The music of mind for twintail . 作:紅鮭
髪留めやプレゼント、表彰などによく使われる紐状の織物のことをいう。
中でもアウェアネスリボンを知ってるか?
身に着けることで支援の「姿勢」を表すことができるリボンだ。
レッドリボンやピンクリボンは有名どころかと思うが、ほかにもびっくりするくらいたくさんのリボンがある。
ということでざっと19種類まとめてみた。
みんなはいくつ知っていたかな?
レッドリボン …エイズ、飲酒運転撲滅
ピンクリボン …乳がんの予防・啓発
オレンジリボン …子どもの虐待
グリーンリボン …移植医療、植林
ブルーリボン …拉致問題解決
空色リボン …性同一性障害
イエローリボン …障害者の社会参加、平和、脱原発、戦地の自国兵への連帯
パープルリボン …DV、暴力根絶
ホワイトリボン …妊産婦の健康、平和、DV
ブラックリボン …哀悼、インターネット上の自由
ブラウンリボン …北方領土返還、禁煙
ピンク&ブルーリボン …死産、幼児死
ティール&ホワイトリボン …子宮頸がん
ティールリボン …卵巣がん
シルバーリボン …障害を持つ子供、パーキンソン病、精神疾患
ゴールドリボン …小児がん
うぐいすリボン …表現の自由
ジグソーリボン …自閉症
レインボーリボン …同性愛
───響輔の自室
ごくごく当たり前の子ども部屋。
一応、一族の重鎮に君臨しているテナーからすると、まるで囚人の牢獄にも見えるちっぽけな部屋──平均的な日本の自室としては普通の部屋。
~~♪!! ~~♪♪♪♪!!! ~~♪!!
「ッ!!」
『来たのか?奴らが』
「うん、来たよ」
『そうか』
中間テストに向けて勉強をしている響輔が何かに反応し立ち上がったのをテナーは感じ、アルティメギルがやってきたと確信する。
あれから毎日のようにアルティメギルのエレメリアンは襲来している─しかも律儀に一体ずつ。
響輔は幼い頃から疑問だった。
アニメや特撮の怪人も怪獣も、なぜ毎週一体ずつ出現するのか。
そんなめんどくさい事せず、人海戦術で押しつぶしたほうが早いのに。
アルティメギルにも戦いにおいてのルールがあるのだろうか?
と、そんなせんなきことを考えながら響輔が取り出したのは魔道具『帰城の鍵』。
壁さえあればどこからでもキャッスルドランへと帰還する事ができる魔道具の一つである。
それを自室の手頃な壁に近づけると鍵穴ができ、それに挿入し、回す。
すると部屋の壁から一人分通れるくらいの大きさで凝った装飾が目立つ木造の扉が、まるで水面から浮上するかの様に出現した。
鍵を回収し、その扉に入る。再び扉が閉ざされるとズブズブ…と壁に沈む様に消滅した。
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───キャッスルドラン・城内
キャッスルドランは亜空間を拠点とする。
亜空間には青い空に白い雲、浮遊する島が多数存在し、普段はその内の一つにグースカ寝息を立てている。
帰城の鍵はそのキャッスルドランに直接繋がっている。
「マルシルさん、アルティメギルだ」
「んっ!確かに次元震を観測してるね。響輔君かなりが性能いいかも」
響輔とテナーがキャッスルドランの居間に到着した時にマルシルは丁度水晶玉を広げている所だった。
「場所はどこだ?」
「ちょっと待って…えーと、郊外のハイキングコース」
「あいつら、ホント性懲りも無く出てくるわよねぇ…」
「毎日一体づつ来るからな。会社のノルマじゃあるめぇし」
ヴェディは面倒といった感じで寝転がり、キバットはマルシルと一緒に嫌々水晶を覗き見る。
「一体何だい?これは…」
マルシルが水晶を覗き込んだと思ったら、みるみるうちにその顔色が悪くなっていく。
「どうしたの?」
「今、そのエレメリアンとテイルレッドが戦っている。でもなんか……」
マルシルは歯切れが悪そうに口ごもり、水晶を皆に見せる。
「とりあえず見て」
そしてその水晶に映るのは等身大のテイルレッドの人形の手を取りながら優雅にダンスをしているキツネ怪人の姿と、その光景を見ながら絶叫しているテイルレッドの姿だった。
『うっぎゃあああああ!!』
跪いたレッドの絶叫が響く。
自分と全く同じ姿をした人形で体を弄られている様が本当に気持ち悪いみたいだ。
「「「「「は?」」」」
不意にそんな言葉が響輔達の口から漏れてしまった。
