今回の話は完全に架空の設定ですのでよろしくお願いします。
鞠莉ちゃん誕生日おめでとう!
俺の彼女には笑顔が良く似合う。いや、暗い顔が似合わないと言ってもよいだろう。しかし彼女が留学していた時は両親ですらこんなに眩しい笑顔は一度も見なかったらしい。
理由はわかっている。仲間達との夢を諦め、半ば無理やり留学という道を選んだからだ。誰だって本気で目指していた夢や目標を諦めることになったら悔しいし当分立ち直れないだろう。しかし、彼女はそれでも笑っていた。いや、彼女のことだ。無理にでも笑顔を作っていたのだろう。
日本に帰ってきて理事長になり、ダイヤさんや果南姉さんとの衝突を乗り越えて今に至る。そして彼女が本当の笑顔を取り戻した日に俺達は恋人となった。
それからの彼女は心の底から笑うようになった。幼馴染み達と共に一度捨てた夢をもう一度追いかけられるのが嬉しかったのだろう。それは勿論良いことだ。だが、俺には満足出来ないことが一つだけある。
それは俺が彼女の力になれていないことだ。
ダイヤさん達と衝突した時もそれっぽい事を言っただけで殆ど役にはたっていないと思うし、そもそも自信を持って彼女の力になれてると言えない時点でダメだと思う。
早くこのモヤモヤした気持ちをどうにかしなければな…俺はそう思いながら眠りについた。
─────────────────────
次の日、俺は鞠莉とデートに行く約束をしていた。正直こんなにモヤモヤした気持ちで鞠莉と会うのは失礼だと思っていたが向こうが無理やり店やら何やらを予約してきたので行くことになってしまった。
「今日はリューゴとこうやってデート出来て嬉しいわ。貴方は楽しいかしら?」
「あぁ、楽しいよ」
こんな悩みは誰にも言えない。こんな時に人を頼ることが出来ないなんて俺はやっぱり弱い人間なのかもしれないな…
「リューゴ、貴方…悩み事があるのね?」
「なんでそれを…?」
「貴方はわかりやすいのよ。自分では全然気づかれてないと思っててもね。多分私以外でも気づいてる人はいたと思うわ」
「そ、そうなのか…」
鞠莉の言う通り、自分ではバレてないと思っていたけどそうはいかなかったらしい。ポーカーフェイスはもう少し鍛えないといけないみたいだな。
「そうだな…俺は本当に鞠莉の力になれているのかなって思っただけだよ。俺は鞠莉が留学していた時のことは殆ど知らない。そんな人間の意見が本当に鞠莉の役にたつのかなとか思ったんだ…」
「リューゴ…」
「鞠莉がどんなに悩んでたのかも知らずに変なアドバイスばっかりしててすまなかった。全く役にたたなかったよな…」
言ってしまった…このことを言うだけで俺達の関係はどう変わってしまうのだろうか。鞠莉だったら大丈夫。きっと心のどこかでそう思ってしまっていたのだろう。俺は最悪の事態を覚悟して鞠莉の次の言葉を待った。
「そんなことないわよ!」
「鞠莉…」
「貴方のアドバイスが間違っていたことなんて一度もなかった。私は貴方のおかげでいつも通りの日々を取り戻せたの。だからそんなことを言わないで!」
「だけど俺は…」
「自分では何も出来ないと思っているのでしょう?だけどそれは大間違いなのよ。私もダイヤも果南も貴方に救われたんだから!」
俺の言葉で鞠莉だけでなくダイヤさんや果南姉さんも救われていた…正直自分の言葉にここまで影響力があるとは思わなかったから驚いたな。それに鞠莉は俺のおかげでいつも通りの日々が取り戻せたと言ってくれた。それだけで俺の悩みとか苦労が報われたような気がした。ありがとうの一言だけで全てが報われるってのは本当だったようだな。
「そうか…それならよかったよ…」
「ふふ、本当に貴方は手が掛かる子ね。そんなに自己評価を低くすることなんてないのに」
鞠莉の言うことがごもっともすぎて俺には返す言葉もございません…
「うっ…ごめん…」
「まぁ貴方のそういう自分に正直なところが可愛いかったりするんだけどね♪」
「いや、俺は男だし可愛いって言われても全く嬉しくないよ。それに俺よりも鞠莉の方が何倍も可愛いんだからね」
「かわっ…貴方っていつも唐突にそういうことを言うのね。まぁ別にいいんだけど///」
「ところで…今日はどうする?鞠莉がよければこのあと俺の家で朝まで…」
「うっ…貴方からそんなことを言われる日が来るなんてね…私は別にいいわよ。今日は絶対に貴方のことをメロメロにしちゃうんだから!」
「望むところだ。その前に俺が鞠莉をトロトロにしゃうんだけどね。精神的にも物理的にも…」
「ッ…!リューゴのバカ!」
この後は俺の家でまぁ…そんな感じの展開になった。俺達の平和な日常はこれからも当分の間続きそうだ。
To be continued…
時間がない中で無理やり仕上げたせいでクオリティが大幅に下がっています。時間がある時に加筆修正するつもりなのでよろしくお願いします。
それではまた。