白龍皇と姉妹猫の大海賊時代   作:しろろ

8 / 11
おかしいな・・・・・こんな筈じゃなかったのに。


今回、ハイスクールD×Dからお一人参戦!
色々と繋がりに疑問を抱く人もいるかと思いますが、どうかお許しを。


8話 彼もまた同士

 

 

偉大なる航路(グランドライン)にぽつりと浮かぶ島。

そこには村が一つ、後は砂浜と森林、それに少し開けた場所がある。

 

海岸には2隻の船。

 

一つは俺達の船で、もう一つはスペードのマークに骸骨を描いた海賊旗を掲げる海賊船だ。

 

新聞を見ていなくても、この海賊船の持ち主の名前くらいは聞いたことがあるんじゃないか?

 

 

もしも知らない人がいるのなら、俺が教えよう。

 

 

彼はスペード海賊団船長『火拳のエース』。

凄まじいスピードでこの海に名を馳せ、王下七武海の勧誘を受ける程の実力者だ。

 

悪魔の実、最強種“自然系(ロギア)”の能力者であることも確認されている。

 

 

そして、シスコンまたはロリコンだ。

 

 

『最後のは余計だと思うぞ、ヴァーリ』

 

 

む、アルビオンが俺の解説に茶々を入れてくる。

 

今のどこが余計だと言うんだ。

かなり正確且つ分かりやすく彼について教えてあげているぞ・・・・。

 

それに、強ち間違ってる訳でもないだろう。

彼をよく見てみるといい、金髪幼女にデレデレじゃないか。

 

 

少し開けた場所で、俺達一行とスペード海賊団が向き合う形になっている。

 

俺の視線の先には、巫女装束姿の金髪幼女の頭をこれでもかと撫でている火拳のエースと、それを恨めしそうに眺めるスペード海賊団員10名。

 

『知りたくもない現実だ・・・・。久しぶりにまともな戦いが出来ると期待していたが、それ以前の問題だぞ・・・・・』

 

そう落ち込むな、アルビオン。

戦いになれば胸踊る高揚感に包まれるさ・・・・・たぶん。

 

 

本格的にアルビオンの力を使ってやらないと、ストレスでどうにかなってしまいそうで不安になる。

相棒として、早く解消してあげたい。

 

俺がアルビオンの心配をしていると、黒歌が隣で呼吸を荒くしていた。

 

「あぁ・・・・あの金髪ロリっ娘すごい可愛いにゃ。ぎゅっとしたいにゃぁ・・・・・私も撫で回したいにゃぁ」

 

「姉さま落ち着いて下さい。目が怖いです」

 

「ああ、俺も確かに可愛いと思うぞ。金髪というのもまた乙だ・・・・・って、痛いぞ白音。小指が砕けてしまう」

 

怪しい目付きの黒歌に同調して言ったら、白音に足の小指をグリグリと踏みつけられた。

 

「兄さまには私たちがいるじゃないですか。それともなんですか?白黒より金派ですか?」

 

おっと、白音がそっぽを向いてしまった。

 

頬をプクっと膨らませる姿が可愛すぎて何とも言えないが、取り敢えず小指から足を離してほしい。

 

普通に痛いんだ、これ。

 

「白音、冗談だ。冗談だから足を退けてくれ、そろそろ俺も辛いんだが・・・・・」

 

「じゃあ、あの娘より私の方が可愛いですか・・・?」

 

身長差から引き起こる白音の上目遣い。

踏む力は衰えていないが、顔には少し不安の色が見られる。

 

「はぁ、そんなの当たり前じゃないか。態々聞くことでもないだろう?」

 

「そ、そうですか・・・・自分から聞いておいて何ですけど、恥ずかしいです」

 

白音はうっすらと頬を赤らめて、踏みつけていた足を退かしてくれた。

 

獣人型じゃないのにあれ程の力が出せるとは、修行の賜物か、それとも嫉妬のパワーか・・・・・。

前者も喜ばしいが、後者でもお兄さんは嬉しいです。

 

 

さて。それにしても、こうして対面してるにも関わらずまるで緊張感の欠片も見当たらないのはなぜだ?