『ふっ……これ、走ってはいけませんよ。まだ身体が拭き終っていないのですから、湯冷めしてしまいますよ』
『想像の中で俺に何してんだ、てめえええええええ!!』
怪人は完全に自分の世界に入り込み、人形のテイルレッドと妄想劇を繰り広げている。
しかも、湯冷めとかの言葉からシチュエーション的に怪人は裸のテイルレッドで何かしているってことになる。
「何やってるの?コイツ」
「キモ、ち悪い…」
「これが噂に聞く、ダ◯チ…──」
ラモンや力やヴェディが嫌悪感を隠す様子もなく、キツネ怪人はなおも妄想劇を繰り広げ、響輔もゾクゾクと寒イボが立ってきた。。
幼女の裸体を想定しながら人形相手に意気揚々と話しかけている怪人にもう色々と痛いし気持ち悪すぎて別の意味で恐怖だ。それが第三者視点でもシチュエーションが容易に想像できるところが恐ろしく、おぞましい。
「どうやら今回のエレメリアンは肉体的な苦痛ではなく精神的な苦痛で攻めてくるタイプのようだな。これ以上放っておくと、テイルレッドの精神が持ちそうにない」
「何冷静に分析しているんだよ!次狼」
と、あくまで冷静な次狼にマルシルは呆れかえる。
精神面を攻めてくる変態怪人に皆が騒然とし、テナーも今回はスルーするだろうなと響輔は思っていると…
「よし!キバット、出陣の準備をしろ。ヴェディ、鎧の手入れとフエッスルの調律は出来ているだろうな」
「なんでテメェはそんなノリノリなんだよ!!?」
「それに完全に調子取り戻したわけじゃないんでしょ?」
士気を高めるみたいにテナーは声を張り上げた。
ノリノリだったのが意外なのかキバットがツッコミ、響輔が心配する。
「ふはは、まあな。だが、万全ではないからと言い、いつまでも引き籠もっては体が鈍るというものだ。心の共存には実戦が良いとマルシルはそう言った。ならば実行するまで!
「それでテイルレッドのところにはどうやって行けばいいの?」
「心配いらん、キャッスルドランが発射する」
「発射?発射って何?」
「ともかく
テナーの何気ないセリフが気になったが、問いただす前に響輔はテナーの中にしまわれ、勢いよく居間から廊下の方へと駆け出した。
遅れてキバットがテナーについて行く。
長い廊下を走る最中、壁の左右にある照明用の松明に篝火が灯り、テナーを導く。
「ガブッ!」
「テイルアップ…!」
テナーの全身に
光の繭に包み込まれたテイルファングはキャッスルドランの喉を通り、キャッスルドランはテイルファングに命じられた座標へと息を吐くかの様に発射された。
『うおおおおおおおあああああああああっ!!?』
「見たか!キャッスルドランで亜空間から一気に射出すれば地球の反対側どころか、太陽系の果てまで超空間移動で一瞬で移動できる!」
弾丸のように発射されたテイルファングは亜空間の壁を突き破り、一瞬でその座標の上空へと到達した。
◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇
「絵本を読んで差し上げましょう。……おやおや、甘えん坊さんですね」
キツネのエレメリアン──フォックスギルディの精神攻撃はクライマックスを迎える。
女性をとろけさせるような甘声でテイルレッドの人形をあやし、本物のレッドは敵の術中?にまんまとハマってしまっていた。
所詮は紛い物、そう何度自分に言い聞かせてもフォックスギルディの作り出した人形は紛い物の域を逸脱する一線を画した出来だ。
しかも、レッドはツインテールを守りし者──たとえ出来の悪い作り物でも自分の姿をしていなくても、その人形を壊すことはできなかったであろう。
「ここまでか……、俺のツインテールはこんなやつに負けてしまうのか?」
今まで味わったことのない精神攻撃に心がボロボロになり、息を絶え絶え、あと
「おや?もうおねむですか?では私と一緒に──」
「永眠するのは貴様一人だ!──
フォックスギルディの言葉を何者かが遮ったかと思うと、無数の蝙蝠の影がフォックスギルディめがけて飛んできた。
「ぐうおっ!な、なんですか!?この蝙蝠は!!」
「これって!」
テイルレッドはこの蝙蝠を知っている。
あのベルトの蝙蝠だ。
そしてレッドはツインテール特有の気配を感じ取る。
「全く、見ていられんお遊戯だ。そして貴様もだ、テイルレッド。あの時の生意気な意気込みはどうした?」
無数の蝙蝠の影が地面に染み込むようにして消えたかと思えば、レッドのすぐ傍であのハスキーボイスが頭上から聞こえる。
