戦国†恋姫 混沌伝   作:ウィングゼロ

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第2話

美濃の国は日が落ち夜空が見え始めた頃信助は自身が眠りについていた部屋の端にもたれながらも信助が未来から着たことが発覚して詩乃が告げた言葉を思い返す。

 

 

(「まさか、あなたが未来から来たというのは俄に信じられないことですが、現に目の前にいること、これこそ百聞は一見にしかずとはこのことをいうのでしょう」)

 

そういってこれからどうしようと詩乃は頭を抱えていたが部屋から退室する際信助に向けて、目覚めたばかりなので無理はしないようにと釘を刺されて、信助は迷惑をかけるのを避けるために部屋から最小限でなかった。

 

「これからどうなるんだろう」

 

人に拾われはしたが信助はこの時代では身よりも何もなく、この時代を生きていくための知識すら持ち得ていない。

 

やはり、詩乃と呼ばれる少女と詩乃が言っていた安藤守就という人達のもとにいるべきなのかと信助が頭を悩ませる。

 

悩んでいると信助は目先のリュックサックに目がとどまる。

 

あれは信助が気絶する前に所持していた物ではあったが実際は他人の持ち物、あの場から勝手に持ってきてしまったのだ。

 

「…今更元にあった場所に返す…なんて無理だよな」

 

本来の持ち主は既に死んでしまい、あのような場所に置くのも下手をすればこの時代の人の手に渡ってしまうことになりかねない、そう思った信助はリュックサックの件は頭の中で保留しておくことにして片づけると部屋の外から足音が近づいてきていることに気がついた。

 

「信助殿、今よろしいでしょうか?」

 

「は、はい大丈夫です」

 

外から詩乃の声が聞こえてきて、信助は少し緊張して返答をすると襖を開け詩乃が部屋に入ってくる

 

「守就様がお帰りになり、信助殿にお会いしたいとのことなのでお迎えに参りました。」

 

丁重の言葉で信助にやってきた詩乃は説明をする。

 

「わかりました」

 

信助も二つ返事で了承し部屋をでて詩乃に連れられて屋敷の廊下を歩き、一室の前で止まる。

 

「守就様、高橋信助殿をお連れしました。」

 

「ええ、入ってきて」

 

部屋の襖の前で正座で部屋にいる守就に声をかけると直ぐに返事が返ってきて、守就の言葉を受けて詩乃は襖を開け、信助と共に部屋にへと入室する。

 

「詩乃、高橋信助殿を連れてきてありがとうね、さてと…あなたが高橋信助殿ね、私は安藤日向守就、斎藤家の家臣でここ、大垣城の城代をしているわ」

 

そう守就は優しい笑みを浮かべ信助に名前を教えると、信助は城代ならばやはり男と思っていたことや、優しい人であったことで緊張していたが自然に緊張が和らいだ。

 

「高橋信助です。倒れていたところを助けていただいてありがとうございます」

 

信助は助けてくれた守就に頭を下げ感謝を述べる。

 

「別にお礼を言われるほどのことじゃないわ、私はあの時あなたに興味があったから拾っただけだし、それとあなたの事情は全て詩乃から聞いたわ、まさか未来から来たなんてね…これも天からの贈り物なのかしらね」

 

既に信助の事情は詩乃から聞いていた守就は信助が天が使わした使いなのではないかと笑みを崩さずにそういう。

 

「天からの贈り物なんて、お…私はそんな大層な者では…」

 

「自惚れないのね、ねえ、君さえよければ私の元で働かないかしら?」

 

渡りに船…行く当てもなかった信助にとってはまさに、絶好の待遇で間違いは無かった。

 

「お、俺を…ですか?」

 

経緯などは守就にも耳に入っているがほとんど赤の他人と呼べる人物である信助に差し伸べられた手、無論信助も驚愕の表情をして私語を思わず溢してしまう。

 

「頑なにならなくていいわよ、いつも通り話してくれれば」

 

「は、はい、守就さんはどうして俺なんかを俺みたいな人は平民と何ら変わらないですよ?」

 

守就に言われたことで敬語をやめた信助は疑問である勧誘の理由を訪ねる。

 

「あなたは、そう思っているみたいだけど、それはあなたの時代でのことでしょ?けど、今のあなたは未来から来た天の使い、そして私達の知り得ない鉄砲を持っている…その未知の知識と武器を持っていると世が知ればどの家も喉から手がでるほど欲しがる人材なのよ」

 

信助の今の現状を詳しく説明をする守就に、信助は自身はそれほどの人物ではないのにと顔をしかめる。

 

「信助殿、その顔では納得がいかれていないようですが、自身の意思など関係なく、既にあなたは、国を…いいえこの日ノ本を変えてしまう大きな人物となってしまっているのです。」

 

それに付け足すように詩乃が信助が日ノ本を変えるほどの力を持っていると言いきり、信助はただ俯いて考える。

 

自身のことは自身で決めたいもしここで断ればいずれ他の勢力に無理矢理組み込まれ祭り上げられるのではないかとそう思考すると信助は顔を上げて口を開けた。

 

「…どちらにしても、俺には行く当てもつてもありません、守就さんのお誘い謹んでうけさせてもらいます」

 

これから先どうなるかわからないが、生き残るためにはこれが最良の選択であろうと信助は思い、守就の勧誘をうけた。

 

「それじゃあ決まりね、安心してあなたを斎藤家には渡さないから、今の斎藤家にあなたが天の御使いがいるとすれば間違いなく祭り上げられるから」

 

そう守就はいうと信助は斎藤家はなにやら不穏な気配があると気付く。

 

「あなたのことはそれほど特別扱いはしないから、そうね、通常はなら詩乃の小姓として働いてもらおうかしらね」

 

「も、守就さま!?」

 

信助に詩乃の小姓として働いてもらおうと微笑みながら告げると部屋にいる詩乃もなにも聞いてないからか驚きの声を上げる。

 

「詩乃もこれからは忙しくなるんだから独りぐらい直臣をつけなきゃ、信助くんは移住食の確保、詩乃は直臣の確保、ほら二人ともいいことでしょ?」 

 

「まあ、たしかにそうですが」

 

ニコニコと微笑みながら双方のメリットを話す、守就に詩乃も何も言えずにいる。

 

「それじゃあ、信助くんには明日から働いてもらうから、詩乃も信助くんに手伝ってもらおうだから仕事の内容はちゃんと教えるのよ」

 

「…わかりました」

 

「これからよろしくお願いします」

 

夜も遅く、仕事も明日からだと守就は二人に伝え、詩乃は渋々だが了承し信助はお世話になることからこれからお世話になる守就に深くお辞儀をするのであった。

 

 


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