 

俺はてっきり、殺伐とした空気が蔓延るものだとばかり。

 

このままじゃ永遠に各自の世界に入ってしまいそうなので、取り敢えず声をかける。

 

「お楽しみの所すまない。結局のところ戦ってくれるのかどうかを教えてほしい」

 

そう言うと、火拳は撫でる手を止めて『おっと、こりゃ失礼』と詫びの一言を口にし、頭にあるテンガロンハットに手を置いた。

 

「俺は別に構わないぜ。お前は賞金首でも賞金稼ぎって訳じゃなさそうだが、関係ねぇ。向かってくる奴は相手してやるって決めてるからな」

 

「ははっ、そう言ってくれると信じていたよ。それに、君とは何か似通ったものを感じるんだ」

 

そう、彼を初めてこの目で見たときに一瞬で分かったんだ。『同士』だと。

 

「へぇ。と言うと、お前の連れ二人は妹か?お世辞にも似てるとは思えないが・・・・・まあ細かい事は気にしねぇ。妹は妹だからな」

 

「ああ、その通りだ。君の方も妹なのだろう?」

 

「おう、“九重”って言うんだ。訳あって俺の船に同伴させててな。どうだ可愛いだろ?」

 

火拳はニッと笑って、隣にいる九重と言う少女の頭をポンと撫でた。

 

「こ、子供扱いするなエース!九重はもう大人なのじゃ!」

 

「そうかそうか、九重は立派な大人だもんなー」

 

「むぅ・・・!全然分かっておらぬではないか!手を離せぇ!」

 

九重はブンブンと腕を振り回して火拳を叩こうとしているが、届かず。

 

かと言って、撫でている手を退かそうとしないのは嫌がっていない証拠だ。

 

ふむ、さっきから思ってたんだが、何だ・・・・・この違和感は?

 

彼女から感じられる力が普通とは大分違う。

どちらかと言うと、獣人型になった黒歌と白音に似ている。

 

『ヴァーリも気がついていたか。俺もそこの小娘を人目見て驚いたぞ。まさかこの世界にも“妖怪”がいるとはな』

 

 

━━━!?

 

 

それは本当か?

 

黒歌と白音が口にした悪魔の実『ネコネコの実“モデル猫又”』と同じ妖怪。

 

いや、あちらの方が生粋と言えるか。

 

妹たちはどうやらこの違和感に気づいていないらしい。まだまだ修行が足りないということか・・・・・。

 

 

 

「だあぁぁ!船長、もういい加減にしてくれよ!?暇さえあれば我らがアイドル九重ちゃんをベタベタと触りがって!!」

 

突如、船員の一人・・・・・名前がわからないからAでいいか。その船員Aが怒りを爆発させた。

 

それが誘発し、今度は船員Bも激昂する。

 

「そうだぞ船長!これから戦おうって時に一体何してやがんだバカヤロー!!俺だって撫でてぇよチクショォォ!!」

 

「ええい!この際、銀髪の兄ちゃんでも構わねぇ!頼むからこの腑抜けた船長を一捻りしてくれ!!」

 

 

「おい、お前らはどっちの味方なんだよ」

 

 

「「「「こっち」」」」

 

 

火拳の問いに、船員達は迷いなく俺の方を指差す。

 

おいおい、どれだけ日頃の鬱憤が溜まっているんだ。海賊の頭を即切り捨てるなんて考えられないぞ。

 

火拳は頬をひくつかせて歪な笑みを作る。

 

「いい度胸してるじゃねぇか。こいつとやり合った後・・・・・覚えとけよ?」

 

う、うん?

 

よくわからないが、いい感じに戦いのムードが出来上がってきているな。

 

此方としては願ったり叶ったりだ。

 

 

 

さあアルビオン、気合いを入れ直そう。

久しぶりの良い獲物だ。

 

火拳のエース。

願わくば、俺に禁手を使わせるくらいには楽しませてくれないと━━━━━

 

 

 

 

 

 

 

 

 

━━━━━すぐに終わらせてしまうぞ?

 

 

 






はい、エースさんに妹的存在を与えたかったんです。

エースファンの人にとって不満を抱くかもしれません・・・・・申し訳ないです。


▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。