マクシーム空果で初めてレッドとして戦ったあの日以来の再会。ファングがいつの間にか隣で腕組みをして佇んでいた。
「テイルファング!!」
「あなたが……テイルファングですか!」
「そうだ」
「お初目お目にかかりますテイルファング。私の名はフォックスギルディ。ツインテールを象るに不可欠な
「なるほど、つまり奴のリボンで対象の身体データを測り、
「ああ、概ねその通りだ」
「なんつー無駄な能力だよ。ぜってー、戦闘用じゃねぇな」
『おーいテナ~、キバット~、アイツの話聴かなくていいの~?』
テイルファングという予想外のゲストに心踊ったのか向こうでフォックスギルディが舞台役者みたいに大仰な振る舞いで演説をしているが、ふたりは完全にシカトを決め込んだ。
「しかしな、テイルレッド。あんな人形一つで動きを封じられるとは情けない。人形とはいえツインテールを傷付けないのは立派だが、時と場合は考慮しろ。戦いに負けてしまっては意味がないぞ」
「いやだ」
テイルファングの忠告を真っ向から否定するテイルレッド。
「俺は…ツインテールだけは絶対に手に掛けない!」
「全く、融通の利かないやつだな。それに抵抗があるのは分かるが、その愚直な生き方は苦労するぞ?」
「だとしても──」
テイルファングのこの言葉にレッドが力強く反発した。
脅す様に睨みを効かせるもテイルレッドは怯むことなく宣言する。
「ツインテールを傷付けないのは、ツインテールを愛する俺の意地だ」
それを聞いてテイルファングは呆れた様に、そして嬉しそうに口元を上げて返した。
「……ならば貫けよ」
テイルファング──テナーもファンガイアの象徴たるツインテールを守る者として──ファンガイア族のチェックメイトファイブの一人として、決して譲れない矜持がある。
例え逆の立場でもテイルファングは決してツインテールは傷付けなかっただろう。
テイルレッドを試した結果、いい返答が聴けて彼女は今満悦している。
しかし、あちらの方はだんだんと耳障りになってきたのでテイルファングはテイルレッドからフォックスギルディの方へ視線を戻す。
「獣畜生、この私が来た事が僥倖だと?それは断じてない──災難だ。私が来て貴様の敗北は絶対となった」
「ふふっ、そうですか。それは大層な自信です。それに、テイルレッドがピンチとなって颯爽と現れた──あなたもツインテールを愛するものとして、仲間のテイルレッドを放っておけなかったのでしょうね」
「……もう一つ、勘違いだ──テイルレッドは仲間ではない」
「えっ!?」
『えっ!!?』
テイルレッドと響輔は同時に驚いた。
「利害一致の共闘だ」
「ほう、そうですか。しかし、私はなんとなくわかりますよ。あなたのその冷徹な仮面の下には『何か』が隠されていることに」
「……………」
テイルレッドは見た。
フォックスギルディのその言葉にファングが一瞬目を強ばらせるのを。
「ですが、その前に──我がアルティメギルでも詳細が明らかとなっていないテイルファング!その
テイルレッドの人形を作り出したフォックスギルディのリボンがテイルファング目掛けて放たれた。
「
後一瞬でリボンがテイルファングへ到達しようとしたその時、地面から黒い影が具現化し、そのリボンを腕に絡ませた。
それはテイルファング全身の影が立体化した分身。テイルファングを墨で真っ黒に塗りつぶしたかのような影そのものの分身だった。
「人形を作ることができるのは、何も貴様だけではない!」
その言葉が終わるのと同時に
「なんですとっ!?…ぐほあっ!!」
予想外の行動にフォックスギルディは面をくらう。
リボンにわざと絡まるも、足だけが自由な
フォックスギルディは蹴り飛ばされ、
「便利な能力だな」
「私の
テイルレッドがテイルファングの能力に感心している間に、テイルファングは両手を広げ腰を落とした様なファイティングポーズを取るとフォックスギルディに驚異の瞬発力で一気に距離を詰め、手を伸ばした。
「貰ったぞ!」
しかし、フォックスギルディはテイルファングの手が届く寸前、咄嗟に体勢を立て直し、テイルレッドの人形をかかえて距離を取る。
「ふふふっ、流石テイルファング。身持ちが固いですね」
「身持ちが固い言うな」
「人形を抱えているくせに機敏に動くぞコイツ」
再びテイルファングはフォックスギルディに向かって走り出し、再び手を伸ばす。だが、それさえもフォックスギルディ躱し、またしてもテイルファングの手は空を切る。
