俺のこんな学校生活も悪くない   作:天然水いろはす

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天然水いろはすです!!
久しぶり投稿です。


比企谷八幡の過去⑤

俺は昨日の疲れもあってか目が覚めたのは昼過ぎだった。

 

「ふぁぁ……よく寝た。学校に行かないで休むのは幸せだな。はぁ……このままずっと休みたい」

 

幸せって言っても、やる事ないし暇だな。暇つぶしに本をを読むにしても、昨日全部読み終わったしなー

 

「おはよう、比企谷くん。主席の君がそんな事を言うなんて、お姉さん感心しないぞ♪」

 

「そうは言ってもですね、不本意ながら主席になった俺でも休みたい時は休みたいものなn……」

 

え?なんで雪ノ下さんがいるの?

 

「なんで雪ノ下さんがいるの?って顔してるね♪」

 

あなたはエスパーかなんかですか。一字一句同じじゃねえか

 

「勝手に人の心を読まないでください。……それで、なんで雪ノ下さんがいるんですか?」

 

「また来るって言ったじゃない。それに比企谷くんに聞きたいことがあったしね」

 

へぇ、聞きたいことね

 

「それで聞きたいことって何ですかね」

 

「昨日、比企谷くんが最後に言った言葉。アレって……どういう意味なのかな?」

 

 

 

一瞬にして場の空気が変わったといっていい、この息が詰まりそうな空気。それもたった1つの言葉で……。

 

 

 

「……んんっ、昨日のアレはそのままの意味ですよ。あなたは美人で人当たりがよくて、男の理想を体現したような人です。それに、その振る舞いの1つ1つが洗練されているように思います。……それも完璧にです。完璧な人なんてこの世にいません。だから、強化外骨格のような分厚い仮面を被ってるように思ったんですよ」

 

 

それにと続けてこう言った

 

 

「ここからは俺の推測なんですが……雪ノ下さんのその『仮面』って自然にできたものなんじゃないんですか?俺が事故にあってあなたと取引した時、普通なら取引する相手はあなたの親だと思うんです。それにも関わらず雪ノ下さんだった。てことは、普段からこういった役目をやらされてると思ったんです。それでその『仮面』ができたんじゃないかと……」

 

 

ふぅ、久しぶりにこんな長く喋ったな。話し終え、雪ノ下さんを見ると目を見開き下を向いたかと思うと目に涙を浮かべていた。

 

 

「……比企谷くん、君には分かるんだね。でもね、半分正解で不正解。私のこの『仮面』は、雪ノ下家の長女として昔から仕事関係の人と接するうちにできたもの」

 

「私の母は昔から厳しかったから、小さい頃から良い子にしてなくちゃ、って思ってやる事なす事を完璧にしてきたんだ。そしたら母の会社のパーティーに出されるようになって、そこでも良い子にしてた。それでいつの間にかこの『仮面』は自分で剥がしたくても剥がれなくなったんだ」

とだんだん声が掠れながら言ってくる

 

 

今にも泣きそうだった

 

 

ああ、雪ノ下さんはきっと心の片隅に母親に褒められたい気持ちがあったんだろう。それでも母親は雪ノ下さんのことを道具のようにしか扱ってない。そのことに俺は無性に腹が立っていた。

 

 

「雪ノ下さん」

 

 

でも今はそれよりも目の前にいる雪ノ下さんに言うべきことがあった。

 

 

「……比企谷くん?」

 

 

彼女が求める言葉を……

 

 

「今まで頑張りましたね。だから、これからは泣きたい時に泣いて、笑いたい時に笑って、甘えたい時に甘えていいんですよ」

と頭を撫でながら言った

 

 

この言葉の裏に俺の身勝手な思いを残して……

 

 

 

 

 

『作りもののあなたより、本物のあなたを見せてください』ってね

 

 

 

「……比企谷くんに甘えてもいいの?」

 

 

「はい。雪ノ下さんが甘えたいのなら」

 

 

「そっか///ありがとね。比企谷くん……ううん、八幡くん♪」

 

 

「っ///」

 

今の雪ノ下さんの笑顔は作った笑顔じゃなくて、太陽のように眩しい笑顔だった。その笑顔が可愛くて、美しくて見惚れてしまった。

 

 

 

 

ついに退院する日がきた

 

 

「八幡くん、退院おめでとう」

 

 

あの日からと言うもの雪ノ下さんは毎日病室を訪れるようになった。そのおかげで俺は毎日退屈しなかった。

 

 

「はぁ……あと1か月でいいから休みたい」

 

 

「相変わらず休みたいんだね」

 

 

「まぁそうですね。学校に行ったとしても入院した時点でぼっち確定ですし、勉強もこの入院中に高校の範囲を終わらせましたし、退屈なんですよね……」

 

 

「そんな八幡くんにぼっち回避の為にこれをプレゼント♪」

 

