白龍皇と姉妹猫の大海賊時代   作:しろろ

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初めまして、しろろです!

ふと、ヴァーリと姉妹猫をくっつけてONE PIECEの世界に入れたいな、と思って始めました!

処女作で駄文になると思いますが、よければ見ていってください!


原作二年前
1話 囚われの姉妹


 

 

ジョリーロジャーを掲げる1隻の船。その中には物置小屋とも捉えられるほどに薄暗く、不衛生な牢屋がある。

 

 

暗い。暗い。暗い。

 

 

天井から射す微かな光に縋るように、二人の姉妹が寄り添って互いを確かめ合う。

 

一方の白髪で小柄な少女が、細い腕を伸ばして隣に座る黒髪の少女の手を握る。

 

「・・・・・・姉さま」

 

「大丈夫にゃん、私が命に変えても守るから・・・・・!」

 

黒髪の少女は握られてきた手が震えていることに気付き、強く、それでいて優しく握り返す。

 

二人の体は見るに耐えないものだった。

 

十分に食事を取れていないためか体は痩せこけ、所々に痛々しい痣、髪はボサボサになっており服装もボロキレ同然のもの。

 

それでも姉妹は生きることを諦めてはいなかった。

 

いつかは此所から出られる。青い空の下で、二人一緒に幸せに過ごせる。

 

 

━━━━そう思って支え合ってきた。

 

 

 

 

▽▼▽

 

 

 

 

今日も変わらない。

 

碌に眠ることが出来ず、目を開けても辺り一面暗く、カビだらけ。唯一光をくれるのは天井にできた小さな穴。

 

1日に貰える食事は一度だけ。固くて不味いパンが一つと少量の水。

 

これは一人1つじゃない。二人で1つ。

 

こんなのじゃ少なすぎる、そう意見したくても貰えるだけ有り難いと思った方が良いのかも知れない。

 

私達はそれを何時も半分こにして食べている。

私はまだ元気だから多く食べていいよ、と言っても妹の白音は頑なに半分渡してくる。

 

優しい妹。白音だけが私の支え。

 

白音がいなかったら私はとっくに死を選んでいたと思う。

 

 

・・・・・・ああ、早く自由になりたい。

 

白音と二人でまたお日様を見たい。

 

二人でお風呂に入ってフカフカのベッドでお昼寝したい。

 

一緒にお出掛けをして美味しいものを食べて、可愛い服を着たい。

 

白音はどんな服を着るのかな?可愛いから何でも似合うよね。何たって、私の自慢の妹なんだから。

 

「黒歌姉さま、どうしたの?」

 

顔に出ていたのか、白音は小首を傾げて見上げてくる。

 

「ううん、何でもないにゃん」

 

私はそう言って、最愛の妹をそっと抱き締める。

 

今にも崩れてしまいそうな白くて華奢な体。女の子の体に有るまじき痣の数々が烙印のように存在する。

 

 

これ以上、傷つけさせはしない。

 

 

そう決意した時『・・・・ガチャ』と、扉が開く嫌な音が小さく響く。

 

白音は小刻みに震えて私の腕にしがみいてくる。

 

食事の時間にしては早すぎる。それとも、ストレス発散でまた暴力を?

 

頭の中でぐるぐると思考がごちゃ混ぜになって、パニックになってるのが自分でも分かる。しかし、これだけははっきりしている。

 

 

妹だけは守りきる・・・・・!

 

 

その一心で白音の背中に両手を回し、相手に背を向けるようにして抱き締めた。絶対に離さないよう、一人にしないように。

 

 

「何だここは?息が詰まりそうな場所だな・・・・・」

 

 

聞きなれない声。

 

何時もの男達のようなガサツで吐き気のするような声ではなく、少し幼げで、でも頼もしくて不思議と落ち着ける声。

 

 

「換気が必要だな」

 

 

恐ろしくて振り向くことが出来ないけど、後ろにいる彼はそう呟いた。

 

その瞬間

 

 

ドゴォォォォンッ!!!

 

 

激しい破壊音が天井の方から聞こえてきた。

 

鼓膜が破けてしまうんじゃないかと思うほどに強烈な騒音に、私は目をギュッと瞑って白音を強く抱き締める。

 

「ね、姉さま!」

 

「大丈夫!大丈夫だから!」

 

自分の口癖なんか頭から抜けてしまう。

 

兎に角、必死で『大丈夫』と唱え続ける。白音を安心させる為でもあるけど、もしかしたら私自身にも言ってるのかもしれない。

 

次第に騒音は止んでいき、辺りは静寂に包まれる。

 

先に口を開いたのは後ろにいる誰かだった。

 

「これでスッキリだな。それと、そこまで警戒しなくてもいいんだが・・・・・。俺は上にいた連中(・・・・・・)と手合わせをしただけだが、正直ガッカリだった」

 

困ったように笑みを含めてそう言った。

 

“上にいた連中”?