テイルファングがフォックスギルディ目掛けて手を伸ばし、フォックスギルディがそれを避ける、そのイタチゴッコを繰り返す。
テイルレッドもフォックスギルディもその単調な攻撃に違和感を感じ始めた。
「あなた、さっきから私を攻撃していませんね」
「………」
テイルファングは何も答えない。
「やはりツインテールを愛する戦士。あなたもテイルレッドと同じくツインテールを傷付ける事はせず、まずは私から人形を奪い取ろうというわけですね」
「そうなのか?テイルファング」
「………」
テイルレッドの問いにも答えない。
「その殊勝な心掛けは大したものですが、それではいつまでたっても決着がつきませんよ」
「ではそれを置く事を勧める。そうすれば今すぐ決着がつくぞ──まさか貴様、ツインテールを盾にしようなどとは考えてはいまいな?そんな事を一寸ばかりでも考えていようものなら…死ぬ前にいくらか苦しむ事になるぞ?」
脅しなどではない本気の声色。
「愚問ですね。あなた方がツインテールを愛すると同じように、我が
「………………」
フォックスギルディも本気の言葉で返す。
負けを認めてけれればいい。戦わずに勝てるならその方がいいのだ。
勝手に自分が不利だと思い込んで、精神的に折れてくれれたら──紳士な彼としてはそのほうがいい。力比べなどは彼の好むことではないのだ。
テイルファングもこのままでは埒が明かないとみたのか、しばらく無言の
「テイルレッド、業腹だが
まだ本調子ではないテイルファングはテイルレッドに共戦を持ちかけた。
だがその顔は忌々しさなどは微塵もなく、むしろ楽しげに誘っている。
まるで一緒にTVゲームをしようとコントローラーを差し出す子供みたいで。
「いいぜ」
当然、それを断る理由などない。嬉しそうにテイルファングの隣に立ち並ぶテイルレッド。
一瞬互いに視線を交わし、互いのツインテールが触れ合うと同時に二人は左右へ交差しながらフォックスギルディへ向けて駆け、一気に距離を詰める。
左右からの同時攻撃かと思いきや、一瞬早くテイルレッドがフォックスギルディ目掛けて剣を振り下ろす。
それをフォックスギルディは後方へ跳び回避した。
しかし、テイルレッドの攻撃はあくまで牽制──本命はその背後に回り込んだテイルファング。
「頂いた!」
だがテイルファングの腕が伸び、爪がフォックスギルディへ炸裂する直前、フォックスギルディは真横へ直進した。
「むっ!?」
よく見るとフォックスギルディはいつの間にか手からリボンを射出、離れた場所の地面へと突き刺し、高速で巻き取ることにより急な方向転換を可能としたのだ。
「くっ!躱されたか」
「いや、想定内だ。続けるぞ」
今度はフォックスギルディの周囲を高速で周回し、少しずつ距離を縮めテイルファングの拳とテイルレッドの剣─ブレイザーブレイドで挟み撃ち。
しかし、その攻撃もまるで人形とワルツを踊るかの如く躱した。
「人形抱えながらでも動きに無駄がねぇぞコイツ!」
「無駄がなさすぎて逆に腹ただしいわ!」
「おやおや、いきなりおおいかぶさってきて…寝相の悪い子ですねぇ……」
「しかも、戦いながら妄想にふけってやがる!」
「マジでやめろよおおおお!頼むからよおおおお!戦いに集中させろよおおおおっ!!」
「おのれぇ!戦いの最中にも関わらず、テイルレッドの精神を乱し、集中力と戦意を削ぐ作戦に出るとは…実に小癪な奴め」
『絶対違うと思う』
フォックスギルディの妄想劇の前に戦意喪失寸前なのだが、テイルレッドは手前の根性で何とか戦いに集中する。
即席のコンビネーションはガタガタになりやすい。
打ち合わせもなければなおさらだ。
主にテイルレッドがブレイザーブレイドで牽制し、その隙にテイルファングが手を伸ばし人形を奪い取ろうとする戦法。
テイルレッドもテイルファングも互の思考を読み合っているような息の合った戦闘スタイル。
「この!」
フォックスギルディも二人の動きを封じようと、体中に巻かれたリボンを一斉に射出し反撃を試みるも、そのリボンはブレイザーブレイドの斬撃により切り刻まれた。
その隙にテイルファングが滑り込むようにフォックスギルディの脇をすり抜け、一瞬の内に後方へ。
正面のテイルレッドはフォックスギルディがよそ見をしている隙に上空へと跳び、両腰のブースターで加速しながらブレイザーブレイドを振り下ろす。
「まだまだっ!!」
しかし、フォックスギルディもまたその場から後ろへと跳び、躱す。
