堕ちてきた元契約者は何を刻むのか   作:トントン拍子

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 前回に引き続き日常回です。

 なお、今話はほぼ完全なオリジナル回となります。
 作者の独自考察、設定改変、ご都合主義、妄想等々が多分に含まれていますので両原作を知る読者の方々は注意して下さい。
 したがって今回、前半は読まなくても問題なし&後ろの部分だけ読んでいただければ十分でございます。

 すまない。何故かは分からないがメチャクチャ筆がノッてしまったんだ。本当にすまない。

 では、気楽にお読み下さい。


第二章二節 魔法

 

 

 

 意外、と言えば語弊があるだろうが(いくさ)のない魔女達の生活は結構()(ゆう)()(まま)だ。

 全員揃っての朝食を食べ終わると(おの)(おの)が炊事、洗濯、掃除、伝書鳩の世話などその日の担当の仕事に取りかかる。

 それが終われば後は各自がその時の気分によって行動するのだ。

 ある魔女は読書に(いそ)しみ、

 ある魔女は森を散策し、

 ある魔女は乗馬で遊び、

 ある魔女は己の魔法を研鑽する。

 

「【魔法球(スフィア)】?」

 

 そしてある魔女、いや俺とハリガンを含む数人はカイムの世界の魔法を本人から聞き出していた。

 

「そうだ。…発生した()()溜まりに己の魔力を付加(エンチャント)する事で、そいつだけが使える魔法球を作り出す。俺では傷を癒したり衝撃波を放つくらいしかできないが………使い捨ての(かん)()魔法とでも思っておけ」

 

 専門的な用語があるため()(しゃく)するのに多少四苦八苦している俺を置いてけぼりに、ハリガンは熱心に紙に筆を走らせながら時折その魔法の詳細や捕捉をカイムに(うなが)していた。

 カイムの方もハリガンからの問いに非常に面倒臭げに返している。

 事の始まりは3日前。

 俺達がカサンドラ軍を退けて三の砦に戻ってきた直後、

 

「今回の礼に何か欲しいものはないか?」

 

 というハリガンの言葉に俺とカイムが要望を伝えた時、話の流れでカイムがうっかり自分の世界の魔法に関して(げん)(きゅう)した事が原因だ。

 まあ、その後はお(さっ)しである。

 知識欲を刺激されたハリガンが良い機会だから教えてくれとせがみ出したのだ。

 当然の如く拒否するカイム。

 そこへ興味半分、悪乗り半分の俺が()(くつ)()()(くつ)(くち)(はっ)(ちょう)で今回限りと渋々納得させてハリガン以外からの質疑応答には答えない条件の下、その場にいたアイスにエレオノーザ、話を聞きつけたランジュの計六人で本日の昼飯までの一刻半(約三時間)、講義が開かれる(はこ)びとなった。

 

「ずいぶん便利だな」

 

「そうでもない。高位の魔術師でなければ採取も持ち運びも出来ないし、自然発生するなど(まれ)だ。俺が使っていたのは(ぐう)(はつ)的にできた人工のモノだ」

 

 嫌々ながらも律儀に答えを返しているのは後々聞き返えされるのが嫌で今のうちに(あら)(かた)を話してしまおうという魂胆なのだろう。

 もしくは、

 

「偶発的にできるとは?」

 

「単純だ。()()()()()()()()で発生する」

 

 それが戦に起因しているから、だ。

 空気が、少し張り詰める。

 

「俺のいた世界では戦場で敵味方の魔術師共が魔法を射ち合うなど珍しくなかった。殺すために魔法を射ち、身を守るために魔法を使う。……結果として大地や大気中の()()の濃度が上がり、そこに何らかの要因が混ざる事で魔素溜まりができ上がる」

 

「…例えば?」

 

「詳しくは知らない。だが、俺の場合は敵を殺した時に発生していたな」

 

 これまたずいぶんと物騒な話である。

 

「…………では、自然発生の場合はどうなる?」

 

 部屋に(ただよ)う空気を変えるため、ハリガンは言葉を(つむ)ぐ。

 

「分類上、自然発生と言ったが正しく言えば【妖精(フェアリー)】や【精霊(エレメンタル)】など、()()()()()()共が作ったモノを指す。奴等が(たくわ)えに作ったり、作ったはいいが放置した魔素溜まりがそれだ。人工に比べて純度も質も桁違いでな、治癒として使えば致命傷すら瞬時に癒すことができる」

