とある火影の転生録   作:ぼんてん

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二か月ぶりに更新することができました。


第一試験

室内に響いていた受験者たちがペンを走らせる音が小さくなった。今回の試験の内容は下忍の知識ではそう簡単に解けないようなものばっかりだ。

そろそろ気がついた者もいるだろう。この試験のやり方に。

 

「あと30分だ」

 

この試験のやり方に気がつかない者は、解けないプレッシャーに押しつぶされることだろう。気がついたとしても下手なやり方だと減点されていく。今年の受験者たちはどうやって試験を乗り越えていくのか楽しみだ。

・・・・・それにしてもあのピンク色の髪の毛の受験者と、一番後ろにいる黒髪の少年は一度も動揺することなくペンを動かしているな。まだ幼いのに大したものだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

ふう・・・そろそろ9問目まで解き終わるな。問題を見た時から思っていたけど、このテストはアカデミーまでの知識だけでは9問全部を解くことは難しいだろう。僕はおじいちゃんから教材を借りて中忍の内容まで勉強していたからわかるけど、ナルトは大丈夫だろうか。シイナもナツナもこの試験のやり方に気がついたようだけど、ナルトは頭を抱え込んでしまっている。・・・本当に大丈夫かな?

ナツナはどうやら普通に解いている人の書き方を写輪眼でコピーしているようだ。シイナは・・・いくら窓が開いてるからってそこまで強い風が他人のテスト用紙を飛ばすことはそうそうないよ・・・。ばれそうで怖い。

 

〈カッ〉

 

「っ!?」

 

「5回ミスった。失格だ。連れのやつを連れて退場しろ」

 

「くそっ」

 

受験者の机にクナイが投げつけられる。カンニングが失敗して点数が0になった受験者がまた1人また1人と退場していく。やり方に気がついても試験管の人に気がつかれるとダメらしい。これは情報取得能力を見ているってことかな。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「45分経過。これより第10問目の問題を発表する。しかしその前にお前たちに受けるか受けないかの選択をしてもらう」

 

あれから時間が経ち、イビキさんから10問目についての概要を伝えられる。イビキさんによると、10問目を受けてもし失敗した場合は持ち点が0になり二度と中忍試験を受けることができないらしい。逆に受けない場合は、即失格だが来年も中忍試験が受けられるということらしい。それを聞いて次々と受けないことを選んだ受験者が退場していく。僕たちはもちろん受けることを選んだ。

ピリピリとした空気が続く中、ナルトが手をあげた。ナルトが手をあげたことに驚いていると、さらに驚くことが起きた。

 

「なめんじゃねえ!!オレは逃げねえぞ!!もし一生下忍だったとしても意地でも火影になってやるから受けてやる!!」

 

ナルトが机にあげていた手を振り降ろして、堂々と宣言したんだ。ナルトらしいや。

ナルトの言葉が雰囲気を変えたのかその後は誰も受けないという選択をする受験者は出てこなかった。そしてイビキさんが口を開き・・・

 

「ここに残った全員に・・・第一の試験合格を申し渡す!!」

 

合格を貰った。

どうやらこの試験は情報を収集し秘匿することができるような意志を持っているかどうかや任務を受ける心構えを試していたらしい。イビキさんが額当てを取った時の拷問の跡には思わず驚いてしまった。

合格を言い渡されほっとしていると、外から誰かが接近してくるのが見えた。イビキさんめがけて向かっている。敵である可能性を考え、僕は窓を破って室内に突入してきた人に向かってクナイを投擲した。

 

「きゃっ」

 

そのクナイはその人の持ち物を捕らえて壁に縫いとめ、その持ち物に引っ張られたのか襲撃してきた人は体制を崩し転倒した。万が一に備えクナイを構えて、その人のことをよく見てみると、木の葉の額当てをしていることが分かった。

・・・・・もしかしてやっちゃった?

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「きゃっ」

 

オレは近くの窓を破って室内に入ってきたやつを見る。するとそこには持っていた横断幕を投擲されたクナイで壁に縫い止められ、その影響で体制を崩し床に尻をついているみたらしアンコがいた。

 

「ア、アンコ大丈夫か?」

 

オレは倒れたまま動かないアンコに声をかけるが返事はない。アンコの肩が震えているのはわかった。

 

「誰よ!!この私に向かってクナイを投げて来たの!?」

 

アンコはばっと立ち上がりクナイが投擲されたであろう場所を見て怒鳴る。どうやらせっかくの登場を邪魔されて怒っていたらしい。

 

「す、すみません。イビキさんを狙ってやってきた敵だと思い行動に移してしまいました」

 

すると一番後ろに座っていた、黒髪の少年が立ち上がる。・・・確かあいつはさっきの試験で、問題を普通に解いていたやつだ。あの反応速度に、行動に移す際の躊躇いの無さ。なかなか見どころのあるやつだ。

 

「ハハハハハ!!いや、良い反応だ。今のはこんな登場をしたこいつが悪いからな。気にすることはないぞ」

 

「ちょっと!!イビキそれどういうことよ!!」

 

「空気を読めってことだ」

 

「うっ・・・それは悪かったと思ってるわよ。そこの子も・・・気にしてないから座っていいわよ。だけどイビキ!28チームも残したの?今回の第一試験甘かったのね」

 

「いや、今回は見どころのあるやつが多くてな。こんな人数になってしまった」

 

先ほどの少年はもう一度謝罪の言葉を入れ席に座った。アンコの言う通り人数が多くなってしまったな。

 

「まあいいわ。次の第二の試験で半分以下にしてやるわよ。私の名前は、みたらしアンコ。第二試験の試験監督よ。詳しい説明は明日やるから、集合場所や時間は各々上忍の先生に聞いておくように。以上、解散!!」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

アンコさんの言葉で解散になり、ぞろぞろと部屋から人が出ていく中、僕はアンコさんのもとに向かっていた。先ほどのことをもう一度謝罪するためだ。

 

「アンコさん!」

 

「ん?あなたはさっきの・・・」

 

イビキさんと話していたアンコさんに声をかける。

 

「先ほどは本当にすみませんでした」

 

「いや、確かに私の登場の仕方も悪かったからいいわよ。だけどあの一瞬で私の動きを見切るなんてあなた中々やるじゃない」

 

「それはオレも思っていた。あの対処の速さで下忍だとは恐れ入る。やはり今年は優秀な奴が多い」

 

「いえ、そんなことは・・・」

 

「あなた名前は?」

 

「猿飛シュンです」

 

「ああ君が三代目様の・・・。道理で優秀なはずだ」

 

「猿飛シュンね・・・覚えたわ。さっきも紹介したけど私はみたらしアンコ。明日の試験官よ」

 

「よろしくお願いします」

 

その後は軽く雑談をして僕は部屋を出た。部屋の外で待っていたシイナとナツナに揶揄われてしまったのはしょうがない事だったのだろう。逆に僕のアパートの部屋に来たナルトには、凄いと感激されたので苦笑してしまった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

シュンが帰った後、試験会場に残ったイビキとアンコは話をしていた。

 

「あの子、普通の下忍の子たちとは違うわね」

 

「ああ、落ち着きがあってとても下忍とは思えない雰囲気を持っている。しかもこのテストを見てみろ。あいつは何も見ないで中忍レベルの問題を全部正解している」

 

「イビキの言った通り今年は期待できそうね」

 

「ああ」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

「ここが第二の試験会場。第44演習場、別名死の森よ。あなたたちにはここでサバイバルをしながら争ってもらうわ」

 

そして翌朝、中忍試験の第二試験が始まろうとしていた。




読んでいただきありがとうございます。

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