オーディン様達が出掛けてしまったので帰路についていた私こと西行寺幽々子……。
そこで謎の女幽霊、朱璃と出会う。
朱璃の願いを聞き、幽々子は再び兵藤家へと向かっていくのだった……。
sideイッセー
朱乃さん達の一件から翌日……。
俺達グレモリー眷簇はグレモリー家主催の冥界のイベントに主役として参加していた。
「今日は来てくれてありがとう」
「うん!おっぱいドラゴン!がんばってね!」
そう、そのイベントとは『乳龍帝 おっぱいドラゴン』の握手会イベントなんだ。
小さな子達が一生懸命握手してきて、それに応えて手を握ってサインを渡す。
それだけで子供達はとても嬉しそうに満面の笑みで受け取ってくれるんだ!
この光景を見ているだけで、俺は鎧の中で感動で声を出さずに泣いていた。
くっそぉぉぉぉぉおおおっ!むちゃくちゃ嬉しいじゃねえか!
俺、この子達のためにおっぱいドラゴンやっていくよ!
「スイッチ姫のおっぱい!スイッチ!ポチっと!」
「スペクターゴッデスもおっぱいおっきい!」
「きゃっ」
「あらあら…少しだけ触ってみる?」
俺の右側で同じくサインと握手をしていた部長から小さな悲鳴と、その左側でヒソヒソと子供に耳打ちしているシェリースペクターゴッデスの衣装に身を包んだ幽々子先生の声が聞こえた。
何かと思い見てみると、部長がいたずら小僧に乳をつつかれていた!
「コラアァァァアアッ!部長のおっぱいを触っちゃダメェェェッ!このおっぱいは俺のなの!ダメです!」
俺は泣きながら男の子に注意する。
というか幽々子先生、子供になに吹き込んでんすか!
「もう、イッセー。子供のやることに嫉妬してどうするの…。後で触らせてあげるから、落ち着きなさい」
「うふふ…良い機会だし、私のも触ってみる?」
部長が嘆息しながらそう言ってくれる。
うぅぅ…だって部長……。
部長のおっぱいが……。
はい、後で触らせてください……。
ってか幽々子先生マジですか!?ホントに触っちゃいますよ!?
部長や朱乃さんのは触ったことはあるが、幽々子先生のは触ったことはなかったんだ……。
背中に思いっきり押し付けてくれたことはあったけど……。
あの時の感想…?そうだな……。
凄く…柔らかかったです……。
はぁ……。でも、こんなことになるってことはスイッチ姫もシェリースペクターゴッデスも人気ってことなんだな。
あー、見れば木場のところに女の人がすげー並んでる。
う、うらやましいぃぃぃぃぃっ!
木場も番組内で敵役の『ダークネスナイト・ファング』となっていた。
格好も敵幹部の凛々しい鎧姿だ。
俺は本来あれを望んでいたんじゃないのか!子供の絶大な支持に最初の思惑か消えてしまったけど、俺が掴みたかった現実を木場が手にしていた。
いいもん!俺はどうせおっぱいドラゴンさ!
可愛らしい獣ルックの衣装を着る小猫ちゃんのところには大きなお友達が沢山並んでいた。
小猫ちゃんも『ヘルキャットちゃん』として、おっぱいドラゴンの三方役になっていた、
小猫ちゃん、嫌がらずに丁寧に対応してる。
プロだ!小猫ちゃんにプロ魂を見た!
きっと小猫ちゃんにはアイドルの素質があるのかもしれない!俺はその片鱗を垣間見た気がした。
そしてさっきも言ったけど、最後はやっぱり幽々子先生。
先生は言わずもがな『シェリースペクターゴッデス』として参加していた。
登場話数は今のところ二話だけなのだが、それでも絶大な人気を誇っている。
その勢いは俺こと『おっぱいドラゴン』を抜き去る程……。
子供からも大人からも絶大な支持を得ていた。
あまりの人気に、今度、『シェリースペクター・ゴッデス』主役の番組が出来るとかなんとか……。
格好は和装チックな良く絵本なんかに出てくる日本の神々の衣装を着ており、並ぶ人達は子供からお年寄りまで様々……。
まさか『シェリースペクター・ゴッデス』目当てでお年寄りまでこんなイベントに来るとは思ってもみなかったよ……。
幽々子先生は時折子供に妖艶な笑みを見せながら丁寧に並んでいる人達と接していた。
その姿があまりにも様になっていて、やっぱ凄い人なんだなってつくづく感じたよ。
そんなこともあり、握手イベントを一通りこなし、俺達は楽屋のテントへと戻っていった。
これにてイベントは終わり!俺達も任務完了だ!
sideout
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side幽々子
「あー…ちかれた」
楽屋に戻ってくると、イッセーちゃんが椅子に背を預けて座っていたわ。
鎧も解除していて、いつもの素の状態で伸びている。
今回は流石の私も疲れたわ……。
まさか『シェリースペクター・ゴッデス』があんなに人気だなんて思いもよらなかったんですもの……。
テレビの力って凄いのね…幻想郷にはないものだわ……
私が内心で驚いていると、スタッフがイッセーちゃんに近づいていった。
「イッセーさま、お疲れさまですわ」
そう言ってタオルを渡すのはレイヴェル・フェニックスさん。
何処かで聞いたことのある名前…?
えぇ、それもそのはず…。
彼女は以前私がイッセーちゃんに取り憑いて桜龍姫として戦って撃破したあの、焼き鳥ちゃん。ライザー・フェニックスさんの実の妹なんですもの。
レイヴェルさんはイッセーちゃんと楽しげに話を一通りすると、私の方へと近寄ってきたの。
「お疲れさまですわ、西行寺さま…あぁ!今日のお姿もなんてお美しいのでしょう!」
「あらあら、ありがとうレイヴェルさん」
レイヴェルさんは私にタオルを私すと、言葉の限り誉めたぎる。
理由を聞いてみたところ、以前の桜龍姫の戦いをみて惚れ込んでしまったとのこと……。
試しに一度、レイヴェルさんの前でイッセーちゃんに取り憑いて本物を見せてあげたら顔を真っ赤にして卒倒してたわ……。
あの人の妹なのにこんなに素直で可愛らしいなんて正直ビックリしてますの……。
でも、こう…人を崇拝するのはどうかと思うけれどね……。
その後は、レイヴェルさんに嫉妬した小猫ちゃんが私をレイヴェルさんと取り合ったりして一悶着があったわけだけど、そうして私達は人間界へと帰っていくのでしたわ。