 

「ほう、それはまた………………カイム、今、何と言った?」

 

「…聞いていなかったのか?妖精や精霊が「お主の世界では妖精や精霊が人前に姿を現すのか!?」………………」

 

 言葉を(さえぎ)りハリガンは身を乗り出してカイムへと詰め寄った。

 

「………話が()れる」

 

「少しくらいよいではないか!吾等の世界では━━━」

 

 カイムが目を瞑り、片手で頭を押さえ始める。指の隙間から見える眉間の皺の深さが内情を物語っていた。

 

(何か話す度に()()だからなぁ)

 

 御愁傷様、と胸の内で労いの言葉をかける。

 

(まあ、こうやって端から見ている分には飽きないが)

 

 二百人の軍隊を正面から相手取って退けた(いくさ)(おに)が一人の女に手を焼いている光景はどこか滑稽な面白さがある。

 閑話休題(それはそれとして)

 

(ハリガン………(あっ)(ぱれ)也)

 

 ちなみに今回カイムに質問できるのがハリガンだけとあって俺もアイス達も二人から少し後ろへ離れている。

 つまりはハリガンが身を乗り出すと必然的にこちらへ凶悪な(それ)を突きだす形となるのだ。

 

(眼福、まさに眼福!)

 

 その大きさは幾人もの丈夫な子を(やす)(やす)と産んでくれることを想像させ、見事な桃の曲線美は思わず頬擦りしてしまいたくなるような(みず)(みず)しい張りと柔らかさを誇っていた。

 指でつついてみたい、両手で撫で回してみたい、思う存分頬擦りしたい、何なら少し歯を立てて、

 

「…ナーガさん?」

 

 アイスが笑顔のまま、少し低い声で(たず)ねてきた。

 いや待て、待ってくれアイス。あんな凶器(もの)を見せられたら男なら誰だってそうなる。

 現にカイムだって目の前で揺らされている(おお)(だま)に、

 

(まったく見てねぇな………)

 

 爆乳(それ)に何の価値も無いかの様に、力説しているハリガンを頬杖しながら鬱陶しそうに睨みつけている。

 見ろよ。男の義務と使命にかけて。

 

「ところで今カイムが言ってた()()()()()()()()()()?ってのは何だ?」

 

 そんな葛藤など(おもて)に出さず、しれっとアイスに話題を振る。

 アイスも「まったく…」とジト目を向けてきたが、すぐに答えを返してくれた。

 

妖精(フェアリー)精霊(エレメンタル)、です。私達の知るそれと彼の知るそれが同じかは分かりませんが……そうですね、まず妖精から話しましょうか」

 

 そう言うとアイスは掌を出してきた。

 

「古い書物や伝聞では背に羽を生やしていて、手に乗れるくらいの小さな小人です。私達の様に魔法を行使する力を持ち、無邪気で善くも悪くも(いた)(ずら)好きな子供の様な性格をしていると言われていますね」

 

「話に聞くだけなら結構可愛らしいな」

 

「それがそうでもないんだよね」

 

 俺の感想に魔女の中でも珍しい(あか)(ぶち)眼鏡と一房に編み込んだ淡い若葉色の髪を前に流しているエレオノーザが合いの手を入れてきた。

 

「何でだ?」

 

「言ったでしょう?()()()()()()()()()()だと。その悪戯が時には人を殺めてしまう事があるのです」

 

 そして疑問にはアイスが答える。

 

「彼等にはその悪戯が面白いかどうかだけで人の生き死には関係がありません。例えば気まぐれに人を森の中で迷わせ、困っているのを楽しんだ後はその人を迷わせたまま放置してしまうのです。結果としてその人が獣に捕食されたり、餓死してしまったとしても、そこに何の興味も示しません。彼等の悪戯は()()()()()()()()のですから」

 

「…なるほど、そりゃあ厄介だ」

 

 興味のなくなった玩具を捨てる。それは正しく子供の様な気まぐれさだ。

 そんな理由で捨てられた(殺された)奴等はたまったものではないだろうが。

 

「だけど()()悪戯があるなら、()()悪戯もあるってことだよな?」

 

 俺の返しにアイスは頷く。

 

