ラブライブ!サンシャイン!!~未来への架け橋~   作:大天使

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こんにちは、大天使です。
健康には気を使っていたのですがインフルエンザになってしまいました…これからはもっと体調に気をつけます。




第14話 決意

「さて、俺もそろそろ決めなきゃな」

 

もう暗いということで今日の話し合いはここらでお開きとなった。だけど龍吾はまだ家には帰らずに千歌の家の前の砂浜で一人夜風に吹かれていた。

 

「あいつが決心したんだ。俺だって出来るさ」

 

龍吾は千歌がスクールアイドルを本気でやりたい理由がわかった。今まではなんとなくやりたいのではないのかと思っていたが彼は千歌の言葉を聞いてその考えを改めた。

 

「それよりも…梨子が心配だな…」

 

彼が気になったのは梨子のことだった。話し合いの時にふと思ったことだが、彼女には何か悩みがあるような気がしていた。その場で尋ねることはなかったが。

 

「…今度会える日に聞いてみるか」

 

龍吾は再び視線を海へと戻す。この広い海を見ていると自分の考えていることがちっぽけに見えてしまう。彼がそんなことを思っているとどこからかピアノの音が聞こえてきた。

 

「んっ…この音はなんだろう?」

 

千歌の家にはピアノが無い。ではどこから?彼にはその答えはすぐにわかった。千歌の隣の家から聞き覚えのある声が聞こえてきたからだ。

 

「この声は…」

 

─────────────────────

 

「ユメノトビラか…」

 

千歌の家での話し合いを終え、梨子も自分の家へと戻っていた。

 

「たしかにいい曲だけど…」

 

梨子はずっとピアノのことで悩んでいた。ピアノが嫌いだからではない。ピアノが心の底から好きだからこそ彼女は長い間悩み続けていたのだ。

 

(みんな、私と同じ普通の高校生なのにキラキラしてた!スクールアイドルってこんなにもキラキラ輝けるんだって!)

 

梨子は千歌が言っていたことを思い出した。梨子は千歌の言葉に勇気づけられていたのだ。

 

「…ううん、ずっと悩んでるだけじゃ駄目なんだ。少しだけ弾いてみようかな?」

 

梨子は静かにピアノの原盤の蓋を開くと、ゆっくりと丁寧に弾き始めた。

 

「……ユメノトビラ~ずっと探し続けた~君と僕との~繋がりを探してた~」

 

「……わぁ」

 

梨子はある人物の声にやっと気がついた。その人物は数時間前まで一緒に作業をしていた千歌だった。

 

「え?」

 

実は千歌と梨子の家はお隣さんだった。梨子はピアノの演奏に集中していたので千歌の存在に気づかなかったのだが、千歌は最初から梨子の演奏を聞いていたのだ。

 

「そこ梨子ちゃんの部屋だったんだね!」

 

「そ、そうだね。引っ越してきたばっかりで全然気がつかなかったよ」

 

「今の、ユメノトビラだよね!歌ってたよね!」

 

千歌は矢継ぎ早に梨子に尋ねた。しかし、梨子は何も答えずに俯いていた。

 

「私、どうしたらいいんだろう…何やっても楽しくなくて変われなくて…」

 

「だったらやってみない?スクールアイドル。」

 

何をやっても上手くいかない。そんな梨子に千歌が勧めたのはスクールアイドルだった。

 

「…駄目だよ。ピアノを諦めるわけにはいかないし…」

 

「やってみて、笑顔になれたら…変われたらまた弾いてみればいいと思うよ」

 

「…そんなの失礼だよ。本気でスクールアイドルをやろうとしているみんなに…」

 

「梨子ちゃんの力になれたら私は嬉しいよ。だって…みんなを笑顔にするのがスクールアイドルなんだから」

 

「千歌ちゃん!」

 

千歌は窓から身を乗り出して、梨子へと手を伸ばした。

 

「それって…すっごくステキなことだよ!」

 

「千歌ちゃん…」

 

梨子もベランダから少し身を乗り出して、千歌の手を取ろうとした。だがまだ届かない。

 

「流石に届かないね」

 

「待って!諦めちゃダメ!」

 

「でも…この距離じゃ…」

 

「初めから届かないって決めきゃダメ!まずは手を伸ばしてみて、悩むのはそれからでもいいんだから!」

 

千歌は更に窓から身を乗り出した。梨子も千歌の声を聞き、勇気を出して更に手を伸ばした。

 

「「あっ!」」

 

二人とも諦めずに手を伸ばし続け、ようやく手と手が届いた。

 

「千歌ちゃん!」

 

「梨子ちゃん…ようこそ!スクールアイドルへ!」

 

梨子はまだ涙を流していたが、その心の霧は既に晴れていた。その証拠に梨子の顔にさっきのような悲しい表情はもうなかった。

 

─────────────────────

 

「どうやら吹っ切れたみたいだな。本当によかったな…梨子」

 

龍吾は遠くから二人の様子をそっと見守っていた。この距離では二人が何を話しているかはわからないが、彼には伝わっていた。言葉なんていらない。二人の動作だけで十分だったのだ。

 

「よし、俺もあいつに伝えなきゃな」

 

そして龍吾はとある人物に電話をかけた。彼が出した結論を伝えるために。

 

「もしもし」

 

「もしもし、孝至か?」

 

「ああ、なんだ?」

 

「まず一言お前に言いたいことがある。今まですまなかったな」

 

「なんだ?別に何もしてないだろ」

 

「…やっと答えが出たよ。俺……お前達とバスケがしたい。後であいつらもにちゃんと謝ってもう一度。今度こそみんなで…仲間達と一緒に戦いたい!」

 

「……待っていたぜ。その言葉」

 

一人の少女がスクールアイドルになる決意をしたのとほぼ同時に一人の少年も大きな決心をしたのであった。

 

To be continued…

 




今回から少し書き方を変えてみます。
それではまた。

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