空振ったブレイザーブレイドはそのまま地面を穿ち、砂埃を巻き上げ、視界を奪う。
「くっ!!なんというコンビネーション。ですが、私の命に代えてもこの
すると突然、フォックスギルディの人形を抱いていない左腕と腹部に黒い帯状のものが絡み付いた。
「こ、これは!?」
「これが私のリボンだ」
フォックスギルディが手からリボンを射出したみたいに、ガントレッドに付いているシール・ブレスレッドの袖から新体操のリボンみたいな
「踏ん張りのきかない空中ではどうすることもできまい」
片足のヒールを杭みたいに地面に固定し、それを軸としてテイルファングは遊園地の乗り物の如く回転。遠心力で人形を手放せようとしてもフォックスギルディはまだ粘る。
「このキツネ野郎が!!─ガブッ!!」
「あ痛ァッ!!」
見かねたキバットがバックルを離れ、フォックスギルディの右腕に噛み付く。
フォックスギルディはその痛みに悲鳴を上げて、思わずテイルレッドの人形を手放し、宙を舞う。
「
先ほどの影分身がまた出現、落下地点でテイルレッド人形を人形をうまくキャッチした。
「とどめは譲るぞ」
仕上げと言わんばかりにテイルレッド目掛けて、フォックスギルディを放り出す。
「ぬぉああああああああああああ!」
「オーラピラーッ!!」
フォックスギルディに目掛けて噴出されたその炎はフォックスギルディの前で爆発し、螺旋状に取り付き、円柱に変化していく。それによってフォックスギルディは拘束され、身動きが一切できなくなる。
テイルレッドのオーラピラーが空中にいるフォックスギルディを拘束し、ブレイザーブレイドを構える。
「
テイルレッドの声と共にブレイザーブレイドの力が完全開放され、刀身に炎が弾ける。
「うおおおおお!!」
そしてテイルレッドは背中の噴射口から炎を噴き、フォックスギルディに向けて突撃する。
剣もそれに応えるかのように、変形、炎を最大限に纏っていく。
そして、フォックスギルディを捉えている円柱を剣が切り裂いた。
「グランドブレイザーッ!!!」
これこそがテイルレッドの奥義『グランドブレイザー』……極大の炎で相手を切り裂く必殺技である。
グランドブレイザーの炎の刃がフォックスギルディを両断した。
「ぐああああああ……!テイルファングのリボンに絡まれ、テイルレッドのリボンに両断される──私にとってこれ程誉れ高き終わりがありましょうか………最後に夢、を……!──また、服を着ないで……風邪を引いてしまいま………な、なるほど!リボンにそのような使い方、がああああああああああ!!」
フォックスギルディは満足げに笑い爆散した。
多分最期まで心の中のテイルレッドには服を着せずに。
□■□■□■□■□■□■□■□■□■
「ふむ、まずまずだな」
「テイルファング!」
フォックスギルディを倒し、ツインテールをかき上げて一息ついているテイルファングにテイルレッドが後ろから声を掛ける。
ふと振り返るとテイルレッドがいた。
「ありがとうな…」
「……別に
屈託の無い笑顔でお礼を言うテイルレッド、対してテイルファングは始終無表情だがどことなく嬉しそうな雰囲気でお礼はいらないと言わんばかりに短く返答し、その場から立ち去ろうとした。
と、その時──
「そこまでよ!変態!!」
「「ッ!!?」」
新たな声がその場に響き、青い人影が雷の如く、その場に参上してきた。
そこにいたのはテイルレッドと酷似した少々露出度が高めの青いアーマースーツを身に纏った十代半ばの青髪の少女であった。
「また新たな敵か?とりあえず何者だ、貴様──ん?どうした、テイルレッド」
「…………─────ッ!!」
新たな乱入者に警戒を強めるテイルファング。
ふと隣にいたテイルレッドを見てみるとその乱入者に警戒しているというより、驚いて目を丸くしているといった感じだった。
「って、あれ?あの変態怪人は?」
向こうの青い少女も今この事態を把握出来ていないみたいだった。
次回、「The music of mind for twintail .」は──
「そんな薄っぺらな身体で私をどうにかできると思うのか?」
「あらそう?だったらあんたのも削ぎ落としてやるわっ!」
「なんだよこれええぇええぇぇぇぇぇ!!!」
「へぇ、まさかあんたがこんな辺境の地にいるとはねぇ……
──ヴァンパイアギルディ隊長」
『ワイルド・ブルー─テイルファングVSテイルブルー』
テイル・アップ──運命のツインテールを今結べ!!