 

そう言われ、渡されたのは黒のフレームの眼鏡だった

 

 

「何で眼鏡なんですか?」

 

 

遠回しにお前の目が見るに耐えないから、眼鏡をかけろって言ってるんですか。

 

 

「八幡くんって、目つきが鋭いじゃない?だから、眼鏡をかければ融和されていい感じなると思うんだよね。……本音を言うと、八幡くんの眼鏡をかけた姿が見たいだけなんだけどね♪」

 

そう言われて眼鏡をかけるように促された。眼鏡をかけてみると度が入ってない……所謂、伊達眼鏡というやつだった。

 

「雪ノ下さん、どうですか?」

 

雪ノ下さんと目を見つめること数秒、目をそらされた。その時、微かに頰が赤くなっていた。

 

「似合ってるんじゃないかな///」

 

ちょっと雪ノ下さん?目を逸らしてまで無理して言わなくても……

 

「お世辞はいりませんよ」

 

「お世辞じゃなくて、本当に似合ってるよ。(眼鏡かけただけでこんなに変わるものなの!?かっこいいな///……はっ!眼鏡かけた状態で学校なんかに行ったら………これだけは阻止しなくちゃ!)」

 

「八幡くん、やっぱり眼鏡は私といる時以外はかけちゃダメだよ!」

 

 

「え?何でですか?」

 

似合ってるんじゃなかったの?何で雪ノ下さんといる時以外はかけちゃダメなんだろうか

 

 

「いいから、かけちゃダメだよ」

 

「いや、だから何でk」

 

「絶対に私といる時以外はかけちゃダメだよ」

 

「だからなn」

 

「 八 幡 く ん 、かけちゃダメだよ♪」

 

「……………………はい」

 

今、雪ノ下さんの後ろから阿修羅のようなものが見えた気がしたんだけど!?気のせいだよね。………本当に気のせいだよな?

 

「うん、よろしい♪あっ、そうだ八幡くん。連絡先交換しよ」

 

「いいですけど、やり方が分かんないんでお願いします」

 

携帯を雪ノ下さんに渡す

 

「私がやるんだね……見られても困らないの?」

 

「小町と親以外の連絡先なんてありませんし、中学の時もクラスで俺だけ連絡先交換されませんでした」

 

「じゃあ、私が八幡くんの家族以外の初めての連絡先ってことだね♪」

 

連絡先を登録したのか携帯を返して来た。携帯を見てみるとそこには『陽乃』とシンプルに書かれていた

 

「まぁ、そうなりますね」

 

何故か雪ノ下さんは嬉しそうだった

 

 

 

それから俺と雪ノ下さんの会話が続いた。雪ノ下さんの妹の話、小町の話とそれぞれの妹の可愛いところなどを話したりした。そんな会話が俺は楽しかった。そして雪ノ下さんも楽しそうにみえた

 

 

しかし、そんな楽しい時間がいつまでも続くわけでもなく……

 

 

「陽乃様、そろそろ御時間です」

 

 

声のした方をみると、執事服を着た1人の男性がおり、そのすぐ近くに俺を轢いた車と同じリムジンが止まっていた

 

 

「ええ、分かったわ。都築」

 

それに応じる雪ノ下さん

 

「……八幡くん、またね」

 

その姿が俺が初めて雪ノ下さんと会った時と同じで仮面を被っていた。そして声が暗くなったように思えた。

 

 

「雪ノ下さん………いや、陽乃さん」

 

 

「っ!?」

 

陽乃さんが驚いていた。それもそうだろ、初めて彼女の事を名前で呼んだんだから

 

 

「陽乃さん、……また会いましょうね」

 

 

些細な事でもいい。陽乃さんとの関係を終わらせたくないと思ったから……

 

 

「うん///また会おうね、八幡くん」

 

そう言い、陽乃さんはリムジンに乗り、この場から去っていた

 

 

 

side 陽乃

 

 

八幡くん…………

 

 

私の仮面を見破ってくれた男の子

 

 

私の事を救ってくれた男の子

 

 

本当に八幡くんは優しいなぁ……。さっきも私を繋ぎ止めてくれたしね。それに八幡くんに名前で呼ばれた時、胸が熱くなったなぁ。……この気持ちなんだろう

 

 

でもこれだけは言えるかな

 

 

 

『比企谷八幡くんは私にとって1番気になる男の子』ってね♪

 

 

side out

 

 

 

 

その日の夜、比企谷八幡はというと……

 

 

 

「うああぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ」

 

 

ひとり自室のベッドの上で悶えていた。

 

 

「お兄ちゃん、うるさい!!」

 

 

「あっ、はい」

 

 

 

 

これが比企谷八幡と雪ノ下陽乃の1番最初の物語

 




オチが上手くかけない……
次回から本編に入ります!!

感想お願いします。

次回もお楽しみに!!

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