 

それってもしかして、私達を捕まえて監禁した海賊たちのこと・・・・・?

 

いや、でもあの場には百人くらいいた筈。一人で相手が出きる筈がない。

 

「姉さま・・・・・空が」

 

「え?」

 

不意に話しかけられて白音の顔を見ると、驚愕と感動が混ざったような表情をしていた。

 

その視線の先を追うように、私も上へ視線を向ける。

 

そこには、今までの闇などなかった。ただ青く、清々しい空。まるで蓋を取り外されたかのように天井が消失していた。

 

「う、そ・・・・・。空が・・・・・見える・・・・!」

 

海賊共に暴力を振るわれても涙は決して見せなかったけれど、今この瞬間だけは涙が勝手に流れてくる。

 

空なんて何時ぶりだろうか。1ヶ月?2ヶ月?それとももっと?

 

私と白音は、果てしなく続く青空を涙を流しながら見ていると、男は此方に近づいてくる。

 

そして、初めて男の姿を見た。

 

銀、その色がまず視界に飛び込んでくる。濃い銀色の髪が、短髪でもサラサラと風で靡く。

 

肌も今の私なんかよりずっと綺麗で、顔も凄く整ってる。思わず見とれてしまったくらいだ。

 

隣を見てみると、どうやら白音も見とれていたみたい。一目惚れしちゃったのかにゃん?

 

クスリと笑んでそんなことを考える。

 

あれ、いつの間にか震えが止まってる・・・・・。

 

彼を見ていただけなのに、どうしてここまで落ち着けるんだろう。不思議。

 

彼は牢屋の扉まで近づき、平然とした様子で無理やり抉じ開けた。

 

な、なんて無茶苦茶な力!

 

声には出さなかったが、意図も簡単にこの扉を壊すその姿に驚く他なかった。今まで私達を苦しめてきた牢屋がこうもあっさり破壊されるなんて・・・・・。

 

彼はどこから取り出したのか分からないが、2つの大きめの布を私たちに掛けてくれた。

 

「俺の名はヴァーリ。行くところが無ければ俺と来るか?」

 

「「えっ・・・?」」

 

一瞬で体が強ばる。それは白音も同じで、繋いでいる手からよく伝わってくる。

 

このヴァーリという少年に着いていけば、この地獄からはお去らばだけど、でも・・・・・・。

 

本当に信じてもいいのかな。今の今まで、それこそヴァーリが来るまで空を見られなかったけど、もし嘘だったら・・・・・・。

 

「姉さま、私、行きたいです」

 

ギュッと強く手を握って、白音はそう言った。

 

「・・・・・・白音」

 

「ヴァーリ、さんは悪い人じゃないと思います。それに、黒歌姉さまと一緒ならどこだって平気です!」

 

私の妹はあまり口数が多い訳じゃない。何時も私にくっついてくる可愛い妹だけど、今は自分の意思をはっきりと口にした。

 

それがどれだけ嬉しいことか。白音が決意したのだから、姉である私がウダウダしてられないにゃん。

 

「ありがとう、白音。わかったにゃん、私も一緒に連れてって欲しいにゃ!」

 

「わかった。そうと決まれば、まずは手足の枷を外さなきゃな」

 

ヴァーリはそう言って、悠然とした態度で私の両手に付いている枷に手を置く。

 

か、顔が近いにゃ・・・・・!

 

歳の近い異性と話すこと事態久しぶりなのに、ヴァーリみたいなイケメンが触ってきたら(枷だけど)嫌でも恥ずかしくなる。

 

うぅ・・・・・、心臓の音がうるさいにゃん!

 

「よし、次は妹の方だな」

 

「えっ!もう終わったの!?」

 

「ああ、それほど難しい作業じゃないよ。ちゃんと足も外してあるだろう?」

 

両手足を見てみると確かに枷は取り外されていた。若干手形がついてグニャリと変形してるけど。

 

「そ、それじゃあ、お願いします・・・・・」

 

白音は微かに頬を赤らめ、モジモジしながら両手を差し出す。

 

え、クソ可愛い・・・・・。

 

何にゃこれ!何の癒し動物にゃん!?