「その通りです。何らかの理由で気に入った人物へ妖精は吉凶を報せると言いわれています。その人の欲しているモノを盗んできたり、凶事を最悪の悪夢で見せたり」

 

「……それが善い悪戯か?」

 

「はい、あくまで【悪戯】ですから」

 

 何ともはや。

 

(はた)(めい)(わく)過ぎる………」

 

 自己中心の体現。

 刹那の快楽者。

 それが妖精に対する俺の印象だ。

 

「妖精がとんでもない厄介者だってことはよく分かった。じゃあ精霊ってのは?」

 

「精霊の方は、うーん……詳しく話すと長くなりますし」

 

 人差し指をアゴにおいて悩むアイスに、

 

「何も事細かに教える必要はないだろう?」

 

 今まで黙っていたランジュが助け船を出した。

 灰色に近い銀髪で毛先や両脇の(かん)(づか)が黒に染まっている。

 (なまめ)かしい体には墨の様な薄黒い布を貼りつけており、他の魔女達よりも質素な装飾も相まって体の線が完全に(あらわ)になっている。

 

「じゃあお願いしてもいいかしら?私だと長くなっちゃいそうだし」

 

「わかった」

 

 ランジュは頷くとこちらへ目を向け、淡々としながらも何処かのんびりとした口調で話し始めた。

 

「とりあえず大雑把に要約するので(てき)()質問で返してくれ」

 

「ああ」

 

 そう言って頷き返す。

 

「では、精霊とは火や風や水等が意思を持ち言語を介する存在、と言えば想像しやすいか?加えて我々魔女ともそれなりに関係がある」

 

「…それはちょっと大雑把すぎないかしら?」

 

 苦笑するアイスにランジュは首を振る。

 

「知識の無い者にはこれくらいが丁度良い。半端な知識は半端な勘違いになるだけだ。それならば彼からの質問に丁寧に答えた方が効率がいい」

 

(…なるほど)

 

 面と向かって話すのはこれが初めてだが、俺の中でランジュの評価が上がってゆく。

 

「それじゃあ質問だ。その精霊とやらは妖精と何が違うんだ?って言うかあんた等は見たことあるのか?」

 

 まずは根本的な所から問うことにした。

 

「一つめの問いだが、一番の違いはその在り方だろうな。妖精が【無邪気な子供】なら精霊は【無関心な調停者】と言ったところだ。妖精の違って特定の姿を持たず、余程の事がなければ人に関わろうともしない」

 

 こちらも話しを聞くだけなら無害そうだが、

 

「二つめに、わたし達は見たことがない。この黒い森でも妖精の悪戯とされる事件はここ数年何度かあったが、精霊が最後に姿を現したのは今から五十年ほど前の災害の直前だ」

 

「災害の直前ねぇ……もしかして「危ないから逃げろ」とでも警告しに来たのか?」

 

(おおむ)ね間違ってはいない。正確には()()()ではなく()()、もしくは()()()()()()()()()、だそうだ」

 

 半ば冗談で言ったのだがまさか当たるとは。

 

「警告してやるから何とかしろとはまた………自分達は何もしないのか?」

 

 その疑問にランジュは頷く。

 

「何もしない。彼等の懸念は災害によって住みかであるこの森が荒れ果ててしまう事。とは言っても自分達が死ぬ訳ではないし、最悪荒れ果ててもそれが癒えるまでの月日を待てばいい。極端に言えば災害によってわたし達が死んだり、何処かへ移住しても精霊にはどうでもいい事柄だ。警告しに来るのは()()()()()()()()()場合の時だけ」

 

 利害の一致。互いの住みかが荒れるのは困るから精霊は事前の情報を、魔女達は防ぐための行動を、か。

 

「にしては一方的過ぎ…ああ、だから【無関心】なのか」

 

「そうだ」

 

 妖精と同じく自己中心ではあるが、個人的には利害で行動する精霊(こちら)の方が好感が持てる。あくまで妖精比べたら、だが。

 

「精霊についてはよく分かった。でも、それとは別口であんた等と何か関係があるんだろ?」

 

「その通り。精霊は「それに精霊は吾等が(あが)める守護天の化身とも言われておるのだ!」」

 

 一際大きいハリガンの声に俺達は顔を向ける。

 

