシスイさんが立っているのが見えた。
「今のが瞬身の術だ。これは体をチャクラで活性化させて移動する術でチャクラコントロールがとても大切になる。この上位の術には時空間忍術と呼ばれるものがあるが今はそれは置いておこう。最初は印を組んで体中にチャクラを均等に行き渡らせるんだ」
「はい!」
言われたとおりに印を組んで集中する。チャクラコントロールについてはシスイさんのお墨付きなので大丈夫だと思う。しばらくすると体に均一にチャクラを行き渡らせることができた。・・・足を使うから少し足の方を多めにしておこう。
「できました」
「よし、そのまま前方10メートルの場所を到達点と考えて移動するんだ。この術には得意不得意があるからできなくても気にするなよ」
「はい!」
シスイさんに言われたとおりチャクラを維持したまま前方に移動する!!
≪フッ≫
軽い浮遊感を感じて地面に着地する。・・・あたりを確認する。どうやら成功させることができたようだ。
「やった!」
僕は嬉しくなってシスイさんの方に振り返ると、なぜかシスイさんは大きく目を見開いて立ち止まっていた。
「どうしました?」
「どうしました?」
シュンがオレに向かって言葉を発してきているが、驚愕のあまり答えることができない。それほどシュンの瞬身の術の速度が速かったのだ。
さっき言った通り瞬身の術を含む移動系忍術は適正の有無が関係しているためそう簡単に習得することはできない。オレはシュンなら習得できるだろうと思って術のやり方を教えたわけだが、一発で成功させたことはもちろんその速度はオレの想像をはるかに超えていた。
「シュン、お前のその速さは・・・!?」
「え?どこか駄目なところがありましたか?」
「いや、術の完成度としては申し分ないんだが・・・」
オレ自身『瞬身のシスイ』と呼ばれていることもあって、その速度には自信を持っている。しかしシュンのそれはオレに勝るとも劣らぬものだったのだ。これから成長していくうえでさらにその速さには磨きが気がかかることだろう。シュンはオレの想像以上の忍になるかもしれないな・・・。
「・・・流石シュンだ、この技を一発で成功させるとはな。この技を使いこなせば相手の意表を突く形で行動できる。シュンの攻撃パターンに組み込んでみると面白いかもしれないな」
「ありがとうございます!シスイさんに追いつけるように頑張ります」
・・・その時、誰かが話しかけてきた。
「こんなところで何をやっているんだシスイ?」
「イタチ!?」
そこにいたのはオレの弟分であるうちはイタチだった。
いきなり僕たちのそばに人が現れた。どうやらシスイさんの知り合いらしい。
「イタチ、どうしてここに?」
「いや、お前が1人で森の中に入っていくのが見えたからな」
「ははは、ばれちまったか。実はそこのシュンの修行を見ていたんだ」
「そうだったのか。・・・君は三代目様の・・・」
「猿飛シュンです。よろしくお願いします」
「オレはうちはイタチだ。よろしくな」
「なんだイタチ、知ってたのか」
「ああ、ちょっとな・・・。それよりもシスイ、あのことで少し話がある」
「・・・!そうか。ごめんなシュン。今日はここまでだ。次はいつになるかわからないが、また機会があったらまた修行を見るから」
「はい!今までありがとうございました。シスイさんから教えてもらった術を使いこなせるように頑張ります」
「ああ、頑張れよ」
「すまない、シュン」
「大丈夫ですよイタチさん!」
「そう言ってもらえると助かる。じゃあなシュン」
「またなシュン!次に会った時に瞬身の術を見せてくれ」
「はい!ありがとうございました」
挨拶をかわし僕はシスイさんたちと別れた。何故か僕は言い知れぬ不安を感じていた。
あれから数日が経った。今日はいつも術の練習をしている森の演習場が使用されていたため、里の外れの方の森に向かっている。
「今日はついてないな。こんなに遠くまで来なきゃならないなんて」
僕はぶつぶつ呟きながら誰もいない道を進んでいく。しばらくして目的の場所に着いたと思ったらクナイのぶつかり合う音が聞こえてきた。
「ここも誰かが使ってるのか・・・!!」
とっさに隠れて様子をうかがう。僕の視界には6人の忍が戦っている光景が映っている。あれは6人でというより5対1に別れて戦っているようだ。しかも模擬戦とかの雰囲気じゃない・・・!!その時1人で戦っている人が瞬身の術で逃げていくのが見えた。その時僕は頭を金づちで殴られたような感覚を味わった。あの顔は・・・
「シスイさん!!」
「何を考えている?なぜオレの邪魔をする!!」
「お前の瞳術別天津神、それをクーデター阻止のために使うのは勿体ないと思っての。それが成功したとしてもうちは一族がいるだけでまた里に危害が及ぶだろう。だからワシがその写輪眼を有効に使ってやろうと思っていてな」
「お前、初めから・・・」
くそ、やはりダンゾウはそう簡単にやらせてくれないか。ここでオレがやられたらうちはの皆が・・・!
「これも木の葉の真なる平和のため・・・」
そう言うとダンゾウはオレの方に向かってきた。オレは十字剣で応戦する。
≪キン・・・キン≫
オレとダンゾウが戦っている音があたりに響く。ダンゾウがクナイを構えて迫ってきたのでオレは十字剣でそれを受け止め鍔迫り合いの状態になる。
「うおおおおお!」
「ぐっ」
どうにかダンゾウを弾き飛ばすことができた。老いていたとしても油断はできないな・・・。
「ハアッ・・・ハアッ流石はうちは1の手練れ・・・その名は伊達ではないか。ならば!」
ダンゾウが手で合図をするとさっきオレを襲ってきた暗部たちが草陰から出てきて大量の忍具をこちらに投げてきた。
「くそっ」
≪キキン、キン、キン、キン≫
オレがどうにか全ての忍具をクナイで弾き飛ばすとダンゾウの姿が見えなくなっている。
「なに!?いったいどこに?」
オレが背後に気配を感じて振り向くとそこにはオレとの距離を縮めているダンゾウがいた。ダンゾウの手がオレの右目の方へと向かってきて・・・・・
「ぐああああああっっ!!!」
鮮血が地面に零れ落ちた。
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