 

ちょ、ヴァーリは何で反応しないのにゃ?私が男だったら即効襲いかかってるレベルなのに!

 

「枷は外した訳だけど二人は立てるか?」

 

「う、うん」

 

私は少しよろけてしまったけど、立てない程ではなかった。しかし、白音は立とうとしても上手く力が入らずにへたり込んでしまう。

 

「そうか、なら・・・・・」

 

「にゃっ!?」

 

ヴァーリは流れるような動作で白音の膝裏と背に手を回し、軽々と持ち上げる。

 

そう、女の子なら誰しもが憧れるであろう“お姫様抱っこ”だ。

 

な、なんて羨まし・・・・・男らしい。白音は恥ずかしさで悶え死にそうになってるにゃん。そんな白音も捨てがたい!

 

「取り敢えず外に出ようか」

 

ヴァーリに続いて私も外へ出る。相変わらず白音は顔から湯気が出そうな程に真っ赤っか。両手で顔を隠してる姿が堪らなくそそるにゃん。

 

甲板に出てみると、それはもう地獄絵図だった。

 

百人近くいた海賊共は、あちらこちらで気絶して誰一人意識を保っている者はいない。

 

団子のように積み上げられたり、マストや甲板に頭から突き刺さってる者。更には、私たちが閉じ込められていた牢屋の真上に位置していた所は、大穴が出来ていた。

 

ほ、本当に一人で倒しちゃったのね・・・・・。もしかして、悪魔の実の能力者なのかにゃ?

 

私が視界に広がる光景に唖然としていると、ヴァーリは目を瞑って何かに集中し始める。

 

それは数秒で済み、彼は私を近くに呼び出す。

 

「準備が出来たから移動するよ」

 

「どこに行くにゃん?この船で移動するんじゃないの?」

 

「そんな手間は掛けてられないさ。ちょっと眩しいけど、我慢しててくれ」

 

ヴァーリの優しい蒼眼で私達を交互に見てそう言った。

その時ちょっとドキッとしたのは内緒にゃ・・・・・。

 

 

そして、私たちの足元に白い紋様入りのサークルが展開される。これが何か、ヴァーリに問おうとするけど、それよりも先に閃光が私達を包み込んだ。

 

 

 

 

▽▼▽

 

 

 

 

「え・・・・・・ここ、どこ?」

 

目映い光が止んだと思って眼を開けてみたら、まったく見たことの無い土地に移動していた。

 

海の上にいた筈なのに、今は暗くてじめっとして、お化けでも出そうな島にいるんですけど。何でにゃ?意味がわからないにゃん。

 

しかも、目の前には古さを感じる立派お城の門があるし。

 

ってか、お城!?

 

「聞きたいことはあるだろうけど、今は我慢して着いてきてくれ。入浴や着替え、食事の準備もしなきゃいけない」

 

「「お、お風呂!?」」

 

もしも、耳と尻尾があったらピーンと立ち上がりそうなくらいにテンションが上がる。

 

私と白音は牢屋に入れられてから、まともにお風呂には入れさせてくれなかった。女子として耐え難い事で、発狂しそうになるくらい。

 

「ヴァーリ!早く案内するにゃ!」

 

「ヴァーリさん!お風呂です!」

 

あまりの必死さに彼は私たちに気圧され気味だ。

 

しかし、それくらい今の私達にはお風呂が大事ってことなの!

 

ヴァーリを急かして浴場まで案内してもらった。

 

流石お城と言うべきだろうか。ここの浴場、大浴場は広い。広すぎて広すぎて困ってしまうほどに広い。

 

古びたお城の外装とは対照的に浴場は手入れが行き届いており、非常に清潔さが保たれている。

 

メイドか執事でも雇っているのだろうか?

 

 

━━━━と、今はそんなことよりも!!

 

 

「ひっさしぶりのお風呂にゃぁぁぁ!!!」

 

「お風呂お風呂お風呂・・・・・・!!」

 

 

あれ、白音立てないんじゃ・・・・・・?

 

ま、まあ細かいことは気にしちゃいけないにゃん。

 

 

 

それから、私達姉妹はシャワーで体を洗い流して湯に浸かっている訳だけど。何だかんだで二時間近くいるにゃ・・・・・。

 

シャワーで凄く時間掛かっちゃったし、仕方ないよね。

 

それにしても、本当に気持ちいい

 

 

「「にゃぁ・・・・」」

 

 

あ、ヴァーリにまだ自己紹介してなかった。

 

まあ、後ででいいにゃん。




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