兵藤家にやって来た主神オーディン様…。
アザゼル総督と共に自由奔放に過ごし、オカルト研究部のメンバーを振り回すのでしたわ……。
side幽々子
オーディン様とアザゼル先生が出ていって数分後……。
用も済み、私は帰路についていましたの。
その筈だったのだけど……。
「あれはいったい……」
そう思わずにはいられはないものが私の目の前にあるの……。
それは何か…?
答えはね…?
「何してるのかしら?あの霊…」
そう、私の目の前には心配そうに兵藤家のある部屋を見上げる霊の姿がありましたの……。
誰かの関係者なのかしら…折角だし、ちょっと声をかけてみましょうか。
「あの…どうなさいました…?」
『え…?』
sideout
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sideイッセー
おっす!俺、兵藤一誠です!
今俺の目の前ではちょっと面倒くさい事態が起きてるんだ。
「父親顔しないでよっ!だったら、どうしてあの時来てくれなかったの!?母様を見殺しにしたのはあなたじゃない!」
「………」
その言葉に黙ってしまうのは朱乃さんの父親であるバラキエルさん……。
そうなんだ、今の今まで朱乃さんとバラキエルさんが話をしてたんだよ。
それで俺の話題になったんだけど…その時に朱乃さんが俺のことを庇ってバラキエルさんを怒ってたんだ……。
バラキエルさんもバラキエルさんで父として何かしてあげたいみたいなんだけど……
それを口にしたところで朱乃さんがああして叫んだんだ。
普段見ない朱乃さんの態度に俺の方が驚いちまった。
そんな風にして様子を見てたとき……。
「えっと…イッセーちゃん?何してるの…?」
「へ…?」
慌てて振り返るとそこには連れた幽々子さんの姿があった……。
sideout
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side幽々子
「ゆ…幽々子先生…え?帰ったんじゃ……」
イッセーちゃんが訳がわからないと言いたそうな顔で問うてくる。
「えぇ、帰ろうとしたんだけどね…ちょっと野暮用が出来ちゃって…」
そう言って連れてきた霊を見る……。
その方は、心配そうに扉の中を見たまま……
この中にいるのね……。
「…失礼しますね」
霊の方を伴って中に入っていくと、そこには朱乃ちゃんとバラキエルがいたの……。
「幽々子先生…それにイッセーくんも…どうして…?」
「ある方にお願いされてね、こうして戻ってきたのよ…」
「ある方…?」
「…………」
不思議そうにする朱乃ちゃんと憮然とした表情のバラキエルさん。
私はその問いに答えるように私は能力を使い、連れてきたあの霊の方を実体化させる……。
「…!?あ、あなたは…!」
「朱璃…!」
『……久しぶりね、朱乃、あなた…』
「どうして母様が…幽々子先生と…?」
「この方にお願いされたのよ…朱乃ちゃんやバラキエルさん、あなた達に会わせ欲しいって…」
そう、こうなるのは少し前、帰路についていた私が声を掛けた霊は朱璃さん…。朱乃ちゃんのお母様その人でしたの……。
そこで話を聞いて私の正体を明かしたところ、朱乃ちゃん達に会わせて欲しいとお願いをされたの……。
私はそれに応えてそのお願いを叶えることにしたの……。
「私はここまでよ…後はあなた達に任せるわ…」
『えぇ、感謝します…。幽々子様…』
そうして私は部屋を後にして、三人が出てくるのを待つのでした……。