「そも、吾等の祖である偉大なる魔女エキドナは(あま)()の精霊達と()()し、(魔法)を授かったと言われておる。ああ、守護天というのは━━━」 

 

「…という訳だ」

 

「なるほどねぇ」

 

 ランジュの締めにそう(あい)(づち)を返す。

 カイムはというと、ハリガンの熱弁に不機嫌ではあるものの若干聞き入っている。

 現金と言えばそれまでだが、何か琴線に触れる内容があったのだろうか。

 閑話休題(それはそれとして)

 

「ハリガン、そろそろ話を元に戻した方がいい」

 

「ええい!よい所で邪魔をするな!」

 

「どこぞの(だい)(かん)かあんたは?いい加減にしないとカイムが本気でヘソを曲げるぞ?」

 

「む………」

 

 やっと大人しくなったハリガンに言葉を畳み掛ける。

 

()()()あくまでカイムの世界の魔法についてだ。もう昼飯まで時間もそんなにある訳じゃない。後々になって「聞きそびれた!」なんて後悔したくないだろ?」

 

 さりげなく今回という言葉を強調する。

 

「………それも、そうだな。…すまなかったなカイム。話を続けてくれ」

 

 俺の意図を察したのかハリガンは一つ咳払いをするとカイムに話の続きを促した。

 同じく意図を察したカイムは余計なことを言うなと言わんばかりにジト目で睨んでくる。

 

(助け船を出してやったんだからそれくらい良いだろ?)

 

 口元を歪めつつ、そんな風に肩を(すく)めて返してやる。

 それに俺は今回みたいにまた講義を()()とは言ってない。

 ()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()と匂わせただけだ。

 

()に言葉とは難解な(都合のいい)ものだ)

 

 そうして昼飯までの間、カイムの難儀は続くのであった。

 

 

 

 

 

━━━時を同じくして、とある森の小川の(ほとり)

 

 

 

 

 

「あー、気持ちいいー」

 

 足の先を水に浸け、むくんだ場所を揉みほぐしていく。

 

(毎度の事だけど朝から【()(くう)(てい)】に立ちっぱなしは疲れるわね)

 

 目的地である()()()()まであと1リーガ(約4.8キロメートル)。

 空も荒れる予兆はないし、この調子なら日暮れまでには一の砦に帰れるだろう。

 

「………」

 

 それにしても、本当にナーガ(あの男)が言った様なことが起こっているのだろうか。

 

 

 

━━━おそらく今頃カサンドラは近くの拠点に兵を集めているはずだ。それを確かめて来てほしい。

 

━━━頼むよ。何もなければ俺の臆病な思い過ごしってことで(わら)ってくれても構わない。

 

━━━それにユウキだって定期的にカサンドラの拠点へ偵察に行ってるんだろ?それが早まったと思ってくれればいい。

 

━━━何も今すぐって訳じゃない。十分に休養をとった三日後にチラッと見てきてくれ。

 

 

 

 ハリ姉やアイスと一緒に拝み倒されて、仕方なくここまで来たわけだが、

 

「………」

 

 いや、言い訳はよそう。

 漠然とだけど、あいつの、あの男共の言っていたことは当たっている予感がする。

 

「…ん?」

 

 ガサリと、草木を分ける音がした。

 視線を向けると薄汚れた野暮な男が三人、こちらに近寄ってきた。

 

「なんだよ、人影が見えたからどんな奴かと思ったらガキじゃねえか」

 

「だがよ結構な上玉だし飾りも立派だぜ?嬢ちゃん、こんな所で何してんだ?」

 

 こっちを気遣う様に声をかけて来るが、(まっと)うな村人には見えない。そもそもこの近くに村などなかったはずだ。

 

(剣が二人、ナイフが一人)

 

 持っている獲物を確認する。ちゃんと手入れもしていない古びたナマクラだ。

 

「…人と待ち合わせしてるの。長旅で疲れてるからほっといてくれない?」

 

 魔女であることを隠すため、今のあたしは旅の行商人のような格好をしている。といっても上部だけで外套の下はいつもの格好なのだが。

 

「こんな人っ気のない所でか?そいつは危ねぇな、ここら辺は最近野盗がでるんだ。俺達と一緒にいたほうがいいぜ?」

 

