とある火影の転生録   作:ぼんてん

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ナルト

「よくこの場所が分かったな、イルカ!」

 

「なるほど、そういうことか・・・」

 

「大丈夫ですか!?イルカ先生!!」

 

イルカ先生はミズキ先生から投擲された手裏剣やクナイで怪我を負っている。ミズキ先生は何をしてるんだ・・・?

 

「ミズキ先生、何故イルカ先生を!?」

 

「邪魔だからだ。猿飛シュン・・・この状況を目撃したお前も後で始末してやるからな」

 

「あのさ、あのさ!どういうことだってばよ!?」

 

「ナルト、その巻物を渡せ!」

 

「ナルト、その巻物を渡すな!」

 

イルカ先生とミズキ先生がそれぞれ違うことを言っている。いくらアカデミー生の僕でもわかる。これは・・・。

 

「それは禁術が記されている巻物で、それを手に入れるためにお前を利用したんだ!」

 

「!!」

 

やっぱりそうか・・・。こんなことにナルトを利用するなんて・・・。

 

「ナルト!イルカはそれをお前が持つことを恐れているんだ」

 

「え!?」

 

「何を言っているんだミズキ!?ナルト早くこの場から離れろ!シュン一緒に逃げるんだ!」

 

「はい!」

 

混乱状態に陥っているナルトとイルカ先生の指示通りに逃げようと思ったらミズキ先生が驚くべきことを口にした。

 

「いいのかイルカ?お前の両親を殺した奴がこのまま育っていくんだぞ?」

 

「え・・・?」

 

ミズキ先生が口にした内容に思わず足が止まってしまう。ナルトに至っては目を見開いてミズキ先生の方を向いている。ナルトがイルカ先生の両親を殺した・・・!?

 

「ナルトは関係ない!シュン早くナルトを!」

 

「ククククク・・・本当のことを教えてやるよ。ナルト、シュン!」

 

「バカ止せ!」

 

「これを知ったらシュンも驚くだろうな。12年前の事件以来里にはある掟が作られたんだ」

 

ナルトも僕も逃げなきゃいけないってことはわかっているのだけど、金縛りにあったみたいにミズキ先生から目を離せない。

 

「ある掟・・・?」

 

「ミズキ止めろ!!」

 

「それはナルト!!お前の正体が化け狐だと口にしないという掟だ!!」

 

「え!?」

 

「ナルトが・・・?」

 

「つまりお前がイルカの両親を殺し里に壊滅的な被害を与えた化け狐なんだよ!!おかしいと思わなかったか?里の奴らが皆お前のことを煙たがっているのが!!」

 

「ミズキ!!」

 

里の人たちがナルトのことを煙たがっていた理由が分かった。でも僕は・・・!!

 

「どうせシュンもこの話を聞いてナルトから離れていくんだ・・・」

 

「そんなことない!!」

 

気づいたら口から大声が出ていた。ナルトもイルカ先生もミズキ先生もみんな僕のことを見ている。

 

「たとえナルトの正体が九尾だとしても僕がナルトから離れることなんてない!!」

 

「お前の両親も化け狐に殺されたから三代目の養子として生きていくことになったとしてもか?」

 

「それでも僕はナルトのことを親友だと思っている!!ナルトは人一倍寂しがり屋で、努力家で・・・何よりとても優しい心を持っている僕の大切な友達だ!!」

 

「シュン・・・」

 

「シュンの言う通りだな・・・。ナルトはこのオレが認めた優秀な生徒だ・・・。努力家で一途で・・・そのくせ誰にも認めてもらえなくて・・・。あいつは人の心の苦しみを知っている。ナルトは化け狐なんかじゃない!木の葉の里のうずまきナルトだ!!」

 

「イルカ先生・・・」

 

ナルトが巻物を抱えながらボロボロと涙をこぼしている。僕とイルカ先生はいつもナルトの味方だよ・・・。

 

「ハッ!!美しい愛情だな・・・。もういい・・・お前らを殺してから巻物を奪うことにするからよ!!死ねイルカ!!」

 

そう言ってミズキ先生は背中に背負っていた大型の手裏剣をイルカ先生に向かって投擲した。

 

「イルカ先生!!」

 

僕は瞬身の術を使ってイルカ先生の前まで移動して持っていたクナイで方向をそらす。ミズキ先生を抑えなければ・・・と思って前を向いた瞬間思わず笑みがこぼれた。ミズキ先生がナルトに蹴り飛ばされて宙を飛んでいたからだ。

 

「ナルト!!」

 

「やってくれるじゃねえか」

 

「イルカ先生に手だすんじゃねえよ!殺すぞ!!」

 

「てめえみたいなガキがほざくな!!お前なんて一発でぶち殺してやるよ!!」

 

「やってみろ!!」

 

そう言ってナルトが印を組む。あの印は・・・!?

 

「影分身の術!!」

≪ボボボボボボボボボボボ≫

 

「ナルト・・・その術は・・・」

 

音を立てて現れたのはたくさんのナルト。イルカ先生もとても驚いている。あんな数の影分身を出せるなんてナルトはやっぱり凄いな。

 

「なんだと!?」

 

「一発で殺せるんじゃなかったのか?・・・来ないならこっちから行くぞ!!」

 

「うああああああああ!!」

 

ナルトの出した影分身にミズキ先生は手も足も出ずにやられてしまった。

 

 

 

 

 

「えへへ・・・ちょっとやりすぎちゃったかな・・・。イルカ先生大丈夫か?」

 

「あ、ああ」

 

ナルトがミズキ先生の足元で頭を触りながら言った。僕はいてもたってもいられなくなってナルトの方に走っていく。

 

「ナルト!!やっぱりナルトは凄いよ!!」

 

「そうかな?・・・ありがとうだってばよ、シュン!!」

 

しばらくナルトと話しているとイルカ先生がナルトを呼んだ。

 

「ナルト!!こっちに来てくれないか?お前に渡したいものがあるんだ」

 

「え?」

 

「行ってきなよ、ナルト」

 

イルカ先生の意図が分かった僕はそっとナルトの背中を押す。ナルトがイルカ先生に額当てをまかれている姿を見て涙がポロポロとこぼれてきた。ナルト・・・良かったね。

 

「よし、もう目を開けてもいいぞ。卒業・・・おめでとう」

 

「イルカ先生!!」

 

感極まった様子のナルトがイルカ先生に抱き着く。ナ・・・ナルト、イルカ先生は怪我してるんだから・・・。

 

「ぐっ!!ナルト、オレ怪我してるんだぞ!!」

 

「ごめん、イルカ先生・・・。オレ嬉しくって」

 

「よし、今日はオレのおごりで合格祝いに一楽でも行くか!シュンも一緒に行くぞ!」

 

「はい!」

 

僕はナルトとイルカ先生と一緒に森の中を歩いていくのであった。




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