「くくく、そうそう特別に護衛してやるよ。報酬はその荷物でどうだ?」

 

「何なら退屈しのぎに気持ちい~いコトしてやるよ」

 

 それぞれ思い思いに好き勝手話し始める。

 

「………」

 

 しつこい様なら少し脅して追い払おうと思ったけど、男達が浮かべているその【()()】を見て、気が変わった。

 

「助かったわ。これ重くて大変だったの」

 

 作り笑いをしながら先頭の男へ木箱を差し出す。

 

「へへっ、物分かりがいいじゃねえか。……あ?何も入ってね

 

 

 

ぇ?」

 

 男の首が地面へと落ちる。

 

「……てめ━━━!」

 

 二人目の男の胴体の数ヶ所から血が零れ、沈む。

 

「ひ、ひぃ!な、なんだお前!?」

 

 瞬く間に仲間を殺され、残った一人が叫ぶ。

 

「何って、見て分からない?」

 

 声に感情を乗せず、掌に風刃を作ってみせた。

 

「!?ま、まま、魔女!?」

 

 男の顔がみるみる青ざめていく。

 

「だ、だれ━━━」

 

 こちらに背を向けて逃げ出した男へ風刃を飛ばし、仕留める。

 

「あーあ、ここ気に入ってたんだけどな………」

 

 そう呟いて返り血の付いた外套と木箱を捨て、立て掛けてあった飛空艇に乗り、空へ舞い上がった。

 景観が綺麗だから毎回休憩場所に使っていたのだが、今の騒ぎでしばらく近づけなくなってしまった。

 

「さてと」

 

 十分な高度に達したのを確認して再び人間の砦へと飛空艇を走らせる。

 

「………」

 

 脳裏にさっき殺した男達の笑みとカイム(あの男)の笑みが重なる。

 どうしようもなく下品で憎くて怖い、()()()()()()()奴等の笑みと重なる。

 

(………わかってる)

 

 頭ではわかっているのだ。目的が何であれ、ナーガとカイム(あの二人)は私達を助けてくれた事を、

 

(わかってるけど………)

 

 頭ではわかっているのだ。魔女は与えられた恩には必ず報いらねばならない事も、

 

(けど………だけど!)

 

 それでも心が否定する。信じるなと、騙されるなと、奴等も母さんを殺した奴等と一緒だと、

 

 

 

━━━男を(ゆる)すなと

 

 

 

(だから………これは使命)

 

 ハリ姉と一族のみんなを守るための使命。

 そう自分に言い訳す(言い聞かせ)る。

 

「………」

 

 そして今、目的地である人間の砦の真上から下を見下ろす。

 すでに砦には見えるだけで千人ほどの兵士がおり、周囲には多くの天幕が張られ、さらには奴等の国へと繋がる道からも馬や馬車に乗った兵士達が蟻の様に続々と集まって来ている。

 

「やっぱり、あいつの言う通りになった」

 

 しかも最悪の結果で。思わず歯を食い縛った。

 今、こんな大群に攻められたら勝てない。

 

「早くハリ姉に報せないと!」

 

 飛空艇を返し、全速力で()()()へ向かう。

 ふと、

 

 

 

━━━あの二人ならどう戦うのだろうか

 

 

 

 

 そんな考えが頭を(かす)め、風と一緒に何処かへ流れていった。




 見る人によっては今回のユウキはサイコパスっぽく見えるかもしれませんが、この世界の価値観は古代中世頃の価値観だと思って下さい。
 本人はネズミ退治した感覚なんです。

以下、とあるシーンのカイム視点

ハリガン「━━━━━━!」

アイス「━━━無邪気で善くも悪くも(いた)(ずら)好きな子供の様な性格をしていると言われていますね」

カイム(………………)

妖精『あー臭い、臭い、臭い!人間って何でこんなに臭いんだ?それに野蛮で愚図でどんくさいって良いとこ何もないじゃんかー。あれ?怒った?怒っちゃった?ごめんなさーい!俺ってホントの事しか言えないんでーす!キャハハハハ!あっそうだ、死ねば草木の肥料になるよ?良かったじゃーん!良いとこ見つかってさ!さっさと死ねば?』

カイム(…あながち間違ってはいない、か?)

 以上となります。次回もなるべく早く執筆できれば良いのですが………。

 では、また次回お会いしましょう。

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